レビュー
この夏、最も注目を集めているカメラ

話題沸騰のニコン「Z fc」レビュー。持つ喜び、撮る楽しみを味わえるクラシカルスタイルのミラーレス!

ファインダー撮影をサポートするギミック。カメラのスタイルにあったシャッター音

ここからは、Z fcの細かい操作性をレポートしよう。

実際に使ってみてよく考えられていると感じたのが、シャッタースピードダイヤルと露出補正ダイヤルの間に用意された、絞り値を表示するパネルだ。デザインのギミックとして面白いというだけでなく、このパネルがあるおかげで、上面を見るだけで、露出を決めるすべての設定値(感度、シャッタースピード、絞り値、露出補正)を確認できるのがファインダー撮影では便利だ。具体的には、露出設定を確認するのに液晶モニターを見なくて済むので、視線の移動が少なく、被写体を確認→ボディ上面で設定値を確認→ファインダーを覗くという行為がスムーズに行える。ちょっとしたことなのだが、ファインダー撮影の心地よさで大きな違いを生むと感じた。

シャッタースピードダイヤルと露出補正ダイヤルの間に、絞り値を表示するパネルが用意されている

シャッタースピードダイヤルと露出補正ダイヤルの間に、絞り値を表示するパネルが用意されている

Zシリーズの操作性の特徴として伝えておきたいのが、電子ビューファインダー(EVF)の見えのよさだ。どのモデルも、ニコンのすぐれた光学技術と画像処理技術によってすばらしい見え方を実現しているが、Z fcもその特徴をしっかりと継承している。ZシリーズのAPS-Cミラーレス「Z 50」と同じ仕様のEVF(約236万ドット、35mm判換算で倍率約0.68倍)で、EVFにありがちなチラつく感じがなく、とてもクリアで自然な見えを実現している。覗いているだけで撮影意欲が高まるファインダーだ。

クリアで自然な見えのEVFを搭載。液晶モニターは横開きのバリアングル液晶だ。Zシリーズは一貫してチルト液晶モニターを採用してきたが、Z fcではバリアングル液晶となっている

クリアで自然な見えのEVFを搭載。液晶モニターは横開きのバリアングル液晶だ。Zシリーズは一貫してチルト液晶モニターを採用してきたが、Z fcではバリアングル液晶となっている

モニターの背面にも革シボ風の加工が施されており、モニターを裏返して収納するとフィルム一眼レフのような見た目になる

モニターの背面にも革シボ風の加工が施されており、モニターを裏返して収納するとフィルム一眼レフのような見た目になる

このほか、操作感を左右するシャッター音はZ 50とは違っていて、Z fcでは、より機械的な感じで響くようになっている。やや押し込み量が多いシャッターボタンとの組み合わせはシャッターを切っている感覚が得られ、このカメラにマッチしていると感じた。クラシックなスタイルにあわせてチューニングしている部分なのかもしれない。

操作性を厳しい目でチェックすると、設定した感度で適正露出が得られない場合にカメラが自動的に感度を変更する「感度自動制御」への切り替えは、設定メニューの「ISO感度設定」内でしか操作できないため、少々手間がかかる。タッチパネルやボタンの操作で感度自動制御の設定を呼び出したり、切り替えられる工夫があってもよかったと思う。また、シャッタースピードは、1段刻みのダイヤルの設定値から1/3段刻みの微調整ができるとさらに便利だった(※ダイヤルを「1/3STEP」に合わせるとコマンドダイヤルの操作で1/3段刻みの値を順々に選択することは可能)。このほか、シャッターボタンにはケーブルレリーズ用のネジ穴があったほうがよりクラシックな雰囲気が高まったし、ソフトレリーズボタンを装着してのカスタマイズができて楽しみも広がったと思う。といったように細かいところを見るといくつか気になる点はあるものの、ライト層をメインターゲットにしながら、中上級者層も納得できる、よくまとまった操作性に仕上がっていると思う。

別売オプションの専用エクステンショングリップ「Z fc-GR1」を装着したイメージ。このグリップを付けることで、しっかりとしたホールド感が得られる

別売オプションの専用エクステンショングリップ「Z fc-GR1」を装着したイメージ。このグリップを付けることで、しっかりとしたホールド感が得られる

スペックは「Z 50」と同等で高画質な撮影が可能。新たにUSB給電などに対応

Z fcの基本スペックはZ 50と同等だ。主なスペックは以下にまとめておくが、ライト層をメインターゲットにしたミラーレスとしては十分な性能を持っている。

Z fcの主なスペック
撮像素子:有効2088万画素CMOSセンサー(APS-Cサイズ)
画像処理エンジン:EXPEED 6
感度:ISO100〜51200(拡張でISO204800までの増感)
AFシステム:位相差AF/コントラストAFのハイブリッドAF(フォーカスポイント209点)
最速シャッタースピード:1/4000秒
連写:AF/AE追従で最大約11コマ/秒
EVF:約236万ドット、倍率約0.68倍(※35mm判換算)
モニター:3.0型バリアングル液晶(約104万ドット、タッチパネル対応)
動画:4K UHD/30p記録(クロップなし)
記録メディア:SD/SDHC/SDXCメモリーカード(UHS-I対応)
無線機能:Wi-Fi(IEEE802.11b/g/n/a/ac)、Bluetooth Ver.4.2

機能面ではZ 50からいくつか進化している点があり、AF(オートフォーカス)は、静止画撮影と動画撮影の両方で「瞳AF」「動物 AF」を利用できるようになった。さらに、先述したように、オートモード時の露出補正も可能。USB端子がType-Cになったことで電源オン時のUSB給電に対応するようになったほか、撮影画面に表示されるアイコンや撮影情報を非表示にできる「ライブビュー情報表示の消灯」機能も追加されている。

ボディ左側面にHDMI端子(Type D)、USB端子(Type-C)、外部マイク入力(3.5mmステレオミニジャック)を搭載。USB端子経由での給電にも対応する

ボディ左側面にHDMI端子(Type D)、USB端子(Type-C)、外部マイク入力(3.5mmステレオミニジャック)を搭載。USB端子経由での給電にも対応する

画質もZ 50と同等で、Zシリーズのミラーレスらしく、画像の中央だけでなく周辺まできっちりと描いてくれる。大口径のZマウントだからこその、レンズの写りのよさを実感できる高画質だ。また、Zシリーズの他モデルと同様に、独創的な色合いやトーンが得られる20種類の「クリエイティブピクチャーコントロール」を楽しめるのも見逃せない特徴。以下に掲載する作例の後半部分は、この機能を使って撮影したものになるが、ユニークな仕上がりになることが伝わるはずだ。

※以下に掲載する作例は、Z fcにNIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRもしくはNIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)を組み合わせてJPEG形式の最高画質で撮影したもの(JPEG撮って出し)になります。すべての作例で、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する(※使用した2本のレンズでは「する」に固定される)、の設定になっています。

※サムネイル画像をクリックすると、撮影写真を長辺900ピクセルに縮小した画像が開きます。リサイズを行っていない撮影写真は、サムネイル画像下のテキストリンクをクリックすると開きます。なお、撮影写真は開くのに時間がかかる場合があります。

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR、16mm(35mm判換算24mm)、F8、1/320秒、ISO100、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:オート、JPEG撮影写真(5568×3712、7.5MB)

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR、16mm(35mm判換算24mm)、F8、1/320秒、ISO100、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:オート、JPEG
撮影写真(5568×3712、7.5MB)

Z fc、NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)、28mm(35mm判換算42mm)、F2.8、1/1600秒、ISO100、WB:オート1、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:オート、JPEG撮影写真(5568×3712、7.2MB)

Z fc、NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)、28mm(35mm判換算42mm)、F2.8、1/1600秒、ISO100、WB:オート1、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:オート、JPEG
撮影写真(5568×3712、7.2MB)

Z fc、NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)、28mm(35mm判換算42mm)、F4、1/400秒、ISO100、WB:オート1、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:しない、JPEG撮影写真(5568×3712、10.5MB)

Z fc、NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)、28mm(35mm判換算42mm)、F4、1/400秒、ISO100、WB:オート1、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:しない、JPEG
撮影写真(5568×3712、10.5MB)

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR、24mm(35mm判換算36mm)、F6.3、1/250秒、ISO100、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:強め、JPEG撮影写真(5568×3712、9.4MB)

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR、24mm(35mm判換算36mm)、F6.3、1/250秒、ISO100、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:強め、JPEG
撮影写真(5568×3712、9.4MB)

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR、20mm(35mm判換算30mm)、F8、1/640秒、ISO100、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:オート、JPEG撮影写真(5568×3712、11.4MB)

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR、20mm(35mm判換算30mm)、F8、1/640秒、ISO100、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:オート、JPEG
撮影写真(5568×3712、11.4MB)

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR、16mm(35mm判換算24mm)、F8、1/30秒、ISO100、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:オート、JPEG撮影写真(5568×3712、6.1MB)

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR、16mm(35mm判換算24mm)、F8、1/30秒、ISO100、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:オート、JPEG
撮影写真(5568×3712、6.1MB)

Z fc、NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)、28mm(35mm判換算42mm)、F11、1/50秒、ISO100、WB:オート1、クリエイティブピクチャーコントロール:グラファイト、アクティブD-ライティング:しない、JPEG撮影写真(5568×3712、11.5MB)

Z fc、NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)、28mm(35mm判換算42mm)、F11、1/50秒、ISO100、WB:オート1、クリエイティブピクチャーコントロール:グラファイト、アクティブD-ライティング:しない、JPEG
撮影写真(5568×3712、11.5MB)

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR、16mm(35mm判換算24mm)、F11、1/320秒、ISO100、WB:オート1、クリエイティブピクチャーコントロール:デニム、アクティブD-ライティング:標準、JPEG撮影写真(5568×3712、8.7MB)

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR、16mm(35mm判換算24mm)、F11、1/320秒、ISO100、WB:オート1、クリエイティブピクチャーコントロール:デニム、アクティブD-ライティング:標準、JPEG
撮影写真(5568×3712、8.7MB)

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR、16mm(35mm判換算24mm)、F16、1/200秒、ISO100、WB:自然光オート、クリエイティブピクチャーコントロール:レッド、アクティブD-ライティング:オート、JPEG撮影写真(5568×3712、8.8MB)

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR、16mm(35mm判換算24mm)、F16、1/200秒、ISO100、WB:自然光オート、クリエイティブピクチャーコントロール:レッド、アクティブD-ライティング:オート、JPEG
撮影写真(5568×3712、8.8MB)

Z fc、NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)、28mm(35mm判換算42mm)、F2.8、1/1000秒、ISO100、WB:自然光オート、クリエイティブピクチャーコントロール:ドリーム、アクティブD-ライティング:オート、JPEG撮影写真(5568×3712、6.5MB)

Z fc、NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)、28mm(35mm判換算42mm)、F2.8、1/1000秒、ISO100、WB:自然光オート、クリエイティブピクチャーコントロール:ドリーム、アクティブD-ライティング:オート、JPEG
撮影写真(5568×3712、6.5MB)

まとめ クラシックなスタイルとZシリーズの高画質を気軽に楽しめるカメラ

ニコンからクラシックなデザインのミラーレスが登場したということで、「どれだけマニアックな仕上がりになっているのか」に注目してしまいがちだが、Z fcのコンセプトからすると、カメラとしての本質は違う部分にある。このカメラは、「ライト層をメインターゲットにしたクラシックなデザインの一眼カメラ」という、新機軸の製品である。スペックやデザインの再現性の高さをメインに訴求しているわけではなく、持ち運びやすいサイズ感で、クラシックなスタイルとZシリーズの高画質をより気軽に楽しめるのが魅力だ。

ちなみに、Z fcの「f」は、ニコンの歴史を築いてきたカメラを象徴する「f」であり、ニコンが長年のカメラ設計・製造の中で極めた、精密機器の感触と高画質の「融合」を示す「fusion」の「f」という意味も込められている。「c」は、ニコンの伝統を受け継ぐカメラをより「casual」に使ってほしいという願いから付けられた「c」だ。製品名の通り、ニコンの伝統的なデザインと高画質を、よりライトに楽しめるカメラに仕上がっていると言えよう。

とはいうものの、カメラ上級者やニコンファンに対しても所有欲を刺激する仕上がりになっているのが、ニコンのクラフトマンシップを強く感じるところだ。筆者は、MFフィルム一眼レフのロングセラーモデル「New FM2」を長年愛用してきたが、Z fcに触れていると当時のことを思い出して、懐かしく、また楽しい気分になる。

Z fcは、ライト層からカメラ上級者まで幅広い層から注目を集める存在で、発売から1週間が経過した2021年7月30日時点では、どのショップにも在庫がない状況になっている。手に入れたいのであれば、すぐには手元に届かないかもしれないので早めに予約しておきたいところだ。なお、Z fc 28mm f/2.8 Special Edition キットについては、「想定を超えるたいへん多くの予約があったほか、部品供給の遅延により、発売に十分な供給量をご用意できない見通し」として、発売が延期になっている。発売時期については確定次第、改めて発表する予定だ。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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