筆者が「Nikon 1 AW1」を使い、山で撮った作例を紹介しよう。また、実際に「Nikon 1 AW1」を持って登った所感もお伝えする。
基本性能が高いから「オートモード」でもキレイ
「Nikon 1 AW1」は1インチのCMOSセンサーを搭載しており、有効画素数は1,425万画素。光学ローパスフィルターをなくすことで、解像度を高めたという。ピントが合った状態で、約15コマ/秒の高速連続撮影ができるなど、速く切れるシャッターも特徴。このように撮影性能も上々なため、「オートモード」で撮影していてもほとんど問題はない。今回、筆者が山で撮った写真は、すべて「オートモード」で撮影した(作例はリサイズしたもの)。
同じ風景を、筆者が従来から使っているコンパクトデジタルカメラと「Nikon 1 AW1」で撮り比べてみた。「Nikon 1 AW1」のほうが、目で見た色と近く、再現度が高い!
猿を発見したので、撮ってみた。コンパクトデジタルカメラで撮ったものは、猿の動きにカメラの処理が追いつかず顔までぶれている。「Nikon 1 AW1」は動いている感じは残しつつ、顔は目までしっかり認識可能
「Nikon 1 AW1」で撮った、朝日が昇る様子。薄暗い中での撮影はノイズが多くなりがちだが、とてもクリア
雷鳥が歩いている瞬間もパチリ。上で紹介した猿の撮影でも感じたが、レリーズタイムラグが短いので、横切る被写体の瞬間を残せるのがうれしい
光学ズーム2.5倍なのでズームは控えめ
標準ズームレンズ「1 NIKKOR AW 11-27.5mm f/3.5-5.6」を装着した焦点距離は30-74mm(35mm判換算)、光学ズームは約2.5倍。それほど近くまでは寄れないが、風景を撮るぶんには不満は感じない。
本当はもう少し滝に寄りたいところだが、これが限界
山頂で遠くに見える山の稜線を撮影しても、通常の撮影では一部しか写せず。パノラマ写真(下)にすると、山頂から見渡したような情景を残すことができる。手動でカメラを動かしているため、ホワイトバランスが若干異なる部分があるが、慣れてくると下のような違和感のないパノラマ写真が撮れた
※サムネイル画像をクリックすると、撮影写真を4,800×920ドットに縮小した画像が別ウィンドウで開きます
引いた構図で写真が撮れない場合、複数の写真を撮っていたが(上)、パノラマ写真(下)なら1枚で風景全体をおさめられる
※サムネイル画像をクリックすると、撮影写真を4,800×920ドットに縮小した画像が別ウィンドウで開きます
操作性や持ち歩きの感想
ほかのミラーレス一眼と比べると少し重めだが、とてもグリップ感がよく、歩きながらでも取り出してサッと構えることができる。ただ、登山中は常に斜めがけしている状態だったので、岩を登るようなシーンでは耐衝撃とはいえ、ぶらぶらと動いてしまうカメラが気になった。もっと利便性の高いストラップを用意したほうがいいかもしれない。
撮影時は両手でしっかりと構えるが、ちょっとした移動の際は片手でカメラを持って歩いたりもする。そんな時も、滑ることも、滑りそうになることもなく持てたのは高評価
防水でよかったこと
「Nikon 1 AW1」のもっとも優れた点は、防水。筆者はスキューバダイビングをしないのであまり水中撮影をすることはないのだが、山で急に雨が降ってきた時もカメラを片付けなくていいのがすごく便利だった。
雨の中、レインウェアの上からミラーレス一眼をぶら下げているなんて、「Nikon 1 AW1」じゃなきゃできないこと! まわりの登山者がカメラを急いで片付けている時でも堂々と外に出しておける。雨が降る中で撮影できるって、すばらしい!
水量が多く、勢いが強い滝を間近で撮影した時、水しぶきで筆者はビショビショに。カメラも濡れてしまったが、そんな時も防水だから安心だ
防水対応とわかっていても、これまでに類のないものなので水中に浸けるのはかなり躊躇した。が、そんな心配をよそに、陸上での撮影同様に水中でも操作可能。魚もいない水中を撮っただけの作例となってしまったが、防水性能への不安がなくなったのでこれからいろいろ撮ってみたい!
「Nikon 1 AW1」を購入してから 半年以上使っているが、不満点はほぼない。もう少し望遠ズームできる防水レンズがほしいのと、少々重いということがちょっと気になるところだが、撮りためた写真を見返すと「いい山だったなー」と現地で見た時よりもすばらしさを実感するほど。カメラによっては、色がビビッドに処理されてしまったりするが、「Nikon 1 AW1」は自然の色に近い再現描写だと思う。
これまで山ではコンパクトデジタルカメラしか使っていなかったので、ミラーレス一眼である感動を毎回感じている。圧倒的にコンパクトデジタルカメラよりもレリーズタイムラグが短いので、“撮りたい!”と思ったチャンスを逃すことが少なくなった。さらに、薄暗い状況でもクリアな写真が撮れ、解像感が高いため細かい部分までしっかり描写されている。撮影性能に関しては、不満はない!
アウトドアが趣味な筆者にとって、防水であることはカメラ選びの絶対条件。防水対応にはならないものだと思っていたミラーレス一眼や一眼レフに、防水機能を搭載した「Nikon 1 AW1」は、まさに夢のようなカメラだ。上でも紹介しているが、天候が変わりやすい山ではとくに防水は重要。雨が降っても、カメラを出しっぱなし&撮影している優越感もハンパじゃない!(笑) 屋外で使うことが多いならば、買って損することはないと言える。