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1インチコンデジ対決! この秋は、キヤノン「PowerShot G7 X」がソニー「サイバーショット RX100」シリーズをわずかにかわす展開に

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「PowerShot G7 X」

「PowerShot G7 X」

ここ数年、コンパクトデジカメ市場は縮小の一途をたどっている。主な理由は、スマートフォンのカメラ機能がかなり高性能となったこと。スナップ撮影用途などであれば、ネットワークに簡単につながるスマートフォンのほうがむしろ便利になったため、これまでコンパクトデジカメが担ってきた用途がスマートフォンに移行していっているのだ。図1は、「価格.comトレンドサーチ」で見た、価格.comの「デジタルカメラ」カテゴリーの過去2年間のアクセス推移を示したものだが、240万PV/週から140万PV/週ほどへ、2年間で約40%ほどもアクセスが減少しており、右肩下がりと言っていい状況となっている。

図1:「デジタルカメラ」カテゴリーの過去2年間のアクセス推移

図1:「デジタルカメラ」カテゴリーの過去2年間のアクセス推移

そんな縮小傾向のコンパクトデジカメ市場でも、ある種の製品だけは底堅い人気を維持している。それが、「1インチコンデジ」などと呼ばれる高画質コンパクト機と、30倍以上の高倍率ズーム機の2つだ。どちらも、現状のスマートフォンでは実現できない機能性を持っており、なおかつ持ち運びが便利なコンパクトボディであることから、一定の人気を維持している。価格.comの「デジタルカメラ」カテゴリーにおける売れ筋ランキングの上位製品を見ても、その傾向は顕著で、そのアクセス推移を見ても(図2)、比較的安定していることが見て取れる。

「デジタルカメラ」カテゴリーにおける売れ筋ランキングの上位5製品のアクセス推移(過去3か月)

「デジタルカメラ」カテゴリーにおける売れ筋ランキングの上位5製品のアクセス推移(過去3か月)

そのうち、今回は「1インチコンデジ」について取り上げてみたい。「1インチコンデジ」とは、コンパクトデジカメとしてはかなり大きな1.0型の受光センサーを搭載した製品の総称である。ソニーの「サイバーショット DSC-RX100」が2012年に発売されたのを皮切りに、これまではソニーの「RX100」シリーズが、市場を先導してきたが、昨年2014年末くらいから他メーカーからも製品が投入され、活況を呈している。なかでも、キヤノンが2014年10月に発売した「PowerShot G7 X」が、人気となってきており、ソニーの「RX100」シリーズと、激しいつばぜり合いを演じている。

1インチコンデジ主要4製品の「デジタルカメラ」カテゴリーにおける売れ筋ランキング推移(過去3か月)

1インチコンデジ主要4製品の「デジタルカメラ」カテゴリーにおける売れ筋ランキング推移(過去3か月)

図3は、1インチコンデジの現時点での主要モデルといえる、ソニー「サイバーショット RX100」「サイバーショット DSC-RX100M3」「サイバーショット DSC-RX100M4」、キヤノン「PowerShot G7 X」の3製品の売れ筋ランキングの推移であるが、「サイバーショット DSC-RX100M4」を除く3製品が常に上位で激しい上位争いを演じているのがわかるだろう。状況は常に変わっているが、直近の1か月ほどでは、キヤノン「PowerShot G7 X」が、ソニーの2製品を抜いて、全体ランキングでも2位をキープしている。なお、ランキング1位は同じキヤノンの30倍ズームモデル「PowerShot SX710 HS」だ(図1参照)。

図4:1インチコンデジ主要4製品の最安価格推移(過去3か月)

図4:1インチコンデジ主要4製品の最安価格推移(過去3か月)

このように、この秋の1インチコンデジ対決では、キヤノン「PowerShot G7 X」が、ソニー製品を一歩リードしている展開となっているが、大きな理由として、販売価格の設定があげられるだろう。図4は、上述の主要4製品の最安価格推移を示したもの。これを見ると、もっとも安いのは、ソニーの初代「サイバーショット RX100」で、およそ35,000円前後で推移しているが、そもそも本製品は2012年の発売であり、機能・性能的にはやや古い。後継機とも言うべき、「サイバーショット RX100M3」(2014年5月発売)は7万円前後、「サイバーショット RX100M4」(2015年7月発売)は10万円前後で推移している。これに対して、キヤノン「PowerShot G7 X」(2014年10月発売)の最安価格は、およそ5万円台前半で推移しており、ライバル機と比べると、かなり購入しやすい。これが、本気の人気を上げている大きな理由のひとつだと考えられる。

もうひとつの理由は、キヤノンが10月10日から開始しているキャンペーンの影響だ。現在キヤノンでは、10月22日から発売される「PowerShot G7 X」の兄弟機、「PowerShot G5 X」「PowerShot G9 X」の発売を記念し、「PowerShot G」シリーズを購入すると、オプションのバッテリーキットがもらえるキャンペーンを行っている。この動きに合わせるように、価格.com上でも、10月に入ってから、「PowerShot G7 X」の詳細ページへのアクセス数が急上昇。ライバルのソニー「サイバーショット RX100」シリーズを大きく引き離す展開となっているのだ(図5)。

図5:1インチコンデジ主要4製品へのアクセス推移推移(過去3か月)

図5:1インチコンデジ主要4製品へのアクセス推移推移(過去3か月)

以上のように、価格面での購入しやすさと、バッテリーキットがもらえるキャンペーン効果の2つによって、現在「PowerShot G7 X」の人気はにわかに高まっている。上述の通り、この秋は、姉妹機2モデルが投入され、キヤノンの1インチコンデジのラインアップも4機種に拡充する。こうしたキヤノンの新モデルの大量投入の動きに連動して、価格.comの「デジタルカメラ」カテゴリーのPVシェアでも、今やキヤノンがライバルのソニーを抜いて首位に躍り出ている(図6)。今後ソニーの巻き返しもあるかもしれないが、この秋の2社による1インチコンデジ対決では、キヤノンが1歩リードする展開となっている。

図6:「デジタルカメラ」カテゴリーにおけるメーカー別PV推移(過去6か月)

図6:「デジタルカメラ」カテゴリーにおけるメーカー別PV推移(過去6か月)

鎌田 剛(編集部)
Writer / Editor
鎌田 剛(編集部)
1996年にソフトバンクにて複数のパソコン情報誌の編集・立ち上げに携わった後、2002年にカカクコム入社。2006年「価格.comマガジン」を創刊。以降、編集長としてメディア運営に携わる。日経MJにてコラム連載、ラジオ出演なども幅広く行う。家電製品アドバイザー資格保持者。
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