レビュー
ドーム型やリング状に“映像の形”を変えられる不思議なカメラが楽しい♪

遊び心を刺激する! 360°ぐるりと撮影できるアクションカム「PIXPRO SP360」ってどんなもの?

身体や乗り物に装着して使うことで、いつもとは違う迫力ある映像が撮れるアクションカム。先駆者である「GoPro」を追随し、多くのメーカーが参入していますが、また新たな魅力を持ったモデルが登場しました。360°の映像を撮影できる、コダック「PIXPRO SP360(以下、SP360)」です。これまでのアクションカムは、広角ではあれど画角は170°程度。「SP360」はその倍以上となる360°の画角を備えているため、撮影者や周囲まで含めてぐるりと撮ることができます。さらに、360°の映像を“輪の形”にしたり、4分割の画面にしたりと“見せ方”を多様に変えられるのもポイント。そんな、スペックだけでも不思議な「SP360」の楽しさを調査してみました。

構造をチェック

360°の撮影ができるカメラというと「RICOH THETA」がありますが、「SP360」とはターゲットが異なります。前者はあくまでも日常使いを意図したカメラであり、「SP360」は防塵・防水性能を兼ね揃えた“アクションカム”。2mからの落下にも耐える耐衝撃性能と-10℃までの耐低温性能も持ちあわせているので、激しいシーンや厳しい環境下でも使えます。ただし、本体の防水性能はIPX5相当となっているため、水中撮影を行う場合には防水ケースが必要。防水ケースをはじめ、雲台などの装着用アイテムは別売となります。

サイズは、41.1(幅)×50(高さ)×38(奥行)mm。コンパクトなキューブ型ですが、一般的なアクションカムよりも厚みがあります

レンズは35mm換算で8.25mmの超広角で、F2.8の明るいものを採用

レンズは35mm換算で8.25mmの超広角で、F2.8の明るいものを採用

ドーム状のカバーでレンズは保護されています

ドーム状のカバーでレンズは保護されています

側面には、操作ボタン(録画開始/停止やモードを選択するメニューボタンなど)を装備

側面には、操作ボタン(録画開始/停止やモードを選択するメニューボタンなど)を装備

そして、操作部とは別の側面にはモニターを搭載。モニターでは撮影モードや録画状況を確認することはできますが、プレビュー機能はないためアングルチェックはできません

アングルを確認したい時は、「SP360」と連携させたスマートデバイスで行います。Wi-FiとNFCに対応しているので、使用するスマートデバイスに搭載されているほうで接続しましょう。もちろん、スマートデバイスからはアングルを見られるだけでなく、操作も可能

底面には充電やパソコンと接続する際に使用するMicro USB端子と、テレビで動画を再生するためのMicro HDMI端子、そしてmicroSDメモリーカード対応のスロットが用意されています。その上には、三脚穴もあり

どんな映像が撮れるの?

次は、「SP360」の真骨頂である“360°の映像”について見ていきましょう。ただし、360°といっても全天球で撮影できるわけではありません。レンズ水平方向360°、垂直方向214°の画角となります。その範囲内で“どのように撮るか”が選べ、さらに撮った後に“どんな風に見たいか”で構図変更が可能。これは言葉で説明しても非常にわかりづらいと思いますので、撮ったものを見ながら解説していきます。

レンズの周囲を360°撮影できますが、上下で映せるのは214°。半天球に近い映像が撮れるという感じですね

レンズの周囲を360°撮影できますが、上下で映せるのは214°。半天球に近い映像が撮れるという感じですね

このような半天球の動画が撮れるのは面白いですが、それだけでは汎用性に欠けてしまいます。でも、ご安心を! 「SP360」には360°×214°の画角で撮れる「ラウンドモード」のほかに、一般的なアクションカムのようにレンズの前方のみの映像を記録する「フロントモード」が用意されています。2つのモードで動画を撮影してみました。

別売のアタッチメントを利用して、「SP360」を自転車に装着。走行した動画を、フロントモードとラウンドモードで撮ってみました

フロントモード
レンズ前方214°の画角で撮影するのが「フロントモード」。レンズ水平方向360°の画角がOFFとなるため、一般的なアクションカムと同じ感覚で撮影できます。映像の比率は16:9と4:3が用意されており、最高画質は1,920×1,080ドットのフルHDで撮影に対応。

通常のカメラと同じように、レンズの前に映る風景を記録します

通常のカメラと同じように、レンズの前に映る風景を記録します

画角が214°あるため、両サイドが広い範囲で撮影されています。周辺部にはやや歪みが生じていますが、画質は上々でブレも気になるほどではありません。

ラウンドモード
全方位(360°×214°)で撮影するのが「ラウンドモード」です。ラウンドモードには、「ドーム」「フロント」「セグメント」「リング」「パノラマ」といった“映像の形”が用意されており、好きなものを選ぶことが可能。スマートデバイスを連携させておけば、画面上で“同じシーンを異なる形”で見られますが、保存されるデータは下の動画のような形式となります。

同じ場所でも“映像の形”が異なると違う世界に見えますね。映像部分を指でスワイプすると、それぞれの“映像の形”の中で始点が変えられます。この写真の場合、人物の位置を左右上下、裏側に動かすことが可能。360°×214°の画角で映しているので、その範囲内の“どこを見るか”を選べるというわけです。これについては、下にある「ラウンドモードで撮った動画をいろいろな形に変えてみよう」の項目で詳しく解説

「ドーム」や「リング」を選んで撮影しても、保存されるデータはこの形式となります。前方だけでなく、空や筆者が映っており、“地球を走っている”感じがしませんか? 天高く上がった凧も映り込み、情景が伝わりやすいですね。

ラウンドモードで撮った動画をいろいろな形に変えてみよう

ラウンドモードで“映像の形”を変えたものはスマートデバイスで見ることしかできないのか、というとそうではありません。このモードの面白いところは、リング状やパノラマ風に“映像の形”を変えて見るだけでなく、後から 違う“映像の形”にして保存できるところ。つまり、「ラウンドモード」で撮っておけば、いつでも映像を4分割にしたり、ドーム型にすることができるというわけです。ただし、このような編集→保存が行えるのはパソコンでのみ。残念ながら、スマートデバイスでは再生しかできません。

価格.comマガジン編集部員3人で、「SP360」を囲むようにしてバレーボールをしてみました。さらに、その様子を別のスタッフが撮影していたので、動画には4人が映っています。この動画を元に、“映像の形”を変える様子を見ていきましょう

バレーボールをした際に保存されたデータが、上の動画。「SP360」はテーブルに置いたので、レンズは上を向いています。天井をバックに、人物全員が円形になった状態で映っていますね。
※撮影した動画の一部を切り出したものです(以下、同)

映像の編集は、パソコンと「SP360」を接続して専用ソフトで行います

映像の編集は、パソコンと「SP360」を接続して専用ソフトで行います

緑色の囲みの部分が“映像の形”。スマートデバイスのアプリよりも、多くの種類が用意されています。ここで好きな形をクリックすると、映像の表示形態(黄色い囲み部分)がチェンジ。この映像をマウスでドラッグすると、表示の始点が変わります。その様子は下の動画をご覧ください

動画で行っているのが、動画の編集。再生しながら映像の始点を上下左右に動かすことができます。“映像の形”も再生中に変えることができるので、見ているだけでも面白いですね。
※音声OFFにしていますが、実際は音声も入った状態で再生されます

“映像の形”を変えたら、その状態で保存してみましょう。

右下の操作バー(赤色の囲み部分)にある「REC」をクリックすると、現在表示されている映像が保存されます。映像を上下左右に動かせば、その状態で記録。つまり、黄色の囲み部分に表示されている映像が、そのままの形で書き出されます。ただし、“映像の形”は途中で変えることはできません

以下が、“映像の形”を変えて書き出した動画です。元は同じデータなのに、いろいろな角度から見た映像にできるのが不思議で面白い!

「リング」で保存した映像
リングの表側、裏側に映像が映っています。

「ドーム」で保存した映像
スノードームの中にいるかのよう! 左右だけでなく、上から見たり、下から覗き込んだりするような視点にしてみました。

「パノラマ」で保存した映像
カメラを囲むようにいる4人全員が、一列に表示されました。

「クアッド」で保存した映像
上にある「パノラマ」を4分割した感じですね。まるで、1人に1台のカメラが設置されているようです。

ちなみに、ラウンドモードで撮影した動画は、上で紹介したフロントモードのような見え方にすることもできます。ただし、ラウンドモードの画質は1,440×1,440ドット。その映像からフロントモードの画角に切り出す方法となるため、画質は1,280×720ドットになってしまいます。フロントモードで撮ったものはラウンドモードのように後から“映像の形”を変えられませんが画質は明らかに高いので、一般的なアクションカムのような前方のみ映像を狙うなら、最初からフロントモードで撮ったほうがいいでしょう。

フロントモードのような映像にするには、「フロント(4:3)」か「フロント(16:9)」を選択(緑の囲み部分)。青色の囲み部分には、映像データのどの部分が切り出されるのかが表示されています。元の映像(円形)に長方形の赤い線が入っていますが、この枠内が「フロント(16:9)」の映像となるわけですね

ラウンドモードで撮った動画をフロントモードのように変換したのが、下の映像です。

上で紹介しているフロントモードの映像に比べ、画質が粗くなったことがわかります。円形の映像から長方形に切り出されているので、広大な中を走っている感じも減ってしまいました。

ほかにもある「SP360」の楽しい機能

ここまで「SP360」の基本であるフロントモードとラウンドモードを見てきましたが、その他の撮影に関する機能も紹介しておきましょう。1つは、「動体検知録画」。これは、カメラが動く物を検知すると自動で録画が始まるモードです。そして、もう1つは「タイムラプス動画」という、一定の間隔で撮影した静止画を組み合わせて1本の動画にするというもの。どちらも、ほかのカメラにもある機能ですが、360°×214°の画角で撮ると目新しさがあります。

「動体検知録画」で撮った動画
カメラを地面に置いて、その周りを自転車で走行。自転車が動けば動体検知が作動し、録画が始まります。

円形の地平線を、自転車でぐるりと走る動画が撮れました。地上を自転車で走っただけなのに、“どんな風に撮影したの?”と不思議がられそう。動体検知の性能もズレがほとんどなく、満足です。

「タイムラプス動画」で撮った動画
自転車のフロントに「SP360」を固定し、走行した様子を「タイムラプス動画」にしてみました。タイムラプス動画にするための静止画は、撮影間隔を1、2、5、10、30、60秒から選ぶことができます。

めくるめく時間の流れを、望遠鏡でのぞいているような感覚。日常の風景も、円形で見ると楽しいですね。

まとめ

「SP360」を手にした時、正直、何を撮ればいいかとても悩みました。360°撮れることを“有効的に生かすシーン”を考えても、いいアイデアが浮かばず。なので、試しに家で遊ぶ子供を撮影したり、一般的なアクションカム同様の使い方をしてみたところ、どんなシーンでも面白いことに気付きました。360°×214°で撮れるユニークな形の映像を見るだけでもワクワクするし、スマートデバイスを指でなぞって映像を動かせるのも楽しい。

なにより、ラウンドモードで撮影しておけば、後からパソコンで好きな視点や形に変えられるので気兼ねなく撮り始められます。ラウンドモードの画質は1,440×1,440ドットなので高画質は言えませんが、スマートデバイスで見たり、SNSに投稿するのであれば十分。それよりも、“この視点から狙った映像はあまりみたことないぞ!”や“この形でこのアングルにすると、みんなの動きが見やすい!”といった発見と、人に見せた時の驚きがたまらない!  アクションカムに欠かせないアクセサリーも充実しているので、正統派のアクションカムとしても問題なく使えますが、そこに“遊び心”をプラスしたい人にウケるカメラではないでしょうか。

※ここに掲載している「SP360」で撮影した動画は、すべてリサイズしたものです

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
価格.comマガジン「動画」まとめページ
ページトップへ戻る