ニコン「D500」
明日、2016年2月25日(木)より2月28日(日)までの4日間、横浜にてカメラと写真映像のプレミアムショー「CP+ 2016」が開催される。例年、このイベントに合わせるように、各メーカーともカメラの新モデルを発表する傾向にあるが、今年も各メーカーから、この春発売されるデジタル一眼レフの新モデルが発表され、カメラ愛好家を中心にさまざまな話題を呼んでいる。ほとんどのモデルがまだ発売前となるが、ひとまず「CP+ 2016」開幕直前の人気状況についてまとめておこう。
図1:デジタル一眼レフカメラ注目の新モデル5製品のアクセス数推移(過去3か月)
例年、2〜3月にかけての時期は、デジタル一眼レフカメラの新モデルが多く発表・発売されるが、今年2016年その口火を切ったのは、ニコンのAPS-C機のフラッグシップモデル「D500」だった。年明けすぐの1月6日に製品が発表されると、瞬く間に大きな注目を集め、価格.comの「デジタル一眼カメラ」カテゴリーでは、注目ランキングで1位、売れ筋ランキングでも2位という人気の高さを見せた。発表当初は、3月発売ということだったが、その後、あまりの人気に生産が追いつかなくなり、発売日を急遽4月に延期したというほどの人気ぶりである。
図1は、この春に発売される、デジタル一眼レフカメラ注目モデル5製品のアクセス数推移を「価格.comトレンドサーチ」で示したものだが、これを見ても「D500」の発表時の注目度の高さが群を抜いていることがわかるだろう。すでにある程度落ち着いてきているとはいえ、クチコミは3,000件に迫る勢いであり、この春もっとも注目すべき製品であることに変わりはない。
富士フイルム「FUJIFILM X-Pro2」
この「D500」に次いで1月15日に発表されたのが、富士フイルムのフラッグシップ機「FUJIFILM X-Pro2」である。2430万画素のAPS-Cセンサーを搭載するミラーレス機で、独特なフォルムを持つコンパクトボディを採用。ユニークな特徴ともいえるフィルムシミュレーション機能や、光学ファインダー(OVF)と電子ビューファインダー(EVF)をレバー操作で瞬時に切り替えられる「ハイブリッドビューファインダー」システムを搭載するなど、他のメーカーにはないようなユニークな機能が人気だ。こちらも当初は、2月18日の発売予定だったが、予想以上の人気で生産が追いつかず、3月3日に発売を延期している。図1を見ると、ほかのメーカーの製品ほどの盛り上がりとは言えないが、富士フイルムの製品としてはかなりの注目度の高さと言っていい状況だ。
キヤノン「EOS-1D X Mark II」
さらに2月に入ると、キヤノンからプロ向けのフラッグシップモデル「EOS-1D X Mark II」が発表され話題を呼ぶ。こちらはプロ向け仕様の高額製品であるため、一概に比較はできないが、2020万画素のフルサイズセンサーを搭載した同社のフラッグシップ機ということもあり、注目度は高い。
キヤノン「EOS 80D」
リコー「PENTAX K-1」
その後、しばらく新モデルの発表がなかったが、「CP+ 2016」を間近に控えた先週2月18日に、キヤノンからAPS-C機の中級モデル「EOS 80D」が、またリコー(ペンタックス)からは、フルサイズのフラッグシップ機「PENTAX K-1」が発表される。特に「PENTAX K-1」については、ペンタックス初の3640万画素フルサイズセンサー搭載機ということもあり、発表直後から大きな注目を集めており、2月24日現在、「デジタル一眼カメラ」カテゴリーの注目ランキングでは、人気のニコン「D500」を退け堂々の1位を獲得している。ペンタックスブランドとしては、久々の目玉製品となるだけに、この動きにはかなり注目したい。
図2:デジタル一眼レフカメラ注目の新モデル5製品の注目ランキング推移(過去3か月)
図2は、この春に発売される、デジタル一眼レフカメラ注目モデル5製品の注目ランキング推移を示したものだが、こちらを見ると、ニコン「D500」が注目の中心である点は変わらないが、ここへ来て、「PENTAX K-1」とキヤノン「EOS 80D」の注目度がグンと上がってきていることがわかるだろう。
なお、このほかにも、ニコンのフラッグシップモデル「D5」や、オリンパスのミラーレス一眼の新モデル「PEN F」や、ソニーのミラーレス一眼の新モデル「α6300」なども発表されているが、現状、まだ大きな注目を集めるには至っていない状況だ。
図3:デジタル一眼レフカメラ注目の新モデル5製品の最安価格推移(過去3か月)
このように、ニコン、キヤノン、オリンパス、ソニー、リコー(ペンタックス)、富士フイルムといった各メーカーが、明日からの「CP+ 2016」に向け、最新モデルをそろえてきたことで、デジタル一眼市場はこの春にわかに盛り上がってきそうな雰囲気だ。思えば、昨年2015年の「CP+ 2015」では、目玉となるような製品がほとんどなく、結局2015年のデジタル一眼レフ市場は今ひとつ盛り上がりに欠けた感がある。そういう意味では、今年のデジタル一眼レフ市場は、昨年以上に期待できる要素が多く、期待が集まるところだ。
図4:デジタル一眼レフカメラ人気5メーカーのPVシェア率推移(過去2年間)
特に、今年はキヤノンとニコンという、カメラの2大メーカーの力関係がどうなっていくのかを注意深く見守りたい。図4は、過去2年間の「デジタル一眼レフカメラ」カテゴリーにおける人気5メーカーのPVシェア率の推移を示したものだが、2014年はキヤノンを上回っていたニコンが、昨年2015年は話題性の乏しさもあって、キヤノンにほぼ並ばれた年だった。逆に、2015年のキヤノンは、ほぼ唯一と言っていいほど数多くの新モデルを市場に投入し、その存在感を高めた1年だった。ニコンにとっては、話題性でキヤノンの後塵を拝すことが多かったわけだが、今年一発目の「D500」の発表以降、この流れが再び変わりつつある。この流れをどれだけしっかりしたものにできるか。ニコンの「D500」にかける期待はかなり大きいと言えるだろう。
また、現在3位グループを形成している、オリンパス、ソニー、ペンタックスの動きにも注目だ。一時は、ミラーレス機「α7」シリーズの人気で、単独3位の座を確実なものにしていたように見えたソニーも、2015年はオリンパスやペンタックスに並ばれており、この3者は現在ほぼ同じような人気のまま推移している。どのメーカーも新モデルを投入してきてはいるが、インパクト的にも一番強いのは、満を持してフラッグシップ機「PENTAX K-1」を発表してきたペンタックスだろう。比較的入手しやすい価格帯のフルサイズ機ということもあり、従来のペンタックスファン以外からも注目は集まっている。この注目度が今後どうなってくるかも見どころのひとつだ。現状では、この下のクラスに甘んじている富士フイルムも含め、その動向に注目したい。