5月16日に沖縄・奄美が梅雨入りし、カメラ好きにとって厄介な季節“梅雨”が今年もついに始まってしまった。ジメジメした日が続く梅雨は湿度が高いため、カメラやレンズにカビが発生しやすくなる。せっかく買った高価なカメラやレンズを湿気やカビから守るため、湿度を一定に保って保管できる防湿庫やドライボックス(簡易防湿庫)にお世話になっている人も多いはずだ。特にドライボックスは、使い捨ての乾燥剤を使っているため、防湿庫に比べてお手頃な価格で導入でき、はじめてカメラを購入したときに一緒に購入したという人も結構いるだろう。今回は、そんなドライボックスで、使い捨ての乾燥剤の代わりに繰り返し使えるドライボックス専用除湿ユニット「モバイルドライ 除湿ユニット MD-2」(以下、MD-2)という製品をご紹介しよう。
カメラやレンズを保管するのに最適な全自動防湿庫「オートクリーンドライ」シリーズなどを手掛ける東洋リビング。同社がドライボックス専用に開発した除湿ユニットがMD-2だ。最大の特徴は、コンセントに挿すだけで除湿能力が回復し、繰り返し何度も使えること。本体に乾燥剤のシリカゲルが内蔵されており、シリカゲルが水分を吸収して除湿能力が落ちてきた場合は、内蔵の半導体ヒーターでシリカゲルを再加熱することで除湿能力を回復させている。
東洋リビング「モバイルドライ 除湿ユニット MD-2」。白を基調とした長方形のボディを採用し、本体サイズは116(幅)×33(高さ)×76(奥行)mm。内部に乾燥用ノシリカゲルが入っており、振るとシャカシャカ音がする
ドライボックスの場合、密閉タイプの容器に使い捨ての乾燥剤を入れて、ドライボックス内の湿気を吸い取ることで湿度を下げているのだが、乾燥剤の効果がなくなると新しい乾燥剤に交換しなくてはならない。特に梅雨時期はあっという間に乾燥剤の効果がなくなってしまうこともあり、取り換え用の乾燥剤のストックを管理するのが意外に面倒だったりする。しかし「モバイルドライ 除湿ユニット MD-2」なら、コンセントに挿してしばらく放置し、除湿能力が回復したらドライボックスに戻せばいい。使い捨ての乾燥剤を買い足す費用もかからないし、乾燥剤のストック管理まで気にしなくていいは便利だ。
半導体ヒーター加熱に用いるコンセントプラグは本体内部に収納されており、本体側面のボタンをスライドさせて出し入れする形だ
本体充電中は赤い通電ランプが点灯する。半導体ヒーター加熱中は本体もそれなりにアツくなるので注意
ちなみに、除湿能力がなくなったかどうかは、本体中央の透明の窓から見えるシリカゲルの色で判断できる。除湿能力がないとピンクに、逆に除湿能力がある場合は濃いブルーに変化する。ドライボックスの中に入れるときは、このシリカゲルが見えるように設置すれば、ドライボックスのふたを開けなくてもMD-2の状況を把握できるので便利だ。
写真左が除湿能力がない状態、写真右が除湿能力を回復した状態だ
本体が箱型なので、本体を立ててドライボックス内に設置することもできる。シリカゲルの見える窓を外向きに設置すると、除湿能力がなくなったかどうかをドライボックスの外からも確認できる。スモークのかかったドライボックスだとシリカゲルの色が見にくくなるので、その際は湿度計と組み合わせるといいだろう
また、本体から発生する熱についても気を付けておきたい。除湿能力を回復させるのに半導体ヒーターを使って加熱している関係で、コンセントにMD-2を挿しているときは、本体がかなり発熱する。コンセントから抜いた直後にドライボックスに入れると、その熱でカメラやレンズを痛めてしまう可能性があるので、ドライボックスに入れるときはある程度冷ましてからいれたほうがよさそうだ。
さっそくMD-2の除湿能力をチェックしてみた。今回は、湿度53%の部屋に容量16LのドライボックスMB-16を設置し、そのなかにMD-2と湿度計を置いて計測を行った。ちなみに、今回の実験では、MD-2のシリカゲルがピンクの状態から濃いブルーになるまで4時間したものを使用している。
実験開始時の様子。ドライボックスの中の湿度は53%を示している
実験開始20分経過時。この段階ですでに5%も湿度が低下
12時間経過後。湿度は22%まで低下していた
シリカゲルは乾燥剤の中でも速乾性があり、すばやく除湿できるのが特徴だが、MD-2もその特徴がよくあらわれている。MD-2を投入してたった20分しか経っていない段階で、湿度が48%と5%も低下した。その後まるまる12時間経過した段階ではさらに湿度が低下。最終的に22%まで低下した。除湿能力はかなり高そうだ。
ちなみに、カメラやレンズの管理に適正な湿度は30〜50%くらいと言われている。同社のホームページには、MD-2と容量16Lのドライボックス「MB-16」と組み合わせた際の除湿性能について書かれているのだが、これによると、カメラ・レンズ保管には1.5時間、最低到達湿度にしたい場合は4時間の通電が目安と案内されている。実験結果からもわかる通り、濃いブルーになるまで乾燥能力を回復させたMD-2をドライボックスに投入すると、乾燥しすぎになってしまう。特にレンズを保管する場合は、乾燥しすぎてしまうとレンズ内の潤滑油に悪影響を及ぼすことがあるので、初めて使う際は、自分の使うドライボックスの容量に合わせてMD-2の除湿能力をある程度把握しておいたほうがよさそうだ。
ドライボックスの湿度を乾燥剤で管理する上で、湿度計を使って湿度をコントロールするのは仕方ないことだ。それは、何度も繰り返し使えるMD-2も、使い捨て乾燥剤でも同じだ。MD-2の場合、コンセントに挿して除湿能力を回復させる作業が面倒と思うかもしれないが、これについても使い捨ての乾燥剤も交換する必要はあるので、手間自体はそれほど変わらない。
こういった条件をぜんぶひっくるめた上でMD-2を使うメリットは、やはりコストだろう。ドライボックスの湿度を使い捨ての乾燥剤で管理していると、カメラを頻繁に使う人の場合、ドライボックスのふたを開け閉めする回数が多くなるため、梅雨時期はあっという間に乾燥剤の効果がなくなってしまうことがある。本体価格は3,429円(税抜)なので、一般的な乾燥剤に比べると初期投資は少しかかってしまうが、乾燥剤の効果が切れるたびに買い足して、何度も乾燥剤を取り換えている人なら、繰り返し使えるMD-2はすぐに元が取れるはずだ。
なお、MD-2には、ドライボックスと湿度計がセットになったモデルもラインアップされている。まだドライボックスを持っていない人は、こちらのセットモデルを選ぶというのもありだろう。
PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。最近はもっぱらカスタムIEMに散財してます。