ペンタックス「PENTAX KP」
2017年2月23日(木)〜26日(日)の4日間にわたり、カメラ関連の新製品が一同にそろう総合的カメラ映像ショー「CP+2017」が開催される。毎年、このショーに合わせて、国内の各カメラメーカーがその年注力する新モデルを発表することもあり、今年2017年のカメラ市場を占うには非常に重要なイベントなのだが、今年2017年の場合はどのようになっているのだろうか。ショー開幕直前の2月22日時点での価格.comのデータをベースに、今年の「CP+2017」で話題になりそうな新モデルについて見てみよう。
図1:「デジタル一眼カメラ」カテゴリーの主要メーカー別アクセス推移1(過去3か月)
図2:「デジタル一眼カメラ」カテゴリーの主要メーカー別アクセス推移2(過去3か月)
まずは、市場全体の状況をおおまかにつかんでおこう。図1、図2は、「価格.comトレンドサーチ」で見た、「デジタル一眼カメラ」カテゴリーの主要メーカー別アクセス推移を示したもの。なお、図1のほうは、アクセス数でベスト5のメーカーを、図2は、ベスト7に入っているメーカーを含めた(上位3メーカー含む)である。これを見ると、アクセス数での首位はキヤノン、2位はニコンで変化ないが、この1週間ほどはキヤノンのアクセスが上がっており、2位ニコンとの差が開いている。この差は、「CP+2017」直前にキヤノンが新モデルの一斉発表を行ったのに対し、ニコンは今回事前発表がいっさいなかったことに起因するものだ。それだけ、キヤノンは話題が多く、ニコンは話題が少ないということになる。
なお、3位以降は混戦状態だが、暫定的にはソニーとオリンパスが3位グループを形成し、その後をパナソニック、ペンタックス、富士フイルムが僅差で追うという状況となっている。この中で特にアクセスが上がっているメーカーはないが、以前は単独3位につけていたソニーのアクセスが凋落傾向にあるのが、やや気になる。ソニーも、今回の「CP+2017」に対しては、事前の新モデルの発表がいっさいなく、昨年、新モデルがほとんど出なかったこともあり、話題的には乏しい。これに対して、オリンパスのほうは、2016年の年末に、同社のフラッグシップモデル「OM-D E-M1 Mark II」を発売した関係で、年末にアクセスを上げていたが、その話題性もすでに沈静化した感がある。
図3:「デジタルカメラ」カテゴリーの主要メーカー別アクセス推移(過去3か月)
今度は、コンパクト系のデジタルカメラの様子を見てみよう。図3は、「デジタルカメラ」カテゴリーの主要メーカー別アクセス推移を示したもの。こちらでは、アクセスの首位をキヤノンとソニーの2社で争う展開が続いているが、やはり先週行われた新モデルの発表によって、キヤノンが頭ひとつ抜け出したような格好となっている。ソニーは残念ながら、現状では新モデルの発表がなく、話題性に欠ける。なお、ニコンが先週一時的に突出した動きを示しているが、これは前回お伝えした、2月13日の「ニコン DL」の発売中止の報に対するユーザーの一時的な反応によるものだが、今はすでに沈静化している。
やや注目なのは、4位のパナソニックと、5位の富士フイルムが若干アクセスを上げてきている点。パナソニックは、4Kフォト対応の光学60倍ズームデジカメ「LUMIX DC-FZ85」を3月10日より発売予定で、今回の「CP+2017」がそのお披露目となる模様。いっぽうの富士フイルムは、クラシックカメラ然としたデザインで人気の「FUJIFILM X100F」が2月下旬より発売予定で、こちらが注目を集めそうだ。
富士フイルム「FUJIFILM X100F」
図4:「デジタル一眼カメラ」カテゴリーの主要新モデルのアクセス推移(過去1か月)
では、今回の「CP+2017」では、どんなモデルが注目されそうなのだろうか。ここまでの発表されている製品のアクセス数から、その状況をひもといてみよう。図4は、「デジタル一眼カメラ」カテゴリーにおける、主要な新モデル5製品のアクセス推移を示したものだ。これを見ると、まず1月26日に発表されたペンタックスのAPS-Cクラスのフラッグシップ機「PENTAX KP」(2月23日発売)が、発表直後に非常に高いアクセスを厚め、その後落ち着いてきているものの高い水準で推移していることがわかる。また、パナソニックから3月23日に発売される、ミラーレス一眼カメラのフラッグシップ機「LUMIX DC-GH5」についても、1月25日の発表からほぼ変わらぬアクセス数で推移しており、この2機種がまず注目製品となることは間違いなさそうだ。
パナソニック「LUMIX DC-GH5」
また、先週2月15日に新製品を一挙発表したキヤノンからは、APS-Cクラスのエントリーモデル「EOS Kiss X9i」と「EOS 9000D」、それとミラーレス一眼の新モデル「EOS M6」が、いずれも4月上旬発売予定で登場した。まだ製品発表から間もないこともあり、データが少ないのだが、現状ではさほど大きな動きとはなっていない。この3モデルの中では、ミラーレス一眼の「EOS M6」がもっとも高いアクセス数で推移しており、数字だけ見れば、上述の「PENTAX KP」ならびに「LUMIX DC-GH5」とほぼ同等レベルとなっている。
キヤノン「EOS M6」
残念なことに、今年の発売が期待されているニコンのフルサイズ機の新モデルや、ソニーのフラッグシップ機の新モデルは、今回の「CP+2017」では登場しそうになく、デジタル一眼のカテゴリーでは、上記の3モデルが最大の注目製品ということになりそうだ。
図5:「デジタルカメラ」カテゴリーの主要新モデルのアクセス推移(過去1か月)
いっぽうのコンパクトデジカメでは、どうだろう。図5は、「デジタルカメラ」カテゴリーにおける主要新モデルのアクセス推移を示したものだ。上述のように、富士フイルム「FUJIFILM X100F」とパナソニック「LUMIX DC-FZ85」の人気が高めで推移しているが、そこへ、先日の2月15日に発表されたキヤノンの1インチコンデジの新モデル「PowerShot G9 X Mark II」が一気に注目を集めてからんできた。「CP+2017」開幕直前の状態では、この中でも特に「PowerShot G9 X Mark II」と「FUJIFILM X100F」の注目度が高く、コンパクト系ではこの2モデルを中心に人気が高まりそうだ。
キヤノン「PowerShot G9 X Mark II」
なお、こちらも残念なことに、ニコンの「DL」シリーズが発売中止となったことなどで、やや盛り上がりに欠ける状態になってしまっている。
価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。