レビュー
「CX-9」プラットフォーム採用の恩恵は大きい!

CX-5を超えた!マツダ「CX-8」“速”試乗/3列目シートの広さや乗り心地もテスト

近年、SUVに力を注いでいる国産メーカーが「マツダ」だ。2012年、外観を魂動デザインで仕上げ、マツダのスカイアクティブ技術を搭載した初代「CX-5」を発売すると、瞬く間に高い人気を得た。その人気を受け、2015年にはコンパクトSUVである「CX-3」が加わり、CX-5も2017年2月に2代目へとフルモデルチェンジしている。

3列目シートを備えた、マツダ「CX-8」。フロントフェイスは「CX-5」によく似ている。ボディはCX-5ではなく、北米モデルの「CX-9」のものが採用されている

そして、2017年12月に発売されたのが、3列目シートを持つSUV、「CX-8」だ。CX-8は、CX-5の上級モデルへ位置付けられているとともに、マツダの最上級車種でもある。

CX-8のボディサイズは、全長が4,900mm、全幅が1,840mm、全高が1,730mm。CX-5に比べると355mm長く、全幅は同じで、全高は40mm高い。ホイールベースはCX-8が2,930mmだから、CX-5に比べると230mm長い。

フロントグリルは、CX-8が左右方向のスリット状、CX-5はメッシュ状といった違いこそあるものの、外観を見る限りCX-8はCX-5のロング版に思える。ところが、実際の車両の開発手法は異なり、CX-8は北米などで販売されている「CX-9」の幅を130mmほど狭めたボディを採用している。CX-5のホイールベースを伸ばして3列目シートを装着するよりも、CX-9の幅を狭めた方が開発しやすいためだ。

エンジンは、2.2リッター直列4気筒クリーンディーゼルターボで、CX-5と基本的には同じだが、改良が加えられて動力性能が向上している。

CX-8は、2017年9月14日に発表されたが、発売は2017年12月14日。発表からは、少し間が空いてしまったが、ようやく試乗することが叶った。そこで今回、CX-8の実力を評価してみたい。

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※当記事では以下の項目を5段階で採点して、評価する。

・運転のしやすさ(取りまわし性/視界)
・内装(質感/スイッチの操作性とメーターの視認性)
・居住性&荷室(前後席の居住性/荷室の広さと使い勝手)
・走行性能(動力性能/走行安定性)
・乗り心地
・安全&快適装備
・価格
・総合評価

【マツダ「CX-8」のグレードラインアップと価格】

XD:3,196,800円[FF]/3,429,000円[4WD]
XD PROACTIVE:3,537,000円[FF]/3,769,200円[4WD]
XD L Package:3,958,200円[FF]/4,190,400円[4WD]

【マツダ「CX-8」の主なスペック】

全長×全幅×全高:4,900×1,840×1,730mm
ホイールベース:2,930mm
車重:1,790kg〜1,830kg[2WD] 
最小回転半径:5.8m
燃費:17.6km/L[JC08モード]・15.8km/L[WLTCモード]・12.7km/L[WLTC-L(市街地)]・15.7km/L[WLTC-M(郊外)]・18.0km/L[WLTC-H(高速道路)]
エンジン:SKYACTIV-D 2.2(クリーンディーゼル)
トランスミッション:SKYACTIV-DRIVE(6EC-AT)
最高出力:140kW(190ps)4,500rpm
最大トルク:450N・m(45.9kgf・m)2,000rpm

マツダ「CX-8」の運転のしやすさ(取りまわし性/視界)

マツダ「CX-8」のフロントイメージ

マツダ「CX-8」のフロントイメージ

マツダ「CX-8」のリアイメージ

マツダ「CX-8」のリアイメージ

CX-8の4,900mmの全長は、トヨタ「ランドクルーザー」に迫る。全幅の1,840mmは、SUVではさほどワイドではないが、日本の道路環境では限界値を超えているといえる。ホイールベースが長いために、最小回転半径も5.8mに達した。

また、視界は前方については満足できるが、後方はピラー(柱)が太めで良好とはいえない。

評価:★★☆☆☆(2点)
コメント:ボディが長く、小回りの利きも不満。後方視界もよくない。

マツダ「CX-8」の内装(質感/スイッチの操作性とメーターの視認性)

マツダ「CX-8」のインパネ

マツダ「CX-8」のインパネ

マツダ「CX-8」のメーター

マツダ「CX-8」のメーター

CX-8のインパネなどの内装は、CX-5をベースにしながら上質に仕上げられた。メーターはサイズが大きめで、視認性がよい。水平基調のインパネデザインによって、操作性もすぐれている。

CX-8に備えられたアームレスト兼用のコンソールボックス。画像は後席用。

CX-8に備えられたアームレスト兼用のコンソールボックス。画像は後席用。

前席の中央に装着されたアームレストと兼用になるコンソールボックスは、カバーの開閉が観音開きで上質だ(CX-5は一体開閉式)。またXD・Lパッケージであれば、後席の中央にも同様のアームレスト付きコンソールボックスが装着され、豪華な雰囲気を強めている。後席の中央にこのような固定式のボックスを配置した日本車は少ない。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:視認性や操作性がすぐれ、ていねいに造り込んだ。派手な印象を抑えながらも質感が高い。

マツダ「CX-8」の居住性&荷室(前後席の居住性/荷室の広さと使い勝手)

マツダ「CX-8」の1列目シート

マツダ「CX-8」の1列目シート

CX-8はSUVでありながら、全車が「3列目シート」を備えている。1列目の座り心地はCX-5に準じるが、サイズに余裕を持たせてあるので、肩まわりのサポート性がよい。長距離を移動する時も快適で、スポーティーな運転にも適する。

マツダ「CX-8」の2列目シート。画像は7人乗りのベンチタイプ

マツダ「CX-8」の2列目シート。画像は7人乗りのベンチタイプ

2列目シートは、セパレートタイプの6人乗りとベンチタイプの7人乗りが用意されている(上の画像はベンチタイプ)。どちらも、身体が少し沈んだ部分でしっかりと支えてくれるタイプだ。座面の前側を持ち上げたから、腰の収まりもよい。

「XD」と「XDプロアクティブ」グレードのセパレートタイプは、左右席の中央が通路になっているので、3列目シートとの移動がしやすく、XD・Lパッケージにはアームレスト付きのコンソールボックスが備わって豪華な気分を味わえる。ベンチタイプはリラックスできる座り心地が特徴だ。

なお、2列目シートは床と座面の間隔に余裕を持たせたから空間効率はすぐれているが、小柄な同乗者は大腿部を押された感覚になるかも知れないので、座り心地を確認してほしい。

マツダ「CX-8」のインテリア

マツダ「CX-8」のインテリア

2列目シートにもスライド機能が備わり、身長170cmの大人4名が乗車した場合を想定して後端まで寄せると、後席に座る同乗者の膝先空間は握りコブシ3つ弱に達する。これは、SUVでは最大級の広さで、ゆったりと快適に座れる。

マツダ「CX-8」の3列目シート

マツダ「CX-8」の3列目シート

ただし、この状態では3列目シートの足元空間を確保できない。そこで2列目シートを前寄りにスライドさせる。2列目シートに座った乗員の足が1列目シートの下側に収まりやすいので、2列目シートの膝先空間は握りコブシ1つ半程度まで詰めることも可能だ。この状態ならば3列目シートの膝先にも同程度の空間が確保される。

それでも3列目シートは、背の高いミニバンほど快適ではない。1、2列目シートに比べると床と座面の間隔が不足して、膝を抱える姿勢になるからだ。SUVの床面構造はミニバンと異なり、3列目シートの下側には燃料タンクがある。そのために、床が持ち上がって着座姿勢も窮屈になる。

もっとも、SUVの3列目シートとしては快適な部類に入る。座面を柔軟に仕上げ、なおかつ底突き感も生じない。背もたれの下側はもう少し硬めでもよいが、乗員の体を柔軟に受け止める。従って、片道1時間未満の距離であれば、大人の多人数乗車も可能だ。

マツダ「CX-8」のラゲッジルーム

マツダ「CX-8」のラゲッジルーム

マツダ「CX-8」のラゲッジルーム。画像は3列目シートを畳んだ状態

マツダ「CX-8」のラゲッジルーム。画像は3列目シートを畳んだ状態

荷室は床が高いが、下側には十分な容量を備えたアンダーボックスが配置されている。3列目シートを前方に倒すと荷室面積が広がり、ワゴンのようなスペースを確保できる。さらに2列目シートも倒すと、車内の中央から後方が広い荷室空間になる。

2、3列目シートを倒した時の荷室を重視するならば、2列目シートはベンチシートを選びたい。セパレートタイプでは中央が抜けたり、コンソールボックスで持ち上がったりするからだ。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:内装は豪華な仕上がりで、SUVとしては3列目シートも快適だ。

マツダ「CX-8」の走行性能(動力性能/走行安定性)

マツダ「CX-8」試乗イメージ。試乗ドライバーはモータージャーナリストの渡辺陽一郎氏

マツダ「CX-8」試乗イメージ。試乗ドライバーはモータージャーナリストの渡辺陽一郎氏

マツダ「CX-8」試乗イメージ。試乗ドライバーはモータージャーナリストの渡辺陽一郎氏

マツダ「CX-8」試乗イメージ。試乗ドライバーはモータージャーナリストの渡辺陽一郎氏

CX-8に搭載されている直列4気筒2.2リッターのクリーンディーゼルターボは、CX-5よりも加速性能がすぐれ、速度を滑らかに高める。2,000〜4,000回転付近は特にスムーズだ。ディーゼルとしては高回転域の吹け上がりも機敏で、シフトアップはDレンジの状態でも4,900回転という高い回転域で行われる。

ノイズや振動も抑えられ、ディーゼルエンジンを意識させない。アクセルペダルを深く踏み込まない限り、4リッタークラスのガソリンエンジンを搭載している感覚で運転できる。

そして、CX-8では走行安定性にも注目したい。CX-5よりも安定していて乗り心地とのバランスもすぐれている。操舵に対する反応は、機敏でも鈍くもなく、SUVとしてバランスがよい。前輪のグリップ性能も十分で、車両の向きが確実に変わる。

マツダ「CX-8」試乗イメージ。試乗ドライバーはモータージャーナリストの渡辺陽一郎氏

マツダ「CX-8」試乗イメージ。試乗ドライバーはモータージャーナリストの渡辺陽一郎氏

また、下り坂のカーブを曲がっている時に、危険回避のためにアクセルペダルを戻した時でも、後輪の接地性が高く保たれて挙動を乱しにくい。全般的に骨太感があり、適度によく曲がって後輪の安定性もすぐれている。

このように上質な運転感覚を得られた理由は、ボディの重いCX-9のプラットフォームをベースに開発されたからだ。ホイールベースが230mm長いことも走行安定性を高めた。

CX-8に比べると、CX-5の2.5リッターガソリンエンジン車は後輪の接地性が物足りない。CX-5のクリーンディーゼルターボ搭載車は、乗り心地に硬さがあってエンジンの回転感覚も少し滑らかさに欠ける。この点を開発者に尋ねると「目下のところCX-5は(CX-8の乗り味に近づけられるように)改善を加えるべく開発中」とのことであった。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:CX-5よりも加速性能にすぐれ、4リッタークラスのガソリンエンジンを搭載している感覚だ。高重心のSUVとしては、高い走行安定性も持ち合わせている。

マツダ「CX-8」の乗り心地

マツダ「CX-8」試乗イメージ。試乗ドライバーはモータージャーナリストの渡辺陽一郎氏

マツダ「CX-8」試乗イメージ。試乗ドライバーはモータージャーナリストの渡辺陽一郎氏

CX-8の乗り心地は、市街地を時速40km以下で走ると少し硬く感じるところもあるが、SUVでは快適な部類に入る。特に高速域では快適で、前後方向の揺れや突き上げ感が抑えられている。長いホイールベース、CX-9用に開発された容量の大きなプラットフォームがすぐれた効果をもたらした。

評価:★★★★★(5点)
コメント:乗り心地はSUVの中でも快適な部類に入り、特に高速域では心地よい。良好なシートの貢献度も大きい。

マツダ「CX-8」の安全&快適装備

マツダ「CX-8」フロントイメージ

マツダ「CX-8」フロントイメージ

売れ筋のXDプロアクティブとXD・パッケージは安全装備が充実している。単眼カメラとミリ波レーダーをセンサーに使い、歩行者と車両を検知して警報を発したり、緊急自動ブレーキを作動させる。ドライバーの死角に入る後方の並走車両を検知して警報する機能もある。

また歩行者と衝突した時に、自動的にボンネットを持ち上げて歩行者を保護するアクティブボンネットを全車に標準装着した。安全装備はかなり充実しているといえるだろう。

評価:★★★★★(5点)
コメント:マツダ最新の安全装備がフルに装着されているので、高い安心感を得られるはずだ。

マツダ「CX-8」の価格の割安感

マツダ「CX-8」リアイメージ

マツダ「CX-8」リアイメージ

CX-8の中心的なグレードは「XDプロアクティブ」で、価格はFFの2WDが353万7,000円、4WDは376万9,200円だ。ハリアーの2リッターターボエンジン搭載車と同程度になる。

CX-5のクリーンディーゼルターボ搭載車に比べると、装備の違いを補正して37万円前後は高い。一般的に3列目シートを単純に加えるだけなら7〜15万円の価格上昇だが、CX-8はCX-9のプラットフォームを使って開発され、全長とホイールベースも伸ばしたから価格の上乗せも大きい。車両重量も200kgほど増した。

従って割高感が生じるが、CX-5がもともと割安な面もある。ハリアーの2リッターターボと同程度の価格だから、納得できる範囲に収まるだろう。

評価:★★★☆☆(3点)
コメント:CX-5に比べると割高だが、上級SUVとして許容範囲には収まる。

マツダ「CX-8」の総合評価

マツダ「CX-8」テールランプイメージ

マツダ「CX-8」テールランプイメージ

CX-8は3列目シートを備えたSUVで、ミニバンのプレマシーやビアンテを廃止するのと同時期に発売された。そのため、マツダとしてはミニバンからの乗り換え需要もねらうが、それにはかなり無理がある。

理由は「価格」だ。前述のミニバンは低価格で、しかも大幅値引きで売っている。プレマシーなどは実質180万円くらいだから、CX-8・XDプロアクティブは約2倍に相当する。しかも、CX-8は価格が高い割に3列目シートが狭いので、実用的なミニバンの代わりにはならない。

この点を踏まえると、CX-8は「豪華で4名乗車が快適なクルマ」を求めるユーザーに適する。後席はLサイズの上級セダンよりも広くて、快適に座れるからだ。

ミニバンのヴェルファイア&アルファードも同様のニーズで購入される場合があるが、乗車人数が4名で荷物を積まなければ、3列目シートの広いシートと大容量の荷室はムダになる。その点、CX-8であれば4名乗車時には同様の居住性が確保され、3列目シートと荷室は少し狭い代わりに、カッコイイSUVの外観と上質な走りが手に入る。このように考えると、CX-8は上質なクルマを求めるユーザーには合理的な選択だ。

このCX-8の象徴が2列目シートのアームレスト付きコンソールボックスだから、XD・Lパッケージに加えて、XDプロアクティブにもオプション設定してほしい。

総合評価:★★★★☆(4点)

マツダ「CX-8」の採点結果

運転のしやすさ(取りまわし性/視界):★★☆☆☆(2点)
内装(質感/スイッチの操作性とメーターの視認性):★★★★☆(4点)
居住性&荷室(前後席の居住性/荷室の使い勝手):★★★★☆(4点)
走行性能(動力性能/走行安定性):★★★★☆(4点)
乗り心地:★★★★★(5点)
安全&快適装備:★★★★★(5点)
価格:★★★☆☆(3点)
総合評価:★★★★☆(4点)

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渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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