“弾丸”試乗レポート

鈴木ケンイチが振り返る、2017年登場の注目車10モデル

すでに残りわずかとなった2017年。数多くの新型モデルが日本国内で発売開始されたが、そんな中から注目すべき10モデルをモータージャーナリスト・鈴木ケンイチ氏がピックアップ。その理由を解説するとともに、2017年を振り返ってみたい。

「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を獲得し、にわかに注目を集めるプレミアムSUV
ボルボ「XC60」 

ライバルを制し、ボルボとしては初、外国車としては2台目の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を獲得した「XC60」。今いちばん注目を集めるクルマのひとつと言っていいだろう

本年度の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の大賞を獲得したのがボルボの「XC60」だ。ボルボとしては初の受賞であり、日本車以外としては2013-2014年度のフォルクスワーゲン「ゴルフ」に続く2台目の偉業となる。

XC60は、新世代のプラットフォームを採用したミッドサイズSUVであり、世界マーケットでのボルボの主力モデルだ。2017年10月16日より日本での発売が開始されたばかりで、まだ注目度は高くなかったが、そんな状況での大賞受賞で、今まさに急激に注目度が高まっている1台と言えるだろう。価格は599万〜884万円。エンジンはすべて2リッターの4気筒だが、ディーゼルターボ、ガソリンターボ、ターボ×スーパーチャージャーのガソリン、ターボ×スーパーチャージャーのガソリンにモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドをラインアップ。すべてが4輪駆動車となる。

その魅力はバランスのよさ。まず、デザインが秀逸だ。ドイツ車ともフランス車とも日本車とも異なる、北欧テイストの内外装デザインは非常に魅力的である。エクステリアもスタイリッシュだが、インテリアは、自然素材を上手に使った温かみとセンスのよさを感じさせる。しかも、フルデジタルメーターや大型タッチスクリーンなど先進性も十分。安全を高める運転支援機能だけでなく、コネクテッド系の機能も最先端を行っている。このように、走りだす前からXC60の魅力は、誰もが感じることができるはずだ。

走りだせば、軽快な身のこなしに頬がゆるむ。とびきりスポーティーな走りとは言わない。あくまでもSUVの範疇に収まるが、その中でも十分以上の運動性能とプレミアムな乗り心地を両立している。魅力的なデザインと走りに、充実の運転支援技術、そしてプレミアム感、SUVとしての実用性が絶妙にバランスしていた。日本カー・オブ・ザ・イヤー獲得もなるほど!の1台であった。

清潔感があり温かみのある北欧デザインのインテリアはボルボの伝統。XC60はさらに、運転支援技術やコネクテッド技術も最先端のものが取り入れられている

個性にさらなる磨きをかけた、スズキを代表するスポーツハッチ
スズキ「スイフト/スイフトスポーツ」

スポーティーなキャラクターで世界のコンパクトカー市場を戦い抜く。そのキャラクターは、全モデルに息づいている

スズキの主力コンパクトハッチバック。日本だけでなく欧州、アジアなど、世界各国でも販売されており、グローバルなスズキの顔的存在だ。最新モデルは2017年1月4日よりスタンダードモデルが発売となり、スポーティー版の「スイフトスポーツ」が9月20日より発売となった。スタンダードの「スイフト」は1.2リッターと1リッター・ターボの2種のエンジンを用意し、価格は134万3520〜184万5720円。1.2リッターにはマイルドハイブリッドと4WDモデルを用意する。スイフトスポーツは140馬力の1.4リッターターボを搭載。価格は183万6000円(6MT)と190万6200円(6AT)となる。

スイフトの特徴はハッキリしている。それは“スポーティーに走る”ということだ。強豪ライバルがひしめく、世界のコンパクトカー市場で戦うには、ハッキリとした個性が必須。そこでスイフトは、“スポーティーな走り”で成功を収めてきた。新世代のスイフトは、大幅な軽量化を実現した新世代プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を採用。軽いボディが生む、軽快な走りがライバルに打ち勝つ最大の魅力となる。また、乗り味にうるさい欧州のユーザーにも納得してもらえるだけの洗練されたハンドリングもスイフトの特徴。それはスイフトスポーツだけでなく、スタンダードのスイフトでも高いレベルにある。走りを志向するユーザーにおすすめしたいモデルだ。

新世代プラットフォーム「HEARTECT」は、圧倒的な軽さが特徴。スイフトのスポーティーな走りを下支えする

新世代プラットフォーム「HEARTECT」は、圧倒的な軽さが特徴。スイフトのスポーティーな走りを下支えする

走りとデザインの質感を向上させ、プレミアムSUVのイメージ確立に成功
マツダ「CX-5」

マツダの快進撃を支えた先代モデルをフルモデルチェンジ。基本的にはキープコンセプトだが、走りやデザインが洗練されている

マツダのミッドサイズSUVであり、世界販売ではマツダの4分の1を占めるほどの人気モデルが「CX-5」だ。第2世代となった新型モデルは、2017年2月2日より発売されている。搭載するエンジンは、最高出力155馬力の2リッターガソリンと190馬力の2.5リッターガソリン、そして175馬力の2.2リッターディーゼル。2リッターガソリンがFFのみで、他がFFと4WD。価格は249万4800〜352万6200円となる。

近年のマツダは、デザインと走りの両面で非常に高い評価を得るようになった。その先駆けとなったのが2012年に登場した初代CX-5だ。マツダの先進技術である「スカイアクティブ・テクノロジー」と「魂動デザイン」を全面的に採用したマツダ新世代商品群の先頭バッターとしてデビュー。人馬一体の痛快な走りと、すぐれた燃費性能、劇的に向上したインテリアの質感などにより、マツダの評判を一気に高めることに成功した。会社の業績も初代CX-5の評価と共に高まるほどであった。

その初代登場から5年となる2017年にデビューした第二世代のCX-5は、基本的に初代のコンセプトを継承。心躍る走りと高品位なデザインに磨きをかけた。思うままの走りは、洗練を重ねることで、やや落ち着きをプラス。インテリアの質感はさらに高まった。これにより新型CX-5はスポーティーなSUVの中でも、プレミアムな印象が強まってきた。日本市場向けではなく、もっと広い世界を目指した器の大きさを感じさせるモデルとなったのだ。

内外の質感が大幅に高められ、このクラスのSUVでもかなりプレミアムな印象が強まっている

内外の質感が大幅に高められ、このクラスのSUVでもかなりプレミアムな印象が強まっている

最上級の走りと内容を備えた「プリウス」
トヨタ「プリウスPHV」

充電さえしておけば、ほとんどEV走行だけで走れる。ハイブリッドとEVの橋渡しをする存在だ

充電さえしておけば、ほとんどEV走行だけで走れる。ハイブリッドとEVの橋渡しをする存在だ

ハイブリッドカーの代名詞的存在である「プリウス」の派生モデルが「プリウスPHV」だ。名称の「PHV」は、「プラグインハイブリッド」を意味しており、2次電池の搭載量を増やし、充電機能が追加されている。搭載の2次電池は8.8kWhのリチウムイオン電池で、満充電状態で最大68.2qのEV走行が可能。満充電までは200V16Aで約2時間20分だ。ハイブリッド状態での燃費も37.2km/lを実現している。価格は326万1600〜422万2800円だが、すべてがFFモデルとなる。

充電しておくことで、エンジンを停止したまま走行するEV走行モードが、飛躍的に拡大したのが「プリウスPHV」の特徴だ。自宅の駐車場に充電設備が必要だが、それさえあればランニングコストは大幅に安くできる。朝までに満充電しておけば、ほとんどEV走行のまま、日常ユースを終えることも可能だ。また、位置づけとしてはプリウスシリーズの最上級モデルとなるため、静粛性が高められており、走り味もより熟成されている。デザインも、素のプリウスが斬新さを強めているのに対して、プリウスPHVはどちらかといえばオーソドックスな仕立てだ。また、大画面ディスプレイなど、装備類の充実度も魅力のひとつ。EV走行の快適さとすぐれた環境性能を両立する次世代へのステップとなるモデルだ。

タブレットのような縦型の大画面ディスプレイを備えるなど、装備も先進的。プリウスの最上位版としての先進性にもすぐれている

新世代プラットフォーム採用で走りをレベルアップ
スバル「XV」

全モデルが「EyeSight」を標準装備することでも注目を集めた。カタマリ感のあるデザインも力強く魅力的だ

全モデルが「EyeSight」を標準装備することでも注目を集めた。カタマリ感のあるデザインも力強く魅力的だ

ハッチバックモデルである「インプレッサ」の派生モデルとして誕生し、すぐれた4WD技術を売りにするスバルの最小SUVが「XV」だ。2017年5月24日より発売になった最新の3代目モデルは、全グレードが4WDのSUVとはいえ、インプレッサの兄弟モデルということで、どちらかといえばオフローダーではなくクロスオーバーの色合いが濃い。エンジンは115馬力の1.6リッターと154馬力の2リッターという2種の水平対向4気筒を用意し、トランスミッションはCVTのリニアトロニック。スバルお得意の運転支援機能である「EyeSight」を全グレードに標準搭載している。ただし、ACC走行中での低速域のステアリングアシストを行う最新機能「ツーリングアシスト」が未搭載というのが残念なところだ。価格は213万8400〜273万2400円。

新型XVには、2016年のインプレッサから採用の始まった「スバル・グローバル・プラットフォーム」が使われている。SUVでの使用を想定した新世代プラットフォームを得たことで、XVの走りはさらにダイレクトで素直なものとなり、着実なステップアップを見せてくれた。しかも、春先に行われた試乗会では季節外れの雪に見舞われ、期せずして新型XVのすぐれたトラクション能力を体験することができた。雪と泥水でグズグズになったダートの坂道を、サマータイヤのままで新型XVはやすやすと上り切ってしまったのだ。パワーや装備面でいえば、2リッターモデルの方が充実しているが、1.6リッター・モデルでも不足感は少ない。逆に、「EyeSight」付きの4WDが200万円そこそこという価格はお買い得感も高いのではないだろうか。

スバル自慢の水平対抗エンジンを搭載。高い悪路走破性も健在だ

スバル自慢の水平対抗エンジンを搭載。高い悪路走破性も健在だ

“セダン復権”の旗印も納得できるフレッシュな走り。トヨタの実力を知らしめたモデル
トヨタ「カムリ」

消費者の好みがミニバンやSUVなどに移行したことで、国内では存在感の薄いセダン。その復権を掲げたのが新しい「カムリ」だ

トヨタのグローバル・ミッドサイズセダン「カムリ」が2017年7月10日より発売された。近年の日本市場においてカムリの存在感は、非常に小さなものになっていたが、グローバル市場では様相がまったく異なっている。アメリカでは15年連続で乗用車販売台数ナンバー1を獲得し、100か国以上で販売される。地域によっては、レクサスを除くトヨタブランドとしてはフラッグシップ扱いになることもあるなど、トヨタを象徴する、高品位で信頼感の高いセダンとして世界中で人気を集めているのだ。

新型モデルでは、従来のすぐれた信頼性や実用度はそのままに、さらに心に訴える「官能」を追求することがコンセプトとなった。新型プリウスや「C-HR」にも使われている新世代アーキテクチャー「TNGA」を採用したことで、走りの質感を高めつつ、シルエットも低く構えたものとなった。パワートレインは2.5リッターのTHSIIハイブリッドで、駆動方式はFF。価格は329万4000〜419万5800円だ。

正直、最近のカムリに対して筆者は、「おじいさんのための地味なセダン」というイメージを抱いていた。しかし、新型カムリは、そんな思い込みを打破するフレッシュなクルマである。まず、伸びやかでエレガントなたたずまいがいい。そして、しなやかでありながらも力強い走りに感服した。ハイブリッドとは思えないダイレクトな加速感と、微小舵にもしっかりと反応するハンドリングにも驚かされた。トヨタの本気の実力を垣間見たような気がする。7月の発売後は、販売ランキングでカムリは常に「クラウン」の上を行っている。モデル末期のクラウンとの比較であるが、ユーザーはカムリの実力を正しく判断しているのだろう。

セダンの退屈なイメージを見事に覆す、フレッシュなクルマに生まれ変わった新型カムリ。トヨタの技術力の底力を感じた1台だった

若々しく痛快な走りで原点に回帰
ホンダ「シビック」

セダン、ハッチバック、タイプRという豊富なバリエーションを引っさげて、国内では7年ぶりに復活した「シビック」

久しく国内販売の途絶えていたホンダ「シビック」が、2017年9月29日より発売開始された。グローバル市場では販売が続いたシビックだが、日本国内では2010年に販売終了しており、7年ぶりの復活となった。
新型シビックは、セダン、ハッチバック、タイプRの3モデルが日本市場に導入された。すべてがFFで、セダンのみが日本国内生産、ハッチバックとタイプRは英国生産となる。ハッチバックとセダンには1.5リッターターボガソリンエンジンを搭載。ハッチバックは182馬力、セダンは最高出力173馬力。ハッチバックはCVTと6MT、セダンはCVTが組み合わさって価格は245万4000〜259万3000円。タイプRは、最高出力320馬力の2リッターターボガソリンエンジンを搭載。価格は416万7000円となる。

久々にハンドルを握ったシビックは速くて若々しく、80〜90年代を思い出させるクルマであった。筆者の印象では、当初シビックは、新参の自動車メーカーであったホンダが繰り出す、斬新でフレッシュなモデルというものだった。ところが、代を重ねるにつれて、だんだんと落ち着いた地味なモデルになった。しかし、新しいシビックからは、かつてのシビックにあった若々しさが感じられた。聞くところによると、国内販売も堅調で、購入者には20〜30代も多いという。

かつてのホンダが持っていた活発で新鮮なイメージが復活した。ユーザーも20〜30代が多く、若返りに成功したようだ

ハイトワゴンの理想を行く新モデルは、2017年でいちばん売れたクルマ!
ホンダ「N-BOX」

新しい「NBOX」は、見た目の印象はほとんど変わっていないが、メカ部分はすべてを新しく作り変えている

新しい「NBOX」は、見た目の印象はほとんど変わっていないが、メカ部分はすべてを新しく作り変えている

2017年で最も売れているクルマが、ホンダの「N-BOX」だ。1月から11月までに20万台以上を売り、今年はプリウスさえ上回っている。そのヒットの理由が、2017年9月1日の新型モデルの発売だ。初代モデルも2011年に登場して以来、軽自動車ランキングで、2013年、2015年、2016年とトップを獲得。2017年は軽自動車のランキングだけでなく、普通車もあわせて最も売れたクルマとなった。新型モデルの価格は138万5640〜208万80円。

新しいN-BOXは、プラットフォームからパワートレインまで、すべてを一新。とはいえい、「マン・マキシマム/メカ・ミニマム=人には最大の空間/メカは最小の空間」という基本理念とスーパーハイトワゴンとしての広い室内空間や使い勝手のよさの追求というコンセプトは、従来モデルそのまま。不思議なものでデザインが新しくなりながらも、旧型とあまり変わらないという印象を与えてくれる。しかし、走ってみれば、その進化は明らか。軽快なダッシュとシャキッとした動き。ハイトワゴンならではの背の高さからくる、ぐらぐらとした走りの不安は、相当に薄められた。すべてを変えながらも、コンセプトはそのままに、そしてよりよい製品を生み出した。それが新型N-BOXであった。

豊富な収納を備える室内は、印象も明るく清潔感がある。人気を集める理由も納得だ

豊富な収納を備える室内は、印象も明るく清潔感がある。人気を集める理由も納得だ

航続距離は初代の2倍となる400kmに。eペダルやプロパイロットなどの新技術も魅力
日産「リーフ」

先進的だったが、アクも強かった先代モデルのデザインから一新して、多くの人が自然にカッコイイと思えるデザインになった

日産は2017年10月2日より、第2世代となる電気自動車の「リーフ」の発売を開始した。アメリカおよびカナダ、欧州は2018年1月よりデリバリーが予定される。2010年に初代モデルがデビューしたリーフは、これまで25万台を超えるセールスを記録した、世界一売れているEV(電気自動車)だ。今年、第二世代となったリーフは、航続距離や走りなどをブラッシュアップ。航続距離は、初代のデビュー時の2倍にあたる400kmにまで達している。また、モーター出力もアップして150馬力/320Nmに。価格は315万360〜399万600円となった。なお、EV購入時には40万円の補助金が利用できる。

新型リーフの走りは、EVらしく静かで力強い。特に新型になって、その静かさと力強さが、ワンランクレベルアップしていた。また、自動ブレーキやレーンキープなどの機能を持った運転支援機能「プロパイロット」や、アクセルのみの操作で加速&減速&停止まで持っていける「eペダル」など、最近の日産が用意する最新機能も数多く採用。プラットフォームは旧型からのキャリーオーバーであるが、その分、熟成が進んでおり、安心して使えるEVとなっている。

航続距離が伸び、実用性が高まった2代目リーフ。運転支援システム「プロパイロット」や「eペダル」の搭載も魅力

多人数乗車であっても走りを求める貴方に
マツダ 「CX-8」

デザインを見る限り、CX-5のストレッチモデルのようだが、実はミニバンにマツダの走りを求めたものと言える

デザインを見る限り、CX-5のストレッチモデルのようだが、実はミニバンにマツダの走りを求めたものと言える

マツダは2017年12月14日より、新型SUVとなる「CX-8」を発売した。CX-8は、国内市場におけるマツダSUVラインアップの最上級モデルであり、特徴は3列シートを備えていることだ。また、CX-8は、4WDだけでなくFFモデルも用意した。つまり、CX-8は、SUVではあるが、オフローダーではなく、どちらかといえばMPV(マルチ・パーパス・ヴィークル=多人数乗車モデル)という性格が強い。実際にマツダはCX-8のことをクロスオーバーと呼んでいる。また、同じ「魂動デザイン」のコンセプトを採用したCX-8は、先行して発売されている第2世代のCX-5と見分けがつきにくいかもしれない。しかし、CX-8は、北米向けモデルである「CX-9」を、よりコンパクトにする方向で開発されたという。

CX-8に搭載されるのは最高出力190馬力/最大トルク450Nmの2.2リッター・ディーゼル・エンジンだ。6人乗りと7人乗りが用意され、価格は319万6800〜419万400円となる。

マツダには、これまで「MPV」や「ビアンテ」といったMPVのミニバンが存在していた。開発陣に聞くと「マツダが目指す走りを実現するには、ミニバンでは難しいので、SUVの3列シートでMVPニーズに応える」という。つまりCX-8は、従来のMPVやビアンテに代わる存在になるというわけだ。そう言われる通りに、走らせたフィーリングはCX-5と遜色ない。ミニバンとは段違いの安定性とコントロール性、快適性がSUVでは実現できるというわけだ。CX-5とCX-8のサイズは、全幅は同じで、全長が355mmだけCX-8が長い。ところが街中を走る分には、そのサイズの違いは、ほとんど意識しなくてすんだ。ミニバンでは考えられないほどの高い運動性能と、日本国内でも使いこなせる取り回しのよさを実現している。多人数乗車モデルにSUVという新提案がマツダのCX-8であったのだ。

マツダとしては久しぶりの3列シートモデル。既存のワンボックスミニバンに飽き足らない人のための品のある車だ

引き続きSUVの力作が目立つが、次世代の芽も育ってきた

近年、SUV・クロスオーバーの人気が世界的に高く、そうしたニーズに合わせた魅力的な車が続々と登場している。2017年もその流れは変わらず、日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得したボルボ「XC60」を筆頭に、マツダ「CX-5」および「CX-8」、スバル「XV」などがそれに当たる。そのいっぽうで、航続距離が伸び実用性も高められた日産「リーフ」、EV駆動領域の増えたトヨタ「プリウスPHV」などの次世代車も、成熟が進んでいる。ユーザーのニーズを満たしつつ、次世代への布石も打たれている、そんな傾向が今回取り上げた10モデルから読み取れるはずだ。

鈴木ケンイチ

鈴木ケンイチ

新車のレビューからEVなどの最先端技術、開発者インタビュー、ユーザー取材まで幅広く行うAJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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