昨今、車中泊できる自動車やキャンピングカーなどが流行っているが、そんな“クルマと旅”をコンセプトにしたイベント「カートラジャパン2018」が2018年9月28〜30日に開催された。初回ではあったが、さまざまな旅のカタチを提案するユニークな車両が集結し、見どころ満載! 車中泊のレビュー記事を掲載中の筆者が心惹かれたモデルやアイテムを紹介しよう。
自動車を使った旅は、自由度が飛躍的に高いのが大きな魅力。宿泊施設に泊まる旅行もいいが、「行きたい!」と思った時に、行きたい場所に時間も場所にもとらわれずに出かけられるのが“車中泊”だ。そんな車中泊で近年人気なのが軽自動車ベースの「軽キャンパー」。軽キャンパーなのにかっこよくて、快適な車中泊もできそうな3車種とカスタムキットをピックアップしてみた。
今回のイベントのコンセプトをもっとも体現しているように感じたのは、NEXTLIFEが出展していた「リトルモンスター」。日産「NV100」をベースに、車内は使い勝手のよい車中泊仕様とされ、外装はオフロードでも走破できそうなカスタムが施されていた。こんな車両でキャンプに出かけ、お気に入りのスポットで泊まれたらと想像するだけでもワクワクする。
外装のカスタマイズは別料金で、224万3640円(税込)と比較的購入しやすい価格設定とされている
オフロードも走れそうな足回りにカスタマイズされているのが、かっこいい!
軽キャンパーはチープな内装に仕上がりがちだが、リトルモンスターはかなりリッチ。寝床もフラットなので、かなり快適に過ごせそうだ
何かを楽しむために自動車で出かけ、目的地近くで泊まるシチュエーションが車中泊では多いが、N’s Limited「フィッシングマスター」は、そのモデル名からもわかるように“釣り”を趣味とする人に向けた仕様となっている。
スズキ「エブリー」をベースとした「フィッシングマスター」。写真はルーフトップテントなどのオプション装着車だが、ベースモデルの価格は133万5000円〜となっている
車体後部を引き出し、室内スペースを拡張するというオプション仕様も提案。軽自動車の限られた車内を拡張する仕掛けとしてはおもしろい発想だ
さらに、スズキ「ジムニー」(旧型モデル)のタイヤをクローラー(キャタピラー)に付け替えたモデルも展示されていた。価格などの詳細は不明だが、遊び心が満載すぎてたまらない!
ルーフトップテントを装着し、泊まれる仕様にカスタマイズされていた。自動車というより、基地のようだ
スズキ「エブリー」をアメ車のスクールバス(GMC製)のようなキュートなルックスに変身させられるのは、BLOWのコンバージョンキット「クールライダー」だ。軽キャンパーは見た目のワクワク感が不足しがちだが、クールライダーを装着すれば、まわりから注目されるのは間違いなし!
イエローのカラーとアメリカンバスのような外観は、とても軽とは思えない目立ち度だ。コンバージョンキットの価格は約55万円(税抜)
※写真はオプション装着車
ショップのようなおしゃれな内装。このベッドキットは約37万円で装着できる
キャンピングカーや車中泊仕様の自動車のベース車として高い人気を誇るのが、トヨタ「ハイエース」。一般的なキャンピングカーの展示会でもハイエースをカスタマイズしたキャンピングカーが多く、見慣れない人には違いがわかりにくいため、ハイエースばかりが並んでいるような印象を受ける。しかし、今回のイベントの出展車両はいずれも超個性的だ。なお、ここで紹介する3モデルは厳密にはキャンピングカーには定義されず(シンクとコンロ、寝床を備えたものがキャンピングカーとして「8ナンバー」登録できる)、車中泊仕様のものとなる。
会場の隅に展示されていたにもかかわらず、多くの人が足を止めていたのが佐田工務店の手がけたハイエース。同社が得意とするエイジング加工を施された外装は、年季の入った自動車のようにサビており、ひときわ異彩を放っていた。内装は木材を使ってリノベーションされており、歴史ある家屋のようなたたずまいに仕上がっている。
古いボロボロの自動車のように見えるが、実は、現行の200系ハイエースがベース
間近で見ても超リアルなエイジング加工。同社はこうした加工を自動車だけでなく、住居などにも施行している
外装に合わせて年季の入った木材でリノベーションされた内装も味がある
没個性になりがちなハイエースをクラシックな雰囲気の丸目ライトとし、フロントマスクやオーバーフェンダー、自転車を積載できるラックを装備してスタイリッシュにカスタマイズ。内装のインテリアにもこだわりが感じられる。
フロントマスクやオーバーフェンダー、ルーフをつや消し塗装で仕上げることによって、商用車っぽくない外観としている
リアにはファットバイクも積める自転車用のラックを装備。しかも、後ろに倒すことでリアハッチと干渉しないユニークな設計となっている
トヨタ車のカスタマイズパーツなどを手がけるモデリスタ仕様のハイエースは、車内に自転車を積み、趣味の道具と一緒に出かけて泊まれる“ハイエースらしい”魅力をアピール。近年、種類が増えてきたルーフテントも装備され、4人乗車・4人就寝(ルーフテント使用時)を可能とした。
ルーフテントはYakima製で同社の取扱品ではないが、装着すると一気にアウトドア感が高まる
車内にはベッドも設置され、自転車も積載可能。ヘルメットが入っているボックスも同社製のものだ
後部が荷台となった「ピックアップトラック」は、むき出しで趣味の道具を積載してあるだけでもかっこいい。日本メーカー製でも国内では販売されていないモデルもあるが、根強いファンがいるため、逆輸入のような形で販売されていたりもする。
ゴツい外観が目を引くトヨタの北米向け車両「タコマ」は現地では非常に人気の高いモデル。カスタムパーツも豊富に揃えられており、出展されていた車両もホイールやバンパーなどがカスタマイズされ、迫力のある仕上がりとなっていた。
横に引き出してタープのように使えるサイドオーニングやラックは、南アフリカのメーカー「FRONT RUNNER」製
荷台のラックにはマウンテンバイクを積載。荷台に放り込むように積み込むこともできるが、長距離移動するならキャリアを用意してしっかりと固定しておくのが望ましい
日産がスペインで生産している「ナバラ」は迫力ある外観ではあるが、どこか都会的なスタイリッシュさも感じる。そんなナバラはトレーラーを牽引するスタイルでの展示とされていた。ひいているのは、モーターロジックカンパニーが販売する「MOTOLA(モトラー)」というトレーラーで、トランスポーターや移動店舗、モバイルオフィスなどに活用できる新基軸アイテムだ。
ヨーロッパ生まれだけあり、ゴツいタイヤを履きながらも都会的な雰囲気をただよわせる「ナバラ」。モーターロジックカンパニーの関連会社であるオートモティブデザインが輸入販売している
トレーラーはさまざまな活用法が考えられるシンプルな構成となっている。写真のモデルは、ウッド調の内装で仕上げられていた
トヨタ「ハイラックス」の荷台に後付けでキャンパー化できるキット「ピックアップキャンパー」も、興味をそそられるアイテムだ。泊まる際にはルーフをポップアップさせてスペースを拡張でき、居住性もなかなかよさそう。この製品をリリースする「山春」は、もともと軽トラックの荷台に設置するキャンパーを手がけており、そのノウハウがハイラックス用にも生かされている。
ハイラックスの荷台に組み込むことで、キャンパー化できるキット。価格は183万3334円〜(税別)オプションは含まない)
室内の仕上げも上々。ポップアップさせたルーフ部分に寝られるほか、ソファもベッドに展開できる
初めてのイベントということもあってか、なかには用途や信頼性に疑問が浮かぶものもあったが、多種多様な提案には今後の可能性の広がりと、車中泊への関心の高さを感じられた。こういった車両はスペックや写真を見ているだけではわからないことも多いので、このようなイベントで居住空間を実際に体験できるのは車中泊を考えている人にはありがたいはずだ。
ジープ「ラングラー」のフロント部に、ハンモックをぶら下げた車両。何度か足を運んだが出展者に会うことができず、販売されているかはわからなかったが、おもしろいアイデアだ
フォルクスワーゲン「タイプ2」(通称:ワーゲンバス)のキャンパー仕様も発見! 見た目もかわいく、子どももよろこびそうだ