いいモノ調査隊
強くて軽いホイールで走りがよくなる!?

じっくり解説「車用“鍛造”アルミホイール」が高性能で高品質なワケ

「ホイール」の重要性って?

2台の愛車は、いずれも高性能・高品質で定評のある「BBSホイール」を装着しているのが自慢の自動車ライター、マリオ高野です。

BBS「RI-A」を装着する筆者の愛車、スバル・インプレッサG4(1.6i/5MT)。高品質ホイールのおかげで最廉価グレードとは思えない雰囲気に

2000年に発売された初代スバル・フォレスターに純正装着されたBBSホイールを装着する、筆者の愛車初代スバル・インプレッサWRX。タイヤ交換をするたびに作業者からホイールの精度の高さを賞賛するコメントが得られます

今回はこの「ホイール」の役割や種類など、基本的な事柄についてお伝えしたく思っています

クルマのおしゃれもまずは足元から始めるのが基本ということで、今も昔も、クルマのカスタマイズパーツで圧倒的に人気が高いタイヤが装着されるホイール。カーマニアでなくとも、愛車のホイールを交換したことがあるという人は多いかと思いますが、我々カーマニアは特に愛車のホイール選びには強くこだわります。なぜなら、ホイールはクルマの見た目の印象を激変させるだけでなく、クルマの走りの良しあしにも大きな影響を及ぼす「性能」を備えているからです。

高性能・高品質なホイールを装着すると、それだけでクルマの操縦性や乗り心地がよくなる効果が得られることから、カーマニア界隈(かいわい)では、ホイールの話題だけでうっかり朝まで語り合ってしまうほどの注目パーツです。

レースの世界でも大変に重要視される

F1レースやWRC(世界ラリー選手権)など、極限的な状況で速さや耐久性を競うモータースポーツのトップカテゴリの世界でもホイール選びは極めて重要なパーツとして認識されており、マシンの大きな武器となることもしばしば。レースでは軽すぎるのは禁止されるなど、ホイール単体の重量制限のルールが設けられることも多いです。

一般ドライバーからレーシングドライバーまで、ホイールは単なるドレスアップパーツではなく、重要なサスペンションパーツの一部として認識すべきモノなのです!

国内レースのトップカテゴリであるスーパーGTに参戦中のSUBARU BRZ GT300。装着されるBBSホイールは専用開発の特殊な仕様

SUBARU BRZ GT300用のタイヤ&ホイール。強くてしなやかなホイールがタイヤの性能を最大限に引き出します

SUBARU BRZ GT300用のタイヤ&ホイール。強くてしなやかなホイールがタイヤの性能を最大限に引き出します

悪路などの過酷な状況にさらされるWRCでも、強靭(きょうじん)なBBSホイールは大きな武器となりました

悪路などの過酷な状況にさらされるWRCでも、強靭(きょうじん)なBBSホイールは大きな武器となりました

ホイールはどこがどう重要なのか?

まずイメージしてほしいのは、運動靴です。靴の本体がホイールで、地面に触れるソール部分がタイヤだとイメージしてください。

軽くて強く、足を動かしやすい靴に履き替えると、それだけで身体能力が高まったかのような感覚になりますよね? いい靴を履くと、普通に歩くことから激しい運動まですべての動きがラクになり、疲れにくくなる効果が得られますが、クルマのホイールもまさにその感覚。運動不足のオジサンからオリンピック選手級まで、靴が人間の身体能力に与える影響の大きさを想像すると、クルマのホイールの重要性が実感できるのではないでしょうか。

クルマのホイールの性能で注目すべきポイントは、「強さ」と「軽さ」。

これも靴を想像するとわかりやすくなりますが、基本的には重いより軽いほうが運動面では有利に働きます。しかし、ただ軽いだけでは物足りません。足の力をしっかり路面に伝えるための強さがなければ運動がしにくくなりますし、怪我を負うリスクも高まります。

ホイールの「軽さ」は、単純に重量でわかります。製品のカタログや販売店のホームページなどで確認できるので比較しやすいです。たとえば、私の愛車インプレッサG4(先代モデル)に装着するBBSのRI-A(16インチ)は1本あたり5.7kgで、同サイズのアルミホイールとしてはかなりの軽量といえます。

交換などの作業時にその軽さが実感できるBBS鍛造ホイール。性能と品質はレースの現場でも磨かれ、市販品にフィードバックされます

製法が“鍛造”であるかどうか

ホイールの「強さ」については数値化されたものはありませんが、最もわかりやすい目安なのが、製法が「鍛造」であるかどうか。

クルマ用のアルミホイールには「鋳造(ちゅうぞう)」と「鍛造」の2つがあり、一般的には「鍛造」のほうが高強度と判断できます。

「鋳造」とは、高熱で溶けたアルミを型に流し込み、冷やして固める製法で、比較的製造が容易で短時間で行えることから大量生産に向きます。価格を抑えやすく、またデザインの自由度が高いのも特徴ですね。人類が太古の昔から行ってきた鉄製品の製法です。

これに対して「鍛造」とは、「鋳造」で出来上がった素材を再び加熱して、高い圧力をかけることで金属組織を圧縮し、金属の密度を高めながら作る製法のことをいいます。

クルマ用のアルミホイールでは数千トンもの高圧をかけ、大きさが元の素材の4分の1ほどに小さくなるほど金属の密度を高めるので、鋳造とは比較にならない高強度が実現します。素材が強ければ、それだけ薄っぺらく作っても高強度が保てるので、同じサイズでも軽くて強いアルミホイールが出来上がるというわけです。とんでもない高圧をかける必要があるなど、大変な手間やコストがかかるため、「鍛造」で作られたアルミホイールは「鋳造」のそれより高額となります。

BBSでは最大9000トンの圧力を3次の工程(場合によってはそれ以上)を経て鍛造ホイールを製造。詳しくは次回の記事にて報告

その一方、「鋳造」の技術も進んでおり、「鋳造」で作られたアルミホイールでも、重要な部分だけは「鍛造」に近い強度が得られるように作られた製品があるなど、「鋳造=弱くてダメ」ということでは決してありません。しかし、クルマ用のアルミホイールとして見ると「鍛造」のほうが、軽くて強いと判断して間違いありません。

クルマが道路を走るとき、路面から大小さまざまな力が伝わります。路面からの力を最初に受け止めるのは路面と接地しているゴム製品のタイヤで、そして次に伝わるのはホイール。金属部品として路面からの入力を最初に受け止めるのはホイールなので、ホイールが受ける路面からの力は、ホイール以外のクルマのパーツが受けるものと比べるとかなり大きなものになります。ゆえに強くなくてはなりません。

路面からの力を最初に受け止めるのはゴム製品のタイヤだが、ホイールにも大きな衝撃や力が伝わる

路面からの力を最初に受け止めるのはゴム製品のタイヤですが、ホイールにも大きな衝撃や力が伝わります

逆に、クルマ側からも前に進む力や止まろうとする力、曲がろうとする力などが路面に伝わります。エンジンのパワーやブレーキの力、曲がろうとする力を接地面であるタイヤに最終的に伝えるのはホイールなので、やはり強さが求められます。

ホイールの強度が弱いと、走る・止まる・曲がるの性能がうまく発揮されません。クルマとタイヤの性能が発揮できるか否かはホイールにかかっているのです

最も過酷な状況にさらされるパーツ

ホイールは、時速100km以上で走る、1トン以上の重量(大型乗用車で2トン以上、軽自動車では最軽量で700kgほど)のクルマと凹凸のある路面との板挟みになるという、クルマのパーツの中でも最も過酷な状況にさらされている部分であるといえます。

また、ホイールの強さは事故の際にもメリットが発揮されます。鍛造のホイールは、事故の際に強烈な衝撃を受けても割れにくいのでタイヤの脱落も起きにくく、衝突事故の直後にもタイヤの機能がかろうじて保たれることが期待できます。衝突事故を起こした瞬間にホイールが割れるとタイヤも瞬時に機能を失いますが、そのリスクが低減される効果が見込めるのです。

鍛造のホイールは耐久性も高いので長く使えるのもメリットでしょう。筆者の愛車初代インプレッサWRXに装着されるBBS鍛造アルミホイールは20年以上使い続けているものですが、おそらく劣化の類は最小限にて、この先もまだ何十年でも使えそうな感覚が得られています。

アルミホイールは、基本的には大きな傷さえつけなければ長く使えますが、鍛造であれば性能や品質がより長期間にわたって持続されることが期待されます

ポルシェ911GT2 RSなど、世界トップクラスの性能を誇るスポーツカーにも標準装着されるBBS鍛造ホイール

ポルシェ911GT2 RSなど、世界トップクラスの性能を誇るスポーツカーにも標準装着されるBBS鍛造ホイール

ホイールは見た目のデザインや大きさだけではなく、「性能」や「品質」にも強くこだわって選ぶべきパーツであるということが少しでも伝わればと思います。

マリオ高野

マリオ高野

1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。2台の愛車はいずれもスバル・インプレッサのMT車。

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