バイクでの転倒した際などに頭部を保護するヘルメットは、バイクに乗るなら欠かせないアイテムです。命を守るものなので、適切なものを選ぶことはとても重要。この特集では、初めてのヘルメット選びに役立つ情報と、注目モデルを紹介します。
ヘルメットには工事用や自転車用などいろいろな種類がありますが、バイクに乗る際には「バイク用」を着用します。ただし、バイク用ヘルメットの中には「装飾用」というものがあり、これをかぶって公道を走ることはできないので注意しましょう。道路交通法で「乗車用」ヘルメットを着用することが義務付けされているからです。しかし、「装飾用」「乗車用」と明記されていることはほとんどありません。そんな時に確認するのが、「SG」マークや「PSC」マークの有無。SGマークは、一般財団法人製品安全協会が定めたSG基準をクリアしていることを示すもので、万一、事故などにあった際に製品の欠陥によってケガをした場合には最高1億円の損害賠償を受けることができます。また、PSCマークは消費生活用製品安全法に基づく検査をパスしていることを示すもの。これらのマークは、乗車用ヘルメットである証となります。
乗車用ヘルメットであるかは、SGマークやPSCマークが付いているかで判断します
SGマークやPSCマークが付いていれば乗車用ヘルメットなので問題なく装着して走行できますが、より安全性を求めるなら、日本工業の規格「JIS規格」や、世界でももっとも厳しい安全テストが行われているという「SNELL規格」をクリアしたヘルメットを選ぶといいでしょう。これらの規格は安全性に関わるテストを何種類も通過していることを示すものなので、安全性の高さは折り紙付き。任意の規格ですが、クリアしていればそれだけ信頼できるということになります。
SNELL規格に対応したヘルメットには、写真のようにSNELLマークがプリントされています
ヘルメットには、キャップのようにかぶるハーフ型や頭部をすっぽりとおおうフルフェイス型など、いろいろなタイプがあります。ヘルメットの着用基準は「乗車用」であれば問題ありませんが、SGやJIS規格ではハーフ型を排気量125cc以下の限定規格としているので注意しましょう。カバーする面積が広いほど、安全性が高くなるのは当然のこと。バイクの排気量や乗車シーンを考慮して選んでください。
もっとも安全性が高いのは、頭部から顔までおおうフルフェイスヘルメット。アゴまでカバーしているので、顔を打ち付けるような転倒をした際のダメージは大きく変わってきます。暑苦しそうに感じますが、最新の上位モデルにはメーカーの最新技術が投入されていることが多く、見た目のわりには通気性も上々。ハイパワーなバイクやスポーツタイプのバイクに乗るなら、フルフェイスタイプを選んだほうがいいでしょう。
アライ「RAPIDE-NEO」
フルフェイス型の中でも安全性の高さに定評があるのがアライ製。本製品はシンプルな形状ながら、ヘルメット内の熱気を排出するベンチレーション機構を搭載しています
ショウエイ「GT-Air」
安全性の高さとアグレッシブなデザインが人気の「GT-Air」は、空気抵抗を低減するエアロ形状となっており、高速ツーリング時の首への負担が少なくて済みます。また、内側に装備された開閉式のサンバイザーで直射日光をガードできるのもポイント
開口部が大きいので視界が広く、「オープン型」と呼ばれることもあるジェット型。口もとが開いているのでヘルメットを脱がなくても飲食でき、開放感もあるため、ツーリングで愛用されることの多いタイプです。顔から落ちるような転倒での安全性はフルフェイス型に一歩譲りますが、それ以外の安全性はそれほど変わりません。なお、シールドが一体となったタイプと取り外せるタイプがあります。
アライ「VZ-Ram」
ジェット型ながら高い安全性を象徴するSNELL規格に対応。内装には厚さを調整できるパッドが装備されているほか、フルフェイスのトップモデルと同じベンチレーション機構を採用しているので通気性にもすぐれ、快適です。シールドの外側に、開閉式のサンバイザーを追加することも可能
ショウエイ「J-Cruise」
シールドの内側に瞬時に開閉できるインナーサンバイザーを装備。レバー操作で簡単に開閉できるので、日差しが強い時やトンネルに入った際に即座に対応できます。ヘルメット内を換気し、暑さを抑えるベンチレーション機構も搭載
シールドを閉じている時はフルフェイス型に見えますが、シールドを開けるとジェット型のように顔の全面が開くのがシステム型。フルフェイス型とジェット型のいいとこ取りをしたような特性で近年人気ですが、構造が複雑なため重量が重めで、価格も高めとなります。また、サーキット走行には使えません。
顔の部分のプロテクターがシールドと一緒に開く構造。メガネの着脱もしやすいです
ショウエイ「NEOTEC U」
システム型の中でも信頼性の高さに定評のある製品です。ヘルメット内に空気を取り入れ通気性を高めるベンチレーション機能や、インナーサンバイザーも装備されており、使い勝手も上々。ツーリング中に仲間と話せるコミュニケーションシステムの取り付け機構を備えるなど、拡張性にもすぐれています
「半キャップ」という呼ばれ方もするように、キャップのようにかぶれる気軽さがメリット。本体重量が軽く、価格も安めなため、スクーターなどの小排気量のバイクに乗っている人が利用することが多いです。ただ、カバーする面積は狭く、安全性もほかのタイプに比べて低いのは確か。この章の冒頭でも記しましたが、ハーフ型ヘルメットで乗車できるバイクは、SGやJISの規格では排気量125cc以下とされています。排気量の大きなバイクで使用するのはやめましょう。
ダムトラックス「バンディット」
ハーフ型の中では深くかぶれるタイプで、オールドバイカーのような雰囲気が魅力的。耳部分のカバーは取り外しできるので、暑い季節でも装着できます。ヴィンテージ感のあるゴーグルやバイザーも付属し、お得感も高め
形状は顔全体をおおうフルフェイス型ですが、オフロード走行のために作られたタイプ。大型のバイザーが装備されていることと、通気性がすぐれていることが特徴で、別売のゴーグルを装着することが前提の構造になっています。これは、オンロード走行に比べて運動量が多いオフロードの走行でもシールドがくもらないための配慮ですが、なかにはシールドを取り付けられるものも。デザイン的には、オフロードバイク以外には似合いにくいでしょう。
アライ「V-Cross 4」
なめらかな曲面形状とすることで安全性を高めながら、オフロードらしいアグレッシブなデザインとしたモデル。内装は取り外しが可能なので、汗をかいたら洗浄できます。ヘルメット内の熱気を効果的に排出するベンチレーション機構も搭載
ショウエイ「HORNET ADV」
オフロード型ながら、一体式のシールドを装備。ゴーグルを取り外す手間がないので、ツーリングなどの休憩時に快適度がアップします。メガネとの併用もしやすく、街乗りなどでも愛用するユーザーもいるほど。バイザーは取り外しも可能です