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これまで新型車が少なかった日産が、いよいよ攻勢に

新型SUV「キックス」も!?2020年に日産が発売する新型車たち

最近の日産は、日本国内で発売する新型車が大幅に減っている。マイナーチェンジやグレード追加、細かな改良などを除けば、2019年に発売された新型車は「デイズ」1車種のみだ。さらに、2018年は1車種も登場していない。2017年も「リーフ」だけなので、新型車の発売は1〜2年に1車種程度にとどまっている。

2019年に発売された日産の新型車は「デイズ」のみだ

2019年に発売された日産の新型車は「デイズ」のみだ

日産のこの状態は、2011年以降長期にわたって続いている。きっかけは、2008年のリーマンショックだ。世界的な経済不況に陥り、新型車の商品開発が見直されたことだった。

いっぽうで、車種の廃止も相次いでいる。2019年には「キューブ」と「ティアナ」がなくなり、それ以前には「ティーダ」「ラフェスタハイウェイスター」「デュアリス」「スカイラインクーペ」「スカイラインクロスオーバー」「ラティオ」などが消滅した。新型車が登場しないのに車種の廃止は行われているから、販売できる日産車が減ってしまう。

日産「キューブ」

日産「キューブ」

日産「ティーダ」

日産「ティーダ」

特に、コンパクトカーのキューブとティーダは、かつて人気が高く日産の国内販売を支える基幹車種であった。したがって、廃止による販売減少の影響は大きい。販売店からは、「とにかく、新型車を投入して欲しい。そうしないと、お客様がほかのメーカーのクルマに乗り替えてしまう。海外向けに開発された3ナンバー車でも歓迎する。たとえば、スカイラインクーペやムラーノのお客様には『新型が発売されたら、必ず買う』という方がおられる。販売会社はクルマを売るのが仕事だから、国内向けだろうが海外向けだろうが、新型車が登場すれば必ず売る。それなのに、新型車が滞ってしまっては何もできない」といった嘆きの声が聞かれる。

しかし、2020年の日産は明るい兆しが見られそうだ。日産の社内からは「この数年間の日産は、国内市場に対して冷淡過ぎた。社内からは不満の声も聞かれた。最近は、カルロス・ゴーン元社長の退任などによって流れが変わり、今後は以前に比べると国内にも力を入れるだろう。2020年以降は、新型車も活発に投入する」というコメントが聞かれた。

ここからは筆者が入手した、2020年発売が予定されている日産の新型車をご紹介したい。

新型「デイズルークス」(発売時期:2020年2〜3月)

2020年に発売される日産車の第1弾は、新型「デイズルークス」だ。発売は、2020年2〜3月になる。

東京モーターショー2019で発表された、三菱「スーパーハイトKワゴンコンセプト」

東京モーターショー2019で発表された、三菱「スーパーハイトKワゴンコンセプト」

車両の概要は、「東京モーターショー2019」で三菱が出展していた「スーパーハイトKワゴンコンセプト(次期『eKスペースクロス』)」の日産バージョンと考えればいい。新型デイズルークスは、現行デイズのエンジンとプラットフォームを使ったスーパーハイトワゴンで、全高は1,750〜1,790mmに達する。後席ドアはスライド式で乗降性にすぐれ、後席をたたむと広い荷室になって大きな荷物が積みやすい。

現行デイズと同様に、「衝突被害軽減ブレーキ」や運転支援機能の「プロパイロット」が採用され、先進的な軽ハイトワゴンに仕上げられる。ライバル車のホンダ「N-BOX」やダイハツ「タント」と激しい販売合戦が展開されるのは間違いない。

新型「キックス」(発売時期:2020年6月頃)

日産「キックス」(画像は北米仕様)

日産「キックス」(画像は北米仕様)

2020年6月頃には、コンパクトSUVの「キックス」が発売される。キックスは、「ジューク」の後継となるコンパクトSUVだ。新型ジュークは、実はすでに欧州ではデビューしているのだが、日本では販売されない。搭載エンジンが直列3気筒1Lターボであることなど、日本国内市場には合わない面があるからだ。

その点、キックスの北米仕様は1.6Lノーマルエンジンを搭載しており、日本仕様は1.5Lエンジンを採用すれば販売しやすいだろう。新型キックスでは、1.2Lのe-POWERモデルも用意される。ボディサイズは、全長が4,295mm、全幅は1,760mm、全高は1,590mmで、ホイールベースは2,610mmだ。全幅は現行ジュークと同等で、全長は少し長いものの、ヴェゼルやC-HRに比べると短い。運転のしやすいSUVとして、先ごろ発売されたダイハツ「ロッキー」、トヨタ「ライズ」と同じく大いに注目を集めることだろう。

「アリア」(発売時期:2020年後半)

東京モーターショー2019に出展された、日産「アリアコンセプト」

東京モーターショー2019に出展された、日産「アリアコンセプト」

東京モーターショー2019に出展されていた「アリアコンセプト」は、市販を前提としたSUVスタイルのEVだ。高出力モーターが前後に配置されており、4WDの電気自動車となっている。

アリアコンセプトに採用されているモーターを使った4輪制御技術を先日、日産のテストコースで試すことができた。リーフをベースにしたテストカーは、前後にモーターを搭載して、システム最高出力は227kW(309馬力)、最大トルクは680Nm(69kg-m)に達する。アクセルペダルを深く踏み込むと、モーターがエンジンに比べて機敏に反応することもあり、ボディの前側が持ち上がるような感覚の強力な加速を味わえた。

そこからカーブに入ると、従来と同じ制御では旋回軌跡を拡大させるが、新しい制御を作動させると安定を保つ。前後のモーターと4輪のブレーキをバランスよく協調させ、車両を操舵角に応じて内側へ向けることが可能になった。これなら、ワインディングなども走りやすい。

この良く曲がる制御を作動させながら、カーブの途中でアクセルペダルを戻すような操作をしても、後輪がしっかりと接地して不安定な状態になりにくい。前述のように、エンジンに比べてモーターは瞬時に駆動力を増減させることができるから、4輪制御技術を発揮させやすい面もある。

「リーフe+」も動力性能が高められており、スポーティーな走りを楽しめるが、アリアは格段にパワフルで、モーターを使った先進4輪制御技術も確立させる。三菱「アウトランダーPHEV」も前後輪にモーターが搭載されていて、すぐれた走行安定性を得ているが、アリアはさらに進化する。

「Imk」(発売時期:2020年後半以降)

東京モーターショー2019に出展された、日産「Imkコンセプト」

東京モーターショー2019に出展された、日産「Imkコンセプト」

「Imk」は軽自動車サイズの電気自動車だ。現行の三菱「i-Miev」は小型車になったが、かつては軽自動車サイズの電気自動車だった。Imkもi-Mievと同じカテゴリーに属する。
ただし、Imkはデイズのプラットフォームを使って電気自動車に変更したクルマではない。コンパクトな電気自動車専用のプラットフォームを開発する。したがって、将来的には同じプラットフォームを使って、軽自動車や小型車の電気自動車を増やしていく。
ちなみに、日本では総世帯数の約40%が集合住宅に住むから、自宅には充電設備を設置しにくく、電気自動車も所有しにくい。そこで日産は、可能な限り販売店に急速充電設備を設置している。
特に、Imkのような軽自動車サイズの電気自動車は、都市内の移動手段に最適だから、カーシェアリングとも相性がいい。今後のクルマの技術トレンドは、CASE(通信機能・自動運転・シェアリング・電動車の略)といわれ、Imkはこの流れにも沿っており、将来有望なクルマとされる。

日産の今後の課題

今後の日産の課題として、電気自動車以外の日産車も挙げられる。環境問題や将来の燃費規制を考えると、電気自動車やハイブリッドは不可欠だが、価格の求めやすい車種は依然としてノーマルエンジン車と簡易型マイルドハイブリッド車になるからだ。
特に日本では、生産を終えたキューブやティーダのように、内外装を上質に仕上げた低燃費で価格の適度なコンパクトカーが必要だ。品ぞろえのバランスを整えないと、これまでの日産車ユーザーを本当に満足させることはできないだろう。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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