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実はいろいろ複雑なヤリスの買い方をお伝えします

新型「ヤリス」買うならこれ!試乗でわかったベストグレードや必須装備を徹底解説

2020年2月10日の発売から1か月で、月販目標の7,800台に対して約37,000台と、およそ5倍もの受注を獲得したトヨタの新型コンパクトカー「ヤリス」。

トヨタの新型コンパクトカー「ヤリス」が、2020年2月10日に発売された。画像は、左がヤリスのハイブリッド車で、右がガソリン車

しかし、実はこのヤリス、工場のラインで装着されるメーカーオプション(以下、MOP)を含めて、グレード選びが複雑であることはあまり知られていない。燃費や走りも重要だが、実際の購入時には「後付けできない」MOPを含めた「乗り出し価格」も重要なファクターだろう。

そこで今回、ヤリスのハイブリッド車とガソリン車を試乗する機会に恵まれたので、試乗から見えてきたベストグレードやオプション品などについて解説したい。

日本の道路事情にマッチするボディサイズ

世界中で販売されているクルマのボディサイズ、特に全幅の寸法は1,700mmを超えるものが多い。日本においても、多くのクルマが全幅1,700mmを超える3ナンバー車だが、駐車場のサイズ制限などもあって、5ナンバー車を求める顧客層はまだまだ多い。

トヨタ「ヤリス」ハイブリッド車のフロントエクステリアとリアエクステリア

トヨタ「ヤリス」ハイブリッド車のフロントエクステリアとリアエクステリア

その点、ヤリスの日本仕様は5ナンバーサイズを堅守している。全長3,940×全幅1,695×全高1,500mm(AWD車は1,515mm)なので、立体駐車場への入庫も問題ない。ちなみに、欧州仕様の全幅は1,745mmなので、ヤリスの日本仕様はまさに日本の道路事情のために設計されていると考えていいだろう。

ヤリスのデザインは躍動感があって、今にも走り出しそうなフォルムであり、実車を目の前にすると四輪が踏ん張っている感じがよく出ているように思える。かつて、大ヒットした初代「ヴィッツ」とは異なる次元ながら、塊感や凝縮感と言った点ではどこか繋がっている感じを受けた。

見た目ほど狭くはない

ヤリスとほぼ同時期に発売されたホンダ「フィット」が心地よさを前面に押し出しているのに対し、ヤリスはスポーティーな印象を受ける。実際に乗り込んでみると、車内空間はそれほど狭く感じない。

トヨタ「ヤリス」ハイブリッド車のインパネ

トヨタ「ヤリス」ハイブリッド車のインパネ

もちろん、ルーフを含めた圧迫感などが少ないと言えばウソになるが、そもそも全高を下げても着座位置自体を下げることで室内高などは十分に確保されているし、ステアリングの調整機構やシート自体の出来もいいので、自然な着座感覚が得られる。

トヨタ「ヤリス」ハイブリッド車のラゲッジルーム

トヨタ「ヤリス」ハイブリッド車のラゲッジルーム

しいて言うならば、ラゲッジの奥行きが筆者の実測で610mm前後と容量が少し不足気味だ。タイヤハウスの張り出しは少ないし、深さもあるので実用上は困らないのだが、フィットと比べてしまうとこの部分だけは数値的にもやや劣る点と言えるだろう。

まるでスポーツシューズを履いているような気持ちのいい走り

ヤリスに搭載されるエンジンは、新開発の1.5Lガソリンと1.5Lハイブリッド、そして従来からある1Lガソリン(ダイハツ製)の3種類だ。組み合わされるトランスミッションは、ハイブリッドが電気式無段変速、その他はCVTで、1.5Lガソリンには6MTも設定されている。

トヨタ「ヤリス」ハイブリッド車の走行イメージ

トヨタ「ヤリス」ハイブリッド車の走行イメージ

試乗したのは1.5Lガソリンと1.5Lハイブリッドの2車種で、一般道から高速道路まで1名乗車で行った。これはヤリス全般に言えることなのだが、走り始めから非常に「気持ちのいい」感覚が得られる。出だしから感じる固体としての「軽さ」、最初のコーナーを曲がった際のステアリングに対してのクルマの正確な動きなど、自分の意志に対して忠実に動き、それでいてスポーティーだ。地面とのコンタクト性が高い、スポーツシューズを履いているような感覚と言っていい。

この利点は、これまで欧州Bセグメントや、ずっとヴィッツなどのコンパクトカーに乗っていた人にも受け容れられるだろう。いや「何か気持ちいいかも」って思えるはずだ。

3気筒エンジンのネガは正直……ある

トヨタ「ヤリス」に搭載されている3気筒エンジン。一般的に3気筒エンジンは振動などがネックになるのだが、ヤリスにもそのあたりのネガな部分が感じられた

新開発の3気筒エンジンは、市街地などストップ&ゴーの多い場所や低速域において、ブルブルといった振動がどうしても気になってしまう。ハイブリッド車はモーターで走れる領域があるのでそこまでではないが、ガソリン車は振動を軽減するバランサーシャフトが組み込まれていても気になるものは気になる、というのが正直なところだ。

いっぽう、高速域での走行やエンジン回転数が高くなれば振動はかなり解消される。特に高回転型のエンジンではないのだが、以前ヤリスのプロトタイプをショートサーキットで試乗した際に非常にフィーリングがよかったのは、このあたりのことも起因していたのかもしれない。

燃費は、意外にもガソリン車がいい!

ヤリスで注目したい特徴のひとつが、燃費だ。カタログスペック(WLTCモード燃費)は、ハイブリッド車が32.6km/L。もともと、試乗車のHYBRID Zのカタログ燃費は35.4km/Lなのだが、MOPの16インチアルミホイールを装着すると燃費値が落ちてしまうのだ。いっぽう、1.5Lガソリン車のGは21.4km/Lだ。

トヨタ「ヤリス」ガソリン車の実燃費が、カタログ値に近い燃費となったことに驚きを隠せない

トヨタ「ヤリス」ガソリン車の実燃費が、カタログ値に近い燃費となったことに驚きを隠せない

最近、「ハイブリッドは40km/L超え!」といったヤリスの燃費に関する記事をよく見かけるのだが、両車ともほぼ同じ行程を走行して実燃費を計ったところ、ハイブリッドが26.8km/L、ガソリン車が22.5km/Lという結果となった。ちなみに、ヤリスに搭載されている燃料計は若干燃費値が高く表示される傾向があったが、誤差の範囲と考えていいだろう。筆者の運転の仕方がイマイチなのかもしれないが、たとえ渋滞が少ない中でも「40km/L超えなんて、無理だ!」。そして、逆にガソリン車がカタログ値以上の結果となったことに驚いた。それでも、ハイブリッド車はモーターで走れる領域は確実に広くなっているし、前述したように振動面でもガソリン車より有利なので魅力的ではある。

全部付けたら300万円オーバー!

今回の試乗車の価格(税込)は、ハイブリッド車で最上位グレードの「HYBRID Z(FF)」が2,295,000円、1.5Lガソリン車で中間グレードの「G(FF)」が1,756,000円である。

冒頭で述べたように、ヤリスには魅力的なMOPが用意されている。最初から標準装備であることが望ましいものもあるが、ポジティブに考えれば「選択の自由」があるのもありがたい。

しかし、今回の試乗車に装着されているオプションを含めた金額を見て、正直ぶっ飛んだ。HYBRID Zは2,960,500円、1.5Gは2,450,100円、つまりそれぞれMOPで60万円以上が装着されていることになる。

トヨタをかばうわけではないが、試乗車には取材のために体験できる新機能などが極力多く装着されている。それ自体はありがたいわけだが、もしこれを全部セレクトしたフル装備状態であれば、HYBRID Zの乗り出し価格は当然300万円オーバーとなってしまう。しかし、コンパクトカーに300万円以上の金額を支払うのは現実的ではない。そこで、以下におすすめのグレードとオプションを記したい。

ハイブリッド車、ガソリン車ともに「G」グレードを基準に考えるべし!

今回、試乗したトヨタ「ヤリス」のガソリン車は「G」グレード。ヤリスを選ぶ際には、中間グレードであるGを基準に検討するといいだろう

まずグレード選びだが、中間グレードの「G」を基準に考えたい。最上位の「Z」との価格差は、ハイブリッド車で139,700円、ガソリン車で170,000円になる。もちろん、その価格差の中には「フルLEDヘッドライト」やシート表皮が上質なものになるなど“お値段以上”の中身となってはいるが、この価格差分はほかの必須オプションに充当したいところだ。

ちなみに、Gよりひとつ下の「X」でも基本装備は十分と言えるが、これはオススメしない。理由としては、エアコンがマニュアルになることや、現在トヨタが積極的に展開している「ディスプレイオーディオ」の画面サイズが7インチになるなどのデメリットがあるからだ(ZとGは8インチ)。Xでも、11,000円を払えば8インチ化にできるのだが、オートエアコンや新意匠のデジタルメーターには変更できない。また、オーディオもG以上は6スピーカーなのに対して、Xは2スピーカーしか装着されない。

また、ヤリスのウリのひとつである、好みのドライビングポジションを記憶してくれる「運転席イージーリターン」機構は、Zに標準装備されていて、Gにはオプション設定されているが、Xには設定そのものがないこともあげられる。

ヤリスに搭載されている「ターン&チルトシート」。トヨタ初の装備で、シートが回転しながら傾いてくれるので乗り降りがラクになり、足腰の負担が軽減される

ヤリスの新しい試みとして、乗降をサポートしてくれる「ターン&チルトシート」を使ってみたのだが、本当にラクで特に足腰に不安のある方などには(実は筆者も腰痛持ちなので、その効果を体感)ぜひ装着してほしい装備のひとつだ。

だが、「ターン&チルトシート」は「運転席イージーリターン」との同時装着は不可である。つまり、「ターン&チルトシート」が欲しい場合には、GかXを選ぶことになる。価格は、運転席が88,000円、助手席が90,200円とやや高い。それでも、運転席と助手席で別々に装着できるので、家族構成や利用用途によって選べることができるのはうれしい。

また、便利な機能はほしいけれど、グレードやオプションなどを考えるのが「面倒くさい!」という方には、GにMOP設定されている「コンフォートシートセット」を選ぶといいだろう。

このコンフォートシートセットには、

運転席イージーリターン
運転席・助手席シートヒーター
セパレート式ヘッドレスト
マルチカラーファブリックシート表皮
買い物アシストシート(助手席に荷物を置いた際、前に落ちるのを防止)
LEDアンビエント照明
助手席シートアンダートレー
ローズメタリック加飾(フロントコンソールほか)
ピアノブラック塗装メーターリング
助手席シートバックポケット

上記のさまざまな機能が付いて、価格は51,700円と超お買い得なのである。前述したターンシートは選べなくなるものの、出費を抑えながら限りなく上位グレードのZに装備を近づけられるので、Gを買う際には迷わず選びたいMOPである。

アルミホイールの選択はよく考えたい

FF車の場合、最上位の「Z」は16インチ、「G」には15インチのアルミホイールとタイヤがMOP設定されている。特に、Zの16インチホイールは見た目もスタイリッシュだし、高速走行時の直進安定性にも寄与していると感じる。Zは82,500円高、Gは59,400円高となるが、取り回し性能を測る基準のひとつである最小回転半径がGは4.8mから5.1mに拡大してしまう。かといって、Gの14インチ仕様では高速走行時などがやや心許ない。つまり、取り回しか安定性かのトレードオフを事前に考えておく必要がある。

ヤリスの「G」グレードでは、スタイリッシュなだけでなく乗り心地や走行安定性といった面からも、15インチアルミホイール&タイヤを装着したい

筆者の結論としては、ヤリスは15インチを選んだほうがハンドリングや乗り心地のバランスを考えてもベストと感じた。なお、欧州車の一部ではホイールサイズがアップしても最小回転半径が変わらないクルマもある。本来ならその辺を考慮してほしかったのだが、こればかりは今後に期待したいところだ。

ナビ周りは「ディスプレイオーディオ」に追加でオプション購入がコスパ高し!

ヤリスには、「ディスプレイオーディオ」が標準装備されている。ディスプレイオーディオについては、従来のカーナビのほうが使い勝手がいいと感じておられる方も多いことだろう。

ヤリスに標準装備されている「ディスプレイオーディオ」。試乗車には、ハイブリッドナビなどT-Connectサービスに対応する「T-Connectナビキット」が搭載されていたが、価格が少し高いのがネックだ

また、ヤリスはディーラーオプションで「T-Connectナビキット」や「エントリーナビ」も用意されている。このあたりのアフターフォローの上手さはさすがトヨタだが、試乗車にも装着されていたT-Connectナビキットの価格は11万円もする。内容を考えれば、コスパは高いのだが、T-Connectナビキットが今回の試乗車の価格をつり上げた理由のひとつでもある点は否めない。

なるべくコストを抑えたいのであれば、標準仕様にスマホを接続すればいいのだが、実はこれを実現する新規格の「SDL(スマートデバイスリンク)」に対応するナビアプリは、まだ少ないのが現状だ。

そこでオススメなのが、Appleの「CarPlay」とGoogleの「Android Auto」、さらにTVの視聴も可能になる「スマホ連携・オプションサービス」(33,000円・税込)の購入である。所有するスマホと連携できるようになるのは、ユーザーメリットが高い。

さらに、このオプションサービスはMOPではなく、実はディーラーオプションとなっている。ゆえに、最初にSDLだけで「LINEカーナビ」などを使ってみて、もう少し機能も含めてアップデートしたいなと感じたら、後から購入できるというメリットもある。

今回、試乗車でSDL、CarPlay、Android Autoとすべてを使ってみたのだが、音楽再生なども含めて連携するナビアプリの多さから個人的にはCarPlayをすすめたい。

有償のナビアプリとして高い評価を受けているナビタイムジャパンの「カーナビタイム」も、CarPlay(上)とSDL(下)では表示画面が異なる

「T-Connectナビキット」にも「CarPlay」や「Android Auto」を有料で組み込むことが可能となっている

「T-Connectナビキット」にも「CarPlay」や「Android Auto」を有料で組み込むことが可能となっている

先進安全装備に追加したいMOP「ブラインドスポットモニター」

ADAS(先進運転支援システム)である「トヨタ・セーフティ・センス」は、1Lガソリンエンジン車の「Bパッケージ」をのぞいて標準装備されるが(1LのGとXも微妙に仕様が異なる)、これにMOPの「ブラインドスポットモニター(100,100円)」も装着すべきMOPだ。

これには、「リアクロストラフィックオートブレーキ」「インテリジェントクリアランスソナー」が含まれており、昨今のペダルの踏み間違えによる事故を軽減する機能などが搭載されている。本来であれば標準装備化が望ましいが、オプションとしてぜひ装着をおすすめする。

ヤリスは、1.5Lの「G」グレードがおすすめ!

ヤリスでおすすめのグレードは、1.5Lガソリン車の「G」だ。

(1)車両本体価格:1,756,000円(FF:CVT)
(2)185/60R15タイヤ&アルミホイール:59,400円
(3)コンフォートシートセット:51,700円
(4)ブラインドスポットモニター:100,100円

これに、ディーラーオプションとして

(5)TV+Apple CarPlay+Android Auto:33,000円

を選ぶ。そのほか、

(6)MOPのボディカラーを選ぶと33,000円〜77,000円の間
(7)ETC2.0
(8)ドライブレコーダー
(9)フロアマットやトノカバーなどの室内用品があるが、これは好みと予算で

特に、(7)と(8)はタイプも多く、価格レンジも広いので場合によっては市販品という選択もあるだろう(両方で10万円あればお釣りがくる)。

これによって見積もりを計算してみると、総支払額は230万円強となった。少々高くも感じるかもしれないが、安全装備も装着したうえでヤリスのよさを体感できる仕様と言える。ヤリスの購入を検討されている方は、上記をぜひ参考としていただければと思う。

高山正寛

高山正寛

ITS Evangelist(カーナビ伝道師)/カーコメンテーター/AJAJ会員/20-21日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。1959年生まれ。リクルートで中古車情報誌「カーセンサー」の新車&カーAV記事を担当しフリーランスへ。ITSや先進技術、そしてカーナビ伝道師として純正/市販/スマホアプリなどを日々テストし布教(普及)活動を続ける。

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