パイオニアは、カロッツェリアブランドからタブレットAVシステム「SDA-700TAB」とメインユニットの「FH-7600SC」を、2020年6月から発売開始しました。
パイオニアが発売したタブレットAVシステム「SDA-700TAB」「FH-7600SC」は、車載AVシステムとして使えるほか、本体を取り外してタブレットPCとしても使用することができます
一般的なカーナビやディスプレイオーディオなどは、車内に固定して利用するものがほとんどですが、SDA-700TABはディスプレイ本体を車載ユニットから簡単に取り外すことができ、車外に持ち出してタブレットPCとして使えるようになっているのが最大の特徴になります。脱着して使うことのできる、タブレットを利用した車載AVシステムは業界でもめずらしいので、興味を持った筆者はさっそくテストのために使ってみました。
SDA-700TABにはAndroid OSが組み込まれていますので、一般的なタブレットと同様に、Webサイトを見たり動画を楽しんだりすることができます
Google Playストアで、アプリをダウンロードすることもできます
まず、8インチタブレットのSDA-700TABにはOSにAndroidが組み込まれていて、一般的なタブレットPCと同じように使うことができます。ブラウザーでWebサイトや動画を見たり、電子書籍を読んだり、Google Playストアからアプリをダウンロードして使うことも可能です。
右が車両に組み込まれたメインユニットの「FH-7600SC」で、左手に持っているのが「SDA-700TAB」の背面
また、SDA-700TABとメインユニットのFH-7600SCを組み合わせることで、カーナビや車載オーディオ、バックモニターなど、クルマで便利な機能を利用することができます。FH-7600SCは、オーディオやカーナビ(インダッシュタイプ)を取り付けるのと同様に、クルマの2DINに設置します。なお、FH-7600SCは本体裏側から電源やアース、バックモニターの映像出力端子などさまざまなケーブルを接続しなくてはいけないので、車内の配線作業に慣れていない方はプロに設置を任せたほうがいいでしょう。
画像のように、メインユニットの「FH-7600SC」の上部にあるツメをタブレットの「SDA-700TAB」に引っかけて、あとはタブレットの下側をメインユニットに押し込むだけで接続完了です
FH-7600SCにSDA-700TABを取り付けるには、まずFH-7600SCの上部にある2つのツメを、SDA-700TABに引っかけます。そして、SDA-700TAB本体の下の部分を少し押し込めば、パチンという音とともに接続することができます。
接続後、ためしにSDA-700TABを動かそうと揺らしてみたのですが、ぐらつくようなことはまったくなく、がっちりとFH-7600SCに固定されていました。これなら、クルマを走行中に、万が一にも外れるようなことはなさそうなので安心です。
画像の赤丸の部分を上に押せば、SDA-700TABを簡単に取り外すことができます
SDA-700TABを取り外すには、FH-7600SCの下部にあるボタンを上に押すだけで、カンタンに取り外すことができます。取り付けや取り外しは、容易かつしっかりと考えて作られているという印象です。
フローティングのように浮き上がるSDA-700TABは、インパネにもマッチしているほか、画面が目に近づくので見やすく、操作しやすいメリットがあります
FH-7600SCに取り付けたSDA-700TABは、最近流行りのフローティングタイプのカーナビのように少し浮き上がる形になりますので、インダッシュのはめ込みタイプに比べて画面が近くて見やすく、操作しやすいのが便利です。
SDA-700TABの8インチというディスプレイサイズは、タブレットとしてはコンパクトですが、7インチサイズが多いカーナビとしてはやや大きめで、浮かせることで実際に感じられる画面サイズはさらにアップしているでしょうから、かなり使いやすく感じました。ちなみに、SDA-700TABはFH-7600SCに接続されている状態では常に充電されています。そのため、インパネ周りが充電ケーブルなどでごちゃごちゃせず、すっきりとしているのもいいところです。
画像は「Yahoo!カーナビ」のナビ案内画面。プリインストールはされていませんが、アプリをダウンロードすることで使うことができます
気になるカーナビ機能についてですが、本機に「Googleマップ」がプリインストールされており、おなじみの「Yahoo!カーナビ」など、アプリをダウンロードして使う方式です。このあたりは、使用できるアプリが限定されてしまうディスプレイオーディオ用OS「Android Auto」などよりも使いやすく、純正Androidタブレットならではの魅力のひとつと言えそうです。
ためしに、SDA-700TABと筆者のiPhone6sを、Googleマップのナビ機能を表示させてディスプレイの大きさを比べてみました。スマホナビでは、この小さな画面がダッシュボード上の遠い位置に置かれるのですから、見やすさの違いは一目瞭然です
Googleマップのナビ機能利用時に、他のアプリを起動させると画面上にウィジェット方式で小さなルート案内が表示されます。細かなことですが、これがなかなか便利です
筆者は、ふだんからiPhone6sでGoogleマップによるナビ機能を利用していますが、スマホで見るのと8インチの画面で見るのとでは、同じGoogleマップでも見やすさは段違いです。
SDA-700TABとFH-7600SCのどちらにも、モバイル通信機能は搭載されていません。利用するには、別途モバイルWi-Fiルーターか、テザリングできるスマホなどが必要になります
ですが、ここでひとつ注意したいのが、SDA-700TABやFH-7600SCはモバイル通信機能を持っていないということです。モバイルWi-Fiルーターをいつも持ち歩いている方や、スマホのテザリング機能を利用している方ならいいのですが、そうでなければ別途モバイルWi-Fiルーターなどを用意しないと、オンラインでGoogleマップを使ったり、アプリをダウンロードしたり、Webサイトや動画の閲覧などができませんのでご注意ください。
1つひとつのスピーカーの出力調整が可能など、オーディオのチューニング機能はかなり充実しています
オーディオ関連は、車載スピーカーで音楽を聴くことができるほか、チューニング機能がかなり充実しています。各スピーカーの音が同時に聴こえるように調整できる「タイムアライメント」機能や、各スピーカーの出力レベルの調整、周波数を細かく調整できる「13バンドグラフィックイコライザー」、クルマのタイプを「コンパクト」「スタンダード」「ミッドサイズ」「プレミアムSUV」から選ぶだけで音の調整が可能な「イージーサウンドフィット」など、カンタンに使える機能から細かなカスタム調整まで、さまざまな機能が備えられています。車載スピーカーで音楽が聴けて、さらに細かなチューニングまでできるというのはカロッツェリアならではですね。
クルマのギアをバックに入れれば、自動的にバックカメラに切り替わるのはとても便利です
また、SDA-700TABには「バックカメラ」機能も搭載されています。車両へすでにバックカメラが備え付けられていることが前提(オプションで購入可能)ですが、クルマのギアをバックに入れればリバース信号と連動して、画面にバックカメラの映像が表示されます。
SDA-700TAB本体の、正面側の質感は高いように感じられます
本体右側面には「MicroSDカードスロット」「ヘッドホン端子」「microUSBポート」が、本体上部には「音量ボタン」「電源ボタン」が備わっています。ちなみに、メインユニットの「FH-7600SC」と接続されているときには、クルマのACCオンで電源が入りますので、この電源ボタンは取り外しているときにのみ使います
SDA-700TABをFH-7600SCから取り外せば、普通のタブレットとして使うことができます。
「SDA-700TAB」の背面にはプラスチックカバーが備え付けられています。筆者はこのカバーによって、タブレットが少し持ちづらくなる印象を受けました
SDA-700TABには、FH-7600SCと接続させるため、裏側に専用のプラスチックカバーが取り付けられています。少し気になったのが、そのカバーを取り付けたことでタブレット本体の厚みが増すことです。タブレット本体のサイズは213(W)×125(H)×11.4(D)mmなのですが、カバーを取り付けることで217(W)×141(H)×15(D)mmになります。この15mmの厚さが、ふだん使いするにあたって少し持ちにくく感じました。また、カバーはネジ止めしてあってドライバーを使わないと外せなくなっていますので、せめて簡単にカバーが取り外せる仕様になっていれば使いやすかったと感じます。ですが、気になったのは厚さくらいで、ネットサーフィンや動画の閲覧などは快適に利用することができました。
「SDA-700TAB」「FH-7600SC」は、使い方次第でカーライフがさらに楽しくなる製品だと思います
SDA-700TABは、これまではスマホのナビアプリなどを利用してきたが、「手ごろな価格のカーナビが欲しい」「タブレットも使ってみたい」と感じており、モバイルWi-Fiルーターなどの通信機能をすでにお持ちの方におすすめです。SDA-700TABのスペックはエントリークラスですが、FH-7600SCと組み合わせることで普通のタブレットではできない、車載モデルならではの魅力を発揮します。たとえば、クルマを使って家族で移動中に、後席のお子さんにタブレットを渡して好きな動画を見させたり、クルマで立ち寄ったカフェで動画や読書を楽しんだりすることができます。使い方次第で魅力が増していく、そんな製品に感じました。気になる方や購入を検討されている方などは、まずは量販店などで実機に触れてみてはいかがでしょうか。
自動車関連を担当。クルマ好きのため、週末はフラフラと1000km超を運転する長距離ドライバーと化します。