2023年5月18日、JVCケンウッドはカーナビゲーション「彩速ナビ」の「TYPE M」「TYPE S」2シリーズの2023年モデルを発表した。
ケンウッド「彩速ナビ」の9V型フローティングモデル「MDV-M910HDF」
ケンウッド「彩速ナビ」の8V型インダッシュモデル「MDV-S810L」
発売日は、大型の9V型ディスプレイを採用している「TYPE M」シリーズは、「MDV-M910HDF」(フローティング)と「MDV-M910HDL」(インダッシュ)の2機種が2023年6月下旬に。8V型、および7V型ディスプレイを採用している「TYPE S」シリーズは、「MDV-S810F」(フローティング)、「MDV-S810L」(インダッシュ)、「MDV-S710W」(インダッシュ/200mm ワイド)、「MDV-S710」(インダッシュ)の4機種が2023年5月下旬に発売される。
「彩速ナビ」新モデルにおける最大の特徴は、声でカーナビを操作できる「音声操作」に対応していることだ。「ハイ彩速(さいそく)」とカーナビへ声をかけることで音声操作がスタンバイ状態になり、そこから「自宅に帰る」などカーナビに登録されている候補ワードを発話するだけで、登録されている自宅へのルート案内が開始されるなど、さまざまな操作が声を発するだけで行える。
音声操作なら、視線を落としたり手をハンドルから離したりせずにカーナビの操作ができるので安全性が高い
音声操作のメリットは、画面を注視せずにカーナビを操作できることにある。たとえば、信号待ちなどで停車しているときにカーナビを操作したいなどの場面において有効だろう。もし、カーナビを手動で操作する場合には、目線をカーナビに合わせる必要があるため信号が青に変わったなど、周囲の道路状況の変化がわかりづらいために危険も伴う。だが、音声操作なら確認のためにチラリと一瞬画面を見るだけで済むので安全だ。
また、音声操作ではいかに多くの機能を操作できるのかが重要になると思われるが、そこで注目したいのが「彩速ナビ」に登録されている候補ワード数の多さだ。その数は242ワードと、業界でトップクラスを誇っている。一例をご紹介すると、たとえば「近くのガソリンスタンド」や「近くのファミリーレストラン」と声をかければ、現在地に近いガソリンスタンドやファミリーレストランの候補を複数検索してくれる。さらに、検索結果が表示されたら「候補1に行く」と伝えれば、該当候補のルート案内を開始してくれる。そのほかにも、「FMラジオ」「AMラジオ」「CD」「Bluetooth Audio」と発話することで各種のオーディオソースを再生できたり、音楽を聞いているのであれば「前の曲」「次の曲」で曲を戻したり進めたりできる。また、「大きく」「小さく」と伝えれば、地図の拡大や縮小を行ってくれるのも便利だ。
候補ワードの中でも、特に充実しているのがよく使う施設の検索だ。たとえば、「コンビニエンスストア」「ガソリンスタンド」「ファミリーレストラン」「スーパーマーケット」「ドラッグストア」「ショッピングモール」「アウトレット」のほか、「回転ずし」まで登録されている。
さらに便利と感じたのが、ひとつの音声操作に対して、複数の候補ワードが登録されていること。たとえば、「コンビニエンスストア」なら「コンビニ」でも検索できるし、「ガソリンスタンド」なら「ガソスタ」「ガススタ」「スタンド」でも操作できる。ひとつのワードに対して、思い浮かびやすい単語が複数登録されているので、これなら音声操作のワードを一語一句しっかりと覚えなくても、ある程度記憶していれば使いこなせるだろう。
ちなみに、筆者も実機で「彩速ナビ」の音声操作を試すことができたのだが、大声を張り上げるようなこともなく「ハイ彩速」と普通に話しかけるだけで起動し、その後の音声操作においても自然に発話するだけで実にスムーズに動いてくれたことに驚いた。近年では、音声によってさまざまな操作が可能な新型車が発売されており、それらの音声操作を試したこともあるのだが、何度も大声を張り上げないと起動せず、また発話後の操作もタイムラグが大きい、もしくはなかなか反応してくれない車種などもやや多いように感じられた。
だが、彩速ナビの音声操作は、(失礼ながら)それらとは一線を画すほど的確に発話を検知してくれて、かつ素早く操作してくれることに感動した。さらに、前述したように操作可能な種類も非常に多いことから「もっと、いろいろと試してみたい!」と思わずワクワクしてしまうほどであった。機会があれば、ぜひ店頭のデモ機などで実際に「彩速ナビ」の音声操作のスムーズさや楽しさを体感して頂ければと思う。
「彩速ナビ」新モデルの発表と同日に、ドライブレコーダーのハイエンドモデルも新たに発表されたのでお伝えしたい。前後2カメラドライブレコーダーの「DRV-MR775C」「DRV-MR770」の2機種が、2023年5月下旬に発売される。
画像は、前後2カメラドライブレコーダーの「DRV-MR775C」。ケンウッドには、フラッグシップモデルの「DRV-MR870」という機種があるが、今回発表された「DRV-MR775C」「DRV-MR770」の2機種は「DRV-MR870」の次に位置するハイエンドモデルになる
両機種ともにスペックは同じで、違いは「DRV-MR775C」には「車載電源ケーブル」が同梱されていることだ(「DRV-MR770」は別売り)。どちらの機種にも、駐車中の当て逃げや車上荒らしなどの際に録画してくれる「駐車監視機能」が搭載されているが、同機能を利用するにはクルマの常時電源に接続する必要があり、そのための車載電源ケーブルが「DRV-MR775C」に付属されている。もし、「駐車監視機能」を利用しないのであれば、シガーソケットで接続できる「DRV-MR770」のほうを選ぼう。
「DRV-MR775C」「DRV-MR770」の特徴は、大きく3つある。ひとつは、前後ともに高画質な撮影が可能なこと。2つ目は「音声コマンド」機能によって、とっさの際に声で緊急録画や静止画の撮影ができること。そして3つ目は、前後のあおり運転を自動で検知して録画してくれる機能が搭載されていることだ。
まず高画質撮影についてだが、「DRV-MR775C」「DRV-MR770」はフロントカメラによって約368万画素のWQHDでの高精細録画が、リアカメラは約200万画素のフルハイビジョンでの録画が可能となっている。ケンウッドには、ドライブレコーダーのフラッグシップモデルである「DRV-MR870」という機種が発売されているが、フロントカメラとリアカメラの画素数は、「DRV-MR870」と同様のスペックを誇る。
また、フロント、リアカメラともにF1.8の明るいレンズが採用されており、自動露出調整機能も備わっているので、夜間やトンネルなどの明暗差が激しいシーンにおいても明るく撮影できる。さらに、前後の明るさをそれぞれ7段階で手動調整できる機能も搭載されているので、たとえば真っ暗な場所を走行することが多いのでさらに明るくしたいといったときなどには、手動調整が有効になる。
また、「DRV-MR775C」「DRV-MR770」には、声で緊急録画などの操作ができる「音声コマンド」機能が搭載されている。たとえば「録画開始」と発すれば、上書きされないように自動録画とは別のフォルダへ保存してくれる手動録画が開始され、「写真撮影」と発すれば前後の静止画を撮影してくれる。また、「表示切替」と発することで画面の表示を切り替えることもできる。実は、前述した「彩速ナビ」の音声操作時に、ドライブレコーダーの「音声コマンド」機能も試してみたのだが、「彩速ナビ」と同様に自然な発話でスムーズに操作できたことをお伝えしたい。
また、昨今のあおり運転に対応した安心の機能も、「DRV-MR775C」「DRV-MR770」には搭載されている。たとえば、前方へ急に割り込まれたときや前方のクルマが蛇行運転などを繰り返したとき(50km/h以上で走行時)、または後方のクルマが急に接近してきて5m以内の距離を3秒以上継続した際に、ドライブレコーダーが警告音を発するとともに上書きされないイベント録画が自動で開始される。同機能は、前方だけでなく後方からの急接近にも対応しているというのが特徴で、このようなあおり運転に対応する機能があれば、万が一の際にもしっかりと証拠映像を録画できて安心感が高い。
今回、新製品の「彩速ナビ」と2機種のドライブレコーダーをご紹介したが、それぞれに共通するのがドライバーや周囲の安全を考えた新機能が搭載されているということだ。カーナビやドライブレコーダーを求めるユーザーは、価格や機能、使いやすさなどを重視しながらも、近年では安全面における機能の充実も購入検討の選択肢として重視されているとのこと。その点においても、新しい「彩速ナビ」や「DRV-MR775C」「DRV-MR770」は、日々のカーライフにさらなる安心感を提供してくれる、間違いのない製品と言えそうだ。
自動車関連を担当。クルマ好きのため、週末はフラフラと1000km超を運転する長距離ドライバーと化します。