レビュー

「BRZ」「GR86」のMTフィールが劇的に改善する“添加剤”を愛車に注入!

MT(マニュアルトランスミッション)のシフト操作フィールのよさを追求するライター、マリオ高野です。

せっかく自らの手で変速操作を行うからには、そのフィーリングはよいに超したことはありません

せっかく自らの手で変速操作を行うからには、そのフィーリングはよいに超したことはありません

「BRZ」はシフトのフィールや耐久性にやや難あり……?

このたび、愛車のスバル「BRZ」で、よいミッションオイル用の添加剤と出会うことができましたので、それを報告します。

「BRZ」は、初代モデルのころからミッションのシフト操作フィールや耐久性にやや難があると指摘されていました。2代目モデルに当たる現行型では、その点を大幅に改善。4速のシンクロ機構には、カーボンシンクロを、シフトフォークロッド支持部にはスライドボールベアリングを採用するなどして、対旧型比で見るとかなりよくなったのですが、それでもミッションのシフト操作フィールへの不満を感じるユーザーは少なくありません。

兄弟車のトヨタ「GR86」もまったく同様で、「GR86/BRZ Cup」と呼ばれるワンメイクレースでも、ミッションのトラブルが発生する確率が高くなっていました(レース用のミッション内部強化パーツも存在します)。

トランスミッションも消耗品のひとつなので、長く乗り続けると内部の部品が破損したりするなど、さまざまなトラブルが発生します

トランスミッションも消耗品のひとつなので、長く乗り続けると内部の部品が破損したりするなど、さまざまなトラブルが発生します

多数のギヤなどの部品が複雑に絡み合うミッションの内部構造。変速をスムーズにしたり、長持ちさせたりするためには潤滑油の質にこだわるのも重要です

多数のギヤなどの部品が複雑に絡み合うミッションの内部構造。変速をスムーズにしたり、長持ちさせたりするためには潤滑油の質にこだわるのも重要です

現行型「BRZ」に2年(6万km)以上乗っている筆者個人としても、1速から2速へ入れる際の手応えの渋さがずっと気になっております。スポーツ走行時など、高めのエンジン回転を維持するときや、ミッション内部の温度がある程度高い状況だと大変気持ちよく変速操作ができるのですが、街乗りでの始動直後などは、変速操作にかなり気をわないと、操作がしづらかったり、ガリっという嫌な手応えを感じてしまったりすることが多かったのです。

シフト操作をていねいに行えば、さほど大きな問題にはならない程度の難点なのですが、できれば改善をはかりたいところでもあります。レースのような過酷な状況下では耐久性にも難があるものの、街乗りレベルの走りでミッションが簡単に壊れるようなことはないとはいえ、やはり10年20年乗ることを考えると、耐久性の面でも不安が募ります。

チューニングメーカーに推奨されたミッションオイル用添加剤

そこで試してみたのが、リキテック社が販売しているミッションオイル用添加剤「リキテックM」です。

初めて注入する時は2本必要で、それ以後はミッションオイルの交換時に1本ずつ注入します

初めて注入する時は2本必要で、それ以後はミッションオイルの交換時に1本ずつ注入します

メーカーの説明によると、氷の次に摩擦係数が低いとされるフッ素樹脂により、ミッション内部の摩擦抵抗を低減。ベアリングやシャフト、ギヤの摩擦熱を軽減し、マニュアルトランスミッションの延命効果が期待できるとあります。シフト操作フィールや耐久性の向上、振動や騒音の低減に効果があるとも。

筆者はこの製品を、群馬県太田市の老舗チューニングメーカー「シムスレーシング」にて推奨されて知りました。ミッションオイルの交換時に試してみたところ、うたい文句どおり、まずはシフト操作フィールが明らかに向上したのを実感します。

感触としては、シフト操作時にヌルヌル感というか、いかにもミッション内部の抵抗が減ったように感じる手応えが得られるのです。昔ながらの表現を使うと、“ハチミツを棒でかき混ぜるような感覚”が明確に増したのでした。

注入後、100km程度走って添加剤が各部になじむと体感しやすくなると聞きましたが、筆者の場合は、注入してすぐに効果を実感。冷間時に渋さを感じていた、1速→2速の操作も驚くほどスムーズです。

その後数100km走ってからサーキット走行を実施したところ、変速操作がスムーズに行いやすくなったことで走行中にミッションを気にするストレスも低減。ハチミツをかき混ぜるがごとく、各ギヤに入れやすくなってもH型のゲートが曖昧に感じてしまうことはないため、シフトミスを誘発しやすくなるなどのデメリットは感じませんでした。

シフト操作への気遣いが減ることで、ハンドルやアクセル、ブレーキなどの操作により集中しやすくなりました。

シフト操作への気遣いが減ることで、ハンドルやアクセル、ブレーキなどの操作により集中しやすくなりました。

メカニカルノイズも低減した

さらに、騒音の低減も明確に実感。筆者の「BRZ」は、クラッチを社外の「オグラクラッチ製400Light」に交換しており、ミッションからのメカニカルノイズが少し大きくなっていたのですが、それも明らかに低減したのです。「オグラクラッチ製400Light」もシフト操作フィールの改善効果が大変高いものの、「BRZ」の場合は、ミッションからのノイズがやや多くなるデメリットもありましたが、「リキテックM」によってノイズは低減されるので、強化クラッチユーザーにもおすすめします。感覚的には、ミッションからのメカニカルノイズの5〜6割が低減されたという印象です。

耐久性についてはまだ確認できませんが、ミッション内部の抵抗が減ったことが実感できているので、おそらくミッションの延命効果も大いに期待できるでしょう。

メーカーの説明によると、330度以下であれば熱による劣化や樹脂パーツへの悪影響はないとのこと。「BRZ/GR86」以外の車種にも効果があると期待できますが、筆者の過去の経験からすると、ミッションによっては内部の抵抗を減らす添加剤との相性が悪い場合もありますので、すべてのマニュアルトランスミッションに前述した感覚が得られるかどうかは未確認ということをご承知ください。本稿のレポートはあくまで、「BRZ」およびトヨタ「GR86」用のマニュアルトランスミッションで得られた感覚です。

「BRZ」(新旧)、「GR86」(現行型)、トヨタ「86」(先代モデル)のマニュアルトランスミッション車におすすめの添加剤です

「BRZ」(新旧)、「GR86」(現行型)、トヨタ「86」(先代モデル)のマニュアルトランスミッション車におすすめの添加剤です

マリオ高野
Writer
マリオ高野
1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。3台の愛車はいずれもスバルのMT車。
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芝崎 瞬(編集部)
Editor
芝崎 瞬(編集部)
自動車専門媒体からゴルフ専門メディアを経由し、価格.comマガジンへ。クルマは左ハンドルMTに限る! と思って乗り継いでいたが翻意して今は右AT。得意クラブは、強いて言えばミドルアイアン。
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