2024年10月10日、パイオニアはカロッツェリアブランドから「サイバーナビ」の最新モデルを筆頭に、「ディスプレイオーディオ」「スピーカー」「パワーアンプ」そして「ドライブレコーダー」などの新商品を一挙に発表した。
2024年モデルの「サイバーナビ」や10.1型の大型ディスプレイオーディオ、4K撮影に対応したドライブレコーダー、7年ぶりのフルモデルチェンジとなるスピーカーなど、魅力的なラインアップが揃ったカロッツェリアの新商品
同時に、「2024冬カロッツェリア新商品体験説明会」を都内で開催。新商品の使い勝手や音などを実際に“体感”できたので、それぞれの魅力についてご紹介したい。
まず、新商品のラインアップと想定価格(一部、希望小売価格の設定あり)については以下のとおりだ。
(以下の価格はすべて税込になります)
【サイバーナビ】
※型番の「-DC」はネットワークスティック同梱モデル
-9V型ディスプレイ-
AVIC-CQ912IV-DC:250,000円前後(想定)
AVIC-CQ912IV:230,000円前後(想定)
-8V型ディスプレイ-
AVIC-CL912IV-DC:230,000円前後(想定)
AVIC-CL912IV:210,000円前後(想定)
-7V型200mmワイドディスプレイ-
AVIC-CW912IV-DC:210,000円前後(想定)
AVIC-CW912IV:190,000円前後(想定)
-7V型ディスプレイ-
AVIC-CZ912IV-DC:210,000円前後(想定)
AVIC-CZ912IV:190,000円前後(想定)
【ディスプレイオーディオ】
DMH-SF900:130,000円前後(想定)
【ドライブレコーダー】
-4K・ナイトサイト対応・前後2カメラ-
VREC-DZ810D:33,000円前後(想定)
-ナイトサイト対応・前後2カメラ-
VREC-DZ410D:29,000円前後(想定)
-前後2カメラ-
VREC-DZ210D:25,000円前後(想定)
【カスタムフィットスピーカー】
-Vシリーズ(17cmセパレート2ウェイ)-
TS-V174S:79,200円(希望小売価格)
-Cシリーズ(17、16cmセパレート2ウェイ)-
TS-C1740S:37,000円前後(想定)
TS-C1746S:37,000円前後(想定)
TS-C1640S:37,000円前後(想定)
-Cシリーズ(17、16cmコアキシャル2ウェイ)-
TS-C1740:27,000円前後(想定)
TS-C1640:27,000円前後(想定)
【チューンアップツイーター】
TS-T940:36,300円(希望小売価格)
TS-T746:19,000円前後(想定)
TS-T740:16,000円前後(想定)
【パワーアンプ】
GM-D2400:21,000円前後(想定)
【ツイーター取り付けキット】
UD-K308:8,800円(希望小売価格)
UD-K309:8,800円(希望小売価格)
まず、今回発売される新商品の全体の印象としては、従来以上に映像、そして音質に関して強いこだわりを持って開発されていることだ。実際、各商品のメーカー担当者と話していても、商品説明の際に音質について言及することが多くあった。
今回は、車両へ装着された新商品に触れつつ、メーカー担当者から話を聞くことができたので、その詳細についてお伝えしたい
まず、カロッツェリアのハイエンドカーナビである「サイバーナビ」の2024年モデルから。音質面に関しては、「サイバーナビ」史上最高の音質を実現すべく、「マスターサウンド・アーキテクチャー」に基づいて高精度なデジタル信号処理と高音質パーツを採用した。
特に、正確なクロック波形を生成する「サウンドマスタークロック」や「高音質オペアンプ」と呼ばれる回路を搭載するなどによって、圧倒的な臨場感を実現。さらに、音響特性を0.5dB刻みで調整できる「31バンドイコライザー」や、各スピーカーからリスニングポジションまでの距離を0.35cm単位(従来は0.5cm単位)で調整できる「タイムアライメント」などの機能も搭載することで、ユーザーそれぞれの理想に近い音にチューニングすることが可能となっている。
最新の「サイバーナビ」は、歴代最高の音質と利便性が飛躍的に高められたオンライン機能が大きな特徴だ
エンターテインメント機能に関しては、同社の強みである「ネットワーク接続」を活用することで車内でのYouTube動画再生や、自宅にあるブルーレイレコーダー内の録画番組を遠隔再生する「レコーダーアクセス」機能など、ドライブ中でも豊富なエンターテインメントを楽しむことができる。通信に関しては、従来どおりNTTドコモの「docomo in Car Connect」に対応しており、車内にWi-Fiスポットを構築可能。同乗者も含め、通信量を気にせずにスマートフォンやタブレットを利用し、インターネットにアクセスすることが可能だ。
基本的には、2023年モデルをブラッシュアップした形になるが、オンラインを活用した「フリーワード音声検索」機能が強化されるなど、「サイバーナビ」は利便性をさらに向上させている。
市場が拡大しているDA(ディスプレイオーディオ)に関しては、最上位のフローティングモデル「DMH-SF900」が発表された。最大の特徴は、10.1インチの大画面ディスプレイが採用されていること。既発の「DMH-SZ500」に続き、「Apple CarPlay」や「Android Auto」へのワイヤレス接続にも対応しているモデルだ。
フローティングタイプの10.1型大画面ディスプレイオーディオ「DMH-SF900」
「DMH-SF900」で注目したいのは、「ルミナスバー」と呼ばれるイルミネーションがディスプレイ本体上部へ新たに搭載されていること。音楽や映像の再生時に、イルミネーションが連動して光ることで、エンタメ性を高めた仕様となっている。さらに、この「ルミナスバー」がユニークなのは、ナビアプリを接続してルート案内を行うと、右左折時に連携して点灯すると言うロジックが施されていること。担当者によると、「すべてではないが、メジャーなナビアプリに対応していく」とのことだった。
「DMH-SF900」で新たに採用された「ルミナスバー」。音楽やナビアプリのルート案内時に、いくつかのパターンで光らせることができ、明るさなども調整できる
さらに、「DMH-SF900」は新たに開発された専用アプリ「PxLink」とも連動している。「PxLink」をスマホにインストールすれば、「DMH-SF900」のオーディオなどの操作がスマホから可能になる。各機能のカスタマイズはもちろん、スマホの画面をサブディスプレイ的にも使えるなど、メインユニットの画面に触れずとも操作を可能にする新しい提案だ。ちなみに、「DMH-SF900」には確実な操作感を実現するハードキーも採用されていることを付け加えておきたい。
専用アプリ「PxLink」をスマホにインストールすれば、たとえば「DMH-SF900」でナビ画面を表示していても、スマホでオーディオの操作ができて便利だ
中域をツイーターから響かせるという独自の発想「Open&Smoothコンセプト」に基づいて設計された「カスタムフィットスピーカー」は、実に7年ぶりのフルモデルチェンジになる。ラインアップは、新商品のフラッグシップモデル「Vシリーズ」とハイグレードモデル「Cシリーズ」の2種類に、既存のエントリーモデル「Fシリーズ」が加わった計3種類になる。
「Vシリーズ」は、新開発の「深型トラスバスケットフレーム」や軽量かつ強靱な「開繊カーボン振動板」の採用に加え、「バイアンプ接続」に対応するネットワーク設計などハイエンドユーザーにも満足のいく仕様となっている。
「Vシリーズ」は、力強く豊かな低域と高密度で臨場感のある中高域によって、リアルな音場再生を実現するシリーズ最高峰モデルだ
また、販売の主力を担うミドルレンジクラスの「Cシリーズ」は、ハイレゾに対応しているほか、16、17cmスピーカーのラインアップ、セパレートとコアキャシャルタイプの設定、取り付け性の大幅な向上などによって、スピーカー交換の敷居を下げているのが特徴的だ。
「Cシリーズ」は、躍動感のある低域によって鮮やかで臨場感あふれる音楽再生を実現する「ハイレゾ」対応モデルだ
パワーアンプに関しては、ハイレゾ音源の再生に対応したコンパクトサイズの「GM-D2400」を新規にラインアップ。W181×H38×D64mmの小型ボディに100W×4chのハイパワーアンプ「Class D増幅回路」を搭載することで、デジタル時代にふさわしいクリアでパワフルなサウンドを実現しているという。
「GM-D2400」のコンパクトさをわかりやすくするため、500mlのペットボトルと並べてみた
ホンダ「N-BOX」(左)とスズキ「スイフト」(右)専用のツイーター取り付けキットも新たに発売された。(ツイーター本体は別売)クロームメッキのリングの美しさと、車内に溶け込むような、質感の高いブラケットデザインが特徴的だ
カロッツェリアは、前後2カメラタイプのドライブレコーダーを新たに3機種発表。その中で、最上位モデルとなる「VREC-DZ810D」は高精細な4Kカメラを搭載し、夜間の撮影に特化した「ウルトラナイトサイト」機能を装備した点が大きなトピックだ。
4K録画が可能な新製品の2カメラドライブレコーダー「VREC-DZ810D」
夜や暗い場所でも、明るく色鮮やかに映像を記録してくれる「ウルトラナイトサイト」。画像は、左が「ウルトラナイトサイト」対応モデルで、右が同非対応モデルの比較映像。左のほうが、明るく鮮明に映っている
4K動画は、従来のフルHD(約200万画素)に比べ、約4倍となる約830万画素を実現。また、従来はソニー製のCMOSセンサー「STARVIS(スタービス)」によって高感度&高画質を実現してきたが、これにパイオニアの画像処理ノウハウを生かした「AI-ISP」(画像処理技術)を組み合わせた「ウルトラナイトサイト」によって、暗闇でも鮮明な映像を記録できるという。
実際に、夜間における銀座エリアの録画映像を100インチ級のデモ画面として投影していたのだが、驚くべきは“超”が付くほどの大画面でも車両ナンバーをはっきりと識別できた点だ。夜間の撮影において、人はもちろん光量の多いヘッドライトの眩しさなどもうまくチューニングされているようなので、ドライブにおける安心感が向上したと言っていいだろう。
「VREC-DZ810D」で夜の銀座を記録した映像を大画面で確認してみたが、細部まで明るくくっきりと記録されていた
今回の体験会では、新商品を組み込んだデモカーが数多く用意され、それぞれの特徴を直接感じ取ることができた。
特に、筆者が「これはよいな」と感じたのは、純正カーナビなどの音質を手軽にシステムアップできるという提案だった。用意されていたデモカーには、すでにメーカー純正のディスプレイオーディオが装着されており、基本これを取り外すことは難しい。
トヨタ「アルファード」には、すでに純正のディスプレイオーディオが装着されており、「Cシリーズ」のスピーカーと「GM-D2400」アンプの交換だけだったのだが、音のよさは驚くほどに向上していた
だが、ディスプレイオーディオのプリ出力から新製品のパワーアンプやスピーカーを組み合わせることで音質は一気に高まる。音源に関しても、ディスプレイオーディオ側に制約があるのに、音の広がり感や応答性の高さは純正装着とは比較にならなかった。
つまり、既存の純正ナビやディスプレイオーディオを生かしながら、比較的低価格で音をグレードアップできる点はなかなか魅力的だった。
昨今の音楽視聴環境は、家でスピーカーを鳴らすのではなくイヤホンやヘッドホンを中心としたスタイルが主流になっている。その点では、音楽を思いきり楽しむという環境は、車内のほうが実現しやすいだろう。
ハイレゾ音源やサブスクリプションサービス、そして動画配信などライフスタイルは急速に変化している。その点において、カロッツェリアは今回の新商品によって多角的にアプローチしてきたと言えそうだ。