“弾丸”試乗レポート
【弾丸試乗レポート】日産念願のFFハイブリッドがついに日本に投入!

ライバルを凌駕するコスパと知的フィールを備えた「エクストレイル ハイブリッド」

数少ない日本専用モデルだからこそ、日本のお客様にたくさん買っていただきたい

続いて、日産の開発担当者の話をインタビュー形式でレポートしたい。

写真右は、日産自動車 商品企画本部 日本商品企画部の祇園周作さん。2002年入社で、エクストレイルの日本地域の商品企画を担当。写真左は、日産自動車 Nissan PV第二製品開発本部 Nissan PV第二製品開発部 車両・車体計画設計グループ 工学博士の竹崎大輔さん。2005年入社で、エクストレイルのパッケージングを担当。車担。チーフ・ビークル・エンジニア補佐

鈴木:元のエクストレイルに対して、ハイブリッドは上のグレードとして価値観をプラスしているという存在ですね? 

祇園:ベースとなるガソリン車の「ガンガン使える道具」という、歴代エクストレイルの言ってきたコンセプトにプラスアルファして、バリエーションを増やすようにハイブリッドをラインアップしました。

鈴木:今回のハイブリッドユニットは、北米で最初に採用されましたが、日本向けとはエンジンが違いますよね。なぜ、日本は2リッターエンジンを組み合わせたのでしょうか?

前モデルで好評だった機能性を受け継ぎつつ、質感やデザイン性を高めたインテリア

前モデルで好評だった機能性を受け継ぎつつ、質感やデザイン性を高めたインテリア

竹崎:北米はクルマの寸法が大きいんですね。それと、北米と同じエンジンをエクストレイルに載せれば、動力性能は抜群になるでしょうけれど、日本の燃費性能への要求を考えると、「それがミートしているのか?」と。そう考えると2リッターにして、燃費のよさをさらに伸ばしていこう。そういう選択でした。

鈴木:エクストレイルには過去にクリーンディーゼルがありました。今回、クリーンディーゼルではなく、ハイブリッドにした理由は?

祇園:ひとつは、お客様に求められているものという理由です。どのパワートレインが最適なのかと調査をしたところ、エコパワートレインが欲しいと言う声が多かったんですね。ハイブリッドもクリーンディーゼルもエコパワートレインですけれど。それを並べたときに、お客様はどっちを本当に求めているのか? と見たときにハイブリッドという答えが出てきました。もちろん、クリーンディーゼルをお求めなられるお客様は一定にいらっしゃいますけれど。

鈴木:エコパワートレインとして、ハイブリッドが欲しいという声が主流だったと?

祇園:そうですね。比較的、多いと。どちらでもいいというお客様もいまして、それを考慮すると、ハイブリッドの方がお客様が求めているものに近いかなということで、そういう選択をしています。

鈴木:クリーンディーゼルはやめてしまうのでしょうか?

祇園:今のところ、発売するというお話はさせていただいておりません。ただし、商品ラインアップを今後、どうするのか? という検討はずっと継続していますので。将来的には、乞うご期待と(笑)。

鈴木:期待しています(笑)。それでは、この日産の1モーター2クラッチ式のハイブリッドはショックが出やすいのがデメリットですよね?

竹崎:そこを一番苦労して開発してきましたね。もともと、そこが課題になるのはわかっていたので、「いかに、つぶしこんでいくか?」と開発を進めました。その過程で思わぬこともいろいろ出てきました。やはりショックが出てしまうと。そこはデータをつきあわせて、どこが課題になるのかを見直して対処してきましたと聞いています。

鈴木:リチウムイオン電池をどれくらい積むのか? もっと電池を少なくしてラゲッジを広くする? それとも増やしてPHVっぽくするのか? その逡巡はあったわけですよね?

竹崎:結局、最後はどこをバランス取りするのかという話ですね。簡単にいえば燃費を取ろうとして、バッテリーをいっぱい積むとラゲッジが狭くなるし、その分、重たくなって燃費にも跳ね返る。ラゲッジをキープしようとバッテリーを少なくすると、狙ったとおりの燃費が出ない。まずは、燃費のターゲットを決めました。発売する2015年4月のライバルたちの燃費は、この辺にくるだろうと読みつつ、それを狙って開発してゆきました。その目標の燃費に対して、ハイブリッドで求められる電池の容量を決めました。実はバッテリーの容量を途中で見直しすることもあったんですよ。

祇園:商品企画からのリクエストは、まずエクストレイルであることを失ってはいけないというものでした。それは本格SUVという走りは確保してほしいと。プロペラシャフトのある機械式の4駆。これは絶対に残して欲しいと。そこを犠牲にしないことを絶対条件にしていましたので。もうひとつは荷室の広さ。SUVとして雪山に行くときは、4人乗って、荷物をたくさん載る。そういう使われ方を考えると、ラゲッジも極力犠牲にしたくない。そういったリクエストを出しています。あと、燃費も(笑)。

スイッチを押すだけでドアを閉められるパワーバックドアに加え、手や物をセンサーの検知範囲にかざすだけで、バックドアが開くハンズフリー機能を搭載

竹崎:欲張りなんですよ(笑)。その欲張りを、うまくバランス取りできたかなと思います。

鈴木:JC08モードの走行では、4分の3もEV走行をさせていますよね。意識的に多くしたのですか?

竹崎:エンジンを止める。なぜ、そこにこだわったかというと、我々のハイブリッドのシステムは、クラッチを前後に持っていて、そこでエンジンを完全に切り離すことができるという特徴があります。そこでエンジンを止めて燃費を稼ぐというわけです。

鈴木:実際に、時速60kmくらいで走っていても、負荷を抜くと、パッとエンジンが停止しますよね。頻繁に止まっている感じがあります。

祇園:上は時速120kmまでエンジンが止まるようになっています。

鈴木:そういう意味では、ハイブリッド風味が強いですね。いっぽうで、ガソリンエンジンでも駆動もある。普通のガソリン車から乗り換えても、意外と違和感は少ないですね。それはよいのですけれど、前走者を追従するACC機能がないのは残念です。

祇園:前に追従する機能は入っていないので、そこは今後改良するポイントかなと認識しています。今回のタイミングでは商品的に入れられなかったと。

鈴木:いらないということですか?

祇園:欲しいと思っています。ただタイミング的に、このクルマの発売とマッチしなかったと。

鈴木:間に合わなかったということですね。

竹崎:開発に宿題が降りているので。マーケットに出せるように準備はしています。

鈴木:このエクストレイル ハイブリッドを海外向けに売る予定はあるのですか?

竹崎:今のところは、検討中です。

鈴木:今や数少ない日本専用モデルですね。

竹崎:現時点そうなので、日本のお客さんにたくさん買ってもらいたいなあと思っているんですよ(笑)。

DピラーにはXをモチーフにしたデザインが施されている。デザインの各部に機能性だけではない遊びの要素もこめられている

鈴木ケンイチ

鈴木ケンイチ

新車のレビューからEVなどの最先端技術、開発者インタビュー、ユーザー取材まで幅広く行うAJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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