“弾丸”試乗レポート
車種もタイプも異なる2枚看板に共通するフォードらしさとは?

ビッグマイナーチェンジされた「エクスプローラー」と「フォーカス」を箱根で試乗した!

フォードの看板モデルである「エクスプローラー」と「フォーカス」が、相次いでビッグマイナーチェンジを実施した。どのような内容の変更なのか? そして、その走りは? フォードというブランドとは? そんな疑問をモータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏がレポートする。

ビッグマイナーチェンジがなされたフォードの主力SUV、エクスプローラーとフォーカスに試乗した

ビッグマイナーチェンジがなされたフォードの主力SUV、エクスプローラーとフォーカスに試乗した

ラギッドをコンセプトにした力強いエクステリアに負けない強心臓を手に入れた「エクスプローラー」

フォードの主力モデルであるエクスプローラーとフォーカスがエクステリア&インテリア、そしてパワートレイン変更というビッグマイナーチェンジを実施した。新型となったエクスプローラーは10月31日より、フォーカスは10月3日より発売が開始される。今回は、その2台の試乗会に参加することができた。それぞれの変更点や走りなどをレポートしたい。

アメリカ的な力強さが増した新しいエクスプローラーのエクステリア

アメリカ的な力強さが増した新しいエクスプローラーのエクステリア

まずエクスプローラーだ。2011年5月に日本に導入された現行エクスプローラーは、現在のフォードジャパンの販売の3分の1を占める。力強いデザイン、快適な室内、信頼ある走行性能が人気だという。今回のマイナーチェンジでは、そうした人気のポイントが、さらにブラッシュアップされた。

エクステリアのテーマは「ラギッド(Rugged:でこぼこ、いかつい、無骨な、頑丈な、などの意味)」。グリルの凹凸はより強調され、ヘッドライトもLED化&大型化して眼力がアップ。また、フロントバンパーのフォグランプ部分にエアインテークをつくり、ボディ側面の空力特性を向上させるいっぽうで、ルーフレールも穴のない一体型になっているなど空力性能が高められている。エクスプローラーらしい端正さと塊感はそのままに、より力強いエクステリアとなった。

インテリアも細部にわたって変更された。また、装備類もスマートキーやタイヤ空気圧のモニタリングシステム、ウォッシャー機能付きリアビューカメラの標準装備化など充実度をアップ。上級グレードには、1列目にマッサージシート、2列目にシートヒーターを採用。オプションで8インチタッチパネル内にカーナビを納めることもできる。また、タッチパネルには、英語での音声操作可能なSYNC機能を装備している。iPhoneの祖国のクルマならではの便利機能だ。

運転支援システムは、横滑りと横転を防ぐロールスタビリティコントロール付きアドバンストラックと、コースアウトを防ぐカーブコントロールを標準装備。また、駐車場から後退しながら出るときに、車両の後方左右から来るクルマを検知するBLIS with CTAも標準装備である。上級グレードには、車両前後を180度の広角で見渡せるスプリットビューやフロント&リアカメラが備わる。交差点などでちょっとクルマの鼻を出せば、左右の安全を確認できるのだ。

そして最後の大きな変更点がパワートレインだ。FFモデルに搭載されるダウンサイジングターボエンジンが2リッターから2.3リッターに変更された。トランスミッションは従来通りの6速AT。排気量アップと共に、最高出力は192kW(261馬力)/最大トルク420Nmになり、従来よりも馬力で18馬力、最大トルクで54Nmもアップしている。それでも最新エンジンらしく、燃費性能をJC08モード燃費8.6km/lとして、従来よりも5%向上している。

また、最上級グレードの「タイタニアム(Titanium)」の2016年の導入も発表された。最高出力272kW(370馬力)の3.5リッターV6エコブーストエンジンを搭載した史上最速のエクスプローラーで、装備類も最上級のものが用意されたハイエンドモデルとなる。どんな走りなのかは、来年のお楽しみだ。

ラギッドというテーマをよく体現している凹凸の強調されたグリル。ライトもLED化された

ラギッドというテーマをよく体現している凹凸の強調されたグリル。ライトもLED化された

FF駆動のXLT EcoBoostモデルに搭載されるダウンサイジングターボエンジン「2.3L EcoBoost」。馬力とトルクを高めつつ燃費も5%向上した

スマートキーに対応するなど機能強化されたインテリア。音声操作に対応する「SYNC with MyFord Touch」はエアコンの操作なども行える

駐車場から後退しながら出るときに、車両の後方左右から来るクルマを検知するBLIS with CTAも標準装備

駐車場から後退しながら出るときに、車両の後方左右から来るクルマを検知するBLIS with CTAも標準装備

余裕のパワーを背景に、鷹揚としたおちつきある走りを披露

続いて走りをレポートしたい。エクスプローラーは3列シートを備え、全長5050mm×全幅2000mm×全高1820mmという堂々たる体躯だ。しかも左ハンドルしかない。それでも走らせてみると、意外と扱いやすい。サイドミラーで車幅を確認しておけば、車両感覚がつかみやすい。また、運転席の反対側のミラー下を映し出すモニターがあるのも助かる。狭い路地を含む試乗コースであったが、それほど困ることはなかったのだ。

インテリアは、外観と同じく端正だスッキリと上品で上質感があり、もちろん室内の広さは十分。ただし3列目は、身長170cmの筆者が乗り込むと、前後寸法はそれなりに狭い。特に膝前には5cmほどしか余裕はなかった。3列目は子ども向けと考えていたほうがいいだろう。

新しいパワートレインはスペック通りにパワー感もトルク感もたっぷり。今までの2リッターのエコブーストでも十分と思っていたから、新しい2.3リッターユニットは余裕しゃくしゃく。車両重量2040kgをものともせずに箱根のきつい上りをグイグイと駆け上がる。しかも、静粛性が高い。フラットな乗り心地もあって、かなり快適だ。コーナーリングが得意とはいわないが、高速道路を長駆したり、街中を走る分には、へたなサルーンよりも快適だろう。FFで2.3リッターのエクスプローラーXLTエコブーストの価格は489万円。同価格帯には、ライバルがひしめいているけれど、この端正なルックスを武器にしたエクスプローラーは、かなり競争力が高いのではないだろうか。

試乗したのは2.3リッターエンジンを搭載するエントリーモデルだが、試乗コースである箱根の山道を軽快に駆け抜けた

端正で質感も高いインテリアには、樹脂の質感が丸出しだったかつてのアメリカンSUVの面影はない

端正で質感も高いインテリアには、樹脂の質感が丸出しだったかつてのアメリカンSUVの面影はない

大人7人が乗れる室内レイアウト。3列目シートは子供用か緊急用の広さ

7人乗りの室内レイアウト。3列目シートは子供用か緊急用の広さ

7人乗りでも595リッターが確保されるラゲッジ。3列目シートをたたむとフラットな収納スペースが現れる

7人乗りでも595リッターが確保されるラゲッジ。3列目シートをたたむとフラットな収納スペースが現れる

外装と装備類、パワートレインを一新して魅力を増した「フォーカス」

デザインとエンジンが一新されたマイナーチェンジ後のフォーカスの試乗も行った

デザインとエンジンが一新されたマイナーチェンジ後のフォーカスの試乗も行った

フォーカスもエクスプローラー同様にエクステリアとパワートレインを一新し、運転支援など装備類の充実度を高められている。

エクステリアはエンブレム部のグリルを大きな台形として、エンジンフードを中央部が盛り上がったパワードームのものになり、クルマ全体としての塊感が強まっている。日本仕様には、フロント&サイド&リアのエアロキットとリアスポイラーが装着され、よりスポーツイメージが強調されたものになっている。

インテリアは、センターコンソール部分に8インチのタッチスクリーンを装着。ここにオプションでカーナビゲーションを納めることができるようになった。スッキリとナビが使えるようになったのは朗報だ。

装備類では、時速50km未満で作動する衝突被害軽減自動ブレーキのアクティブ・シティ・ブレーキや前走車に追従するアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)、車線逸脱防止のレーン・キープ・エイド(LKA)を用意。また、車庫入れや縦列駐車のときにステアリング操作をアシストするエンハンス・アクティブ・パーク・アシストも揃えた。先進運転支援機能も、今どきの日本車に負けないようになっている。

パワートレインは、従来の2リッターNAエンジンから、1.5リッター・エコブーストに変更された。トランスミッションも従来のDCTからトルコン式の6速ATへ。パワーは10馬力/38Nmプラスの最高出力132kW(180馬力)/最大トルク240Nmに。JC08モード燃費は19%向上の14.3km/l。ダウンサイジング過給ユニットとすることで、パワーと燃費のすべてを向上させたのだ。

日本仕様車は写真のリアスポイラーやエアロキットが装着されスポーティーさが強調されている

日本仕様車は写真のリアスポイラーやエアロキットが装着されスポーティーさが強調されている

黒を基調にしたインテリア。コンソールに8インチのディスプレイが備わり、ナビを設置しやすくなった。オーディオはソニー製が採用されている

前走車に追従するアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)を装備

前走車に追従するアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)を装備

車線逸脱防止のレーン・キープ・エイド(LKA)も備わり、先進運転支援機能も国産車のような充実ぶりだ

車線逸脱防止のレーン・キープ・エイド(LKA)も備わり、先進運転支援機能も国産車のような充実ぶりだ

2リッターNAエンジンから、1.5リッターのエコブーストエンジンにダウンサイジング。トランスミッションもDCTからオーソドックスな6段ATに変更された

軽快で自由自在な走りがフォーカスの魅力

フォーカスに搭載された新しい1.5リッターのエコブーストエンジンの最高出力は180馬力。驚くほど速いわけではないが、ドライバーを楽しい気分にさせるには十分。低回転からブーストが効いて扱いやすい。アップダウンのきついワインディングも気持ちよく走れる。また、その身のこなしの軽快さも絶妙だ。ステアリングの手応えは軽いけれど、ナーバスさはなく、アクションを起こすときは軽快に身をひるがえす。簡単にコーナーに好みの軌跡を描くことができる。スポーティーではあるけれど、素直で従順なキャラクターだから、ドライバーが急かされることはない。ゆったりまったりもOKだし、はやる気持ちに応じてキビキビと走ることもでき自由自在に扱える。やはり、この軽快でスポーティーな走りが、フォーカスの最大の魅力といっていいだろう。

低回転域から過給が効いた扱いやすいパワーユニットがもたらす軽快な挙動は、新しいフォーカスの大きな魅力だ

ヘッドとレッグスペースを十分に確保したシートレイアウト

ヘッドとレッグスペースを十分に確保したシートレイアウト

リアシートは60:40の分割可倒式

リアシートは60:40の分割可倒式

各種の情報を表示するディスプレイをメーターの中央に配置

各種の情報を表示するディスプレイをメーターの中央に配置

2台に共通する王道的なキャラクターこそがフォードらしさ

エクスプローラーはアメリカ市場を強く意識したSUV。いっぽうでフォーカスは、アメリカ以外のグローバル市場が主戦場となるハッチバック車。当然、求められるものが違うし、キャラクターもそれぞれだ。ラグジュアリーで落ち着いたキャラクターが与えられたエクスプローラーに対して、若々しくフレッシュなフォーカス。2台は、まったく異なるキャラクターなのだが、それでも根底に流れるフォードらしさを感じることができた。それは、奇をてらわない優等生的な姿勢や、高級モデルではあるが下品な派手さはないこと、スポーティーモデルであるけれどこけおどしのようなトリッキーな動きはせずに、素直な動きを見せるといった点に現れている。そうした王道的なクルマ作りがフォードらしさなのではないだろうか。そんなフォードの魅力を再確認する試乗となった。

鈴木ケンイチ

鈴木ケンイチ

新車のレビューからEVなどの最先端技術、開発者インタビュー、ユーザー取材まで幅広く行うAJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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