バイク野郎 増谷茂樹の二輪魂

ヤマハ「Vino」がEV化! 電動バイク「E-Vino」の実力とは?

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さまざまなメーカーから発売されているものの、大きな注目を集めるまでにはいたっていない電動バイク。現状、市販されているモデルの多くが原付(エンジンでいうと50cc)クラスであり、バイクの魅力である“スポーティーな走り”とは縁遠いことが普及が伸び悩む原因の1つかもしれない。しかし、実用性という点では持っているポテンシャルは大きいと筆者は考える。そこで、国内メーカーの中でも積極的に電動バイクに取り組んでいるヤマハの最新モデル「E-Vino」を試乗し、日常生活での活躍度をチェックしてみた。

エンジン車のデザインをそのまま活用した電動バイク

「E-Vino」は、見た目はガソリンエンジンの「Vino」と同じ姿をしている。それもそのはず。マフラーなどがないだけで、車体はVinoなのだ。通常、電動バイクはバッテリーの持ちをよくするために車重の軽い専用の車体を設計するが、E-VinoはVinoをベースにして電動化。これにより、収納スペースが拡大した。加えて、バッテリーを取り外しできる仕様に変更したことで、使い勝手は格段に向上。なじみあるデザインと実用的な利便性の改良で、身構えずに電動バイクに乗り換えできることを目指したという。

エンジンを搭載したVinoと同じ丸みを帯びたデザインだが、車重はエンジンモデルより12kg軽い68kg。モーターの定格出力は0.58kWで、最高出力は1.2kW(1.6ps)。満充電での走行可能距離は29kmとなっている

2010年に発売された前モデル「EC-03」は一般的な電動バイク同様にスリムなデザインで、車重は56kg。モーターの定格出力はE-Vinoと同じだが、最高出力は1.4kW(1.9ps)とわずかに高く、満充電での航続距離はE-Vino よりも14km長い43kmだ

スリムデザインではなくなったとはいえ、元が女性に人気のVinoなのでゴツいイメージにはならない。シートの高さは715mmと低めで、159cmの女性がまたがるとかかとまでしっかりと足がついた

シート下は、収納スペース(容量10L)になっている。エンジンが搭載されていないため、深さを確保できるようになった

バッテリーを取り外して、部屋で充電できるのは便利。重量は6kgなので、持ち運びもそれほど苦にはならない

バッテリーを取り外して、部屋で充電できるのは便利。重量は6kgなので、持ち運びもそれほど苦にはならない

充電は付属の充電器と接続して、コンセントに挿すだけ。バッテリー残量ゼロの状態から満充電になるには約3時間かかる

動力である電気モーターは、ホイールにつながるアームに内蔵。エンジンや排気マフラーが必要ないため、シンプルな見た目になっている

乗った際に足の前にくる部分には、ペットボトルを入れるのにちょうどいいサイズの収納スペースを用意

乗った際に足の前にくる部分には、ペットボトルを入れるのにちょうどいいサイズの収納スペースを用意

袋を下げられるフックも装備されている

袋を下げられるフックも装備されている

キーボックスには盗難防止用のキーシャッターがある

キーボックスには盗難防止用のキーシャッターがある

走り心地をチェック!

見た目はVinoとほぼ同じだが、やはり非力さは否めない。Vinoの最高出力が3.3kW(4.5ps)なのに対し、E-Vinoは1.2kW(1.6ps)。数字上は約1/3となるが、実際に走行して体感を確かめてみよう。

E-Vinoの走行には、「標準」モードと「パワー」モードが用意されている。「標準」モードはモーターの出力が抑えられるため、最高速度が35km/hまでしか出ない。原付一種の法定速度は30km/hなので問題はないが、幹線道路など流れの速い道を「標準」モードで走ると速度が出せずに怖い思いをする可能性もある。そんな時は、速度制限がかからない「パワー」モードに切り替えたほうが安心だろう。また、上り坂などでさらに出力を高めたい時に30秒間だけパワーアップする「BOOST」機能も搭載されている。

キーをまわし、ボタンを押して「RUN」ランプを点灯させないと走行しない。安全に配慮した設計だ

キーをまわし、ボタンを押して「RUN」ランプを点灯させないと走行しない。安全に配慮した設計だ

高出力が必要な急勾配では「BOOST」機能を利用するといい

高出力が必要な急勾配では「BOOST」機能を利用するといい

「標準」モードでの加速はおとなしめだが、「パワー」モードにすると、アクセルを開けた瞬間からかなり気持ちいい加速をする。この感覚は電気モーター独特のもので、数値上はエンジンより出力は低いが、加速感だけならモーターのほうが上と感じるほど。ただし、回転が上がってからの速度の伸びはあまり期待できない

電気モーターのよさは、回転数による出力の変動がないところ。そのため、コーナーリング中にアクセルを開けたような場合でも車体が安定している。特に、狭い場所でのUターンなどでは車体がギクシャクしないので、初心者でも安心して乗れるだろう

走行中の動画を見ていただきたい。「ビーン」という高周波音がするため完全な無音ではないが、非常に静か。早朝や深夜でも、近所の迷惑を気にすることなく乗れるのは電動バイクの大きな魅力だ。

電動バイクを語る際に、避けて通れないのがバッテリー問題。E-Vinoは、エンジンバイクの車体を使っているため車重が重めで、航続距離は29kmと少ない。カタログの数値は、無風の状況下において乾燥した路面を体重55kgの人が「標準」モードで時速30kmで走行した場合なので、実際にはもっと短い距離しか走れないはずだ。加速が気持ちいいからと「パワー」モードで走行し、坂で「BOOST」機能を使うとバッテリー残量は目に見えて減っていく。走る場所や速度によって変わってくるが、15km程度しか持続しないのではないかと思われる。残量を気にせずに走れるのは10kmちょっとと考えておくと安心だろう。

シートの収納スペースに、予備のバッテリー(メーカー希望小売価格:59,400円)を入れておけば安心度はさらにアップ

試乗を終えて

2002年に電動バイク「パッソル」を発売して以降、EC03まで電動専用設計の車体を採用してきたヤマハが4代目となるE-Vinoにエンジンバイクの車体を用いるということで、正直、ネガティブな部分が出てくるのではないかと危惧していたが、その心配は杞憂に終わった。重量が増えたことにより航続距離は減ったものの、電動らしい気持ちのいい加速感は健在。逆に、車体が大きくなったことで安定感は増した印象だ。また、荷物を積載するスペースが増えたことも普段使いでのメリットを高めた。

航続距離に課題は残るが、それは電動バイク全般に言えること。根本的な解決にはバッテリーの進化といった要素も必要となってくる。今回試乗してみたところ、毎日の乗る距離が片道5〜10km程度ならE-Vinoで快適に乗れるはず。電動アシスト自転車感覚で充電できるなど、走行面以外でも快適度は高い。価格は、電動バイクとしては比較的手ごろな20万円強(メーカー希望小売価格:236,520円/税込)であることから、初めての1台を手堅く選びたいならうってつけだろう。

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

製品 価格.com最安価格 備考
E-Vino 0 エンジンバイク「Vino」をベースに用いた電動バイク
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2017.2.27 更新
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