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知っておいて損はしない、ITを活用した最新の「駐車場」事情に迫る

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自動車と駐車場の関係は、切っても切れないものだ。駐車場をインターネット検索できるサービスが、カーナビやスマホアプリなどでも広く使われているが、その進化はめまぐるしい。そんな最新の駐車場事情を森口将之氏が解説する。

カーナビのプローブ情報をはじめ、コネクティッドカーなど、自動車の世界もどんどんIT化が進んでいるが、駐車場もまた重要なフィールドのひとつだ

「akippa」に見る最新のパークシェア事情

クルマを買うときには多くの地域で車庫証明の提出が義務付けられ、愛車が手元に来たら出かけるたびに駐車場探しを行うことになる。クルマと駐車場は、切っても切れない関係にあると言えるだろう。

日本で駐車場が法律として定められたのは1957年。その名も「駐車場法」がこの年施行された。第2次世界大戦後10年以上が経過して、都市部ではクルマの台数が増えてきた。そこで建物などに駐車場を設置する手法や、駐車場を営業する際の料金などについて法律で定めたのだ。

続いて1962年に「保管場所法」が生まれた。正式には「自動車の保管場所の確保等に関する法律」という名称で、道路を車庫として使用することを禁止し、専用の車庫を持つことを所有者に義務づけた。このときに車庫証明が生まれている。

その後1971年にはパーキングメーター設置が始まり、20年後にはコインパーキングの元祖と言える「タイムズ駐車場」が登場した。こうして現在の駐車場シーンが完成したわけだが、最近になって、インターネットなどと結びついた新しい動きがいくつか生まれている。

無人コインパーキングの元祖「タイムズ駐車場」が登場したのは1991年。東京都台東区にある「タイムズ上野」がその始まり

ひとつはライドシェアや民泊と同じように、個人や会社が所有する車庫を一定時間、駐車場として貸し出すサービスが始まったことだ。「パークシェアリング」、あるいは「民駐」と言えばよいだろうか。

このサービスをいち早く展開したのは、その名も「akippa(アキッパ)」という会社だ。 2009年に大阪で創業した当初はギャラクシーエージェンシーという社名だったが、2014年に始めたパークシェアサービス「akippa」が軌道に乗り、2015年に社名も「akippa」に変更した。

写真は「akippa」の駐車場。使わない車庫を駐車場として貸し出す、パーキング版の民泊サービスだ

写真は「akippa」の駐車場。使わない車庫を駐車場として貸し出す、パーキング版の民泊サービスだ

akippaでは、このサービスの魅力として、“予約可能”、“格安料金”、“事前決済”の3つをあげている。駐車場を利用したい人は、スマートフォンのアプリをダウンロードして、会員登録を行い、出かける場所を入力するだけ。地図上に料金が書かれたグリーンのボタンがたくさん出てくるので、その中のひとつを選ぶと詳細画面に変わる。車種や時間が条件に合えば、 利用したい時間を入力し、支払い方法を選んで予約ができるのだ。

今では駐車場の空き状況をインターネットで見ることができるようになった。でも、その駐車場に行ってみたら、タッチの差で満車になっていたということもある。その点、駐車場が予約できるakippaには大きなアドバンテージがある。

akippaは民間の駐車場を貸すので、当然ながら駐車場を貸したい人に登録してもらうことも必要になる。こちらもアプリで情報を入力するだけ。審査に通れば、その駐車場がアプリに掲載される。なお駐車場の所有者には、駐車料金の60%が入る仕組みだという。

料金については、筆者が先日試したところ、渋谷から徒歩圏内で15分90円という格安駐車場があった。 近隣のコインパーキングは15分で200から300円というのが相場だったから、たしかに安い。安さにひかれて駐車場に行ったら、所有者から全然違う料金を提示されてトラブルになる…という心配もなさそうだ。事前にクレジットカードなどで決済するからである。

akippa自身が駐車場を所有しているわけではなく、アプリを介して所有者と利用者のマッチングを行うだけ。つまりライドシェアのサービスと、とても似ている。そしてライドシェアや民泊は、今や世界の多くの人に利用されている。

パークシェアもそれらと同じように、急ピッチで浸透している。akippaはすでに、コインパーキング業界第3位に相当する約7500か所以上の駐車場拠点数を確保しているという。たった2年でこの数字に達してしまったのだ。その勢いはすさまじい。

akippaのアプリ画面。都心なら駐車場はかなり豊富。料金もさまざまだ

akippaのアプリ画面。都心なら駐車場はかなり豊富。料金もさまざまだ

街中のバレットパーキングサービスや、空き家の駐車場を利用したカーシェアリングなどユニークな試みも登場

LINE、ヤマハ発動機、京浜急行など、さまざまな分野の企業と駐車場との連携も急ピッチで進んでいる。パークシェアサービスは、「トメレタ」や「軒先パーキング」など、「akippa」を含めてなぜか日本語の名称が多いが、競合する会社も続々と参入しており、いまやコインパーキング業界に近い状況になりつつあるようだ。
 
こうした動きに対して、もちろん既存のパーキング業界も対抗策を次々に打ち出している。業界最大手の「パーク24」は、まず今年2月から8月まで、東京の銀座周辺で、同社が運営する「タイムズクラブ」会員向けとして、利用者が指定した日時・場所でクルマを預け、帰りも好きな時間に指定の場所でクルマを受け取りできる、街中でのバレットパーキングのサービスの実証実験「銀座バレットサービス」を行った。

高級ホテルや百貨店などで提供されることの多いバレットパーキング(Valet Parking。バレーパーキングとも呼ぶ)のサービスを街中で展開したもので、料金は3時間3000円(駐車料金含む)、以降1時間ごとに1000円と、銀座だけあって少々高めだが、駐車場までクルマを出し入れしたりする手間や時間が省けることを考えれば、ありがたいサービスと言えるだろう。

乗降スペースから車庫までの出し入れを係員が代行してくれるバレットパーキング。ホテルなどでは一般的だが、この夏銀座で実証実験が行われた

続いてパーク24は8月、パークシェアにも参入した。こちらもタイムズクラブ会員向けで、名称は「B-Times(ビィ・タイムズ)」という。専用アプリを使って駐車場の所有者と利用者のマッチングを行う方法はakippaなどと同じだが、同社が運営するカーシェアリングやレンタカーなどで使えるeチケットを付与するキャンペーンを展開したり、JR東日本など大手企業の駐車場との契約を進めたり、最大手らしい幅広く安心感の高いサービスをアピールしている。

パーク24のパークシェア「B-Times」はタイムズクラブ会員向けにサービス中だ。アプリを使ってマッチングを行う点は「akippa」などと同じ

さらにパーク24は今月、「ALSOK」のブランドで知られる「綜合警備保障」と組んで、現在話題となっている空き家対策の一環として、空き家の駐車場をカーシェアリングのステーションとして活用する取り組みも始めている。

ALSOKは2012年から、空き家の所有者に向けて、現場状況確認や投函物の回収・整頓などを行う管理サービス「HOME ALSOKるすたくサービス」を始めている。今回は、このサービスの利用を検討する人に対し、空き家となる期間中、カーシェアリング事業を行うパーク24の子会社「タイムズ24」がステーション設置の案内を行うものだ。

空き家の所有者が興味を持った場合、タイムズ24が駐車スペースの調査を行い、車両ステーションの設置が可能かどうかを診断。問題がなければステーションとして稼働する。空き家の所有者はステーション設置によって賃料収入が得られるし、空き家へ帰宅した際にはカーシェアリングが利用できるなどのメリットがある。

路上駐車スペースは1台ごとの枠から、帯にすべき

フランスの路上駐車といえば、バンパーで押し出すスタイルが有名だが、駐車場に対する考え方や仕組みの違いがその背景にある

ここまでは道路以外の駐車場の最新事情を紹介してきたが、もうひとつ、路上駐車スペースについてヨーロッパの例を出しながら、筆者なりの提案を綴っていきたい。

パリの街中の写真を見ると、道路の脇に駐車車両がビッシリ並んでいる光景を目にする。車両と車両の間隔はほとんどなく、どうやって出し入れするのか、疑問に思っている人もいるだろう。これらの車両は、低速でバンパーを軽く接触させ、前後のクルマを押し出しながら出入りしているのだ。日本ではバンパーに傷がついただけで大騒ぎするユーザーもいるが、そもそもバンパーとは車体の損傷を防ぐ衝撃吸収のためのパーツ。フランスの人たちはバンパーを本来の機能どおりに使っているわけだ。

でも、この駐車方法が使われる背景には、日本と違う駐車場のレイアウトがある。日本の路上パーキングスペースは1台ごとの枠になっているが、フランスのそれは、何台ものクルマが共有する帯になっている。だから小さいクルマのほうが有利だし、トヨタ「i-ROAD」や日産「ニューモビリティコンセプト」などの超小型モビリティなら、縦方向に停めることもできる。
改めて言うまでもないけれど、環境対策には小さいクルマのほうが有利だ。しかも日本には軽自動車という小型の規格もある。すべてのクルマが小さくなれば、渋滞も少しは緩和されるだろう。いろいろな面で、都市にメリットを与える、枠から帯への転換、日本でも実施してもらいたい。

近い将来、登場が予想される小型のスマートモビリティは、帯状の駐車スペースとの相性がいい。そういう観点からも路上の駐車スペースは、現状の枠よりも帯にしたほうがよさそうだ

森口将之

森口将之

1962年東京都生まれ。自動車業界のみならず、国内外の交通事情や都市計画を取材しメディアを通して紹介。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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2017.10.18 更新
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