大ヒットした初代のよさをそのままに、より上質な「大人の走り」に

マツダ、新型「CX-5」開発者インタビュー&試乗インプレッション

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2017年2月2日よりマツダの新型「CX-5」の発売が開始された。新世代のCX-5は、どのようなクルマなのだろうか? モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏が、開発者へのインタビューと試乗インプレッションを通じて解説する。

フルモデルチェンジした、マツダのヒットモデル「CX-5」。評価の高かった初代モデルから走りやエクステリアは継承しつつ、全領域での魅力アップを目指したという

奇をてらわずに愚直に磨き上げました

マツダ 商品本部 主査 児玉眞也氏

マツダ 商品本部 主査 児玉眞也氏

鈴木:まず、新型の開発にあたってのコンセプトは何でしょうか?

児玉:ビジネスマンの側面で言えば、高い評価をいただけた初代CX-5の勢いを継続維持していくことがひとつあります。そのために商品開発側の志としては、とにかく全部の領域で初代から一段以上レベルを上げることを目指しました。やはり初代がビッグヒットなので、それだけ保有するお客さんがいらっしゃる。ビジネスマン的な言い方をすると、その顧客を防衛する。よそに流出しないようにしないといけません。4〜5年たって、初代のお客さん自身も成熟なされています。そこでクルマも成長進化させて、もう1回選んでいただきたいなという思いです。

鈴木:それがビジネス面ですね。

児玉:開発の方向性は、いわゆる奇をてらって目新しさを出したり、変えるために変えるということはしません。初代がオールラウンダーで高い評価を得たからこそ、本質的なところ、静的な質感・動的な質感というところをていねいに熟成させました。目新しさではなく、熟成を愚直にやりましょうというのが志の部分です。

鈴木:ただ、今回の場合、ハードウェア的に新しいものがありません。それで先代よりもよいものを作ろうというと、相当に厳しいのではないでしょうか? プラットフォームもエンジンも先代からのものですよね? 

児玉:プラットフォームはキャリーオーバーだと皆さん誤解なさっています。確かに基本構造は一緒なので、これが次世代のプラットフォームとは言えません。でも、いわゆるプラットフォーム領域は、板厚変更や材料変更などで、ちょうど半分がキャリーオーバーで、残り半分が新設です。完全なキャリーオーバーではありません。

プラットフォームは前モデルからの持ち越しだが、板厚や材料を変更するなど改良されている部分も多い

プラットフォームは前モデルからの持ち越しだが、板厚や材料を変更するなど改良されている部分も多い

鈴木:ならば、今までは第6世代のクルマと呼んでいましたが、今回の新型CX-5は、6.5世代ということでしょうかね?

児玉:会社の中では、6.5世代と言っていたりしますが、デザインは6.9だと言っています(笑)。

鈴木:次に向かってひとつずつ積み上げたという感じですね(笑)。では、お客さんや読者へのメッセージをいただけないでしょうか。

児玉:乗り込む前には外観を見ていただいて、きれいな赤を見ていただきたいですね。そこで上質な大人っぽい感じで、「乗ったらどうなんだろう?」という期待を抱いていただきたい。そして乗り込んでドアを閉めた瞬間の音の収まりの上質な感じ。そこから走り出すと、すごい軽快だと。お客さんの言葉を借りると、「CX-5という大きさと重さを感じさせない。いい意味で、CX-3に乗っているよう」なフィーリングです。視点が高いことによる、SUVの視界のよさも体感してほしいですね。そして、操縦安定性もスッキリとして運転もしやすいというところを感じてほしい。そしてこれは新旧を乗り比べないとわからないんですけれど、圧倒的に静かになっていますと。そういう部分を感じてほしいですね。

イメージカラーは、新色の「ソウルレッドクリスタルメタリック」。透明感のある魅力的なカラーだ

イメージカラーは、新色の「ソウルレッドクリスタルメタリック」。透明感のある魅力的なカラーだ

鈴木:本当に質感は高いと思いました。ステッチも本物ですよね。

児玉:そうなんです。本当はケチっていくと、「後はプリントでもいいかな」とか、「ダブルでもなくてもいいかな〜」となるんですけれど……。今回はマツダの二大弱点だと僕もみんなも思っている「NVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)」とインテリアに関して、徹底的に直したいという思いがありました。そのためデザイナーは一歩も引きませんでした。ケチるというかフェイクを入れて、1か所でもほつれると、そこから全体の印象が「やっぱりダメだね〜」となってしまいます。今回は、デザインの中に本物感とか匠の技を感じさせようというのが狙いだったので、「後席もケチらないよ!」とやりました。

大幅に上がったインテリアの質感は、新しいCX-5の大切な魅力

大幅に上がったインテリアの質感は、新しいCX-5の大切な魅力

インテリアに多用されるダブルステッチはフェイクではなく本物。こうした細部のこだわりが質感を高めている

インテリアに多用されるダブルステッチはフェイクではなく本物。こうした細部のこだわりが質感を高めている

マツダの持つ最新テクノロジーを満載した充実の内容

マツダの第6商品群のトップバッターとして2012年に誕生したCX-5。スカイアクティブ技術の採用や、「魂動(こどう)」デザインを採用したCX-5をはじめとする第6商品群は世界中で高い評価を得る。また、世界的なSUVブームが到来したこともあり、CX-5は世界中で大ヒット。今ではマツダの世界販売の1/4を占める主力モデルに成長している。

先代のCX-5は、マツダの好調を支える第6商品群のトップバッターとして登場。マツダのイメージを変えたクルマでもある

そして第2世代のCX-5は、スカイアクティブ&魂動デザインという基本はそのままに、より磨きをかけて登場した。デザインの洗練は誰の目にも明らかなもの。得意の運動性能は、ステアリング操作にエンジン制御をあわせる「G-ベクタリング・コントロール」の採用でより高いレベルに昇華している。パワートレインは2.2リッターのディーゼルと、2.5リッターおよび2リッターのガソリンの3種類を用意。最高出力は2.2リッターのディーゼルが129kW(175PS)/420Nm、2.5リッターのガソリンが140kW(190PS)/251Nm、2リッターが114kW(155PS)/196Nmだ。JC08モード燃費は、ディーゼルのFFが18.0km/l、4WDが17.2〜17.6km/l。2.5リッターのガソリンのFFが14.8km/lで4WDが14.6km/l。2リッターが16km/lとなる。組みあわせるトランスミッションは6AT。ガソリンの2リッターはFFのみだが、ほかはFFと4WDが用意されている。

マツダ車で採用の進む、車を曲がりやすくさせる新技術「Gベクタリング・コントロール」は、CX-5にも搭載されている

エクステリアに見合ったスタイリッシュな室内空間。前モデルと比較して、インテリアの質感向上は目ざましい

エクステリアに見合ったスタイリッシュな室内空間。前モデルと比較して、インテリアの質感向上は目ざましい

運転支援系も大いに進化した。「ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール。マツダでは、「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール」と呼称)は走行領域を拡大。停止を含む0〜100km/hでの追従走行が可能となった。また12分割のLEDブロックを使う「アダプティブLEDヘッドライト」を採用。12ブロックを個別に点灯/消灯させることで、視界を確保しつつ対向車の眩惑を防ぐことができる。また、衝突被害軽減自動ブレーキ(AEB)もアップデートされており、車両や歩行者を検知するだけでなく、標識を認識してディスプレイに表示する機能も加わっている。さらに時速60km以上でステアリングに介入して車線逸脱を防止するレーンキープ・アシスト・システムも用意。最新の運転支援システムを、しっかりと揃えている。

12分割のLEDブロックを使う「アダプティブLEDヘッドライト」を採用。対向車を眩惑せずに視界を確保できる

12分割のLEDブロックを使う「アダプティブLEDヘッドライト」を採用。対向車を眩惑せずに視界を確保できる

停止を含む0〜100km/hでの追従走行に対応したACCを搭載。運転支援システムも利用シーンが広がり実用性が高まった

標識を認識してディスプレイに表示する「交通標識認識システム(TSR)」も搭載。これも最近のマツダ車で搭載が進んでいる機能だ

少年が青年になったような成長を感じることができた

さて、2代目CX-5に試乗して、すぐにわかるのはインテリアの質感の向上だ。走っているときの静粛性も圧倒的に高まっている。これまでのCX-5は、エクステリアや走りの質感の高さほどに、インテリアの質感が届いていないというイメージがあった。しかし、新しいCX-5は、エクステリアから期待する内容以上のインテリアを手に入れていた。これには驚いた。

質感だけでなく、静粛性も高まり、室内空間の快適さが高められている

質感だけでなく、静粛性も高まり、室内空間の快適さが高められている

パワートレインの洗練も進んでいる。ディーゼルエンジンには、ピストンにダンパーを組み込んだ「ナチュラル・サウンド・スムーザー」と、燃焼を制御する「ナチュラルサウンド周波数コントロール」を採用。耳ざわりなディーゼル特有の硬いエンジン・サウンドが、やわらかな音質に変化している。これなら長時間のドライブでのサウンド面からくる疲れは、相当に緩和されるだろう。ちなみにディーゼルの低回転からの力強さと燃費性能の高さは魅力的だが、2.5リッターのガソリンも悪くない。高回転までストレスなく、軽快に回り、キビキビとリズミカルに走ることができたのだ。車両価格の手頃さを狙うならば2.5リッターガソリンもいいだろう。

ディーゼルのパワフルさとランニングコストのよさは新型でも魅力的。だが、車両価格の安いガソリンエンジンも独自の魅力がある

ディーゼルエンジンに備わる「ナチュラル・サウンド・スムーザー」は、コンロッドとピストンをつなぐ部分につけられる一種のばね。振動を吸収することでディーゼルエンジンならではの騒音を抑える

クルマ全体の動きは、マツダの統一的なキャラクターである「人馬一体」感あふれるものだ。ただし、旧型と乗り比べると変化があった。旧型モデルのハンドリングはソリッドそのもの。ただし、インテリアの質感が新型ほどではなくノイズも多い。悪くはないのだが、新型ほど成熟していないという印象だ。いっぽうの新型はゆったりと落ち着き感が増している。旧型が汗を感じさせる若々しい少年のようであれば、新型はパリッとしたスーツをきた青年といったところ。なるほど、開発者が言うような、成長するクルマを見たような試乗であった。

マツダが追求する人馬一体はそのままだが、内外のデザインや静粛性などがブラッシュアップされている

マツダが追求する人馬一体はそのままだが、内外のデザインや静粛性などがブラッシュアップされている

鈴木ケンイチ

鈴木ケンイチ

新車のレビューからEVなどの最先端技術、開発者インタビュー、ユーザー取材まで幅広く行うAJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

製品 価格.com最安価格 備考
CX-5 2017年モデル 0 2世代目に進化しマツダの人気SUV
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2017.3.22 更新
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