特別企画
おいしさの秘密を、まるか食品まで行って聞いてきた!(前編)

保存版!? 「ペヤング ソースやきそば」大解剖 〜おいしさの秘密〜

カップ焼きそばの勢力地図は、“西の「U.F.O.」、東の「ペヤング」、北海道は「やきそば弁当」” というのが定説。なので東日本の人間は、カップ焼きそばというとほぼこの四角いフォルムの「ペヤング ソースやきそば」を思い浮かべるはずだ。近年は、それまでの激辛カップ麺の歴史を塗り替える「ペヤング 激辛やきそば」や、一面パクチーで埋め尽くす「ペヤング パクチーMAXやきそば」など、アグレッシブな商品展開でも話題。今回はペヤングファン歴30年以上の筆者が、改めて「ペヤング ソースやきそば」のおいしさの秘密を、製造元のまるか食品(群馬県伊勢崎市)に行って聞いてきた。

まるか食品「ペヤング ソースやきそば」。誕生は、カルビーが「ポテトチップス」を発売した年でもある1975年

<後編はこちら>「ペヤング ソースやきそば」キワモノの歴史 〜激辛誕生から現在まで〜

基礎知識編 最初は焼きそばブランドではなかった「ペヤング」

まるか食品が1973年に生んだペヤング・ブランド第1弾は、焼きそばではなく「ペヤングヌードル」というカップラーメンだ。当時はインスタント袋麺に比べてカップ麺は高級品。そこで、ヤングな2人がペアで分け合いながら味わってほしいという意味を込め、「ペア+ヤング」で「ペヤング」と名付けられたのだ。

シンプルすぎるパッケージデザインが特徴の「ペヤングヌードル」。東北地方では、「ペヤング」といえばこちらを指すことが多いそう

<関連記事>販売休止から約2年…幻の「ペヤングヌードル」がついに復活!

そして、史上初となるカップ焼きそば、恵比寿産業「エビスカップ焼そば」が誕生した1974年の翌年、「ペヤング ソースやきそば」は誕生する。ちなみに、湯切りの湯をスープとして再利用することで知られる北海道定番のカップ焼きそば、東洋水産「マルちゃん やきそば弁当」と同年だ。

旧パッケージの「ペヤング ソースやきそば」(2015年以前)は、パカっと全体が開くフタが特徴。湯切り時にフタが外れてしまい、中身がシンクにぶちまけられてしまうあるあるは”ペヤングだばあ”と呼ばれ、2008年頃にはニコニコ動画上で同名オリジナルソングが生まれるほどのブームになった

現在は、密閉度の高いフィルム包装に変化したが、往年のフタをプリントで再現している。この変化で、物理的に”ペヤングだばあ”は過去のものとなった

当時画期的だったのは、縁日などの屋台の焼きそばにインスピレーションを得た角型容器と、史上初の液体ソースの採用だ。パッケージの「Big」の文字は、当時60〜65g程度の基準だった麺量を一気に90gの大容量にしたことから来ているという。

90gという麺量は今でこそ珍しくないが、発売当時は衝撃の麺量だったという

90gという麺量は今でこそ珍しくないが、発売当時は衝撃の麺量だったという

メーカー担当者に聞く、おいしさの秘密

基礎知識をおさらいしたところで、メーカー担当者に「ペヤング ソースやきそば」のおいしさの秘密を聞くために、筆者は群馬県伊勢崎市にある、まるか食品へと向かった。都心から電車・バスを乗り継いで、さらに歩くこと約1.2km。約3時間弱の行程だ。近くには雄大な利根川が流れ、そこかしこに畑が広がっている。最寄りのバス停近辺にはそれらしき建物は見当たらず、歩き続けて看板が遠くに見えた時には本当にホッとした。

周囲に目印があまりないので、不安だらけ。看板を見つけて感無量

周囲に目印があまりないので、不安だらけ。看板を見つけて感無量

まるか食品は群馬県が誇る優良メーカーだ。「ペヤング ソースやきそば」は、ある意味群馬県の特産品として語られることも多い。30年以上「ペヤング ソースやきそば」を食べ続けてきた筆者にとって、ここに来るのは非常に感慨深い

こちらが工場。日々生産される「ペヤング ソースやきそば」は、ここからペヤングロゴの入ったトラックで出荷される

社内には、イベントなどで使われる特製屋台が!

社内には、イベントなどで使われる特製屋台が!

受付横には、現行ラインアップがずらり!

受付横には、現行ラインアップがずらり!

「発売当時の味をずっと守り続けています。つねに味調整を行っているメーカーも多いようですが、『ペヤング ソースやきそば』は一切変えていません。これは社内全員の統一意志ですね。このおいしさを変える必要はないと全員が思っているんです」

クールな眼差しでそう語ってくれたのは、まるか食品株式会社 事務本部製品開発課係長の小島裕太さん。1975年発売の時点で、そのおいしさは完成されていたという。

地元群馬県で生まれ育った群馬ラブの小島さんは、テレビ番組でダウンタウン・松本人志やマツコ・デラックスと共演したこともある、激辛シリーズの仕掛人。「地元で就職したい」との強い想いから、まるか食品に入社したとか

ソースの秘密

「おいしさの特徴は、史上初の液体ソースで実現したウスターソースベースの奥深い味わいです。こってりしていないのに旨味があり、コクがある。この味はどこにも出せないと思いますね」

ペヤングのソースは、近年こってり系の甘いソースが多い中、あっさりしている印象。しかしその色味は濃く、光をほとんど通さない

ソースといえば、近年カップ焼きそばシーンで人気の高いのが、マヨビームの「一平ちゃん 夜店の焼そば」(明星食品)に端を発する、マヨネーズを加える傾向。それについて、ペヤングはどうなのか。

「もちろん試してみたことはあります。2007年に発売もしました。でも、正直このソースにはマヨネーズは合わないと思うんです。なので、基本的には必要ないと考えています」

なるほど、流行しているからといって、何でも取り入れることはないのがペヤング・ポリシーのようだ。

麺とかやく

「油で揚げた麺をお湯で蒸らして湯切りして食べるのがカップ焼きそば。焼いていませんが、これは各メーカー共通のことなので……(笑)。麺はソース吸収率が高いように小麦粉の配合を工夫した、油揚げ麺を使用しています。それからキャベツも品質のよいものを選ぶようにしています。肉は、鶏肉のミンチですね」

風味をつけるために、カップ麺で採用されることの多い味付け麺。しょうゆと塩もあらかじめ練りこまれている

風味をつけるために、カップ麺で採用されることの多い味付け麺。しょうゆと塩もあらかじめ練りこまれている

激辛シリーズの仕掛け人というから、さぞワイルドな人かと思ったが、穏やかなお人柄

激辛シリーズの仕掛け人というから、さぞワイルドな人かと思ったが、穏やかなお人柄

鶏肉特有のすっきりした旨味がファンにはたまらない

鶏肉特有のすっきりした旨味がファンにはたまらない

ふりかけ・スパイス

「そして焼きそばの味わいをしっかり決めるのが、このふりかけとスパイスです。スパイスはコショウ類で、ふりかけはアオサとゴマがメインですが、僕が最高にいい仕事をしていると思うのは、紅生姜ですね」

あっさりまろやかなソースに紅生姜、鶏ミンチが加わってできあがるゴールデントライアングルが、ペヤング ソースやきそばの味の中核なのかも。確かに、そこにマヨネーズの付け入る隙はないと感じる完成度だ。

味の決め手はふりかけの中のピンクの小粒(紅生姜)

味の決め手はふりかけの中のピンクの小粒(紅生姜)

素朴な疑問1 ちょい足しは果たしてペヤングをおいしくできるのか?

「僕は商品開発が仕事なので、いろいろな情報が入ってくると、ひと通り試してみます。おもしろいですね、みんな。でも、なかなかこれだというものには、まだ出会っていません。確かに味の変化はするので、しょっちゅう食べている人には新鮮だと思うのですが……。お湯に日本酒を混ぜるというのも聞いて試してみましたが、おいしくなったような気がする……、というレベルでした。それに、メーカーとして公式にちょい足しのおすすめはしづらいです(笑)」

もちろん、自己責任で何を加えるのかは自由だ。小島さんにも、それを止める権利はない……

もちろん、自己責任で何を加えるのかは自由だ。小島さんにも、それを止める権利はない……

素朴な疑問2 普通サイズだと物足りないけど、超大盛りは多すぎる……。ちょうどいいのはないの!?

「これはよく聞かれるんですが、実は1.5倍サイズで正方形の「ペヤング 大盛やきそば」は、1998年に発売して好評だったんです。その後、2倍サイズの「ペヤング 超大盛やきそば」を出したところそれが人気になり、少なく食べたい人は通常サイズ、たくさん食べたい人は「ペヤング 超大盛やきそば」という2極化が進みました。結果、1.5倍は中途半端だったのか、人気がなくなってしまい廃番になってしまったんです」

いきなり通常の倍量になる「ペヤング 超大盛やきそば」

いきなり通常の倍量になる「ペヤング 超大盛やきそば」

漫然と作ってない? 「ペヤング ソースやきそば」の本当においしい作り方

「今一度、パッケージや中のフタにプリントされている作り方を読んでほしいんです。そこには『ペヤング ソースやきそば』を最良の状態で食べることのできる作り方が書いてあります。例えば、ポットのお湯でなく、沸かしたての熱湯を使うだけでも格段においしくなるんですよ」

なかなかしっかりは読んでいない作り方手順

なかなかしっかりは読んでいない作り方手順

グラグラに煮立った熱湯で作ろう

グラグラに煮立った熱湯で作ろう

まさか先にソースを入れてしまう人はいないだろうが、かやくのみが先入れ。ちなみに、麺の脇の方に入れて振るとかやくが麺の下の方に入り込むので、フタを開けた時にかやくがフタに付きにくい

「それから時間ですね。しっかり3分間測るのも大事です。2分でも4分でもなく、3分で最高においしくできあがるように調節しているので」

シビアに測るのにキッチンタイマーは強い味方。本来の味をしっかり知ってから、「自分は硬めのアルデンテが好みだから2分で」などとアレンジを加えていくのが筋だろう

“ペヤングだばあ”を過去のものにしたシール式湯切り口

“ペヤングだばあ”を過去のものにしたシール式湯切り口

フタ表面に描いてあるイラストは、湯切り口を向こうにして湯切りしているが、手前にするとよりしっかりと湯切りしやすい。このくらい傾けても麺はこぼれない

「湯切りをしっかりすることによって、液体ソースが薄まりにくくなって、おいしくなります。あと湯切りの時は、書いてある通りフタの☆印の部分を持つと安定しやすいんですよ」

確かに、持ちやすい!

確かに、持ちやすい!

しっかりとよく混ぜるのも大切だとか

しっかりとよく混ぜるのも大切だとか

パッケージにプリントされている方法で作ると、本当に屋台でやわらかめに炒めたやきそばっぽいおいしさがある。好みはあるだろうが、「ペヤング ソースやきそば」が目指す味はこの方法でこそ、再現できるのだろう。

「ペヤング ソースやきそば」の味は変えません! でも……

「この先も、『ペヤング ソースやきそば』の味を変えるつもりはありません。ただ、スーパーなどで特売品として売りたいという希望から生まれた、廉価版ペヤングとも言うべき『ペヨング ソースやきそば』(2016年3月発売)は、生産が追いつかないほどのヒットになっています」

味やかやくもちょっと落としたところでまとめたペヨングの成功は、ここまでだとは思っていなかったと、小島さんは言う

「ペヨングもそうですが、激辛シリーズ、MAXシリーズなどで冒険ができるのは、やはり『ペヤング ソースやきそば』がその中心にしっかりとあるからなんですよね。その味をきちんと守っているから、世間的には大胆すぎると言われるチャレンジも可能なんですよ」

自社でニセモノを作ろうという心意気だったという「ペヨング ソースやきそば」(写真右)。それが何と日本食糧新聞 食品ヒット大賞 優秀ヒット賞を受賞するほどの成功となった

後編では、「ペヤングソース焼きそば キワモノの歴史 〜激辛誕生から現在まで〜」という、賛否両論・話題騒然の製品にスポットを当てて、引き続き小島さんに話を聞いていくので、お楽しみに!

<後編はこちら>「ペヤング ソースやきそば」キワモノの歴史 〜激辛誕生から現在まで〜

清水りょういち

清水りょういち

元「月刊歌謡曲(ゲッカヨ)」編集長。今はめおと編集ユニット「ゲッカヨ編集室」として活動。家電や雑貨など使って楽しい商品のレビューに命がけ!

紹介した製品の最新価格・クチコミをチェックする
関連記事
カップ麺・インスタント食品のその他のカテゴリー
「価格.comマガジン」プレゼントマンデー
ページトップへ戻る