特別企画
おいしさの秘密を、まるか食品まで行って聞いてきた!(後編)

「ペヤング ソースやきそば」キワモノの歴史 〜激辛誕生から現在まで〜

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前編では、ペヤング愛好歴30年の筆者が、製造元であるまるか食品(群馬県伊勢崎市)を訪れ、「ペヤングソースやきそば」について話を聞いた。しかし、「ペヤング」で忘れてはならないのが、「変わり種」「キワモノ」と呼ばれる冒険商品群だ。実は今回、ペヤングの歴史について教えてくれているまるか食品株式会社 事務本部 製品開発課係長の小島裕太さんこそ、「ペヤング 激辛やきそば」を世に送り出し、MAXシリーズでヒットを飛ばし続けている人物なのだ。キワモノの歴史についても聞いてみよう。

王道である「ペヤングソースやきそば」だけでなく、近年熱い視線を浴びているのが、変わり種〜キワモノに分類されるチャレンジングな製品群だ

<前編はこちら>保存版!? 「ペヤングソース焼きそば」大解剖 〜おいしさの秘密〜

「やるならいっそ、とことんまで極めたかった」。阿鼻叫喚のMAXシリーズ誕生!

少し前までのカップ麺に共通していたこと。それはパッケージに「激辛」と書いてあっても、それほど辛くないということだ。食品メーカーは専門店とは違い、一般消費者を相手にする宿命ゆえかもしれないが、“激辛が本当の激辛でない”時代が長く続いた。なので、インスタント麺に激辛を求める人々は、韓国メーカー・農心の「辛ラーメン」に手を出さざるを得なかった。

そんな中、2012年に登場したのが「ペヤング 激辛やきそば」。当時のことは昨日のように覚えているが、パッケージに施された、その後のシリーズ名称の元となる「辛さレベルMAX!!」の文字を眺めつつも、警戒心は皆無。「またどうせ、ほどよいレベルの激辛なんじゃないの」とタカをくくっていた。

MAXシリーズの原点、2012年 2月に産声を上げた「ペヤング 激辛やきそば」。すべてはここから始まった!

MAXシリーズの原点、2012年 2月に産声を上げた「ペヤング 激辛やきそば」。すべてはここから始まった!

ところが、食べてびっくり。火を噴くレベルの本格的な辛さだ。途中で何度も断念したくなるほどのMAXぶりに度肝を抜かれた。まるか食品という会社は、このレベルを商品化して流通させるのか……。そしてその問題作は、ぬるま湯に浸っていたカップ麺シーンを激震させた。この真の激辛製品の成功をきっかけに、他メーカーでも看板に偽りのない激辛商品が登場するようになる。カップ麺シーンの歴史は、「ペヤング 激辛やきそば」以前と以降で、大きく変わったと言えるだろう。

「どうせやるなら、とことん辛いものを作りたかったんです。もちろん社内では議論が紛糾しました。結果的に『ペヤング 激辛やきそば』は、これでも辛さを落としての発売だったんですよ」
そう語る小島さん。穏やかに見えて、なかなか攻撃的な仕事ぶりだ。

「本当はもっと辛くしたかったんです」

「本当はもっと辛くしたかったんです」

「それに、うちには立派な『ペヤング ソースやきそば』という押しも押されもしない人気商品があります。そこさえ味を変えずにしっかりしていれば、ほかはより極端な方向にチャレンジしていって構わないんじゃないかと」

そうして誕生した「ペヤング 激辛やきそば」は、予想に反して大きなヒット商品となった。つまり小島さんの、「時代は極端を求めている」という感覚は大当たりだったのだ。そしてこの成功が、「MAXシリーズ」の誕生につながる。

「パッケージにあった"MAX"は、そのあとに続く極端な味わいの商品シリーズ名になりました。何事も極めることで話題になれる、興味を持ってもらえるんだと実感しましたね。何よりも手にとってもらわなければ、話は始まらない。購入されることもない。だから店頭に置いて、ひと目で手に取ってみたくなるようなコンセプトで、それ以降の商品開発を進めました」

MAX シリーズ第2弾として2015年11月に投入されたのが、圧倒的なにんにく臭とジャンキーな味わいがインパクト大な「ペヤング にんにくMAXやきそば」である。

「まわりの人に迷惑がかかります」という冗談のような警告文とともに登場した「ペヤング にんにくMAXやきそば」(2015年11月発売)

「この商品で極めたかったのは、もちろんニオイです。クサいならクサいで、その限界に挑戦したかったんですよ」
この挑戦は、SNSを中心に大いなる話題を呼び、店頭でも手に取る人が格段に増えたという。

そして、次なるターゲットは意外なことに、わかめだった。

「ペヤング わかめMAXやきそば」(2016年11月発売)

「ペヤング わかめMAXやきそば」(2016年11月発売)


「これはもう、見た目ですよね。わかめで一面真っ黒になるくらい大量に具材を入れました。これもSNSで非常に盛り上がってくれて、うれしかったですね」(小島さん)

2015年以降のまるか食品は、攻めの企業へと変貌を遂げていた。ブランクを埋めようという気持ちもあったのかもしれない。だがその極端に振れた戦略は、“ペヤングここにあり”と気勢をあげるような、そんな頼もしさをファンとしては感じていたものである。

そして、さらなる問題作として世間の話題をさらったのが、コレ。

一面濃い緑色で染め上げられた見た目も衝撃だった「ペヤング パクチーMAXやきそば」(2016年12月発売)

一面濃い緑色で染め上げられた見た目も衝撃だった「ペヤング パクチーMAXやきそば」(2016年12月発売)

ともすると雑草の海の中に麺が沈んでいるような……。好き嫌いの分かれる食材の代表格であるパクチー。タイ料理を愛する人にとってはうれしいのかもしれないが、一般的に受け入れられるのかどうか、大いに疑問だった。

「徹底的にクセのある味を全面に出したかったんです!」

小島さん、実は相当クセの強い人なんじゃないかと思った瞬間である

小島さん、実は相当クセの強い人なんじゃないかと思った瞬間である

そして、「ペヤング ソースやきそば」はあっさりソースが特徴だが、その逆張りともいうべきなのが「ペヤング 背脂MAXやきそば」(2017年3月発売)だ。

モノクロパッケージが怪しさ極まった怪作

モノクロパッケージが怪しさ極まった怪作

「脂感はどこまで追求できるんだろう? というところでチャレンジしました」

そして、忘れてならないのが酸味。どれだけ酸っぱい焼きそばを作れるのかということで生まれたのがコレ。

「ペヤング 酸辣MAXやきそば」(2017年4月発売)

「ペヤング 酸辣MAXやきそば」(2017年4月発売)

もちろん中華料理に、酸っぱ辛い「酸辣湯麺(スーラータンメン)」という好き嫌いの分かれるメニューは存在するので、自然な流れだったとも言える。ただ、「酸っぱさを追求しました」と微笑む小島さんに、ほんのちょっとだけマッドサイエンティスト感を感じてしまう。

激辛に始まり、見た目、クセ、脂、酸味と来て、てっきり苦味あたりが来るのかなと予想していたところに放たれたのが、「ペヤング 鉄分MAXやきそば」(2017年6月発売)。

もはやターゲットは栄養成分である

もはやターゲットは栄養成分である

そして、取材時点(2018年3月)での最新MAXは、原点に立ち返ったかのような「ペヤング もっともっと激辛MAXやきそば」(2017年11月)だ。

パッケージがもうヤバそう

パッケージがもうヤバそう

「究極の辛さの表現をどうパッケージにすればいいか、散々悩んだんです。それで、苦しむ人間の表情にしたんです」

今年はまだMAXシリーズの最新作は出ていない(2018年3月末時点)。しかしこの沈黙は、嵐の前の静けさなのではないだろうか……。

まだまだあります! 変わり種「ペヤング」の世界

「ペヤング」ブランドは焼きそばブランドではない。前編で紹介したように、東北地方を中心に展開する「ペヤングヌードル」というラーメンも発売しているし、廉価版のサブブランド「ペヨング」もある。最近ではもはや麺でもなく春雨を使った「ピーヤング 春雨」(2017年9月発売)という新ブランドも誕生した。

「これは唯一のヘルシー路線ですね。最近は低カロリーや低糖質などの健康を意識したカップ麺も多いですが、うちは今までずっと作っていませんでした。というのも、社内でそうした健康志向が話題に出ると、『本当に健康を意識している人なら、そもそもカップ麺は食べないだろ!』という意見でまとまっていたからです」

「ピーヤング 麻婆春雨」(2018年1月発売、写真下)。このバリエーションとして、「ピーヤング タイ風春雨」(2018年3月発売)と続く

「いろいろな人の意見を参考にして、新しい味を日々試しています」

MAXほど実験的ではないが、変わり味ペヤングも数が多い。もちろん、今は販売されていないものもあるが、話題性の高い商品は多かった。一体どうやってこうした変わり味は開発されているのだろうか。

「社内で発案するものもあれば、営業マンが商談中にヒントをいただいたものもありますし……。つねにWebやSNSなどもチェックして、流行があれば取り入れられないか考えています」

身近なところからアイデアを得ているというのが、意外といえば意外だった。話題作の中には、バレンタインをターゲットに盛り上がったチョコ味焼きそば「ペヤング チョコレートやきそばギリ」(2017年1月発売)という、ネタにしかならない商品もあったし、普通においしかった2013年7月発売の「ペヤング ペペロンチーノ風やきそば」が2017年2月に再登場するなど、温故知新も忘れない。

筆者が近年のけぞったものといえば、もう味というより効果を期待させる「夜のペヤングやきそば 夜食ver.」(2018年1月発売)だ。

焼きそばに、スタミナ(夜)を与えるマカを投入するという発想がいい意味でクレイジーだった。普通においしいところがまた……

ここまで、ともするとペヤングが話題性ばかりを追いかけているような印象に感じられていたら申し訳ない。もちろん、味の追求という意味でもおいしいものは結構ある。現行商品として販売されている中で、筆者がとくにおいしいと感じたのは、「ペヤング 塩ガーリックやきそば」と「ペヤング 豚骨醤油やきそば」だ。

本当においしいにんにく味を追求した「ペヤング 塩ガーリックやきそば」(2018年2月発売)

本当においしいにんにく味を追求した「ペヤング 塩ガーリックやきそば」(2018年2月発売)

香ばしさがうまい「ペヤング 豚骨醤油やきそば」(2018年 3月発売)。脅かすようなパッケージの割には、普通においしい油そばの感覚だった

取材時、1番新しい商品だった「ペヤング ピリ辛野菜炒め風やきそば」(2018年3月発売)も気になる存在だ

取材時、1番新しい商品だった「ペヤング ピリ辛野菜炒め風やきそば」(2018年3月発売)も気になる存在だ

激辛と辛さゼロを合体させるという発想が斬新な「ペヤング 超大盛やきそばハーフ&ハーフもっともっと激辛×辛さゼロ」(2018年2月)。でも、中和してちょうどよくなるわけじゃない

小島さんの自信作は?

どの製品も同じように我が子なわけで、優劣をつけるわけにはいかないと思うが、やはり気になるので、最近の製品で1番手応えを感じたものは何なのか、最後に小島さんに聞いてみた。

「しいて言うなら、『ペヤング たこやき風やきそば』(2018年3月発売)でしょうか。これはうまく再現できたと思ってます。評判も上々で」

たこ焼きの味の再現度が見事な「ペヤング たこやき風やきそば」

たこ焼きの味の再現度が見事な「ペヤング たこやき風やきそば」

うん、これは筆者も感動した。タコを入れずにたこ焼き味を再現するという暴挙。しかし食べてみると、かやくの揚げ玉にソースが染みていくことで、屋台で買ったたこ焼きが少し冷めた時のたこ焼きの表面を忠実に再現している不思議。もはや感動の域のフェイクフードになっていた。

これからも驚かせて、楽しませて、おいしくお腹いっぱいにさせるために様々な工夫をしてくれるに違いないと確信させてくれた今回の取材。今後もお世話になっていきたいと強く思ったペヤング党の筆者であった。

<前編はこちら>保存版!? 「ペヤングソース焼きそば」大解剖 〜おいしさの秘密〜

清水りょういち

清水りょういち

元「月刊歌謡曲(ゲッカヨ)」編集長。今はめおと編集ユニット「ゲッカヨ編集室」として活動。家電や雑貨など使って楽しい商品のレビューに命がけ!

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