近年、愛好者が増えている炭酸水。なんだか健康によさそう、普通の水と違ってシュワシュワしていておいしいといった理由で愛飲している方も多いでしょう。本稿では、まず炭酸水についての基礎知識を管理栄養士の新生さんに教えてもらい、その後外国産のおしゃれな炭酸水7銘柄の編集部による試飲レポートをお届けします。ぜひお気に入りの炭酸水を見つけてくださいね!
まず、炭酸水とはどんな水なのか「健康名人の炭酸水レシピ」(セブン&アイ出版)などの著書がある管理栄養士・博士(スポーツ健康科学)の新生暁子さんにお話をうかがいました。
「炭酸とは、炭酸ガス(二酸化炭素)のことで、この炭酸ガスが水に溶け込んだものがいわゆる『炭酸水』です。別名『発泡水』とも呼ばれていますが、シュワシュワとしたきめ細かい泡は、水に溶けきれなかった炭酸ガスが気体になったもの。この泡が口に入れたときの爽快感をもたらし、喉をうるおしてくれるのです」(新生・以下同)
しんじょう・ときこ 08年から高橋尚子率いる「チームQ」に栄養・調理担当としてチームに帯同、その後は特定健診・特定保健指導を開始。15年より東京健康科学専門学校栄養士科の講師に着任。著書多数
炭酸水のあのシュワシュワは、二酸化炭素が溶けたものなんですね。
「日本でいう炭酸飲料は『炭酸飲料品質表示基準』によって法的に決められています。飲用に適した水に二酸化炭素を圧入したもの、これがつまり炭酸水です。さらに、この炭酸水に甘味料、酸味料、フレーバリングなどを加えたものと定義されています。種類によっては『炭酸がきつくて飲みにくいな』というものがあるかもしれませんが、これは炭酸濃度の違いによるものです。つまり炭酸ガスの量が多ければ『炭酸がきつい』と感じるのです。ここでも炭酸飲料と呼んでもよい炭酸のガス圧(炭酸ガスの量の程度)がJSA規格で法的に決められています(温度20度のときのガス圧) 。」
なるほど、炭酸濃度の違いが飲みやすさの違いとなって表れる、とのこと。しかしひと口に炭酸水といってもいろいろな銘柄がありますが、違いは炭酸濃度だけなのでしょうか?
「そもそも炭酸は、天然炭酸と人工炭酸の2種類に分けられます。天然炭酸は、湧水としてくみ上げられるときに二酸化炭素をすでに豊富に含んでおり、天然の状態で発泡しているものです。日本では一部の地域を除きほとんど存在しません」
天然の炭酸水は、ヨーロッパに多くあるイメージですね
「一方、人工炭酸は採水後に二酸化炭素を圧入しているもので、国産の炭酸水として店頭に並んでいる多くのものは、この人工炭酸となります。そして炭酸水の種類を複雑にしているのが、採水されている水の種類です。日本の水の多くは軟水でミネラル分が少なめですが飲みやすい水です。中硬水は、ちょうど軟水と硬水の間に位置し、ミネラル分が適度に含まれています。硬水はヨーロッパなどに多く、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルが豊富です。どのタイプの水に炭酸を加えるかで味も微妙に変わってくるということになります」
炭酸水の個性は、炭酸濃度とミネラル分の含有度合いが決めているんですね。
では、炭酸水を飲むことで体にメリットはあるのでしょうか?
「食前に炭酸水を300〜500ml飲むとおなかが満たされて、食べ過ぎ防止になります。逆に、同じく食前に炭酸水を100〜150ml飲むと、胃が刺激されて食欲が出てきます。炭酸水が体に入ると血行をよくして疲労物質を取り除き、病気や老化の原因の1つとされる活性酸素の働きを抑制する効果があります」
炭酸水を飲むのはいいことずくめですが、飲み過ぎはよくないそうです。
「炭酸水を多く飲めば、いろいろな効果をより得られると期待して、 1.5Lもの炭酸水を一気飲みすると、血中に炭酸ガスが増えすぎて『炭酸酩酊(めいてい)』といって酔っ払ったような状態に陥ることもあるので、気をつけましょう」
炭酸水をそのまま飲む以外に、新生さんおすすめの飲み方はありますか?
「炭酸水だけで飲むのはちょっと……という方には、100%フルーツジュースで割る、果物を入れる(甘味が足らない場合は、はちみつやシロップなどをプラス)、ヨーグルト(ドリンクタイプでもOK)で割るなどの飲み方をおすすめします。炭酸が加わるとなじみの味に変化がついておもしろいですよ。ウイスキーやウォッカ、ジンなどのアルコールを割る飲み方はおなじみですよね」
最後に、市販の炭酸水を選ぶうえで、何か目安などあったら教えてください。
「炭酸ガスの量に注目するとよいでしょう。含まれている炭酸ガスの多い順に並べると、1位:炭酸水(3.0kg/cm2以上)、2位:炭酸水に甘味料、酸味料、フレーバーを加えたサイダーやコーラ、ジンジャーエール、トニックウォーターなど(0.77kg/ cm2以上)、3位:炭酸水に果汁や乳製品を加えた、たとえばクリームソーダなど(0.2 kg/ cm2以上)となります。無味無臭の炭酸水の炭酸濃度が最も高くなっているのは、単独で飲むものではなく、ウイスキーや何かと割って飲むものとして位置づけられていたからだといえるでしょう。最近では炭酸ブームが追い風となり、炭酸の弱い微炭酸タイプや炭酸の強さが中くらいのタイプ、さらに炭酸が強い強炭酸といった、さまざまな種類が市場に出回るようになりました。ご自身の好みやライフスタイルなどに合わせて、炭酸水や炭酸飲料をうまくチョイスしてみましょう」
炭酸水についてわかったところで、市販の炭酸水を編集部で飲み比べてみた結果をレポートします。価格.comの人気ランキングなどを参考に、国外の無味無臭の炭酸水7銘柄を飲んでみました。
「炭酸の強さ」は、おなじみの「コカ・コーラ」を基準とし、★3つがコカ・コーラのシュワシュワ度合いです。
「水の種類」は、WHO世界保健機関による基準値を参考にしました。水1000mlに含まれるカルシウムとマグネシウムイオンの量によって以下の4種類に分類されます。軟水(60ml未満)、ほどよい硬水(60〜120ml)、硬水(120〜180ml)、非常な硬水(180ml以上)。
世界約140か国以上で愛されている南フランス発の炭酸水。
「ヨーロッパの大都市にペリエを置いていないカフェはない」といわれるほどポピュラーな銘柄です。
名前の由来は、ボトルとボトリング技術を開発した「ルイ・ペリエ博士」だそう。
炭酸の強さ:★★☆☆☆
炭酸の種類:天然炭酸
水の種類:非常な硬水
原産国:フランス
・飲んだ感じ
「炭酸水といえばペリエ」という人も多いですよね。とても有名な銘柄です。
海外のミネラルウォーターではおなじみの硬水ですが、そこまで硬水特有のクセは感じないように思います。また、肝心の炭酸ですがそこまで強くありません。微炭酸と呼んでもいいくらいの印象。食卓のお供に「ちょっと風味と爽快感を足したお水」くらいの感覚で楽しめるんじゃないでしょうか。もちろん、普段の水分補給にもゴクゴクいけます。
新生さんも愛飲しているようです。
ドイツで長らく愛されている天然炭酸水。
ほかの多くの銘柄が、天然水に炭酸ガスを充てんしているのに対し、なんとこの銘柄の炭酸は天然。炭酸とミネラルの調和がとれていて、硬度のわりにクセのない味わいが特徴です。
炭酸の強さ:★★★☆☆
炭酸の種類:天然炭酸
水の種類:非常な硬水
原産国:ドイツ
・飲んだ感じ
フタをねじった衝撃が中に伝わった瞬間、すごい勢いで泡が発生。
こいつはかなりの強炭酸か……? と思いきや、口当たりはそこまで刺激的でもありませんでした。何より驚いたのが、硬度が大変高い(1310mg/l)わりに変なクセがない! 正直、軟水だといわれて渡されても気づかない人もいると思います。
ふんわりと感じる「何かの風味」はありますが、これたぶん硬度じゃなくてガスの味じゃないでしょうか? 健康のために飲む人が多いと聞きますが、健康目的じゃなくても楽しく飲めそうな飲みやすさでした。
グリーンの瓶に空色のラベル、赤い星マークが特徴的なイタリアの炭酸水。
強炭酸の流行により刺激的な炭酸水が市場を席巻する中、マイルドな口当たりを追求。
濃厚な料理やワインの口直しとしてイタリアで愛されています。
炭酸の強さ:★★☆☆☆
炭酸の種類:天然炭酸
水の種類:硬水
原産国:イタリア
・飲んだ感じ
ほかの銘柄が続々と「強炭酸」を打ち出してきている中、まさかの「弱炭酸」が印象的な銘柄でした。
「爽やかなのど越しが好きだけど、あまり刺激が強いのはちょっと」という方にいいんじゃないでしょうか。筆者も、ほかの強炭酸銘柄をしこたま飲んだ後にこの銘柄にたどり着いて、ちょっとほっとしました(笑)。泡も細かくて、刺激が少ない。公式ページでも紹介されているとおり「料理の立て役者として」、食卓の名脇役となるべく作られた銘柄なのかな〜と感じました。なんと奥ゆかしい!
炭酸水市場が活発なイタリアでのサンベネデット社の活躍といえば、国内で初めてペットボトルを採用したこと。
それまでの重く割れやすい瓶と比べて、より気軽に楽しめるようにした立て役者です。
中硬水ながらクセの少ない味わいが評価され、世界約80か国で販売中。
炭酸の強さ:★★☆☆☆
炭酸の種類:天然炭酸
水の種類:非常な硬水
原産国:イタリア
・飲んだ感じ
海外の炭酸水に口当たりがやわらかいものが多いのは、ミネラルと炭酸がいい感じに中和しあっているからなんでしょうか? このサンベネデットも、やわらかな炭酸と、硬水にもかかわらずすっきりとまろやかな風味が特徴的でした。
炭酸水の消費量が多いイタリアで国内初のペットボトルを採用したというだけあって、
日常生活のいろんなシーンで飲んでほしかったのでしょうか。確かに、どんなシーンにもなじみそうな、変な主張のない爽やかさを持つ炭酸水です。
カルシウムとマグネシウムを、人間の体にとって理想的なミネラルバランスといわれる2:1の割合で含んだ天然水。
本場ドイツでは人気スポーツ誌「RUNNING - Das Laufmagazin」で掲載されたミネラルウォーターのテストで、「スポーツドリンク部門」と「長期消費部門」において金賞を受賞。スポーツ学校やトレーニングセンターでも愛飲されているとか。
炭酸の強さ:★★☆☆☆
炭酸の種類:人工炭酸
水の種類:非常な硬水
原産国:ドイツ
・飲んだ感じ
パッケージにあった「POWER SPARKLING」の記載があったので身構えていたのですが、そこまで炭酸が強いわけではありませんでした。硬度が高めだからか、若干舌に硬水らしさを感じます。筆者は硬水好きなのでおいしく飲みましたが、風味が苦手な人もいるかもしれません。ただ、炭酸でかなり緩和されているので、基本的には飲みやすい炭酸水だと思います!
後、500mlペットボトルは日本でよく売られているものより若干スリムで、カバンに入れやすそうでした。
標高1950mの採水地で採水されている澄みきった天然水。硬度は低く、海外の天然水では珍しい軟水です。
ミネラルウォーターのほうが有名ですが、最近は炭酸水も人気沸騰中。
炭酸の強さ:★★☆☆☆
炭酸の種類:人工炭酸
水の種類:軟水
原産国:イタリア
・飲んだ感じ
今回飲んだ銘柄の中では、一番酸味に近い風味がありました(もちろん、ちゃんと酸っぱい味付けをした食品と比べたら微々たるものですが)。
炭酸はそこまで強いわけではなく、むしろやさしい舌ざわりなので不思議です。
たとえるなら、カフェなどで出てくるレモン水に微炭酸を足した感じ? なんだかおしゃれな味わいです! 軟水ベースなので、おなかが弱くて硬水だとゴロゴロしやすい方にもおすすめかと思います!
ジャンヌ・ダルクゆかりの地、ソローニュ地方で愛されている炭酸ミネラルウォーター。 石灰岩や砂利が交互に積み重なった地層でゆっくりろ過された地下水が源泉です。 爽やかな飲み口が自慢。
炭酸の強さ:★★☆☆☆
炭酸の種類:人工炭酸
水の種類:硬水
原産国:フランス
・飲んだ感じ
海外のミネラルウォーターではスタンダードな硬水です。なので、ミネラル特有のクセをほとんど感じませんでした。硬水初心者の方にも自信を持っておすすめできそう。
炭酸は強すぎず、かといってそこまで弱くもない「弱炭酸」。炭酸由来の爽やかな酸味が、どことなくレモンウォーターをほうふつさせます。
酸味がマッチするという意味で、飲むお酢とかと混ぜたらおいしくいただけるかもしれませんね〜。
ヨーロッパの炭酸水の多くは硬水であるため、日本の軟水を飲み慣れた人には少し違和感があるかもしれません。しかし、少しずつ慣れていくとおいしく感じられてくるはずです。
硬水特有のクセがなく、炭酸も弱めで普段の水分補給にもゴクゴクいけるペリエから始めるのがおすすめ。何といってもペリエは手に入りやすいのが魅力です。ペリエをきっかけに、好みの炭酸水を見つけてみてはいかがでしょうか?
いいモノ調査隊の編集部です。主に過去記事のまとめや紹介をしていきます!