レビュー

6枚2,700円でも入手困難! UCC上島珈琲の“飲まないコーヒー”「ヨインド」はどんな味?

“飲まないコーヒー”と言われたら、一体どんな味わいなのか、気になりますよね。

2023年11月1日、UCC上島珈琲から、そんなコンセプトで「YOINED(ヨインド)」という製品が発売されました。

「YOINED(ヨインド)」。2種類の味が3枚ずつ入った6枚入りで2,700円(税込)。2024年3月末までの期間限定かつ、なくなり次第販売終了です

「YOINED(ヨインド)」。2種類の味が3枚ずつ入った6枚入りで2,700円(税込)。2024年3月末までの期間限定かつ、なくなり次第販売終了です

インパクトあふれる斬新さからか、6枚入り2,700円と決して安くない価格設定ながら、「UCC ONLINE STORE」では注文が殺到して予約受付分が完売するほど人気を博しています。その特徴や味わいを紹介します。

特許技術で生み出された日本初のコーヒー

「ヨインド」は、1933年の創業から90周年を迎えたUCCグループが、コーヒーの可能性を追求する新たな“コーヒー食品”として研究開発したことから生まれました。

同社の新製品発表会の資料より

同社の新製品発表会の資料より

味わいのポイントは、主原料にコーヒー、コーヒーオイル、植物油脂、砂糖を使用していること。カカオ豆は一切含んでいないので、チョコレートではないですし、UCCとしてはこれをスイーツとも表現していません。

消費者のとらえ方は自由ですが、メーカーとしては“コーヒー食品”であり、今後、新しいカテゴリーになっていけばと期待しているとのことでした。

技術的な特徴としては、コーヒー豆を抽出することなく、そのまま粉砕して香りとともに閉じ込める独自製法を開発・採用しています。こちらは特許技術とのことで、つまりは日本初。なお、UCCの知る限りでは、コーヒーの香りに着目して、まったく同じ技術思想で作られたものは海外でも市販されていないとのことです。

UCCイノベーションセンターの研究者が、20年以上もかけてたどりついたとか。ちなみに、この独自製法は、特許6849552号です

UCCイノベーションセンターの研究者が、20年以上もかけてたどりついたとか。ちなみに、この独自製法は、特許6849552号です

製法は、具体的には硬く油分の粘りもあるコーヒー豆を、-196度で凍結して粉砕することで、香りの劣化防止と心地よい口どけを実現。いっぽうで、細かく粉砕した豆とコーヒーオイルを油脂でコーティングすることで、フレッシュな香りを閉じ込めたとか。

新製品発表会では、粉砕した豆とコーヒーオイルのサンプルを見せてもらいました

新製品発表会では、粉砕した豆とコーヒーオイルのサンプルを見せてもらいました

粉砕した豆は、スギ花粉ほどの細かさである20μmの粒子に。サンプルで配られたコーヒーオイルは、想像以上にドロリとした粘度でした。これらを固形状に加工した食品が「ヨインド」で、2種類の味が製品化されています。

コーヒーオイル。色はエスプレッソほど濃くはないものの、テクスチャーはエスプレッソをはるかに超える強い粘度でした

コーヒーオイル。色はエスプレッソほど濃くはないものの、テクスチャーはエスプレッソをはるかに超える強い粘度でした

その2種類の味は、コーヒー豆の配合量などで味わいを変えています。

ひとつは配合量40%の「CRAZY BLACK」。極限までコーヒー成分を配合しており、キレのある苦味と心地よい酸味、そして濃厚な香りが魅力です。

そしてもうひとつは、配合量15%の「MELLOW BROWN」。カフェオレのようにコーヒーとミルクの調和が基調で、豆本来のフルーティーな香りが楽しめます。

左がコーヒー豆配合量40%の「CRAZY BLACK」で、右が15%の「MELLOW BROWN」。ともに、ベリーのような果実味と華やかで心地よい酸味が特徴の、エチオピアのシャキッソ地区の豆が採用されています

左がコーヒー豆配合量40%の「CRAZY BLACK」で、右が15%の「MELLOW BROWN」。ともに、ベリーのような果実味と華やかで心地よい酸味が特徴の、エチオピアのシャキッソ地区の豆が採用されています

スペシャルティーコーヒーのカフェオレやエスプレッソ的な味わい

ここからは、いよいよ試食。

味を比べるなら、先に「MELLOW BROWN」を、とのことで、まずはこちらから。食感は想像よりもしっかりめで、板状のチョコレートと大きな相違はありません。ただ、当然ながらも味わいは思いっきりコーヒーに振り切ったテイストです。

「MELLOW BROWN」。封を開けたときの香りはコーヒーキャンディーに近い印象ですが、よりリアルでフレッシュです

「MELLOW BROWN」。封を開けたときの香りはコーヒーキャンディーに近い印象ですが、よりリアルでフレッシュです

わかりやすい例をあげれば、明治のコーヒー風味チョコ「コーヒービート」と比べると、かなり大人な味わいです。「コーヒービート」がコーヒー牛乳だとしたら、「MELLOW BROWN」はスペシャルティーコーヒー店のカフェオレと言えるような味。甘すぎず、心地よいビター感と深い余韻は、きわめて王道なコーヒーテイストです。

噛むとカリッと音がする食感ですが、硬すぎずやわらかすぎず。口どけはやさしく、凝縮感のあるコーヒー味がまろやかに広がります

噛むとカリッと音がする食感ですが、硬すぎずやわらかすぎず。口どけはやさしく、凝縮感のあるコーヒー味がまろやかに広がります

そして、もういっぽうの「CRAZY BLACK」は、豆の配合量が多いからか、よりコーヒー独自のビター感と酸味がどっしり。ミルク感も抑え目で、「MELLOW BROWN」がスペシャルティーコーヒー店のカフェオレなら、「CRAZY BLACK」はその店の中浅煎り豆のエスプレッソに砂糖と少量のミルクを入れたようなニュアンスです。

「CRAZY BLACK」。香りも「MELLOW BROWN」よりビター感が強く、コントラストもしっかりめ

「CRAZY BLACK」。香りも「MELLOW BROWN」よりビター感が強く、コントラストもしっかりめ

なぜ中浅煎り豆かというと、苦みの奥に酸味と果実味がしっかり光っているから。スペシャルティーコーヒー豆特有のフルーティーな香りが、ボディーのあるビター感と調和して、実にリッチな味わいを生み出しています。

まろやかな口どけの中に、微粉砕されたコーヒー豆の存在感も。このタッチは、ビーントゥバーのチョコレートと近しいものがあります

まろやかな口どけの中に、微粉砕されたコーヒー豆の存在感も。このタッチは、ビーントゥバーのチョコレートと近しいものがあります

個人的に気になったのは、「ヨインド」のサイズ感。ひと口ではなく、何回かに分けて味わうような大きさなのですが、その意図を聞いたところ、「趣味やアートに浸りながら一緒に楽しんでほしい」というコンセプトもあるため、パクッとひと口で完結するような小ささは検討しなかったとか。

成人男性の手の平にのせると、このようなサイズ感。重さは1枚7.5gです

成人男性の手の平にのせると、このようなサイズ感。重さは1枚7.5gです

また、丸い形にした理由や厚さについても聞いてみました。形については、食べ物は角があるよりもないほうが余韻の質がよいという文献をヒントに、なるべく角張っていない形状を考案。球や半球にする案も出たなか、食べやすい形や厚み、ボリュームを考慮して、今回のプロダクトに決まったそうです。

【まとめ】その価格や希少性は贈り物に最適!

表面のレリーフ(刻み)は、余韻をイメージさせるような形を意図してデザインしたそう

表面のレリーフ(刻み)は、余韻をイメージさせるような形を意図してデザインしたそう

筆者はフードアナリストとして、発明とも言える今回の製品にすごくワクワクしました。国内コーヒー業界のリーディングカンパニーである、UCCが手掛けているのも関係者にとっていい影響を与えると思いますし、ハイクオリティーな味にも納得。売れ行きも好調そうなので、限定ではない通年販売にも期待しています。

なお、6枚入り2,700円という価格は決して安くはありませんが、前例がなく希少性も高いですから高価とも言えないでしょう。いずれにせよ、コーヒー好きはぜひ試すべき、そしてプレゼントには最適です。クリスマスや年末年始、バレンタインや、そのお返しなどに、いかがでしょうか!

中山秀明
Writer
中山秀明
グルメ、ファッション、カルチャー、ライフスタイルを得意とする編集プロダクションを経て独立し、フードアナリストの資格を取得。内食・外食のトレンドやカルチャーに詳しく、深掘りレビューやインタビューなどを得意とし、さまざまな雑誌やウェブメディアをメインに、編集と撮影を伴う取材執筆を行っている。酒類や調理家電、タバコ関連にも強い。時折、テレビ番組や大手企業サイトに食の有識者として企画協力することも。
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牧野裕幸(編集部)
Editor
牧野裕幸(編集部)
アイテム情報誌「GetNavi」や映像エンタメ情報誌「DVD&Blu-rayでーた」(当時)の編集者を経て「価格.comマガジン」へ。スティック&ロボット掃除機、コーヒーメーカー、扇風機、電動歯ブラシ、電気ケトルなどの白物家電のほか、AV機器や加熱式タバコを担当しています。LOVE, LINKIN PARK.
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