レトルトカレーは、時間がないときやラクしたいときの心強い味方。昨今は、味が本格的かつ種類が多い無印良品のPB(プライベートブランド)のカレーが人気を集めていますが、実は「KALDI COFFEE FARM(カルディコーヒーファーム)」のカレーも激アツだということをご存じでしょうか。バリエーションが豊富なうえに、こちらも本場の味を再現したものが多く、ぜひ試してみてほしい傑作がそろっています。
そこで今回は、「カルディオリジナル」ブランドのカレーの中から、スパイスフルなインド系を中心に9種のレトルトと1種の缶詰めの計10商品を食べ比べ。香りや辛さといったカレーに欠かせない項目を採点しながら、その味わいをレポートしていきます。
カラフルで個性的なパッケージが楽しい全10商品
今回レポートするのはこちらの10商品。
ちなみに「カルディオリジナル」は、製造を委託している商品もあり、そのOEM先は「新宿中村屋」だったり、「サンハウス食品」(ハウスグループ)だったりとさまざま。カレーの種類に合わせて、それぞれ得意な企業に発注をかけているので、その味はかなり期待大です!
※:各栄養成分はすべて1食当たりの数値
まずは北インドを代表するカレー「パラックパニール」から。「パラック」はヒンディー語でほうれん草、「パニール」はカッテージチーズを意味しています。動物性のブイヨンは使わず、スパイスと野菜のウマみだけで作られています。
内容量:180g、カロリー:176kcal、炭水化物:13.1g
ほうれん草ベースのカレーに、あっさりとしたカッテージチーズがコクを加えます
カッテージチーズは、もめん豆腐のような食感が特徴的。しかもチーズにしたたかな塩味があって、トータルでソルティな味わいにまとまっています。甘味はありませんが、フルーティーな香りにより味の輪郭は豊かです。ほうれん草の主張もしっかりしていて、十分な満足度がありました。
野菜のウマみたっぷりの、満足度の高い味わい
同じくインドカレーで定番のバターチキンカレー。たっぷりのトマトと炒めた玉ネギをベースに、バターや生クリーム、カシューナッツペーストでクリーミーかつ濃厚なコクをプラス。クミン、コリアンダー、カルダモンなどの風味が香る、小麦粉不使用で仕上げられたカレーです。
内容量:180g、カロリー:291kcal、炭水化物:16.7g
さまざまなスパイスをブレンドした、特製ガラムマサラの風味が本格的!
辛味は抑えつつも、スパイシーさをうまく生かしたバターチキン。そのため余韻が長く、トマトの酸味もあいまって飽きない味に仕上がっています。また、カシューナッツのコクがあるからか、脂っこくないのにクリーミー。ライスもよいですが、ナンで食べたくなる味わいです。
具材の鶏肉もしっかりした食感でナイス
ゴロッとした牛肉と、ジャガイモやニンジンなどの野菜をじっくりと煮込んだ欧風のビーフカレー。独自ブレンドの香り高いカレー粉やスパイスに、炒め玉ネギ、トマトペーストといった野菜のウマみが融合した、深い味わいの1品です。
内容量:200g、カロリー:325kcal、炭水化物:20.4g
カルディ商品らしく、隠し味にはコーヒーを使用!
洋食のデミグラスに近い苦味を感じるソースで、熟したワインのようなフルーティー感もあるリッチな味わいです。牛肉は十分なサイズで、赤身は食感しっかり、脂身はとろけるやわらかさの本格派。ニンジンがトロトロに煮込まれている点も好感度高め。一般的なビーフカレーのレトルトを、はるかに凌駕するクオリティです。
ソースと具材ともに完成度の高い仕上がり
同じビーフカレーでも、こちらはスパイスのエッジを効かせた大人向けカレー。シンプルかつ本格的なスパイシーさを追求するため、厳選された10種類の香辛料を使用しています。牛肉のウマみの中に、口の中で広がる力強いスパイスを感じられます。
内容量:180g、カロリー:208kcal、炭水化物:16.2g
パンチ力のあるスパイスを前面に押し出した、大人の欧風カレー
【03】の「ビーフカレー」をベースに、スパイス感をグレードアップさせたテイスト。1番攻めているのはカルダモン、次はクローブかと思われますが、とにかく本格スパイスの風味をしっかりとまとわせた印象です。とはいえ、辛さはやり過ぎではないのがうれしいところ。「普通のレトルトカレーではスパイス感がもの足りない」という人向けです。
「スパイシー」とはいえ、辛過ぎない絶妙なバランスが光ります
「ケララ」というのはインド南西に位置するケララ州のことで、本商品はそのほかの代表的なチキンカレーをインスパイアしたもの。味や香りを特徴付けているのは、マスタードシードとココナッツミルクです。さっぱりとした口当たりですが、スパイスによる香りやウマみも十分に感じられる1品です。
内容量:180g、カロリー:233kcal、炭水化物:10.2g
本商品もそうですが、南インド料理は全体的にあっさりした味付けなのが特徴
ココナッツの甘味が土台を支える本格派。シャープな塩味の中に、マスタードシードの風味がしっかりと主張し、南インドらしさを感じられます。とろみも南インドらしいサラッしたテクスチャーで、インドのカレーは地方によってかなり味わいが異なるということがよくわかります。
日本で一般的なインドカレーよりも、サラッと、キリッとした味わいが新鮮!
「コルマカレー」は、ヨーグルトやナッツ類のペーストなどでマイルドに仕上げたインドカレー。オリジナルブレンドのスパイスが香り高くも辛さはまろやかで、じっくりと炒めた玉ネギやバター、トマトによる深いコクが引き出されています。
内容量:200g、カロリー:340kcal、炭水化物:25.0g
クリーミーでマイルドなチキンカレー
あめ色玉ネギ系のグレイビーなウマみと、フルーティーな方向性のほのかな酸味が特徴。全体的に甘酸っぱい印象で、酸味がなければバターチキンカレーに近いと言えるでしょう。深層には落ち着いた辛さがあって平坦な味ではないものの、甘いカレーが苦手な人は飽きるかもしれません。
適度に酸味がかった特徴的な味わい
じっくりと炒めた玉ネギをベースに、トマトやヨーグルト、そして独自ブレンドのスパイスで煮込んだ本格的なキーマカレー。香辛料をたっぷりと使って鶏挽き肉のウマみを引き出しつつ、隠し味のショウガでスッキリした爽快感も加えられています。
内容量:180g、カロリー:240kcal、炭水化物:9.7g
鶏挽き肉がふんだんに使われた満足感のあるキーマカレー
鶏肉のミンチ、トマトキューブ、玉ネギのみじん切りがたっぷりと入っていてグレイビー感は満点ながら、カレーのソース自体はシャバシャバ。そのおかげか、具だくさんながら炭水化物は低めで重くありません。カルダモンのさわやかな香りが鮮烈で、辛味は余韻としてジワジワ攻めてくる、“ムッツリ系”とも言うべき味わいです。
鶏や野菜のウマみを感じつつも、重すぎないボディ感で好バランス
「チャナマサラ」は、ホクホク食感のひよこ豆がたっぷりと入った、北インドを代表するカレー。フライドオニオンとトマトの酸味を合わせた、濃厚かつスパイシーなソースが特徴です。
内容量:180g、カロリー:184kcal、炭水化物:27.5g
やわらかくもホクッとしたひよこ豆の食感が楽しいカレー
ひよこ豆が溶けて味噌のようになっているからなのか、あっさりテイストながらも、とろみはしっかり。肉が入っていないためボディはライトながら、食べ応えは十分です。ピリっとした辛味と自然な甘味が調和して、味付けもレベルが高いと感じました。
煮込んだひよこ豆のドロッとした食感と甘味が、全体をまとめています
専門店で食べるような本格的なおいしさを追求し、カレーのスパイスにとことんこだわったレトルトカレー。2種類のパウダー状のスパイスが付属しており、これを調理過程と食べる直前に“後入れ”する独特のスタイルが特徴です。「スパイスの女王」と言えわれるカルダモンをメインに調合したスパイスが、豊かに香ります。
内容量:150g、カロリー:167kcal、炭水化物:11.9g ※カレーのみ(パウダーを含まない)の数値
カレーに混ぜ込む「香りスパイス」パウダーと、食べる直前にかけるフレーク状の「彩りスパイス」の2種類が付属
いわゆる「大阪スパイスカレー」をモチーフにしたような味わいで、魚介系のダシも効いています。粒の粗いミンチ肉が入っていて、ジャンル的にはキーマカレーに近いでしょうか。2つのスパイスの効果で確かにスパイスフルではあるものの、「彩りスパイス」のフレークは生なのでややうるさい感もあります。これは、フレーク入りの後がけオイルにしてもよいのでは? と思いました。
スパイスに特化した、パンチ力のある独創的な味わい
今回唯一の缶タイプ。国産のサバの中でも、大きなサイズの太い部分だけを使用しているとのこと。ご飯にかけるのはもちろん、そのまま“おかず”として食べるのもアリな個性派です。
内容量:150g、カロリー:380kcal、炭水化物:4.5g
大ぶりなサバの切り身が2つ。具材のインパクトはかなりのもの
カレーとして食べても違和感はないですが、冷静に食べてみると主役は当然サバ。魚の身を味付けするために、カレー味のスープが一緒に入っているという雰囲気で、それもあってサラッサラのテクスチャーに仕上がっています。具としてのサバのパワーは圧倒的で、全体を包み込むウマみも、身としての食べ応えも抜群。余談ですが、フライパンでニンニクと玉ネギを炒めてからこの缶詰めを入れてほぐしつつ煮詰めると、サバのキーマカレーになります。興味がある人はぜひお試しを。
これはもはや、サバ入りカレーではなく「カレー味のサバ」という印象
全10品を食べてみた総評としてまずあげられるのは、「辛過ぎる商品がない」こと。ほとんどの商品に、カレーの辛さを表す「辛口」「中辛」といった文言が書かれていないのも面白いポイントです。筆者は個人的には、カレーを辛さで選ぶ時代は古いと思うので、むしろ好印象でした。
ちなみに、筆者が独断で選んだピックアップ商品はこちら。
・個性派NO.1:【10】「さばカレー」
・甘口派にオススメ:【06】「チキンコルマカレー」か【02】「インドカレー バターチキン」
・スパイス好きにオススメ:【04】「スパイシービーフカレー」か【09】「スパイスカレー」
カルディのレトルトカレーは、ラインアップがとにかく多彩。好みの味がきっと見つかるはず!
店舗を訪れれば、何かしら新しい味やおいしいものに出会える期待感があるのが、カルディの魅力。PBのレトルトカレーも同様で、全体的にレベルが高く、手軽においしく本格的な味わいが楽しめました。まだ試していない人はぜひ1度!
食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。