レモンサワー市場が、これでますますアツくなります――。
日本コカ・コーラが手掛けるレモンサワーの人気ブランド「檸檬堂(れもんどう)」から、「甘くない檸檬堂 無糖レモン7%」と「甘くない檸檬堂 無糖レモン5%」が2024年5月27日に発売されました。
左が「甘くない檸檬堂 無糖レモン7%」で、右が「甘くない檸檬堂 無糖レモン5%」。それぞれに、「ホームランサイズ」と呼ばれる500mL缶もあります。どちらも2024年5月27日発売
「檸檬堂」といえば、2019年に全国デビュー(九州地区でのテスト販売は2018年)し、レモンサワーブームを盛り上げた一大ブランド。加えて、無糖系酎ハイは伸び盛りのジャンルです。ファンにとっては待望の新製品と言ってもいいでしょう。
「甘くない檸檬堂 新製品発表会」に行ってきました
そこで今回は、同製品の開発背景や商品特徴などを浮き彫りにしつつ、7%と5%で味がどう違うのかも解説します。
「甘くない檸檬堂」の誕生には、無糖系酎ハイが伸長している背景に加え、同社の野心的なビジョンも関係していました。それは、消費者が歳を重ねることで環境や嗜好が変化する、各ライフステージに寄り添ったラインアップの拡充です。
プレゼンテーションにおける資料より。データから見ても、無糖系酎ハイは非常に伸びているカテゴリです
具体的には“檸檬堂サブブランド戦略”と題し、既存の定番とノンアル(「よわない檸檬堂」)に今回の「甘くない檸檬堂」を加え、さらに今後、「季節の檸檬堂」を発売すると発表されました。
檸檬堂サブブランド戦略
「甘くない檸檬堂」が目指した味のポイントは2つ。ひとつは、「檸檬堂」らしい無糖を開発すること。そしてもうひとつが、食事をもっとおいしくする味わいです。そのためには数々の試行錯誤があり、開発には3年以上もかかったとか。
日本コカ・コーラの東京研究開発センター、製品開発部のサイエンティスト、矢野寛明さん。味作りを中心に、開発を担当しました
単純に考えれば、甘い酎ハイから糖分を抜いただけのものかと思われるかもしれません。しかしながら、そんな簡単ではありませんでした。私たちもまずは試しに、定番の「檸檬堂」から糖を抜いてみたんですね。ところが、驚くことに全然おいしくないんです
おいしくない理由を探ると、それは後残りする果汁感にあったと矢野さんは言います。
「檸檬堂」がこだわっているのが、濃厚な果汁感。それが逆に、無糖においては味をじゃましていたんです。ならばと、その果汁素材を抜いてみたところ、確かに抜けば抜くほど味はすっきりして、無糖らしい味わいにはなりました。しかし今度は逆に、「檸檬堂」らしいおいしさではなくなってしまったんです
試作品数は500以上にものぼったとか
いっぽうを改善すると、もういっぽうが改悪してしまうというジレンマの連続。一時期、開発は迷宮入りしてしまったとか。
そこで私たちはいったん、すべてを白紙に戻しました。「檸檬堂」らしさをはじめ、固定観念は捨てようと。ゼロから積み上げ、引き算ではなく足し算で作っていく考え方に切り替えたんです。そのうえで、これまで検討してこなかった原料を実験台に並べ、目指している無糖の「檸檬堂」に必要な原料は何なのか、1つひとつ吟味を繰り返しました
考え方を切り替えた開発チーム。すると、「檸檬堂」が大事にしてきた、まるごとすりおろしたレモン果汁をお酒に漬け、まろやかな味わいにする「前割りレモン製法」と、合わせて独自開発したレモンエキスを加えることで、より食事に合う無糖の味わいが完成しました。
新開発したレモンエキスが、味の決め手に
「前割りレモン製法」は、レモンまるごとの複雑な味が特徴。ですが、無糖にすると魅力的な複雑味が雑味につながってしまいます。そこで私たちが考えたのは、雑味を取り除くためのろ過工程。企業秘密なので詳細はお伝えできませんが、ていねいにろ過することで極限まで雑味を取り除き、なおかつレモンのおいしさと、果汁感が維持されるレモンエキスが完成したんです
「甘くない檸檬堂 無糖レモン5%」と「甘くない檸檬堂 無糖レモン7%」。ともに果汁は4%含まれています
なお、実は「檸檬堂」において無糖タイプは初めてではありません。2020年には「檸檬堂 カミソリレモン」が、2022年には「檸檬堂 無糖レモン」が仲間入りしました(現在はともに終売)。当時はこれがベストだと思って発売したものの、売れ行きはかんばしくなく、その反省も踏まえて新開発したとか。つまり、今回は“3度目の正直”なのです。
ということで、ここからはテイスティングでじっくりレビュー。まずは「甘くない檸檬堂 無糖レモン7%」から。プレスリリースによると、お酒もレモンもしっかり楽しみたいときは「甘くない檸檬堂 無糖レモン7%」。ちょうどよくすっきり飲みたいときは「甘くない檸檬堂 無糖レモン5%」がおすすめなのだとか。
100mL当たり41kcalで、炭水化物は0.5g(糖類0g)。味作りに食塩が用いられている関係か、食塩相当量は0.07g
味わいは、無糖であるため、第一印象としては酸味と塩味が前に来ます。この塩味を演出する食塩は「檸檬堂」ならではの素材で、定番にも使われていますが、今回の無糖を飲んで、塩の存在感をより強く感じました。
少しだけ濁りがあるのは、まるごとすりおろしたレモン果汁によるもの。粒子のような沈殿物も見えます
無糖ということで、もちろん甘くはないのですが、旨味やコクとも言える甘味がほんのり感じられ、レモン特有のビター感も絶妙。炭酸のエッジと、ベースとなるお酒のキレもあって、食事に合うという特徴にも納得です。
なお、発売に当たり7%と5%の2種をラインアップさせた理由は、無糖市場においていちばん人気のアルコール度数が7%であるということと、もうひとつは飲みやすい度数を考慮して5%にしたとのこと。
続いて「甘くない檸檬堂 無糖レモン5%」を飲んでみると、こちらは全体的に味のボリュームが控えめな分、ボディもやさしく、よりゴクッと飲めそうな爽快感。
100mL当たり30kcalで、炭水化物は0.5g(糖類0g)、食塩相当量は0.07g。カロリーだけ、7%よりやや抑えめです
「甘くない檸檬堂 無糖レモン5%」はよりライトな味わいで、そこまでお酒に強くない人はこちらのほうがいいでしょう。7%も5%も、味の構成に大きな違いはなく、味のボリューム感の強弱で選べばよいかと思います。
レモンの果実味もしっかりあって、引き締まった爽快感が涼しげ。7%も5%も、非常に高い完成度だと言えるでしょう
今回レビューした「甘くない檸檬堂」のキャッチコピーは、“いつものおかずに、めちゃウマ無糖。”。どんな食事にも合うとのことですが、意外性のある料理としては、ブリの照り焼き、ホッケの開き、お刺身がマッチするとのことです。
料理によってアルコール度数を選ぶのもいいかもしれません
上記はすべて和食ですが、洋風料理や中華、エスニックにも合うでしょう。7%のほうが味のボリュームやキレが強いので、濃厚な味付けのメニューには7%が、あっさり系には5%がおすすめです。ぜひお試しあれ。