麺類ナンバーワンブランドが、またもやカップ麺で登場!
世の中にはさまざまな麺商品がある中で、食数換算で最も売れているのが東洋水産の「マルちゃん焼そば 3人前」だと言われています。そんな国民的ブランドが、あの味をカップ麺で再現した「マルちゃん焼そば」を2024年8月5日に新発売しました。
左がカップ麺「マルちゃん焼そば」で、右がチルド麺「マルちゃん焼そば 3人前」
近しいテーマの商品は過去に何度か発売されており、実は本商品も最初の発売は2023年。それが好評だったため、今回再び発売されたとのこと。となると、クオリティーや再現度がどれほどのものなのかが気になります。
そこで、本家チルド麺の「マルちゃん焼そば 3人前」をはじめ、同じく東洋水産が誇るカップ焼きそば「やきそば弁当」、さらに東西の各王者「日清焼そばU.F.O.」と「ペヤング ソースやきそば」などと食べ比べて、ガチンコレビューします。
本稿では、これらの5商品を食べ比べます
まずはカップ麺「マルちゃん焼そば」の特徴を深掘り。チルド麺の「マルちゃん焼そば 3人前」は麺と粉末ソースのみのセットですが、「マルちゃん焼そば」はカップ麺らしく、かやくが付いています。
希望小売価格は、236円(税別)。スペックは、1食107g(麺90g)あたり515kcalで、たんぱく質7.5g、脂質25.7g、炭水化物63.4g
また、カップ麺「マルちゃん焼そば」のソースの袋には、あおさと紅生姜によるふりかけや、チルド麺「マルちゃん焼そば 3人前」にはない「特製油」も付いています。かやく、ふりかけはうれしいところですが、チルド麺「マルちゃん焼そば 3人前」の味とは離れてしまうのでは? という懸念もこみ上げてきます。
それぞれを開け、中身をチェック。右はチルド麺「マルちゃん焼そば 3人前」の1人前
ちなみに、チルド麺「マルちゃん焼そば 3人前」の1人前のスペックは、麺1玉150gとソース1袋あたり274kcalで、たんぱく質7.6g、脂質3.2g、炭水化物53.6g。麺がカップ麺(90g)より重いのは、水分を含んでいるからでしょう。また、カロリーや脂質がかなり低いのは、麺を揚げておらず、かやくもないからだと思われます。
チルド麺「マルちゃん焼そば 3人前」の裏面。麺をほぐしやすくするために植物油を採用しており、これの代替がカップ麺「マルちゃん焼そば」の「特製油」なのかも
いっぽう同メーカーの、ほかのカップ焼きそばとはどう違うのでしょうか。東洋水産は東北や信越で人気の「焼そばバゴォーン」や、「キユーピーからしマヨネーズ」が付いた大盛タイプの「ごつ盛り ソース焼そば」など、カップ焼きそばの名作を数多くラインアップしていますが、ここは最も味が近そうで、比較的入手がしやすいと思われる「やきそば弁当」をチョイスしました。
北海道限定と書いてありますが、関東のスーパーなどでもよく売られており、筆者も東京で入手しました。スペックは、1食132g(麺100g)あたり581kcalで、たんぱく質13.1g、脂質27.8g、炭水化物69.7g
「やきそば弁当」の特徴は、比較的にさっぱりしたソースの味と、中華スープが付いていること。なお、「焼そばバゴォーン」の味の方向性も同系統で、こちらにはわかめスープが付いています。両者はかなり似ていると思いますが、カップ麺「マルちゃん焼そば」も同じ方向性なのでしょうか。
左がカップ麺「マルちゃん焼そば」で、右が「やきそば弁当」。前者は粉末ソース+特製油ですが、後者は液体ソースが味のベースです
大きな違いは、ソースが粉末か液体か、という点。また、麺をよく見比べると色が異なります。カップ麺「マルちゃん焼そば」は「やきそば弁当」より褐色度合いが強く、ここにも味の差が出ていると予想できます。
麺は、色だけでなく太さや縮れ方にも違いがありました。さらには、かやくの代替肉やキャベツも異なるようです
ということで、ここからは5つの商品をそれぞれ作って味比べを実施。大定番の「日清焼そばU.F.O.」と「ペヤング ソースやきそば」の特徴やスペック解説は割愛しますが、味はしっかりレポートします。
各カップ麺に熱湯を注ぐ前に、時間がかかるチルド麺「マルちゃん焼そば 3人前」を、レシピどおりの分量で調理。なお、具材はカップ麺「マルちゃん焼そば」のかやくを使用しました
今回食べ比べるカップ焼きそばの調理時間は、すべて熱湯3分。そこから湯切りし、かやくやソースなどを混ぜて完成です。まずはカップ麺「マルちゃん焼そば」と本家チルド麺「マルちゃん焼そば 3人前」の味をチェックしながら比べましょう。
仕上がりの色調や麺のニュアンスは異なるものの、味はどうか。ふりかけがかかっていない部分を食べて確認します
カップ麺「マルちゃん焼そば」は、チルド麺「マルちゃん焼そば 3人前」を目指したという意思がしっかり伝わる味わい。揚げ麺なので、どうしても駄菓子的なジャンク感があるものの、旨味とコクを感じるソースで、堂々としたおいしさです。
麺のタッチはどうしても、揚げ麺由来のワンパクな食感。これはこれで、インスタントならではのウマさだと言えますが、ノンフライ麺でも食べてみたいです
続くチルド麺「マルちゃん焼そば 3人前」は、思わず「ただいま!」と言いたくなるような安定感。ソースの旨味、甘み、酸味、香ばしさなどが絶妙なバランスで、スパイシーさもありつつ、万人ウケする味にまとまっています。
実家、知人宅でホットプレートを囲む会、BBQなどなど、さまざまなシーンで食べまくってきた味はやはり普遍!
麺の太さはほぼ同じですが、味や食感などは別物です。チルド麺「マルちゃん焼そば 3人前」は、チルドならではの蒸し麺で、しっとりもちっとした立体食感。抜群にウマい!
では肝心の、カップ麺「マルちゃん焼そば」と比べるとどうか――。確かにソースは、本家を踏襲した味わいです。ただ、たとえるなら、同じ服であっても着用者の体型によって印象がガラッと変わるように、麺の味や食感が異なるので、その部分で差が生まれていると感じました。
なお、懸念していた「特製油」は、麺と粉末ソースの潤滑油としての役割を担っていると言えます。つまり、味のムラを抑え、全体を混ざりやすくしてくれるということ。なお、油なのでオイリー感はどうしても増しますが、こってりしすぎるほどの重さは感じません。また、かやくとふりかけに関しては、やはりあくまでも、カップ麺としての商品力を損なわないための脇役ですね。とはいえ手を抜いている感じはなく、これらを使うことで味わいに華が演出されています。
続いて、同社のカップ焼きそば「やきそば弁当」と食べ比べてみましょう。
「やきそば弁当」のソースはカップ麺「マルちゃん焼そば」よりも控えめな濃さで、甘みはあるものの、やさしい方向性。また、液体ソースだからか、フルーティーさを含んだテリがあり、当然として粉末ソースよりも混ぜやすいです。
麺はカップ麺「マルちゃん焼そば」とチルド麺「マルちゃん焼そば 3人前」より細く、平打ちの形状。より駄菓子っぽいと感じました
かやくの鶏肉ミンチ(味付きチキンダイス)はモサッとしたソフトタッチで、派手さはないものの、このソースや麺にマッチ。駄菓子っぽさはあってもジャンクさは控えめで、飽きないおいしさに仕上がっていると感じます。
乾麺の比較で見られた色の差は、ソースを混ぜるとやわらぎます。また、「やきそば弁当」(右)の麺は縮れも強めで、どこかレトロ調
カップ麺「マルちゃん焼そば」と「やきそば弁当」を食べ比べた結果、麺がたくましくてソースのコクや旨味がしっかりしているのが前者。麺が比較的に細くシャープなタッチで、ソースが甘めのサラッとした味が後者で、方向性が異なると言えます。
では、カップ焼きそばの東西王者と比べるとどうでしょうか。
まずは西の王者「日清焼そばU.F.O.」からチェックします。
「U.F.O.」を食べてみると、独特の香ばしさが印象的な濃いめのソースが、何より魅力的。麺は太めで、生っぽいストレートの、もちもち感豊かな弾力が絶品です。
「U.F.O.」の「F」は太い麺(ふとい=F)のことであり、このふくよかさが、「ぶっ濃い濃厚ソース」とドンピシャにマッチ
カップ麺「マルちゃん焼そば」と比べると、「マルちゃん焼そば」のほうがソースに旨味や果実味があり、ジャンクさもそこそこ感じられます。いっぽうの「日清焼そばU.F.O.」は、コテコテ系の濃厚ソースで太麺ながら、もちもちとしたストレートの揚げ麺で、上品さもある味わい。
いっぽう、東の王者「ペヤング ソースやきそば」は、キリッとしたすっきり系の味。なかでも、フルーティーな酸味と、絶妙な辛さのスパイシーなパンチが、ソースに独特の個性をもたらしています。そして、「日清焼そばU.F.O.」とは対照的とも言える細めの麺は、いい意味でのモサモサ感とコシがあって好印象。
「ペヤング ソースやきそば」は、今回比べた中で最も細麺。また、「チョコベビー」のような形をした小さい俵型のミンチ(味付け鶏ひき肉)が、レトロな味のアクセントを演出します
立ち位置としては、「日清焼そばU.F.O.」よりも、こちらのほうがカップ麺「マルちゃん焼そば」に近い味と言えるでしょう。ただ、「ペヤング ソースやきそば」の麺はカップ麺「マルちゃん焼そば」よりさらに細めで、スパイシーさを持った独自の香りは無二の存在感。味の好みで分かれるところだと思いました。
今回食べ比べてみて、カップ麺「マルちゃん焼そば」の巧みなポジショニングに感心しました。カップ焼きそばと言えば、「日清焼そばU.F.O.」と「ペヤング ソースやきそば」の二大巨頭が君臨する市場ですが、チルド麺には「マルちゃん焼そば 3人前」という絶対王者がいるわけです。
この対立を、筆者の中でぼんやりと、こう考えました。格闘技にたとえると、キックボクシングのチャンピオンが、ボクシングの世界に殴り込みをかけたような構図であると。カップ焼きそば市場は二大巨頭の寡占であるうえに、「明星 一平ちゃん夜店の焼そば」のように、からしマヨネーズという必殺技で戦う猛者もいます。
いっぽうでチルド麺「マルちゃん焼そば 3人前」にも熱烈なファンがあまたいます。その味を再現したカップ麺「マルちゃん焼そば」であれば、少なからず勝機を見出せると考えたのでは、と勝手に妄想しています。
「日清焼そばU.F.O.」は香ばしい味の太麺、「ペヤング ソースやきそば」は酸味とスパイスが効いた中細麺、そしてカップ麺「マルちゃん焼そば」は旨味と果実味が豊かな中細麺と、二大巨頭とはうまく差別化しています。
ポイントはやはり、本家のチルド麺「マルちゃん焼そば 3人前」との近似にあると思いますし、個人的にはまだまだ近づける気がします。今後の展開にも目が離せません!
ぜひ確かめてみてください!