レビュー

売れすぎて緊急休売! 「じゅるる シャインマスカット」が人気の理由は?


今、菓子業界でシャインマスカットがキています!

その証拠が、2024年3月にファミリーマートから発売された「シャインマスカットボンボン」です。こちらはSNSを中心に話題となり、瞬時に売り切れるとともに高額転売されるほどの事態に。筆者も買えずじまいだったんですが、今のところ2024年のコンビニ業界最大のヒット商品と言えるでしょう。

そしてもうひとつ見逃せないのは、2024年5月に発売された、カンロの「じゅるる シャインマスカット」。前述の「『シャインマスカットボンボン』に似ている」など話題性が高く、こちらも、発売翌日にはメーカーが緊急休売のプレスリリースを出すほどの入手困難品となりました。それから数か月、やっと購入に成功!

2024年7月30日に販売が再開された「じゅるる シャインマスカット」。ですが、同年9月10日には、またもや緊急休売のプレスリリースが……

2024年7月30日に販売が再開された「じゅるる シャインマスカット」。ですが、同年9月10日には、またもや緊急休売のプレスリリースが……

そこで気になるのは、やはりその味です。商品ジャンルはキャンディー(飴)であり、何となく食感や味はイメージできるものの、品切れするほどほかを圧倒するおいしさなのでしょうか。そこで本稿では、いくつかのシャインマスカット味のキャンディーやグミを用意して食べ比べ。特徴をレポートします。

「じゅるる シャインマスカット」を実食

まずは主人公の「じゅるる シャインマスカット」を徹底チェック。「じゅるる」シリーズはこれまで、「完熟ぶどう」「マスカット・オブ・アレキサンドリア」「いちごミルク」などの味が販売されており、「シャインマスカット」はその新作です。ただ、「マスカット・オブ・アレキサンドリア」などほかの味は、休売するほどの騒ぎにはなっていません。やはりシャインマスカット人気、恐るべし!

「じゅるる シャインマスカット」のパッケージ表裏。濃厚な味わいのジュレが入ったキャンディーのようで、説明文の最後には「しあわせの“じゅるる”体験をあなたに。」とあります

「じゅるる シャインマスカット」のパッケージ表裏。濃厚な味わいのジュレが入ったキャンディーのようで、説明文の最後には「しあわせの“じゅるる”体験をあなたに。」とあります

袋の中には個包装されたキャンディーが入っており、開けてみたところ、ルックスは普通です。表面もツルツルとした、オーソドックスなキャンディー。硬さにも意外性があるわけではなく、外側は一般的と言えるでしょう。

シャインマスカットらしいエレガントな香りですが、特に強いわけでもなく、一般的なキャンディーと大差ありません

シャインマスカットらしいエレガントな香りですが、特に強いわけでもなく、一般的なキャンディーと大差ありません

次は核心に迫ります。カリッと割ってみると……うん? ジュレがとろ〜っと出てくるかと思いきや、そうでもないですね。前述の「シャインマスカットボンボン」の中身はシロップのような液体なのですが、こちらは思ったより液体感がなく、ジュレよりもペーストや水飴に近いと感じました。

半分に割って中身をチェック。中身が自然に出てくる感じはなく、パッケージにある「パリッとろ〜り」は、食べたときに実感できそうな気がします

半分に割って中身をチェック。中身が自然に出てくる感じはなく、パッケージにある「パリッとろ〜り」は、食べたときに実感できそうな気がします

ということで食べてみましょう。カリッと噛むと、ジュレが溶けて濃厚な味がじゅわりと。ジュレの味は外側より濃いうえに少々酸味があって、フルーティー。口の中に入ると、より液体化するかと思いましたがそこまででもなく、しかし2層の構造は味の変化に奥行きをもたらし、ハイクオリティーなおいしさです。

ロッテの名作「小梅だより」のシャインマスカット版とも言える、カリトロ感のナイスな味わい

ロッテの名作「小梅だより」のシャインマスカット版とも言える、カリトロ感のナイスな味わい

普通の飴と比べると、食感にメリハリがあって味も口溶けもジューシー

続いて、一般的なシャインマスカット味のキャンディーと食べ比べてみましょう。

全国農協食品(JA全農)が手掛ける「長野県産マスカット キャンディ」。パッケージに「-シャインマスカットのソース使用-」とあるものの、内部にペーストなどが入っているわけではありません

全国農協食品(JA全農)が手掛ける「長野県産マスカット キャンディ」。パッケージに「-シャインマスカットのソース使用-」とあるものの、内部にペーストなどが入っているわけではありません

食べてみると、味や食感は優等生的。「じゅるる シャインマスカット」では味の濃さやジュレの酸味に特徴を感じましたが、こちらは全体的におとなしめで、香りも控えめ。よく言えば、ナチュラルで品のあるおいしさだと思います。

表面は「じゅるる シャインマスカット」と同じくツルツル。いわゆるハードキャンディーで、噛むとガリガリとした食感です

表面は「じゅるる シャインマスカット」と同じくツルツル。いわゆるハードキャンディーで、噛むとガリガリとした食感です

改めて「じゅるる シャインマスカット」と「長野県産シャインマスカット キャンディ」を食べ比べると、ジュレが入っている前者のほうが食感にメリハリがあり、味も口溶けもジューシー。ただ、なめ続けることを前提とするならば、後者のほうが1粒を長い時間楽しめます。

「じゅるる シャインマスカット」はボール型。「長野県産シャインマスカット キャンディ」は円盤型で、彩度はこちらのほうが若干鮮やかです

「じゅるる シャインマスカット」はボール型。「長野県産シャインマスカット キャンディ」は円盤型で、彩度はこちらのほうが若干鮮やかです

「コロロ」や「ピュレグミ」とはどう違う?

シャインマスカット味の菓子についてリサーチすると、「『コロロ』を砂糖まみれにして凍らせると『シャインマスカットボンボン』になるらしい」といった動画のほか、味の再現を試みる配信をいくつか発見。今回のメインは「シャインマスカットボンボン」ではないですし、再現するほど手間はかけないものの、「じゅるる シャインマスカット」と味がどう異なるのかを確かめたくなり、「コロロ マスカット」をそのまま食べてみました。

商品名は「コロロ マスカット」ですが、シャインマスカットの果汁が使われており、パッケージにも「シャインマスカット」の記載があります

商品名は「コロロ マスカット」ですが、シャインマスカットの果汁が使われており、パッケージにも「シャインマスカット」の記載があります

さすがの「コロロ」、コラーゲンを果皮に見立てた絶妙な構造で、ぷるぷるジューシーな味は絶品です。ただし当然ながら、キャンディーとグミは別物ですね。しかし、皮に包まれた本体にはジュルッとしたテクスチャーもあるので、凍らせるなどをすれば「じゅるる シャインマスカット」の食感に近づくかもと思いました。

味は、香りの強さほど濃くはなく、正統派のマスカットグミと言える印象。甘さや酸味などが好バランスで、その分香りはあからさまに思えるほど強烈だと感じました。味だけを無理やり比べるならば、ジューシーさは互角ながらも「じゅるる シャインマスカット」のほうが濃いと思います。

「コロロ」といえば、ぶどうの粒を模したようなルックスも魅力

「コロロ」といえば、ぶどうの粒を模したようなルックスも魅力

グミでUHA味覚糖の「コロロ」を出したとなれば、「じゅるる シャインマスカット」と同メーカーである、カンロのグミも比較せずにはいられません。ということで、最後は「ピュレグミ マスカット」をテイスティングします。

「ピュレグミ マスカット」。ちなみに新作の「ピュレグミプレミアム シャインマスカットスパークリング」もありますが、撮影後に発売されるという悲しさよ。ガチンコな比較対象ではないのでお許しあれ

「ピュレグミ マスカット」。ちなみに新作の「ピュレグミプレミアム シャインマスカットスパークリング」もありますが、撮影後に発売されるという悲しさよ。ガチンコな比較対象ではないのでお許しあれ

「ピュレグミ」の特徴は酸っぱいパウダーで、「じゅるる シャインマスカット」とは食感も味もかなり異なるのは承知のうえ。食べてみるとやはり、パウダーの酸味が先に来て、その後に甘さが広がります。

「コロロ マスカット」とはある種逆で、香りはおとなしめながら味は濃いめ。「ピュレグミ マスカット」は甘酸っぱくて凝縮感のあるハードグミなので、味にインパクトがあって余韻も長めです。「じゅるる シャインマスカット」とはやはり異なる食感と味ですが、この濃さやレイヤー設計には、同胞とも言える共通点を感じました。

ハートの形状も「ピュレグミ」の特徴。パウダーによって外側がザラッとした、硬めのグミです

ハートの形状も「ピュレグミ」の特徴。パウダーによって外側がザラッとした、硬めのグミです

【まとめ】人気の理由はおいしさとASMRか

今回実食してみて、「じゅるる シャインマスカット」の魅力は、普通のキャンディーよりも食感にメリハリがあり、味も口溶けもジューシーであることだとわかりました。また、動画などを見て思ったのは、バカ売れしている背景にはASMR(「ザクザク」など、聴くと心地よく感じられる立体的な音)のトレンドも関係しているはずということ。

特にASMR動画で有名になったのが、甘いソースが入ったハードグミ「地球グミ」です。この「地球グミ」にも似た音の快感を得られそうということで、「シャインマスカットボンボン」や「じゅるる シャインマスカット」の人気にも火が付いた。理由はこれだけではないですが、一部あると思います。

運よく「じゅるる シャインマスカット」を見かけたら、ぜひお試しを!

運よく「じゅるる シャインマスカット」を見かけたら、ぜひお試しを!

そのほかの前提として、そもそもシャインマスカットが人気という背景もあるでしょう。ASMRだけなら、「じゅるる マスカット・オブ・アレキサンドリア」など過去のシリーズや、「小梅だより」も品薄になったはずですから。何はともあれ、シャインマスカット味の菓子には今後も大注目です。

関連記事
日本グミ協会が初開発! 初音ミクとコラボした「コロロ」を試食レビュー
日本グミ協会が初開発! 初音ミクとコラボした「コロロ」を試食レビュー
2024年3月9日、日本グミ協会が初のオリジナルグミとして開発した「コロロ ミクベリーソーダ」を発売。グミのベースはUHA味覚糖「コロロ」。試食レポートをお届けします。
2024/03/28 09:00
“そのまんま味”ってどんな味? 謎の「ハイチュウ」を食のプロがチェック!
“そのまんま味”ってどんな味? 謎の「ハイチュウ」を食のプロがチェック!
森永製菓から、香りや色味を抑えたシンプルな味わいの「ハイチュウ<そのまんま味>」が発売されました。商品情報からではよくわからないこの味を、食のプロがレビュー!
2024/05/30 11:00
どっちがウマい? 消える「サクマ式」と残る「サクマ」ドロップスを比較
どっちがウマい? 消える「サクマ式」と残る「サクマ」ドロップスを比較
2023年1月20日に廃業した佐久間製菓の「サクマ式ドロップス」を似て非なる名作「サクマドロップス」と食べ比べ。各味のレポートとともに、両社のストーリーも解説します。
2023/02/03 11:00
中山秀明
Writer
中山秀明
グルメ、ファッション、カルチャー、ライフスタイルを得意とする編集プロダクションを経て独立し、フードアナリストの資格を取得。内食・外食のトレンドやカルチャーに詳しく、深掘りレビューやインタビューなどを得意とし、さまざまな雑誌やウェブメディアをメインに、編集と撮影を伴う取材執筆を行っている。酒類や調理家電、タバコ関連にも強い。時折、テレビ番組や大手企業サイトに食の有識者として企画協力することも。
記事一覧へ
しえる(編集部)
Editor
しえる(編集部)
生活雑貨・食品に加え、ウォーターサーバーなど、サービス系商品の記事をメインに担当している2児の母。自称「ポテチマスター」。ポテトチップスを中心に1日3袋のスナック菓子をたいらげるお菓子狂です。
記事一覧へ
記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
SPECIAL
ページトップへ戻る
×