前回の熱狂から1年、あの話題作が帰ってきました!
2023年9月にデビューし、大ヒットした「特上 カップヌードル」シリーズ4品が、第2弾と称して復活。2024年9月に、第1弾とは少々異なる新たな味のアプローチで発売されました。
下段が本家「カップヌードル」シリーズで、上段が「特上 カップヌードル」シリーズ。4種の本家と4種の「特上」それぞれを食べ比べてみました
ちなみに、2024年7月には高級感をウリにした「フレンチカップヌードル」が発売されているため、まさかこんなに早く、近しいコンセプトのエクステンション商品(ブランド内の別ライン)が出るとは意外でした。
ただ、第1弾の「特上 カップヌードル」シリーズには、「カップヌードル」が生まれた9月18日を記念して発売されたという背景があるので、その線で言えば、第1弾の発売から1年を経たこのタイミングに第2弾が出されたのは自然な流れ。その第1弾は全4種を本家と食べ比べたので、今回も同様の形でレポート。第1弾からどう変わったのかも、しっかりチェックします。
こちらは2023年発売の第1弾の比較時。「特上 カップヌードル シーフードヌードル」だけ、別添の小袋が付きませんでした
まずは改めて、商品コンセプトから解説。「特上 カップヌードル」は、節約志向が進むいっぽうで、価値を感じるものに対しては「価格が少し高くても購入したい」と考える人が増えているという社会情勢を鑑みて、ワンランク上のスープと具材を採用したシリーズです。
第1弾と第2弾ではそれぞれの味わいが異なります。各味の特徴を端的にまとめてみました。
めぼしい変更点としては、第1弾では「特上 カップヌードル」に使われていたトリュフが、第2弾では「特上 カップヌードル カレー」のほうに採用されているところや、「ほぼ松茸」や「ほぼウニ」といった個性派具材が新たに投入されているところです。「特上 カップヌードル チリトマトヌードル」以外は素材を大胆に変えてきており、第1弾を食べた人にとっても、興味を惹かれる商品設計ではないでしょうか。
ということで、まずは「カップヌードル」と「特上 カップヌードル」から食べ比べて、違いを深掘りしていきましょう。なお、公式オンラインストアでの価格は、「カップヌードル」シリーズが各254円(税込)、「特上 カップヌードル」シリーズは各279円(税込)です。
各スペックは、「カップヌードル」が78g(麺65g)あたり351kcal、炭水化物44.5g、脂質14.6g。「特上 カップヌードル」が72g(麺60g)あたり352kcal、炭水化物40.2g、脂質17.4g
第1弾ではトリュフが香りの中核でしたが、第2弾では松茸に変更されています。洋から和へとキノコの種類が変わりましたが、香りのパワーは今回もムンムン。特に、別添の「特製松茸風味オイル」を加えると、永谷園の名作「松茸の味お吸いもの」にも通じる香りが広がり、一気に秋が到来したような多幸感に包まれます。
「特上」は具材に「ほぼ松茸」が加わるからか、海老や卵の量は減っていました。ただ、謎肉は第1弾ほどではないにしろ、少し大きめなのがうれしいポイント。また、麺は「特上」のほうが本家より5g少ないです
「特上 カップヌードル」は、第1弾のときもシリーズ内で屈指の完成度だと思いました。それもあって、第2弾でも強い期待を抱いていましたが、ちゃんと期待を裏切らないクオリティーで今回も絶品でした。醤油ベースの「カップヌードル」に、松茸の風味がしっかりとマッチしており、リッチさとまろやかさがプラスされています。全体的に、和の上品さを漂わせる、雅(みやび)やかな味わいに感じました。
パッケージをよく見ると「松茸風の具材は味付エリンギです」とあり、これが「ほぼ松茸」の正体のようです
「ほぼ松茸」は見た目こそメンマっぽいですが、食感は別物。ムチプリッとしたハリのある弾力で、好アクセントに。香りはアーティフィシャル(人工的)でありながら、松茸感はかなりパワフルなので、いい意味で食べる者の舌をだましてくれます。
第1弾では麺にツルッとしたニュアンスを感じたものの、今回はそれほどでもありません。とはいえスープにうまくなじんでおり、しっかりおいしいです
スープは、本家「カップヌードル」の舶来的なブイヨンの風味が松茸に隠れてしまっているほか、本家で海老がけん引していた海のニュアンスがガッツリと山の表情に変わっていますが、これはこれでアリ。残ったスープにご飯を入れたくなるおいしさでもあります。改めて、第1弾と同様に、日清食品のシンボルと言える「カップヌードル」に対する同社の熱意を感じました。
続いては、カレーを食べ比べ。筆者は第1弾の「特上 カップヌードル カレー」を食べた際、具材の「皮付きポテト」にだけはイマイチな印象を抱きました。詳細な理由は第1弾の記事を読んでいただきたいところですが、第2弾ではそんな「皮付きポテト」がボツになり、「大玉・牛謎肉」が新採用。これだけでも期待大です。
「カップヌードル カレー」は、87g(麺60g)あたり422kcal、炭水化物50.6g、脂質20.4g。「特上 カップヌードル カレー」は、87g(麺60g)あたり433kcal、炭水化物48.3g、脂質22.5g
また、第1弾はドロドロ感がかなり強く、別添スパイスによる香り高さも印象的でした。それらを思い出しながら第2弾に向き合うと、今回はトリュフの香りとバターのまろやかさが主役で、かなり別のキャラクターに生まれ変わっています。
「特上」の具材は豪華な分、その量は少なめに感じます。また、前回はルウフレークが湯をどんどん吸水していましたが、今回はおとなしめ
食べてみると、特にトリュフの存在感が強烈。バターの甘やかさも加わって、洋風テイストが劇的にアップしているなか、トリュフはやりすぎかなと思えるほどパワフルで、カレー風味のバランスが崩れていると感じざるを得ません。ただ、濃厚さでは第1弾に劣らないインパクトです。
麺に関しては、通常の「カップヌードル カレー」と同様、やや幅広いタイプで、大きな差はありません
いっぽう、通常の「カップヌードル カレー」と食べ比べると、改めて本家の高い完成度を実感。「特上」よりはあっさりしていますが、トリュフの強い香りのマスクがない分、ベースの旨味やスパイスの風味を鮮明に感じられます。
本家(左)の謎肉と比べると、「特上」(右)の「大玉・牛謎肉」は約4.3倍の大きさだとか。見た目でも、その違いがわかるほどビッグサイズです
新採用の「大玉・牛謎肉」は、味以上に弾力や食べ応えに「特上」らしさを感じました。大きい分、ダイナミックな食感で、たとえるなら挽き肉と超粗挽き肉の違いに似ていると言えます。肉汁も増えている印象で、謎肉に関しては「特上 カップヌードル カレー」の圧勝。個人的な思いとしては、「皮付きポテト」は金輪際不要なので、今後また「特上」を出すなら「大玉・牛謎肉」でお願いします!
3品目は、シーフードを食べ比べます。本家「シーフードヌードル」は、2024年7月に誕生40周年を迎えました。それもあって、今夏は「カップヌードル」「日清のどん兵衛」「日清焼そばU.F.O.」の3ブランドで「シーフードヌードル」を祝う限定商品が発売されましたが、今回の「特上」ではどうでしょうか。
「カップヌードル シーフードヌードル」は、75g(麺60g)あたり340kcal、炭水化物45.5g、脂質13.6g。「特上 カップヌードル シーフードヌードル」は、79g(麺60g)あたり387kcal、炭水化物45.4g、脂質19.2g
全体的に味を底上げしていた第1弾に比べると、第2弾はウニを主役にした構成で、よりクリーミーになった印象。これはポークによる部分もあると思いますが、それ以上に「特製ウニ香るバターオイル」の力でしょう。とろみもアップし、多彩な魚介ダシがかき消されるほど、ウニの風味を感じます。
「特上」は「ほぼウニ」が加わったからか、卵が消えてイカとカニカマは減少。そして、色はかなりウニに引っ張られて褐色に変わっています
味は想像どおりの濃厚テイストで、やはりウニ風味がどっしり。「特製ウニ香るバターオイル」は「カルディ」などで取り扱っているようなウニバター的なものなのかなとも思いました。第1弾もミルキー、かつまろやかでしたが、第2弾はそれを超えるクリーミーなパンチ。わかりやすいリッチテイストに進化したと言えるでしょう。
「ほぼウニ」の原材料は魚肉の練りものとのこと。ふわふわとしており、口溶けもジューシーです
ウニ好きにとってはうれしいはずの「ほぼウニ」。個人的には練りものというより、お麩にウニせんべいのパウダーを染み込ませたような印象に感じました。また、第1弾に入っていた海老が第2弾にも入っていればもっとうれしかったな……と惜しい気持ちも。
麺は本家の「シーフードヌードル」とほぼ遜色なし。適度にツルみがあり、スープにもなじみます
なにはともあれ、今回の「特上 カップヌードル シーフードヌードル」はウニを主体にした、とろっとまろやかな仕立て。「ほぼウニ」や麺も含めて、全体的にクリーミーな方向性に仕上げられており、一体感としての完成度も高かったです。
ラストの「特上 カップヌードル チリトマトヌードル」は、上記3品と比べると、第1弾からそれほど大きな進化はありません。変わったポイントをあげるとすれば、「唐辛子謎肉」が「ローズマリー謎肉」になった点ですが、そのおいしさやいかに。
「カップヌードル チリトマトヌードル」は、76g(麺60g)あたり354kcal、炭水化物45.5g、脂質15.4g。「特上 カップヌードル シーフードヌードル」は、77g(麺60g)あたり378kcal、炭水化物43.0g、脂質19.2g
第1弾の「特上 カップヌードル チリトマトヌードル」には、パッケージに辛さ表記があり、5段階中のレベル2でした。これは今回の第2弾にもあり、表記は同じくレベル2。「謎肉」単体の辛さはおそらく弱まっているはずですが、全体の辛さは同じということです。なお、本家「カップヌードル チリトマトヌードル」には辛さ表記はありません。
本家との大きな違いがあるとすれば、「ローズマリー謎肉」が、ハーブによって緑色っぽくなっていることぐらいです
スペック的な進化は地味ですが、食べてみると第1弾より好印象です。実際に食べ比てみないと詳しくはわかりませんが、第2弾は酸味と辛味のほかにコクや旨味もアップしているような。これはもしや、プレスリリースのスープの紹介文(上記)において「トマト」が「完熟トマト」になったことが関係しているのでしょうか。
麺はほかと同様、大きな変化なし。なお、具材のトマトキューブは特に多いわけではなく、通常の「チリトマトヌードル」と同じか、むしろ少ないレベルです
そもそもトマトは基本的に熟したものを使うので、個人的にはメーカーによる「完熟トマト」のうたい文句は、「厳選」や「こだわった」と同じぐらい稚拙な表現だと思っています。なので、プレスリリースにある「完熟」の文字もスルーしていましたが、もしかすると第2弾に関しては、何か意図的に熟したトマトを使っているのかも。ただあくまで推測なので、このコクや旨味はトマト由来ではなく、調味のバランス変更や、「ローズマリー謎肉」による効果の可能性もあります。
「ローズマリー謎肉」は、単体の風味は強くないですね。ほかの「特上」の松茸やトリュフなどと比べて、スープ全体の香りを引っ張っているわけでもありません
ということで「ローズマリー謎肉」も食べてみると、余韻の風味が特にハーバルでナイス。パセリ入りソーセージのような感じで、個人的には第1弾の「唐辛子謎肉」よりも好みです。前回はメキシカン度がアップした印象でしたが、今回はそこから少々イタリアンに寄ったように感じました。
第1弾では、個人的評価は「特上 カップヌードル」「同 シーフード」「同 カレー」「同 チリトマ」の順でしたが、第2弾では順位が少々入れ替わりました。もちろん、味の好みは各人の嗜好によって異なりますが、参考にしていただけたらうれしいです。
1位「特上 カップヌードル」
ここは不動。醤油と松茸風味がマッチして、ご飯をぶっ込みたくなる
2位「特上 カップヌードル カレー」
トリュフとバターがやりすぎだが、過度なマスクの悪印象を超える「大玉・牛謎肉」のウマさが光っていた
3位「特上 カップヌードル チリトマトヌードル」
派手な「特上」らしさがないからこその好バランス。着実なボトムアップを感じる
4位「特上 カップヌードル シーフードヌードル」
ウニとバターが少々しつこい気も。個人的には「ほぼウニ」じゃなくて海老でいい
まだまだスーパーでも売っているはず。ぜひお試しを!
今回、味を変えて「特上 カップヌードル」シリーズを再発売した背景には、第1弾が好評だったことに加え、さらなる話題性を狙ったはず。つまり、きっと第3弾もあることでしょう。今後の進化に期待です!