レビュー

大ヒットした“高級版「サッポロ一番」”に第2弾が登場! どの味がウマい?

前回、「袋麺の王者『サッポロ一番』に高級版が登場! “一番”ウマいのはあの味だった」で紹介した「サッポロ一番 プレミアリッチ」シリーズ3種ですが、それぞれが新たな味わいとなって再び発売されました!

2024年10月に発売された「サッポロ一番 プレミアリッチ」シリーズ第2弾(第1弾は2024年5月発売)

2024年10月に発売された「サッポロ一番 プレミアリッチ」シリーズ第2弾(第1弾は2024年5月発売)

商品名はそれぞれ、「サッポロ一番 プレミアリッチ しょうゆ味 鹿児島県産黒豚だし仕上げ」「同 みそラーメン 三重県産伊勢海老だし仕上げ」「同 塩らーめん 福岡県産はかた地どりだし仕上げ」。なかには第1弾とあまり変化がなさそうな味もありますが、やはり気になるのは、“おいしく進化しているかどうか”です。そこで今回は、第1弾と食べ比べて味わいを徹底チェックしました。

関連記事
袋麺の王者「サッポロ一番」に高級版が登場! “一番”ウマいのはあの味
袋麺の王者「サッポロ一番」に高級版が登場! “一番”ウマいのはあの味
サンヨー食品のロングセラー「サッポロ一番」の高級版「サッポロ一番 プレミアリッチ」シリーズが発売されました。おなじみの3種の味を、それぞれの本家と食べ比べ!
2024/06/26 11:00
パッと見は違いがわかりにくいですが、パッケージに写っている丼の色に注目。下段(丼が黒色)が第1弾、上段(丼が白色)が第2弾です

パッと見は違いがわかりにくいですが、パッケージに写っている丼の色に注目。下段(丼が黒色)が第1弾、上段(丼が白色)が第2弾です

インスタント麺業界では定番ブランドの高級化がブーム!

改めて、簡単に商品概要を解説すると、「サッポロ一番 プレミアリッチ」シリーズは、インスタント袋麺の王者であるサンヨー食品「サッポロ一番」の高級版。近年、袋麺とカップ麺ともに、業界では高級版を発売する動きが顕著で、有名ブランドには「特上カップヌードル」や「最強どん兵衛」などがあります。これらは以前、筆者も記事にしているのでぜひご覧ください。

関連記事
「特上カップヌードル」に第2弾が登場! 4種類を本家と徹底比較
「特上カップヌードル」に第2弾が登場! 4種類を本家と徹底比較
2023年に大ヒットした「特上 カップヌードル」シリーズ4品が、2024年9月に新たな味で再登場! 第1弾を全部食べたフードアナリストが、本家と食べ比べます。
2024/09/30 11:00
「最強どん兵衛」は通常版とどう違う? 食のプロが食べ比べ!
「最強どん兵衛」は通常版とどう違う? 食のプロが食べ比べ!
麺、つゆ、具材、薬味とすべてにこだわった「最強どん兵衛」は、通常のどん兵衛に比べてどれだけウマいのか? 全4商品を通常版と食べ比べて実食チェックします。
2024/12/20 09:30

ちなみに「特上カップヌードル」に関しても、「サッポロ一番 プレミアリッチ」と同様に第2弾が発売されるほどの盛り上がりに。第2弾を出すということは、それだけ第1弾が好評だったと推測できますが、「サッポロ一番 プレミアリッチ」の第2弾には個人的に思うところ(あまり変化がなさそうな味もある)もあり、おいしくなっているのかどうかがますます気になります。

こちらは前回、第1弾と通常版を食べ比べた際の1枚

こちらは前回、第1弾と通常版を食べ比べた際の1枚

「しょうゆ」は鶏→豚に変更! 好みが分かれる味

ここからは、実際に新旧の高級版を食べ比べていきます。まずは「しょうゆ味」対決。第1弾「徳島県産阿波尾鶏だし仕上げ」と、第2弾「鹿児島県産黒豚だし仕上げ」を、それぞれ徹底チェックします。

主要な各スペックは、第1弾(左)が1食112g(麺92g)あたり522kcal、脂質24.3g、炭水化物65.2g、食塩相当量5.9g。第2弾(右)は1食112g(麺92g)あたり521kcal、脂質24.2g、炭水化物64.9g、食塩相当量5.8g

主要な各スペックは、第1弾(左)が1食112g(麺92g)あたり522kcal、脂質24.3g、炭水化物65.2g、食塩相当量5.9g。第2弾(右)は1食112g(麺92g)あたり521kcal、脂質24.2g、炭水化物64.9g、食塩相当量5.8g

なお、通常版と「プレミアリッチ」のわかりやすい違いは、前者が粉末スープなのに対し、後者は粉末と液体のハイブリッド仕様のスープであるところ。第1弾のレビューでは「劇的に味が高級になった! これは確かにエレガント! ゴージャス! ラグジュアリー!」と感動するまでのレベルではありませんでしたが、3つともに、それなりの上品さやリッチさは感じられました。今回の新旧比較においては、両者のヒエラルキーは同じなので、特に進化にフォーカスを当てて比べていきます。

左から、第1弾と第2弾。スープが入った袋の色は異なるものの、麺に関しては大きな違いは見当たりませんでした

左から、第1弾と第2弾。スープが入った袋の色は異なるものの、麺に関しては大きな違いは見当たりませんでした

ちなみに、「サッポロ一番」は袋麺界の王者ではあるものの、「しょうゆ味」は「みそラーメン」や「塩らーめん」ほど人気が高いわけではありません。だからなのか、第2弾の「しょうゆ味 鹿児島県産黒豚だし仕上げ」には手抜き感が見え隠れする点が否めません。というのも、“鹿児島県産黒豚だし”は、第1弾の「みそラーメン」に使われているからです。

左は第1弾の「みそラーメン 鹿児島県産黒豚だし仕上げ」。ともに“鹿児島県産黒豚だし”が使われています

左は第1弾の「みそラーメン 鹿児島県産黒豚だし仕上げ」。ともに“鹿児島県産黒豚だし”が使われています

そうは言っても、おいしければ問題なし! ということで、同時に作り上げていきます。レシピは、お湯の量や調理時間もまったく同じ。3分で完成し、まず香りからチェックすると、ダシの素材が変わる分キャラクターも異なります。

ともに清湯(チンタン)系の醤油ラーメンでありながら、香りのキャラクターが違うために印象も異なります

ともに清湯(チンタン)系の醤油ラーメンでありながら、香りのキャラクターが違うために印象も異なります

ポイントは、第1弾はダシが鶏で、第2弾は豚であるところ。第1弾のほうがまろやかで、家系ラーメンの香味オイルとして知られる鶏油(チーユ)的なニュアンスも、少しだけ感じます。お店レベルには及ばないものの、粉末と液体のWスープで立体的な味わいを演出しており、丸鶏系の淡麗ラーメンを思わせる、ふくよかな上品さもあります。

鶏の旨味に醤油のテリや甘みがじんわり

鶏の旨味に醤油のテリや甘みがじんわり

いっぽう、鹿児島県産黒豚ダシを使った第2弾は、ラード的な力強いコクと、豚由来のワイルドさが表現された味。豚骨的でもあるのですが、そこはあくまでも清湯であるためあっさりしています。また、豚の背脂には甘みを感じるものですが、そういった主張も強くはありません。むしろ甘みは、鶏を主体としていた第1弾のほうが感じます。

ほかに特徴的なのは、胡椒のほのかなパンチ。リッチな中にもいい意味であか抜けない、いなたいニュアンスがあります

ほかに特徴的なのは、胡椒のほのかなパンチ。リッチな中にもいい意味であか抜けない、いなたいニュアンスがあります

第2弾は、「プレミアリッチ」らしさはそのままに、豚の特徴を生かした清湯系の淡麗醤油で、第1弾よりもワイルドな風味でした。これは第1弾との優劣をつけるのが難しいですね。鶏と豚のどちらが好きかで、評価が分かれるおいしさだと思います。

「みそ」は改善を求めたい! 理由もしっかり言及します

次は「みそ」を比較します。特筆すべきは、第2弾に使われている“三重県産伊勢海老だし”。第1弾が“鹿児島県産黒豚だし”だったので、動物系から魚介系へと大胆に変化したということです。しかも伊勢海老と言えば、わかりやすい高級食材。これは期待もふくらみます!

第1弾(左)は1食111g(麺90g)あたり502kcal、脂質22.1g、炭水化物65.2g、食塩相当量5.9g。第2弾(右)は1食110g(麺90g)あたり508kcal、脂質22.9g、炭水化物64.4g、食塩相当量6.0g

第1弾(左)は1食111g(麺90g)あたり502kcal、脂質22.1g、炭水化物65.2g、食塩相当量5.9g。第2弾(右)は1食110g(麺90g)あたり508kcal、脂質22.9g、炭水化物64.4g、食塩相当量6.0g

ところが……そこには期待しすぎた自分がいました。具体的には後述するとして、まずは第1弾「鹿児島県産黒豚だし」からレビュー。前述の第2弾「しょうゆ味 鹿児島県産黒豚だし仕上げ」とダシは同じ黒豚ながら、スープの構成が異なるため、印象も違います。

ダシが動物系と魚介系とでガラリと変わっていますが、見た目はほぼ同じ

ダシが動物系と魚介系とでガラリと変わっていますが、見た目はほぼ同じ

第1弾は、ワイルドな香りにスパイシーさや味噌のコク、野菜を感じる甘くまろやかなニュアンスなどが調和して、安定のうまさ。改めて、味覚設計の骨格となっている通常版「サッポロ一番 みそラーメン」の完成度が高いことを実感します。

味噌汁とも豚汁とも違いますが、この安定感ある味噌スープの味はやはり美味。前述の第2弾「しょうゆ味」ほどではないものの、胡椒のパンチを余韻にうっすら感じました

味噌汁とも豚汁とも違いますが、この安定感ある味噌スープの味はやはり美味。前述の第2弾「しょうゆ味」ほどではないものの、胡椒のパンチを余韻にうっすら感じました

そして第2弾の「みそラーメン 三重県産伊勢海老だし仕上げ」は、残念ながら期待外れでした……。調理中からうっすら「ん?」とは思っていたのですが、想像以上に甲殻感がパワー不足。完成させたらどうかと思いましたが、これが海老ラーメンの専門店だったら怒られるのではないか? という貧弱さです。

伊勢海老どころか、普通の海老だとしても物足りなさが否めません。こちらに関しては、もっと香りや味づくりを頑張れるはずです

伊勢海老どころか、普通の海老だとしても物足りなさが否めません。こちらに関しては、もっと香りや味づくりを頑張れるはずです

いや、決してマズくはなく、おいしさとしてはまったく問題ありません。海老的な甘みやまろやかさ、マイルドな口あたりは上品さもあって、「プレミアリッチ」としてはいいのです。ただ、“三重県産伊勢海老だし”をうたうなら、もっと主張させませんか?

シリーズの完成度としては高いだけに、もったいない!

シリーズの完成度としては高いだけに、もったいない!

第1弾の「塩らーめん 北海道産ほたてだし仕上げ」の魚介感はバッチリでしたし、通常版の「サッポロ一番 みそラーメン」は個人的にも大好き。それだけに、この不完全燃焼感はしっかり訴えたいと思いました。

「塩」は今回もハイレベル! 担当者は神の舌ですか!?

ラストは、第1弾の「北海道産ほたてだし仕上げ」がウマすぎた「塩」。第2弾では、「みそ」のダシとは逆に、魚介系から動物系の“福岡県産はかた地どりだし”へと主軸を変えた構成になっています。

第1弾(左)は1食108g(麺91g)あたり474kcal、脂質19.0g、炭水化物65.9g、食塩相当量6.8g。第2弾(右)は1食111g(麺91g)あたり496kcal、脂質21.2g、炭水化物65.5g、食塩相当量6.3g

第1弾(左)は1食108g(麺91g)あたり474kcal、脂質19.0g、炭水化物65.9g、食塩相当量6.8g。第2弾(右)は1食111g(麺91g)あたり496kcal、脂質21.2g、炭水化物65.5g、食塩相当量6.3g

ちなみに、筆者は「サッポロ一番」の二大巨頭である「塩らーめん」と「みそラーメン」とでは、元々僅差で「みそ派」でした。しかし前回、第1弾の「塩らーめん 北海道産ほたてだし仕上げ」を食べて「塩派」に乗り換えることに。それだけに、第2弾「塩らーめん 福岡県産はかた地どりだし仕上げ」の向かい風は強いと思いましたが、いやはや、作ってみると、これはこれでナイスな印象!

今回の比較で、見た目の違いがいちばんわかりやすかったのがこちら。第2弾は白湯(パイタン)っぽく白濁したスープが好印象で、期待を高めてくれます

今回の比較で、見た目の違いがいちばんわかりやすかったのがこちら。第2弾は白湯(パイタン)っぽく白濁したスープが好印象で、期待を高めてくれます

もちろん、久々に味わう第1弾の「北海道産ほたてだし仕上げ」も絶品。乾燥貝柱をほおばったかのような、ふくよかなほたてのエキスがまさにリッチなおいしさです。

通常版「サッポロ一番 塩らーめん」の隠し味であるセロリ感を残しておしゃれさを演出しつつ、旨味もしっかり。スープの中に忍ばせた「切り胡麻」(通常版「サッポロ一番 塩らーめん」では別添)は香ばしさを醸し出し、飲み干したい味わいに

通常版「サッポロ一番 塩らーめん」の隠し味であるセロリ感を残しておしゃれさを演出しつつ、旨味もしっかり。スープの中に忍ばせた「切り胡麻」(通常版「サッポロ一番 塩らーめん」では別添)は香ばしさを醸し出し、飲み干したい味わいに

そして第2弾の「福岡県産はかた地どりだし仕上げ」もイイ! こちらは期待を裏切らないレベルの高さです。具体的には、博多の名物鍋である水炊きをイメージしたかのような、コク深白湯設計。このまろやかなスープは塩味との調和もすばらしく、絶品です。

水炊き的なまろやか白湯がナイス。“はかた地どり”って、そういう狙いなのでしょうか? こちらも「切り胡麻」がいぶし銀の活躍を見せ、トータルでお見事!

水炊き的なまろやか白湯がナイス。“はかた地どり”って、そういう狙いなのでしょうか? こちらも「切り胡麻」がいぶし銀の活躍を見せ、トータルでお見事!

第1弾のスープにも少々とろみがありますが、第2弾はより強め。ポタージュと言えるほどではないものの、適度にシルキーで芳醇です。同じ鶏でも、第1弾の「しょうゆ味」で使われた“徳島県産阿波尾鶏だし”とはまったく異なる活用法で、ある種天才的。このプレミアリッチシリーズの開発者は、「塩」担当が神の舌を持っているか、全味で同一人物だとしたら「塩」愛にあふれる方だと思います!

【まとめ】第3弾にも期待したいが、まずは「塩」を食べてみて!

ということで、第2弾も推しは「塩」。もちろん、元々筆者が「塩派」であることを抜きにしたうえでのジャッジですし、第1弾との振り幅や味覚設計の方向性などを鑑みても、普通に第2弾の「サッポロ一番 プレミアリッチ 塩らーめん 福岡県産はかた地どりだし仕上げ」が高評価になると思いました。

ちなみに「サッポロ一番」ブランドでは、このような限定味も3種で展開中。「プレミアリッチ」とあわせてお試しを!

ちなみに「サッポロ一番」ブランドでは、このような限定味も3種で展開中。「プレミアリッチ」とあわせてお試しを!

第2弾では迷走っぷりも垣間見えましたが、“二度あることは三度ある”と言いますし、もし第3弾が出たらまたレポートしたいです。そして繰り返しになりますが、第2弾は「サッポロ一番 プレミアリッチ 塩らーめん 福岡県産はかた地どりだし仕上げ」だけでもお試しあれ。限定品なのでお早めに!

関連記事
袋麺の王者「サッポロ一番」に高級版が登場! “一番”ウマいのはあの味
袋麺の王者「サッポロ一番」に高級版が登場! “一番”ウマいのはあの味
サンヨー食品のロングセラー「サッポロ一番」の高級版「サッポロ一番 プレミアリッチ」シリーズが発売されました。おなじみの3種の味を、それぞれの本家と食べ比べ!
2024/06/26 11:00
「特上カップヌードル」に第2弾が登場! 4種類を本家と徹底比較
「特上カップヌードル」に第2弾が登場! 4種類を本家と徹底比較
2023年に大ヒットした「特上 カップヌードル」シリーズ4品が、2024年9月に新たな味で再登場! 第1弾を全部食べたフードアナリストが、本家と食べ比べます。
2024/09/30 11:00
「最強どん兵衛」は通常版とどう違う? 食のプロが食べ比べ!
「最強どん兵衛」は通常版とどう違う? 食のプロが食べ比べ!
麺、つゆ、具材、薬味とすべてにこだわった「最強どん兵衛」は、通常のどん兵衛に比べてどれだけウマいのか? 全4商品を通常版と食べ比べて実食チェックします。
2024/12/20 09:30
日清「特上カップヌードル」どれがいちばんウマい!? 4種類を本家と徹底比較
日清「特上カップヌードル」どれがいちばんウマい!? 4種類を本家と徹底比較
2023年9月に発売された「特上 カップヌードル」シリーズ4品は、いわば定番のプレミアム版。4品を本家と食べ比べて、それぞれの特徴をチェックします。
2023/11/15 17:00
中山秀明
Writer
中山秀明
グルメ、ファッション、カルチャー、ライフスタイルを得意とする編集プロダクションを経て独立し、フードアナリストの資格を取得。内食・外食のトレンドやカルチャーに詳しく、深掘りレビューやインタビューなどを得意とし、さまざまな雑誌やウェブメディアをメインに、編集と撮影を伴う取材執筆を行っている。酒類や調理家電、タバコ関連にも強い。時折、テレビ番組や大手企業サイトに食の有識者として企画協力することも。
記事一覧へ
しえる(編集部)
Editor
しえる(編集部)
生活雑貨・食品に加え、ウォーターサーバーなど、サービス系商品の記事をメインに担当している2児の母。自称「ポテチマスター」。ポテトチップスを中心に1日3袋のスナック菓子をたいらげるお菓子狂です。
記事一覧へ
記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
SPECIAL
ページトップへ戻る
×