かつて、ここまでパワフルなプロテインがあったでしょうか!
「THE PROTEIN スーププロテイン 600g にんにく背脂醤油豚骨風味」。価格は3,380円(税込)
それが、2024年11月27日にデビューした「THE PROTEIN スーププロテイン 600g にんにく背脂醤油豚骨風味」。商品パッケージを見るからに、業界の圧倒的なカリスマである、“あのラーメン”にインスパイアされたビジュアルです。
本商品はお湯などに溶かしスープとして飲むほか、麺や具材などを用意すればG系(ガッツリ系などの意味)ラーメンのスープにもなるとのこと。そのクオリティを確かめるべく、今回はスープとラーメンで試食し、味わいをレポート。もちろんプロテインとしてのスペックなども紹介します。
話題性はすさまじく、楽天やAmazonはおろか、公式ECでも売り切れが続いている状況
「THE PROTEIN スーププロテイン 600g にんにく背脂醤油豚骨風味」(以下、「ザプ郎」に省略)の新奇性は、やはりその味にあります。
プロテインの多くは、スイーツやフルーツ、ドリンクフレーバーなど、甘い味付けがほとんど。近年、プロテイン人気が高まっていることもあり、スープ味やカレー味といった食事系のニューフェイスも登場していますが、G系ラーメンスープ味は筆者の知る限り初めてです。筋トレや健康増進など、ストイックでヘルシーなイメージのプロテインを、ジャンクで高カロリーなイメージのG系フレーバーで作った点も画期的と言えるでしょう。
メーカーは、健康食品や化粧品を取り扱う武内製薬。同社の「THE PROTEIN」ブランドは、“毎日飲みたくなるプロテイン”がコンセプト。日本一のフレーバー数を目指し、さまざまな商品を開発しています。
ラインアップは幅広く、コーラにソーダ、杏仁豆腐に酸っぱすぎるレモン風味など、「THE PROTEIN」の味はきわめて多彩
甘い味付けだけでなく、オニオンポタージュやコーンスープ風味といった食事系もありますが、なかでも攻めた新作が今回の「ザプ郎」なのです。
G系プロテインはその後、他社からも発売されました。写真は2025年2月に限定発売された「バキ童プロテイン 豚ラーメンマシマシ風味」で、こちらも話題沸騰
ここからは本題へ。「ザプ郎」のスペックは1食30gあたり112kcalで、たんぱく質は15.5g。脂質1.6g、糖質8.7g、食物繊維0.0g、食塩相当量1.6g。
ちなみに、同ブランドのプレーン味のプロテインは、1食30gあたり120kcalで、たんぱく質23.4g、脂質1.9g、糖質2.2gとなっているので、「ザプ郎」は糖質こそ高いものの、プレーンより少しだけカロリーと脂質が低めです。
原材料名の最初に「乳たんぱく」と表記。プロテインは原材料などによってタイプが分かれますが、公式サイトのカテゴリーを確認したところ、本商品はホエイプロテインのようです
「ザプ郎」がカテゴライズされるホエイプロテインは、牛乳に含まれる「乳清(にゅうせい)」と呼ばれるもので、元々は液体。よく、ヨーグルトの表面に水分が浮くことがありますが、あれがホエイです。そして、ホエイに含まれているたんぱく質を取り出したものがホエイプロテインであり、アミノ酸が豊富でバランスもよく、吸収スピードが速いことが特徴です。
開封すると、一瞬で「ザプ郎」の個性に気づきました。これは香りよりもニオイと表現したほうがよさそうな、プロテインらしからぬ刺激臭です。特に想像を超えているのが、ニンニク以上にストロングな豚骨系のパンチ。スープにしたら、より凶暴化することが予想できます。
袋の中には乳白色の粉がたっぷり
付属のスプーンはすりきり1杯で15g。つまり、2杯で1食分です
1食分の30gに対し、お湯200mLが公式のレシピ。この要領で作り、まずはスープとして味わってみましょう。
作るうえで最大のポイントは、ダマにならないように混ぜること。これは多くのプロテインにおける共通のコツですね。さらに、スープとして味わうことが推奨される「ザプ郎」の場合は、温度にも配慮が必要です。
プロテインを入れて一度カウンターをリセットし、200g(約200mL)の熱すぎないお湯を注水。しかし、この方法では上手に混ざりませんでした。のちほど失敗しにくい方法を伝授します
パッケージには、80度以上の熱湯で溶かすとダマになりやすいため、そこまで熱すぎない温度にすることが注意点として書かれています。また、プロテインには専用のシェイカーがありますが、お湯を使ってシェイクすると中身が吹き出したりフタが飛んだりする危険性があるので、ご法度。これは「ザプ郎」だけでなく、ほとんどのプロテインでも共通の注意点です。
ただ、レシピどおりに80度以下のお湯を注いですぐに30秒ほどかき混ぜても、うまくいかず。コツは、200mLすべてを一度に注がないことです
ダマにならないようにするコツは、粉と水分を少しずつ混ぜること。一度ペースト状にし、だんだん水分を増やして伸ばすようにすると、失敗しにくいはずです。
水分量に注目。このように、ペースト→ポタージュ状→スープの順でお湯を足していけば上手に作れるでしょう
なお、完成したスープはクリーミーな白湯(パイタン)ではあるものの、極端には乳化していません。ねっとりしたテクスチャーが好きな人はお湯を200mLよりも少なくして作るのがおすすめです。
出来上がり。写真ではなかなか伝わりませんが、ニオイはかなりサディスティックです
もうひとつ、大事な注意点をあげるとすれば他者への配慮です。ひとり暮らしなら問題ありませんが、パートナーや家族と住んでいる人は、ニオイに関する断りを入れておきましょう。換気扇はマスト。寒くない日なら窓を開けておくことを推奨します。それほどのニオイです。
とはいえ、クサウマ系ラーメンが好きな人なら一切問題はありません
ニオイが暴力的な分、味に妥協しなかったであろうことが伝わってきます。飲んでみると、ニンニクのパンチだけでなく豚骨的な旨味がしっかり感じられ、醤油のまろやかさや甘みもほんのり。ピリッとするエッジも課長(化調)的であり、実に高い完成度です。
今度は、「ザプ郎」をラーメンスープとして食べてみましょう。プレスリリースに載っている材料を基に、ヘルシーアレンジしたラーメンを作りました。
麺は糖質ゼロタイプをチョイス。そしてG系に欠かせない刻みニンニク、キャベツ、モヤシ。アブラ(背脂)は売っていなかったので、見た目のにぎやかしとして刻み生姜、そして豚(チャーシュー)の代用にサラダチキンを切って使います
「ザプ郎」でラーメンスープを作る際の分量も、先述したスープと同じで「ザプ郎」30gに対してお湯が200mL。大きな器で作ると粉が飛び散りにくく混ぜやすいので、普通のスープとして飲む場合でも丼などを使ったほうがいいかもしれません。
スープを作っている間に、キャベツやモヤシは茹でるか、レンチンで調理しておきましょう。また、ラーメン全体が冷めないように糖質ゼロ麺も温めておくのがおすすめです
「ザプ郎」とお湯がしっかり混ざってスープができたら麺を入れ、野菜やニンニクなどをマシマシに。糖質ゼロ麺なら茹で時間を気にする必要がないので、普通のラーメンよりも手軽に作れます。
なかなかの出来栄え。モヤシは1袋200g分を使っているので、もう1袋買ってもよかったかも。ただ、その場合はカラメ(味を濃くオーダーする際の呪文)にしないと味が薄いか?
スープから飲んでみると、基本は先述の味と変わらないものの、野菜や刻みニンニクなどの旨味やエッジが加わってこれもイイ! ただ、野菜が加わる分どうしても薄めになるので、お湯の量は少なくしてもいいかもしれません。
それこそ、どろっとしたスープでまぜそばを作っても面白いと思います。なお、プロテインはたんぱく質を取ってこそなので、スープは飲み干しましょうね
糖質ゼロ麺は味も弾力もかなり淡麗で、G系のワシワシとした食感とはほど遠いものの、ラーメンとしてのすすり具合はダメではありません。スープや野菜と一緒にぢゅるりとすすれば、それなりの満足度に。
どろどろなテクスチャーとまではいかないまでも、シルキーなスープは糖質ゼロ麺にもそこそこ絡んでくれます
今回使った糖質ゼロ麺は、180gあたり15kcal、たんぱく質は0.9g。糖質はもちろん0gなので、この「ザプ郎」ラーメンは、スープと麺の合計で127kcal、糖質8.7g、たんぱく質16.4gというスぺック。味の満足度は十分すぎるほどあるので、かなり優秀な商品だと言えるでしょう。
なお、後片付けをしている際にもうひとつ、うれしいポイントがありました。それは、オイリーなベタつきが少ないこと。味としてはガッツリこってり系ながら、原材料面はスマートであることが実感できました。
ラーメンを食べた後の洗い物は丼に脂がベッタリ付きがちですが、「ザプ郎」の場合はそれがほぼなくてすっきり。スポンジが油脂で汚れることもありません
味もスペックもかなり優秀な「ザプ郎」。ニオイは強烈ながら、それはリアルさやおいしさを求めての結果でしょう。しばらくは入手困難が続くかもしれませんが、プロテインで鍛えているG系好きの人には、ぜひ試してほしい意欲作です。