2018年11月30日に公開された映画「機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)」。宇宙世紀を舞台にしたガンダムの完全新作映画は「機動戦士ガンダムF91」から約27年ぶりということだそうで、筆者も久しぶりに大スクリーンでガンダムの勇姿を堪能してまいりました。
そんな本作に登場する機体が続々とガンプラ化しています。これまでにも「HGUCフェネクス」、「HGUCシナンジュスタイン」と劇中登場モビルスーツのガンプラを紹介してきましたが、次に発売されたのはタイトルにもなっている「HGUCナラティブガンダム」。1/144スケールですが、大型の装備が施された迫力あるガンプラとなっております。
1/144スケールのHGUCですが、お値段5,940円とMG並みの価格設定になっています
それもそのはず、ランナー数30枚と、MG以上のパーツ数を誇るガンプラなのです!
「機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)」は、「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」の作者、福井晴敏氏原作の小説をベースに映像化された作品で、「UC」以降の世界を描く宇宙世紀の物語となっています。本機ナラティブガンダムはその主役機ともいうべき存在で、作品中で唯一、ガンダムと名付けられたモビルスーツです。しかも劇中ではA装備と呼ばれる大型の装備で登場し、圧倒的な力を見せつけてくれます。こういう登場の仕方のガンダムってなかなか珍しいですよね。本キットはそのA装備を搭載したナラティブガンダムになっています。
さまざまなカラーリングのパーツ構成になっていて、組み立てるだけできれいな塗り分けがされますよ
さっそく組み立てていきます。ナラティブガンダム本体のパーツ数は少なく、使用ランナーも数枚。関節にはポリキャップを使用します。本体のカラーリングは鮮やかなホワイトがベースで、要所にグレーの配色がされておりますが、ガンダム特有のブルー、レッド、イエローのカラーも一部に配されています。
ナラティブガンダム本体です。胸部がホワイトなので、真っ白な印象を受けますね。ヘッドはいわゆるガンダムヘッドで、ν(ニュー)ガンダムを連想させるスタイル
シンプルに見えるのは、腕、もも部分の装甲がないからですね。むき出しのパーツが斬新。うしろもシンプルで、バックパックはユニコーンガンダムに似ていますが、ビームサーベルのラックなどはありません
ナラティブガンダムはアナハイム・エレクトロニクス社がνガンダム以前に開発した、ニュータイプ専用機の試作機という位置づけになっています。そのせいか、腕やもも部分の装甲がなく、フレームがむき出しになっており、劇中でも言われていましたが、細いシルエットの機体に見えます。さらに単体での武装は頭部バルカンのみで 、ビームライフルなどはありません。また腹部には初代ガンダムのようにコア・ブロックシステムが採用されており、脱出時にはコア・ファイターとして分離することができます。キットではその部分は省略されており、合体分離はできません。
前述のとおり、余分な装甲がない分かなり自由に動きます。
胸部パーツの肩口部分が分離して可動するため、肩をここまで前に引き出すことができます
A装備状態への合体も考慮してか、おなか部分の可動も広く、後方に大きくのけぞることができます
装甲が少ない分、干渉する部位が減り、格闘タイプのガンプラに匹敵するほど柔軟に動かせます。支えなしで片足でここまで可動させて自立することができました
続いてA装備との合体に移ります。 前述のとおり本機はもともと試作機のため武装がほとんどなく、本体だけでは実戦登用できませんでした。そこで用意されたオプション装備のうちのひとつが「A装備」です。大型のブースターを複数装着し、フェネクス捕獲作戦「不死鳥狩り」にて、驚異的と思えるフェネクスの加速に対応できるようになっています。
このキットのランナー数のほとんどはA装備分という感じで、巨大なブースターや「サイコ・キャプチャー」と呼ばれる独自のシステムを組み立てていくことになります。このサイコ・キャプチャーでは同パーツを6個ずつ組み立てることになるのですが、パーツも大きく組み立てやすいのでさほど時間はかかりませんでした。またブースターのスラスター部分やサイコ・キャプチャーの一部などには大型のデカールを貼るようになっており、そこで色分けをするようになっています。
まずフロントアーマーをハイメガ砲付きに交換します
両脚に巨大ブースターユニットを1個ずつ取り付けます。上体をのけぞらせて膝立ちしているようなスタイルにし、付属のスタンドでしっかり固定。どの行程も、すっぽ抜けるようなことがなくきれいにはまりました
A装備最大の特徴はサイコ・キャプチャーと呼ばれる巨大なアームです。劇中ではフェネクスを確保するためにこのシステムを使っていましたが、キットでもその大きさ、可動を再現しています。とくに先端部分の大きな爪部分はかなり柔軟に可動し、パーツ構成、組み立てやすさともに秀逸な出来でした。
巨大なアームが付いたサイコ・キャプチャーをスタンドに取り付けていきます
全長約30cmのレールにアームを取り付け、スタンド部分に取り付けます。アームはレール上を前後に移動できます
レール下部のアーマー部分に持ち手が付いており、両手でしっかりと握って保持ができます
サイコ・キャプチャーを取り付けA装備完成。撮影ブースに収まらないほど巨大なガンプラになりました
A装備を取り付けたことにより、かなりの大型キットになります。ガンダムと巨大なオプションが合体するのは、「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY」のガンダム試作3号機ステイメン+デンドロビウム。「機動戦士ガンダムSEED」のフリーダム、ジャスティス+ミーティアなどがありますが、このA装備はミーティアタイプのアームドモジュールに近い印象です。
キットではスタンド保持によって、しっかりと装備が外れないようになっておりますが、サイコ・キャプチャーレール本体の可動は小さく、劇中のようにレール部分を上下に動かすことはほぼできません。左右の可動は可能です。
正面から。大型装備でガンダム本体が小さく見えますね
横から。全長は約40cmとなり、HGUCシリーズでも最大級の大きさになります
後方、上部から。もはやモビルアーマーといってもいいくらいのサイズ感。この大きなブースターパック4本が、爆発的な加速力を生み出します
付属のミニスタンドでレール部分の保持も可能。高さは2段階に調節できます
劇中でも登場した巨大ビームサーベルをレール先端に取り付けられます。サーベルを含めると全長は50cmオーバーに
サイコ・キャプチャーのアーム部分は劇中同様、スライド移動、展開が可能になっています。レールの上をアーム部分のみ前方へ移動させることができ、アームを展開します。この作りが秀逸で、レール下部のアーマーなどに干渉することなく、アームをスライドさせられ、またアームを展開しない場合は、しっかりと非展開状態で固定することができ、ぐらぐらと動くことがありません。アーム自体も6本が独立して動きます。
アーム部分のみをレール前方へ移動。この際、アームは本体への干渉なくスムースに可動します
レール前方までアームを移動。アームを展開状態へ持って行きます
アーム展開。迫力が出る構図になりますね
レール部分は小さい範囲ですが左右に広がります
アームをいったん取り外し、専用のパーツを付けることで、サイコ・キャプチャー展開状態のポージングも可能になっています。
別パーツを取り付け、アームが向かい合うようにセッティングできます
劇中であったサイコ・キャプチャー展開状態へ。一度はこれでフェネクスを捕らえるのですが……
後部ミサイル・ポッドはパーツ取り外しで展開。ミサイル先端の赤部分は全部シールです
大型のキットなため、A装備状態では固定ポーズが主となりますが、スタイルと存在感を楽しめるガンプラとなっています
この大型のA装備、劇中でも見事に活躍してその存在感をアピールしますが、キットでも、可動、ポージングにおいて劇中同様の再現度を誇る秀逸なガンプラとなっています。
ナラティブガンダム単体だけでは、物足りなさも感じてしまう部分もあるのですが、A装備追加によってキットの魅力が存分に味わえるようになっていました。また組み立てやすさやパーツ構成なども最新のガンプラらしくきれいにまとまっていて、作るときのストレスを感じさせない作りになっているのも印象的 。
今後は「C装備」の発売が決定しているなど、ナラティブワールドはこれからも広がりを見せそうです。2019年もガンプラを追いかけていきます!