平成最後に発売されたガンプラのMG(マスターグレードモデル)は、可変式モビルスーツの「Ex-Sガンダム/Sガンダム」です。筆者はゴールデンウイーク中に組み立てましたが、ボリュームの多さと難しさで、作り応えのあるガンプラになっていました。
大型モデルです
Ex-Sガンダム/Sガンダムは、「ガンダム・センチネル」と言う模型主導の雑誌連載企画、小説として展開されたもので、TVアニメには登場していないモビルスーツです。以前、「ディープストライカー」のガンプラをご紹介させていただきましたが、その前身となるモビルスーツがこのEx-Sガンダム/Sガンダムです。時代的には宇宙世紀の「Zガンダム」と「ガンダムZZ」のあたりが背景となっています。
ゴテゴテっとしたデザインと強力な武装をともない、変形機構を兼ね備えたモビルスーツということで、ファンからも人気を博し、2003年にMGとして「Ex-Sガンダム」が発売されていました。今回のキットはその旧MG版をベースに、2018年に発売された「ディープストライカー」のパーツを取り入れ、新規造形パーツによって部分的に改良されたキット。パーツ選択式で、「Ex-Sガンダム」と「Sガンダム」どちらかを選んで組み立てられるコンパーチブルキットとなっています。
ランナーはなんと49枚! ここからパーツを探して切り分けるのはとても大変でした
旧キットがベースとなっているため、最新のMGと比べるとやや作りにくい印象を受けました。たとえば、最新のMGデュナメスが脚を作るのに必要なランナーが5種類だったのに対して、Ex-Sガンダムを作るには18種類+ビス留めが必要でした。ここからパーツを探して切り分けるのにひと苦労です。取説もデュナメス24ページに対して60ページと、コンパチ&変形機構ありと考えてもかなりのボリュームになります。ポリキャップも多数使用し、保持のために小さなビスを大量に使うので精密なドライバーも必要になります。
Ex-Sガンダム完成形。迫力のある大型キットです
作る苦労もまたガンプラの楽しみなので、久々に時間をかけて製作しました。同時期にHGマグアナックも作っていたのですが、Ex-Sに詰まると、マグアナックを作って気分転換をしながら進めました。
取説は基本Ex-Sガンダムを作ることを指示しており、Sガンダムとのコンパチ部分は別の指示が出る内容となっていました。このコンパチですが、パーツをまったく別のパーツに変えるだけではなく、一部のパーツは流用しながらの選択式になります。ポリキャップも流用したりするので、なくさずに整理しておくのが大事。筆者も取説どおり、まずはEx-Sガンダムを選択。コア・ファイターをベースにウエスト、胸部、顔、ブースター、脚、腕、武器の順番で組み立てました。では各所を見ていきましょう。
かなり小顔です。肩アーマーがでかいのでより小さく見えますね
白い胸部のアーマーはEx-S専用パーツです
両肩の巨大なプロペラントタンクパーツで、横から見ると顔などは見えませんね
背中の巨大ブースターもEx-Sならでは。ブースター部分はビス留めします
頭部と膝部分にあるインコムは着脱式で、付属のリード線を使えば、有線式のインコムとして再現することができます。
膝部分のアーマーを開いて赤いインコムを取り出します
リード線を使うと、有線式のインコム発射形態を再現できます
頭部インコムも同様。膝部、頭部ともにリード線を本体に付ける別パーツを使います
リード線は3本付属しており、好みの長さに切り分けて使用できます
筆者は旧MGの「Ex-S」を作っていないのですが、写真などを見る限りでは、顔はかなり小さくなっており、また本体色は、旧MGより抑えめのマットなブルーに変更されています。顔に関しては「ディープストライカー」と同じようですね。また肩アーマーのスライド機構もディープストライカーのものを取り入れているようです。そのほか、上半身部分はほぼ同じようでした。
肩アーマーのスライド機構はディープストライカーと同じでした
顔も流用。額の色が白いの(左)が今回のEx-S
上半身はディープストライカーの色替えバージョンといった印象
Ex-Sガンダムの特徴といえば、背中の巨大バックパックと肩に付いたプロペラントタンク、そして大型のビーム・スマートガンですが、この大型武装の保持のために専用のスタンドが付属しています。本体だけでの自立はなんとか可能ですが、スタンドを使わないと倒れてしまうので、必須でしょう。スタンドは支える場所を変えることで3つの角度に変更可能です。
腕は巨大なプロペラントタンクを付けているので、重さで下がってきてしまうのですが、肘関節などはしっかり曲がり、ちゃんとポーズを決められます。また膝関節などもよく動き、スタンドに付けたままでポージングを楽しめます。
専用スタンド付き。しっかりと本体を保持してくれます
巨大なプロペラントタンクがあるので、どうしても腕に重みがかかりますが、肘関節などはしっかり曲がります
背中のバックパックは大型ですが、ビス留めなのでしっかり保持できます
巨大なビーム・スマートガンは専用手首と腰アーマーに接続して保持します。左手が可動手首なので、砲身を持って支えることもできます
スタンドでしっかり保持してくれるので、脚を可動させてのポージングも可能です
ここからは変形機構を使ってGクルーザーへと変形させます。実はかなり大変な作業でした。取説がややわかりづらいのと、小さなパーツが壊れそうで、あまり思い切って変形させることができず、最初の変形はかなり時間がかかりました。正直もう二度と変形させたくないです……。
まずは全身をバラして、上半身を大きく変形させます。顔をひっこめ、胸部パーツをはねあげブースターの位置を変えて固定していきます。腰部分とブースターを固定させるパーツが小さく、なかなか難易度の高い変形でした。腕部分はスムーズに回転するので、プロペラントタンクを付ければ完成。脚部分も位置を変えれば変形完成です。
まずは全身をバラして各部ずつ変形させていきます
胸部を回転させ、背中のブースターを外し、腰部分とドッキングさせてスタンドに接続
脚を変形させて接続します
肩アーマーの外装をスライド移動させ、腕をたたんで、プロペラントタンクに収納します
腕を取り付けてGブースター完成。これがなかなか大変でした。スタンドがないと保持できません
続いては、Ex-SガンダムからSガンダムへと換装します。胸部や腰に付いたアーマーを取り外した後、やはり一度バラします。特に膝部分は、ビス留めした個所を一度外して取り外し、Sガンダム用の膝アーマーパーツへと換装させる作業が必要。ここはポリキャップも流用します。同様に背中のブースターもビス留めを外して、Sガンダム用のブースターをビス留めします。Ex-Sガンダム用のゴテゴテしたアーマーやプロペラントタンクがなくなるので、Sガンダムはかなりシンプルな感じになりますよ。
コア・ファイターはEx-Sガンダム用、Sガンダム用と2機作れます。写真下がSガンダム用
腰のフロントアーマーを取り外し、簡素なパーツに換装します
脚は一度バラして、Sガンダム用の膝アーマーに換装。インコム装備のないシンプルなほうがSガンダム用です
バックパックのブースターもビス留めを外して、右の小さなものに換装
Sガンダムへ換装。シンプルながらもスタイリッシュなデザインになっています
SガンダムはEx-Sの重装備を外した感じでシンプルになりますが、Zガンダムに似たスタイルになりますね。背中のブースターもシンプルになった分、スタンドなしの自立も可能ですが、飾るならスタンドありのほうがいいと思います。
うしろのスタイルもかなりスッキリしました
ビーム・スマートガンは小さなレーダーパーツがなくなりました
武装はほかにブルーのクリアパーツを使ったビーム・サーベルが2本付属しています
なお、Sガンダムは分離・合体機構を再現しています。飛行形態に変形するEx-Sガンダムとは異なり、上半身のパーツ、コア・ファイター、下半身パーツの3つのブロックでそれぞれ独立した飛行形態となります。Ex-Sガンダムとはまた異なった変形方法なのですが、こちらのほうがしっかり変形できました。
上半身はぐるっと回してこのように変形させます
これで完成。シンプルですが、しっかり固定されてパーツが外れることがありませんでした
下半身パーツも独立した飛行形態に。「Gコア」「Gアタッカー」「Gボマー」への分離を再現できます
自立も可能ですが、股関節がやや甘いのでスタンドで飾るほうがよさそう
最近のガンダムにはないゴテゴテさがいい味出しています
2つのガンダムにコンパチできる内容と、新旧のガンプラ技術が使われている大型キットでした。最新のMGとかに慣れていると、やや作りにくく面倒くさい部分もあったのですが、完成したときの迫力や達成感はなかなかのものがあります。一度コンパチしてしまうと、ほかのガンダムに換装するときの煩わしさはあるのですが、それもまたガンプラの醍醐味として楽しみましょう。個人的にはシンプルなSガンダムがいいのですが、「ディープストライカー」と並べて飾るならEx-Sガンダムの重装備がマッチしていい感じですよ。
「月刊PCエンジン」誌で編集ライターデビュー。「64DREAM」誌デスクを経て前職はXbox 広報のゲーム漬け人生。猫とガンプラとaqoursが存在理由のホビー担当。