今回のガンプラ組み立てレビューは、「新機動戦記ガンダムW」より、重装備のモビルスーツ「ガンダムヘビーアームズ」です。TVアニメ放送からはや15年がたちますが、時代を感じさせない、武骨かつスタイリッシュなガンプラに仕上がっていました。
HGの最新フォーマットで「ヘビーアームズ」がよみがえります
「新機動戦記ガンダムW」は1995年にTV放映されたガンダム作品で、宇宙世紀ではない“アナザーセンチュリー”を舞台にしています。5人の主人公それぞれが独自のスタイルを持つガンダムに搭乗するのですが、モビルスーツのスタイリッシュさや乗り換え機体の多さが特徴的で、美少年が多く登場したことも相まって人気を博しました。
そんな主役機5体のうち、「ガンダムヘビーアームズ」は最大の火器で武装した砲撃戦用モビルスーツ。パイロットは「名無し」ことトロワ・バートン。左腕にビームガトリング、胸部にガトリング砲、両肩にホーミングミサイル、両脚にマイクロミサイルと、多彩な武装を搭載しています。ガンプラはHGシリーズとしては今回が初めてですね。実は今回、この機体がガンプラ化したことはファンにとってとても喜ばしいことなのですが、詳しくは後述します。
組み立ててみると、HGシリーズの最新作ということで、とても作りやすく手軽に楽しめるようになっています。パーツ構成や作り方が、発売中のHG「ウイングガンダム」や「サンドロック」とほぼ同じになっており、ポリキャップ使用位置なども共通でした。
TVシリーズ初期に登場する、レッド部分が多いヘビーアームズです
レッドのほか、イエロー、オレンジなどの多数のカラーパーツが使われています。胸のブルーや膝のグレー部分はシールです
最新のガンプラだけあり、パーツ塗り分けがていねいで、ホワイト、グレー、レッド、イエロー、オレンジなど多彩なカラーで構成されています。一部シールで補うところもありますが、素組みで問題ない仕上がりになっていますよ。
メイン武器のビームガトリングは、左手首を外して差し込むことで装着するなど、簡単かつ外れにくい仕様になっています。
差し込み形式なのでしっかり固定でき、発射シーンもポロリなく再現可能
グリップが付いており、右手で補助することもできました
バックパックにも取り付け可能
右腕にはアーミーナイフが仕込まれており、折りたたみ式で展開できます
肩や股関節などはポリキャップを採用していますが、肘や膝は最近のHGシリーズならではのポリキャップレスによる関節構造になっており、外れにくく動かしやすくなっています。
肩部分はポリキャップを使用しています
肘関節がしっかり曲がることと、ビームガトリングが干渉しないことで、腕のポーズはかなり自在に取ることができます。劇中ではビームガトリング発射シーンで腕を伸ばしていることが多かったのですが、そのポーズで固定していても腕がへたれてくることはありませんでした。
肘関節に干渉しないため、ビームガトリング装着状態でも腕が柔軟に動きます
脚は、長めのフロントスカートがやや干渉しますね。ただ、膝や足首などは柔軟に可動するので、膝立ちポーズも可能でした。
フロントスカートが干渉するので、無改造では脚を前に出すのはこれが限界
そしてやはり「ヘビーアームズ」といえば、各所に仕込まれたマイクロミサイルを発射する“フルオープンアタック”が印象的ですよね。HGの本キットでもそのギミックは再現されています。肩、胸部、脚部のコンテナのハッチが開閉し、中に仕込まれたマイクロミサイルを見ることができます。
過去にMGの「ヘビーアームズEW」を作った際は、胸部のマイクロミサイルハッチの開閉ギミックが外れやすくて不満だったのですが、HG版は無理なく可動し、パーツが外れたり折れたりするようなことがありませんでした。
上半身は肩、胸部のハッチが開閉します
下半身は脚のコンテナが開閉。中に入っているマイクロミサイルが見えますね
各ハッチは開閉しやすく、開いたままで固定できます
「ガンダムW」のガンプラは、HGでの展開が継続されているということと、作りやすくて値段も手ごろということで、集めやすいシリーズになっています。2020年秋の発表会でも「MG ガンダムデスサイズ」の発表があったり、プレミアムバンダイ限定商品で新機体のラインアップが発表されたりと、今後が楽しみですね。
同じくHGの「ウイングガンダム」と「ガンダムサンドロック」と並べてみました
各パーツ穴やサイズが共通なので、「ヘビーアームズ」のバックパックに「ウイングガンダム」のバックパックを付けるなんてこともできます
「なぜ今さらヘビーアームズ?」と思う方もいるかもしれませんが、実はこのTV版の「ヘビーアームズ」は貴重なんです。というのも、「ガンダムW」シリーズのガンプラは今でも高頻度で発売されている(2020年だけでも10体以上)ものの、ほとんどが設定上で登場する機体、いわゆる「EW」シリーズや外伝作品のものがメインで、TVアニメ登場機体、特に初期の機体のガンプラはかなりレアになっています。こうした事情もあり、アニメ初期機体ならではの武骨さが手軽に安価で楽しめる今回のキットの発売はうれしかったですね。
塗り分けは優秀ですが、無塗装だとちょっと軽い感じがするので、ウェザリングマスターを使って砂汚れを付けてみました。やはりヘビーアームズは地上戦の印象が強いですね
コロニー連合のガンダム5機がそろうのが待ち遠しいです!
武骨かつシンプル。だがそれがいい! HGACシリーズの今後のラインアップに期待大です。
「月刊PCエンジン」誌で編集ライターデビュー。「64DREAM」誌デスクを経て前職はXbox 広報のゲーム漬け人生。猫とガンプラとaqoursが存在理由のホビー担当。