特別企画
まもなく完全退役の空自「F-4ファントムII」 を、ファインモールドが次々プラモ化!

“巣ごもり時間”を楽しめるファインモールドのプラモ「F-4 シリーズ」。こだわりや組み立てのポイントを聞いた

航空自衛隊で50年以上現役戦闘機として活躍した「F-4 EJ/EJ改」が2020年12月に部隊配備を終了し、2021年3月末には全機が完全に退役する。
そんな中、プラモデルメーカー「ファインモールド」が、2020年10月以降「F-4シリーズ」として1/72スケールプラモデルを次々に発表し、注目を集めている。
そこで、「F-4シリーズ」の開発に携わった有限会社ファインモールドの熊澤弘氏に、開発の経緯や組み立て方のコツなどについてお話をうかがった。

「F-4EJ改ラストフライト記念 “ブルー”」星の色が他社と異なる理由

2020年10月の「1/72スケール プラモデル航空自衛隊 F-4EJ 戦闘機」(上) 「1/72スケール プラモデル航空自衛隊 F-4EJ改 戦闘機」(下)。価格はいずれも3,900円(税別)

2020年10月の「1/72スケール プラモデル航空自衛隊 F-4EJ 戦闘機」(上) 「1/72スケール プラモデル航空自衛隊 F-4EJ改 戦闘機」(下)。価格はいずれも3,900円(税別)

「1/72スケールプラモデル 航空自衛隊 F-4EJ改 ラストフライト記念(イエロー)/(ブルー)」いずれも限定生産。キットは2020年10月発売の完全新金型を使用。価格はいずれも4,500円(税別)

「1/72スケールプラモデル 航空自衛隊 F-4EJ改 ラストフライト記念(イエロー)/(ブルー)」いずれも限定生産。キットは2020年10月発売の完全新金型を使用。価格はいずれも4,500円(税別)

鈴木:2020年10月に「F-4EJ/EJ改 戦闘機」が2機同時に発売され、いよいよF-4ラストイヤーだなと思ったのですが、続いて12月に「F-4EJ改ラストフライト記念 (イエロー)/(ブルー)」の2機を発売し、3月には「F-4EJ 301号機ファイナル」のスペマ(スペシャルマーキング:期間限定の記念塗装機)仕様が発表になり驚きました。世間の盛り上がりとタイミングがぴったりでしたが、一連の製品はF-4退役の時期にあわせて開発をしていたのですか?

熊澤:第1弾の「1/72スケール 航空自衛隊 F-4EJ/EJ改 戦闘機」の制作は、実は数年前から動いていました。一度立ち消えになった時期もあったのですが、実機の退役時期が具体的になった時点で、「まだ間に合う!」と大あわてで制作し、10月に発売できました。

鈴木:今現在F-4の実機を確認できるのは岐阜基地だけですね。うち1機が、12月に突然登場したスペマ仕様の「F-4EJ 301号機ファイナル」ですが、301号機が日本導入第1号機であることも含めて大きなサプライズになっていました。御社では、実機が目撃されてすぐ製品化の発表がありましたが、何か情報があったのですか?

岐阜基地記念塗装を施した「F-4EJ 戦闘機」301号機の実機。撮影:高野勝博

岐阜基地記念塗装を施した「F-4EJ 戦闘機」301号機の実機。撮影:高野勝博

熊澤:いえ、これは本当にある日突然SNSなどで情報を発見して、その場で「これはやるべきだ」と決めました。そうしたらちょうど弊社のお客様から「いい写真撮れましたよ」と連絡をいただきまして……「パッケージに使わせください」とお願いした次第です。ちなみに現在予約受付中です。

鈴木:F-4のラストイヤーといえば、ちょうど10月ころからSNSやメディアで盛り上がり始めましたね。

熊澤:そうですね、でも航空系の雑誌業界ではもう少し前、夏ごろから盛り上がっていまして、百里のラストフライト記念のスぺマ(スペシャルマーキング:期間限定の記念塗装機)モデルも各社で早くから出ていたんです。弊社では第1弾発売の流れでラストフライト記念モデルの発売が決まりました。

実は、「ブルー」のほうは、実機の星の色が途中で黒から銀色に変わったんですよね! 弊社ではタイミングよく「銀色」バージョンを製品化できました。

鈴木:そういえば他社さんのモデルは星の色が黒いものもありますね。キットの制作時期によって同じ機種でも塗装が異なるのは面白いですね。

散りばめられた星の塗装が銀色。実機が登場してまもないころは黒だった

散りばめられた星の塗装が銀色。実機が登場してまもないころは黒だった

鈴木:「F-4シリーズ」は今後も展開もありますか?

熊澤:お客様からご要望はたくさんいただいています。現状ロングノーズのみなので、もちろんショートノーズも作ってみたいですね。あとは、日本の派手な戦技競技会のスペマもやってみたいです。

「F-4 シリーズ」組み立てやすさの秘密

鈴木:ラストフライト記念モデルは限定品ということで、すでに品薄状態だそうですが、コロナ禍の巣ごもり需要も実感されますか?

熊澤:「F-4シリーズ」に関してはそうでしたね。ほかに関しては、弊社のプラモデルはどちらかというと中級〜上級者向けなので、みなさんいつものペースで作られているのだと思います。プラモデル初心者さんが新規参入してくれている印象はありませんでした。ただ海外からの注目は集まってきているかもしれません。

鈴木:初心者と言えば、私もラストフライト記念モデルの「イエロー」を購入して組み立てているところです。プラモデルの組み立ては少し経験がありますが、塗装はほぼ初めてでして……、やはり初心者には難しいでしょうか?

熊澤:まったくの初めてですと少し難しいかもしれないですが……。「F-4シリーズ」は組み立ても塗装もやすい工夫がしてあるので、説明書どおりに組み立てれば完成するようになっていますよ。

鈴木:工夫というのは具体的にどのような点でしょうか?

熊澤:まず、ジェット機の模型は胴体部分が左右に分かれているのが一般的なのですが、「F-4シリーズ」は左右一体化しています。つまり、左右の接着、パテ処理、やすりがけなどが不要なのです。
それと、手前味噌ですが説明書がかなりていねいでして、たとえば塗装のタイミングまで指示しているのはめずらしいのではないでしょうか。普通は組み立てながら、どこで塗装するかと自分で考えるので。

胴体中央部はスライド金型により左右一体成型

胴体中央部はスライド金型により左右一体成型

塗装のタイミングもこのように説明書に指示がある

塗装のタイミングもこのように説明書に指示がある

鈴木:確かに、「ここまで組み立てたらいったん全体を塗装する」という注意書きがありました。書いてなかったら全部組み立ててしまっていたかもしれません……。

熊澤:慣れてくると塗装のタイミングもわかってくるんですけどね。あとは、全体的に組み立てやすさを重視した設計になっていて、ゲート処理さえきちんと行えば全部カチッとハマるようになっています。安心して組んでいただけると思いますよ。

ゲート処理中

ゲート処理中

1万円で2週間楽しめる!

鈴木:一概には言えないかもしれないですが、たとえば熊澤さんのような上級者でしたら、本キットはどのくらいの期間で完成するものでしょうか?

熊澤:そうですね、毎日はできないとして、1日2時間で2週間くらいでしょうか。

鈴木:それなりに時間がかかるものなのですね。根気が必要そうです。

熊澤:でも考えてみてください。先ほどコロナ禍の巣ごもり需要というお話が出ましたが、各キットは定価で3,000〜4,500円ほどです。道具や塗料を買いそろえても全部で1万円程度ですので、1万円で2週間も楽しめるんですよ? こんなにコスパのいい趣味はありませんよね。

鈴木:確かに(笑)。そう考えると飲みに行くより断然プラモ作るほうがコスパいいですね。

初心者におすすめの模型と楽しく組み立てるコツ

鈴木:同じ飛行機の模型で、少し難易度を落として挑戦したい場合のおすすめはありますか?

熊澤:人気どころで「スタジオジブリシリーズ」があるのですが、「紅の豚」に登場する「サボイアS.21試作戦闘飛行艇」の1/48モデルがいいかもしれません。ポルコのフィギュア付きです。

鈴木:真っ赤な塗装の飛行艇ですね! フィギュア付きというのもいいですね。買います!(笑)

「1/48スケール プラモデル サボイアS.21試作戦闘飛行艇」価格は2,800円(税別)

「1/48スケール プラモデル サボイアS.21試作戦闘飛行艇」価格は2,800円(税別)

鈴木:最後に、プラモデルを初心者が楽しく組み立てるコツはありますか?

熊澤:「これを作りたい!」という気持ちでしょうか。最初だから簡単なものを〜と選んでしまう気持ちはわかるのですが、多少難しそうでも“対象物への愛”が大事かもしれません。

鈴木:たしかに! 私は現役の戦闘機全般が好きなので、組み立てに四苦八苦しながら「内部の構造がこうなっているんだ」と発見があって、楽しかったです。達成感もありますしね。

熊澤:そうなんですか! 私は高校生のころ厚木に住んでまして、当時中間試験の真っ最中にもかかわらず、米軍の飛行機……当時は「A-7 コルセアII」ですが……を見に行ってましたよ。
対象物に興味があることは楽しむうえで大事なことだと思います。あとは多少の失敗は気にしないで、とにかく完成させることですね。そうするとまた次挑戦したくなります。

鈴木:ありがとうございました。制作中のラストフライト記念モデル、必ず完成させます!

「F-4EJ改ラストフライト記念」 (イエロー)は完成したのか!?

結論から言うと、現時点では未完成である。
熊澤さんのおっしゃる「これを完成させたい!」という気持ちおよび気合いはあるものの、プロのスピードで1日2時間×2週間という目安時間を聞き、本稿公開に間に合わせるのを断念してしまった。素人同然の筆者の場合、必要時間を倍と見積もって1か月……と計算し、マイペースにゆっくり組み立てることにした(根性がないとも言う)。

タンクのデカールを貼ったところでタイムオーバーに。デカール貼りに失敗しやり直したい

タンクのデカールを貼ったところでタイムオーバーに。デカール貼りに失敗しやり直したい

途中ではあるものの、初心者に近い筆者が本キットを組み立て・塗装してみて感じたのは、「ものすごく集中できる! 脳のストレス解消になっている!」ということ。完成しなくても1つひとつの工程を終えるたびに小さな達成感があり、快感を覚える。また、記念塗装モデルはデカールが大きく派手なので、たとえ機体の塗装に失敗してもごまかせるかも? というのも初心者としては安心だった。

本稿でも記したが、機体の内部構造やコクピット内まで精密に再現されており(組み立てたら見えなくなってしまうところも!)発見があって楽しい。巣ごもり期間の趣味としては最適であり、普段の趣味としても一生向き合えると改めて思った。

ここまでの制作でラストフライト記念モデル“らしい”唯一のデカール……

ここまでの制作でラストフライト記念モデル“らしい”唯一のデカール「301 Squadron」

なお、「F-4シリーズ」では、本稿で紹介したもののほか、「F-4EJ改“第8飛行隊”」(2月15日発売予定)と「F-4E 戦闘機(前期型)“ベトナム・ウォー”」(3月8日発売予定)も発表されているので、気になる方はぜひ!

1/72スケール プラモデル 航空自衛隊 F-4EJ改“第8飛行隊”。価格は3,900円(税別)

1/72スケール プラモデル 航空自衛隊 F-4EJ改“第8飛行隊”。価格は3,900円(税別)

1/72スケール プラモデル アメリカ空軍 F-4E 戦闘機(前期型)“ベトナム・ウォー”。価格は3,900円(税別)

1/72スケール プラモデル アメリカ空軍 F-4E 戦闘機(前期型)“ベトナム・ウォー”。価格は3,900円(税別)

鈴木 ゆり子(編集部)

鈴木 ゆり子(編集部)

旅行(主に中華圏)、ペット、お酒が大好きな編集部員。飲みの席で盛り上げるのが得意ですがたまに記憶をなくします。

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