最近、ステイホーム中に楽しめる趣味として「楽器」を始める人が増加中。なかでも、ギターへの関心は近年ナンバーワンと言えるレベルに高まっているようです。そこで、これまでに価格.comマガジンで企画したギター関連特集の中から、「初心者向け」の情報をピックアップしてお届けしましょう。ギターの仕組み、選び方のポイントから、練習に関する耳より情報まで取り上げていきます!
本記事内ではサマリー的にざっとご紹介しますので、気になる項目がありましたらぜひ過去記事のリンクから詳細をご覧ください。
ギターは、6本の弦を弾く(はじく)ことによって音を鳴らす「撥弦(はつげん)楽器」です。弦を弾いた際に生じるエネルギーがなくなるまで音が伸び続けるという特徴があり、また複数の弦を同意に押さえて同時に弾くことで和音を鳴らすことも可能。つまりギターは、演奏の主役としてメインメロディを奏でることもできますし、伴奏楽器としても使えます。また、弦を弾(はじ)いて打楽器のようなアクセントをつけることもできる存在です。
ギターの主要パーツ
ギターという楽器は、この弦を弾いたときに生まれる微弱な音を、人の耳に聞こえるように増幅させる仕組みになっています。大きく分けると、「音を発生させるセクション」と「音を増幅させるセクション」の2つで構成されています。上の図で言うと、ネック・弦・ブリッジ・フレットなどが音を発生させることに関係するパーツで、ボディ本体やピックアップが音を増幅させるパーツとなります。
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ペグ? ブリッジ? ギターの基本とメインパーツの役割を解説
ギターは大きく「アコースティックギター」と「エレクトリックギター」に分かれます。弾きたいジャンルによって、どちらを選択するのかが変わってきますね。
アコースティックギターは、その名の通り、アコースティック=電気を通さず楽器単体で音を鳴らせるギターです。鉄(スチール)製の弦を張るタイプと、ナイロン製の弦を張るタイプの2種類があり、一般的に「アコギ」と言われているのは鉄弦のほう。ピックでジャカジャカかき鳴らしたり、メロディと伴奏を演奏するソロギターなど、幅広く使われています。ナイロン弦のほうは「クラシックギター」「ガットギター」などと呼ばれ、主にクラシックで使用されることが多いほか、ボサノバやジャズなどのジャンルでもよく使われます。
アコギは、ボディサイズが大きければ大きいほど音量や音の深みが増し、小さいほど軽快なサウンドが得られる傾向があります。ちなみに、エレキギターのようにスピーカーに接続することができるアコギ=エレクトリックアコースティックギター(エレアコ)なんかもあります
エレクトリックギターは、アンプを通して電気的に音を増幅させて鳴らすギターです。国内外の著名なロックギタリストたちが使っているFender「ストラトキャスター」やGibson「レスポール」に代表される、ボディに空洞のない「ソリッドタイプ」が有名ですね。
エレキギターと言えばまず思い浮かぶのが、ストラトキャスター、テレキャスター、レスポールで有名な「ソリッドタイプ」。空洞のない板状のボディで、ロック、ブルース、ジャズまでこなせるオールラウンダー
そのほかにも、ボディ内部が空洞になっている構造の「フルアコースティックタイプ」や、ソリッドタイプとフルアコタイプの中間に位置する「セミアコースティックタイプ」など多くの種類があります。
ボディ内部が空洞になっているフルアコースティックタイプのエレキギター。独特の甘い箱鳴りサウンドを持ち、主にジャズなどに使われます。GRETSCHのようにロックで使われるものもあれば、ファンキーな演奏に使われることも
一見空洞に見えるボディの中央にセンターブロックというソリッドギターと同じ構造を持っているセミアコースティックギター。ジャズやフュージョン、ブルース、ロックまで幅広く対応
さて、実際にギターを購入しようと思うとき、「最初の1台」をどのモデルにするかってすごく迷いますよね。どうやって選んだらよいのか、ポイントとなる要素をいくつかまとめてみました。
まず大きいのは価格帯。あまり高価すぎると手が出ませんが、かといって安価なハズレ品をつかんでしまうのも避けたいもの。それを考慮すると、いろいろ意見はあるでしょうが、アコギもエレキも品質が安定していく3万円以上のラインがひとつの目安になるかと思います。また、世界的に有名な楽器メーカーのギターでも、5万円台くらいで質のいいエントリーモデルをラインアップしていたりしますよ。
すでにギターを弾き慣れている人が新しいモデルを選ぶなら「サウンドの好み」なんかも重要なポイントになるのですが、初心者のうちは実機を前にしても弾けないので確認できません。そこで、ギターショップに行って気になるモデルがあったら、店員さんに弾いてもらうのもアリ。「弾きやすさ」などの要素は自分で弾けるようにならないとわかりませんが、サウンドの雰囲気は人に弾いてもらった音でも十分わかるはずです。
アコギについては、ボディサイズもネックになってきます。というのも、アコギを練習するときは、座って太ももの上に載せ抱え込むようなスタイルになると思うのですが、自分の体格に対して大きすぎるモデルを選ぶと、右肩が上がってしまって体に負荷がかかる場合があります。
特に女性など小柄な人は注意。フルサイズのアコギを抱えた左の画像では、右腕がかなり持っていかれているように見えますが、コンパクトサイズのアコギを持った右の画像は比較的自然な抱え方になっています
体に負荷がかかると演奏していて疲れやすくなることもあり、練習のしやすさに影響が出てしまうんですね。とは言っても、このあたりは慣れもあるので、小ぶりなサイズなら絶対に弾きやすいということはありません。ただ「最初の1台」として選ぶのであれば、気になったモデルは購入前に実機を抱えてみて、サイズ感をつかんでおくのがいいと思います。
ここまでいくつかポイントをあげてきましたが、実は結論としては、「自分の気に入ったギターを選ぶこと」が何よりも大事だったりします。
ギターって、練習は地味ですし上達するまで時間がかかりますし、三日坊主になってしまう人も少なくはありません。そんな中で「自分の気に入ったギターを弾く」ということは、ギター練習を続ける大きなモチベーションにつながるんです。「自分の憧れのブランド」とか「好きなギタリストと同じモデル」とか「見た目がかわいい」とか、そういうのでいいんです(笑)。というか、ある種それがいちばん強い。それらの要素が、最もやる気を喚起するというわけです。
以下の記事では、ギタリストの高村尚平氏が、これまでの要素を踏まえた「初めてのギターを購入するポイント」を解説しています。高村氏は「仮にちょっと弾きにくいギターであったとしても、好きの力で練習を頑張れます。ですので、人がなんと言おうと、最後は自分の感覚で選択しましょう! これがギター選びにおけるいちばんの秘訣です」と力強く語っています。また、ほかにはない「タイプ別・推奨ギターメーカー」もがっつり解説していますので、ぜひご参考ください!
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プロが教える「初めてのギター」の選び方! 後悔しないギター購入のポイント
さて、実際にギターを購入したら、次はひたすら練習のステップです。最近はYouTubeにレッスン動画が公開されていたりして、自宅での独学もしやすい時代になりました。ここからは、練習にまつわる耳より情報をお届けしましょう。
ギター上達のために大切なのは、ときどき達成感を得られるレッスンを行うことで、モチベーションを継続させ、練習を続けていくことです。以下の記事では、みずからギター教室を運営し多くの生徒さんを教えてきた高村氏が、「ギターがうまくなるコツ」を伝授! ギター上達のための具体的な方法「高村流ルーティーン」を公開していますので、ぜひご参考ください。
【詳細はこちら】
初心者必見「ギターがうまくなるコツ」をプロが解説! 上達へのルーティーンとは?
また、「手の小さい人」がギターをうまく弾けるようになるための基礎エクササイズも動画で公開しています。手が小さくて悩んでいる人は、ぜひこちらも見てみてくださいね。
【詳細はこちら】
手の小さいギタリストが伝授! 手が小さくてもギター上達する方法
そして最近は、ギター練習がはかどるアイテムがたくさん登場しています。これを使わない手はありませんので、どんどん取り入れていきましょう。たとえば、すべての弦のチューニングを同時に測定できるtc electronicのギターチューナー「PolyTune」シリーズ。6弦すべての状態を一気に確認できるので、音の狂った弦だけをピンポイントでチューニングできるようになるというすぐれモノで大人気です。もちろん、通常のチューナーのように単弦チューニングもできます。
すべての弦を同時にチューニングできる「ポリフォニック・チューニング」に対応するフット式の「PolyTune 3」(左)と、クリップチューナータイプの「Polytune Clip」(右)
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ギタリストが教える、ギター練習がはかどる便利アイテム6選+α
今はこうなの!? アラフォーギタリストが感動する新常識・新定番ギターアイテム
もうひとつ、自宅で伸び伸びとギター練習するために確認しておきたいのが、「防音」についての基礎知識です。ご近所への影響を考えてきちんとマナーを守りましょう。
ギター練習においては、主に「遮音」と「吸音」に気をつけましょう。空気を伝わって響く音(空気伝播音)を抑えるために、音を跳ね返して外に漏れないようにしたり、音を吸収して反響を抑えることです(余談ですが、ピアノやドラムなど壁や床に触れている楽器の場合は、振動対策も必要になります)。
もちろん、これらの特性を踏まえて設計された防音室があれば解決なわけですが、ちょっとした趣味のために自宅をすぐに改造するのはなかなか厳しいですよね(汗)。そこで、「自分でできる限り実行できる防音」をしましょう! ギターの場合、ざっと書き出してみるだけでも以下の工夫ができますよ。
・演奏時間は昼間だけにする
・エレキギターなら、早朝&夕方以降の時間帯はアンプにヘッドホンを接続して弾く
・ギター用の弱音器を取り付けて弾く
・サイレントピックを使って弾く
・窓には「防音カーテン」、なければ厚めのカーテンを吊す&テープで隙間を留める
・吸音効果が期待できる段ボールや卵のパックなどを使って、防音壁を自作する
・市販の「防音パネル&シート」を壁に貼る
・布団などやわらかいモノを身の回りに置き、そこに向かって演奏する(吸音効果)
ちなみに、こういった自宅練習ニーズに応える製品として、VOXのヘッドホンギターアンプ「amPlug」シリーズや、BOSSのヘッドホン型ギターアンプ「WAZA-AIR」など、ヘッドホン演奏に特化したアンプもあります。エレキギターを始める場合は同時にアンプ選びもすることになると思うので、まずはこれらの製品を選ぶのもアリですね。
VOXのヘッドホンギターアンプ「amPlug」シリーズは、電池駆動する手のひらサイズのアンプ。エレキギターに直接取り付けてヘッドホンを接続すると、ギターの音を増幅してヘッドホンに流してくれます。自宅でのギター練習ニーズに応えた大ヒット製品!
BOSS「WAZA-AIR」は、ヘッドホン型のギターアンプという究極の省スペース性を実現したモデル! ギターに取り付けたトランスミッターから、ギターの音をワイヤレスでヘッドホンに飛ばしてくれます。BOSS独自の立体音響テクノロジーによって、「ユーザーの目の前や背後にアンプキャビネットがあるかのようなリアルな音場」を生成するのがポイント。発売直後から話題になり、一時は欠品もしていたほど価格.comでも売れ筋の1台
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コレ実はヘッドホン型のギターアンプなんです! 話題の「WAZA-AIR」徹底レビュー
こちらは、エレキギターの音をiPhoneに入力して音作りができるオーディオインターフェイス「iRig 2」。iPhoneの専用アプリでサウンドを作ってギター練習することが可能になるもので、iRig本体にヘッドホンを接続して演奏できます
↓以下の記事では自宅でできる防音の工夫についてまとめています。ギターに限らずピアノや吹奏楽器なども含めての情報を取り上げていますので、ぜひご覧ください。
【詳細はこちら】
自分でできる防音の工夫! 家でピアノやギターを弾くときに気を付けるコツ
というわけで今回は、主にこれからギターにトライする人に向けて、ちょっとした参考情報をまとめてみました。せっかくステイホームで時間があるなら、音楽と楽器のある生活を楽しんでみませんか。
オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。