2021年6月より、ガンプラに「FULL MECHANICS 1/100」という新シリーズが誕生しました。「MG(マスターグレード)」や「RE/100」と同じ1/100スケールのガンプラなのですが、いったい何が違うのか? 実際に組み立ててチェックしてみましょう。
久しぶりの縦型パッケージ
新シリーズ第1弾に選ばれた機体は、2002年にTV放映された「機動戦士ガンダムSEED」に登場する「カラミティガンダム」。砲戦火力に特化した地球連合軍のモビルスーツで、圧倒的な火力と凶悪な戦い方が印象的でした。パイロットは強化人間のオルガ・サブナック。なお、機体名の「カラミティ」とは「厄災」を意味します。
ガンプラの新シリーズ第1弾がこの機体というのは、ファンにとって意外だったのではないでしょうか? 筆者も発表当時は驚きました。
この「FULL MECHANICS」シリーズは、「メカニカルな意匠を追求した、高密度ディテールと組み立てやすさを両立するブランド」とのこと。そのあたりに注目しつつ、組み立てていきたいと思います。
パーツ数はMGに比べると圧倒的に少なく、そしてサイズが大きめです。腕や脚は左右対称なので、同じものを2つ組み立てればOK。左右非対称のパーツがないだけでかなりスムーズに組み立てられました。またHGやREとは異なり、ポリキャップを使用しておらず、関節も大きなパーツで構成されています。結果、非常に作りやすく、初心者でも簡単に組み立てられる親切設計になっていると感じました。
まずは素組みで。しっかり安定して自立できます
同じ1/100スケールの「MG 百式」と。サイズ感などはMGと並んでも違和感はありません
さらに可動も優秀で、非常に考えて設計されており、キレイに動かしつつしっかり自立させることができます。特に背中の大型砲台は、重さでバランスが崩れるかと思ったのですが、まったく問題なくポーズを取れて感心しました。MGと違って内部フレーム構造がないため、全体的に軽くて扱いやすく、かなり乱暴に扱っても平気でした。
腕は、大きな肩アーマーがあるので高く上げるのはちょっと難しいです。肘は二重関節
ただ、肩アーマーは大きく前後に動くため、腕の前後可動はかなり自由度が高いです
腰のフロントアーマーが多少干渉しますが、脚部の可動範囲は大きく、膝立ちも可能
脚の付け根部分は上下に可動し、アーマーの干渉を軽減できます
後は細かいところですが、手首や足首の可動もHGやREに比べると自由度が高いですね。さらに腹部は独特の設計で、前後はもちろん、左右にも軽くスイングできる構造になっていました。
ちょっとわかりにくいかもですが、手首の付け根部分が可動して、手首を反らすこともできます。シールド手持ち状態のときなどに便利です
胴体の接続部です。胸部中心にあるポールを腹部の輪っかジョイントにはめ込むことで、左右のスイングができるように。ほかではあまり見ない構造ですね
そして、「カラミティガンダム」最大の特徴はやはり武装。バックパックに背負った2連装高エネルギー長射程ビーム砲「シュラーク」と、337mmプラズマサボット・バズーカ砲 「トーデスブロック」という高火力の武装です。本キットはそのディテール表現もしっかりされており、「FULL MECHANICS」シリーズのウリにもなっています。
2本の巨大なビーム砲シュラーク。バックパックに取り付けます
シュラークは中身が空洞のいわゆるモナカ構造なので、軽く動かしやすいです。可動範囲は広く、まっすぐ伸ばしたり、肩に背負ったりと自在で、驚くべきことに交差まで可能。これはほかのキャノンタイプのガンプラにはなかったですね
銃口内部は別パーツで構成。筆者世代だと宇宙戦艦ヤマトの波動砲を思い起こしますね。銃口が太く、本体が細いため、劇中のようなパースがかかった感じに見えます
本体とほぼ同じくらいの全長のバズーカ砲、トーデスブロックを装備。この迫力です
専用の握り手が付属。ちょっと取れやすかったので筆者は接着してしまいました
シュラークとはやや干渉してしまいますが、シュラークの可動が自在なのであまり圧迫感はないかも
トーデスブロックを脇に抱えることでシュラークとの干渉をなくすこともできます
シールドを左手に装備。シールドにも、115mm 2連装衝角砲 「ケーファー・ツヴァイ」が装備。こちらも可動します
この重装備でビシっと可動が決まり、ポージングできるのが非常に魅力的です。
締めのようになっていますが、まだまだ語り尽くしたい魅力がこのガンプラにはあります。ただ気になったことも少し。「メカニカルな意匠を追求」と言う割には、あまりメカメカしくない構造でした。一部パーツにはメカっぽいディテール表現がされていたのですが、大きくうたうほどではないかな……というのが正直な感想です。
頭裏の部分などはメカっぽいディテール表現がされておりました。塗り分けするとかっこいいと思います
また、最近のガンプラは細いゲートが多い印象だったのですが、本キットはランナーからパーツにつながるゲートにかなり大きいものがあり、ニッパーの二度切りでも大きなゲート跡が残る印象でした。三度切りをするなど、ゲート処理はちょっと手間がかかるパーツもありましたね。
さらにもうひとつ気になるのがお値段。メーカー小売価格が5,500円(税込)と、MGクラスのお値段で、2021年4月に発売された同作品の「MG モビルジン」の4,730円(税込)よりお高いのはちょっと驚きでした。
それでも、作りやすさと可動の優秀さに、デメリットは忘れてしまうガンプラでした。MGとRE の中間というか、いいとこ取りをしたようなシリーズと言えるでしょうか。「カラミティ」はTV放映時、個人的にあまり印象のよくないモビルスーツだったのですが、このキットの完成度の高さでその評価が反転してしまうほど。色合いも、白ベースではないガンダムで映えますよね。
マーキングシールを貼り、墨入れ、トップコートつや消しを吹いてみました。兜を連装させる顔やアンテナの構造も完成度が高いです。胸部のスキュラも複数のパーツで構成されており、見た目もキレイですよね
SEEDっぽくパースのかかったポーズを再現。シュラークがめっちゃかっこいいです
スタンド付属パーツも付いているので、別売りのスタンドと合わせて飾れます。こういった反ったポーズでもスタンドで支えれば問題なし
この1年のガンプラは「ガンダムW」のものが多い印象でしたが、実は「ガンダムSEED」も、「MGフリーダム2.0」から「MGガナーザク」、「HGCEディスティニー」、「MGモビルジン」などさまざまな機体が発売されていました。そして今年2021年には、「ガンダムSEED」の新プロジェクトが発表。しかも8月には新機体「エクリプスガンダム」がいきなりMGで発売されることも決定しています。そんな中で今回の新シリーズにて「カラミティガンダム」が発売されたのは、「SEED」ファンの期待が高まる展開ではないでしょうか。
とにかく完成度の高さに魅了されました。新シリーズ、そして「ガンダムSEED」新展開に期待しています!
趣味も仕事もゲーム漬けだった人生から脱却を図り模索中。ホビーや生活雑貨記事などを書かせていただきます。