新製品レポート
ハマること間違いなし! 庭園の美しさやわび・さびを競い合うユニークなゲームです

“徳”を積んで最高の石庭を完成させるボードゲーム「枯山水」をプレイさせてもらいました!

インターネットを中心に話題を集めている、ゲームデザイナー山田空太さんが作った「枯山水」というボードゲームをご存知ですか? 「より美しい日本庭園を造ったプレイヤーが勝ち」という、ボードゲームとは思えない斬新なルールのゲームです。ただ、「それだとどういうゲームなのかよくわからない」と感じる方も多いと思います。筆者もこのボードゲームの存在を知ったときは、一体どういうこと? 美しさに勝ち負けがあるの? 誰が判断するの? といったように、いろいろと疑問に思いました。ただ、渋くてユニークなパッケージに魅了を感じて、ずっと気になっていました。

今回、知人から「ボードゲームの枯山水が手に入ったので遊びませんか?」というお誘いを受けて、筆者も参加させてもらいました! ここでは、遊んでいる様子を紹介しながら、基本的なルールの解説を含めて、ボードゲーム「枯山水」の特徴や魅力をお伝えしたいと思います。このゲーム、思った以上に“徳”を積みますよ!

禅僧になって「美しく洗練された枯山水庭園を造ること」を目指します

「枯山水(かれさんすい)」とは、水を使わずに、砂や石、苔などで自然の風景を表現する日本庭園の様式。ゲームの説明書によると、「枯山水の発想は禅の精神に通じ、主に室町時代後期に発展を遂げ、江戸時代から今日に至るまで、優れた枯山水庭園が造られてきました」とのこと。禅寺の庭園で多く見られる歴史ある様式で、代表的なところでは、京都の龍安寺の石庭などが挙げられます。そんな枯山水庭園で特に特徴的なのが、白い砂を使って水面や水の流れを表現する「砂紋」。京都のお寺などで、円や直線の模様で、白い砂が美しく敷かれた枯山水庭園を見たことがある方も多いと思います。また、砂紋の中に配置される「石」も、枯山水の重要な要素となっています。

枯山水とボートゲームの結びつきがイメージできない。そんな方も多いと思いますが、ボードゲームの「枯山水」では、プレイヤーは禅僧になり、砂紋(砂紋パネル)と石を使って、各々が「美しく洗練された枯山水庭園を造ること」を目指します。ゲームの勝ち負けは、自分が造った庭園の「禅の精神と芸術性」によって競われます。庭園の美しさやわび・さびが「勝利点」として数値化され、最終的には、勝利点の合計点の高いプレイヤーが勝利となります。また、禅寺との関連性が深い枯山水だけあって、座禅などの行動によって「徳ポイント」という点数がたまっていくのもユニークなところ。徳ポイントをうまく使うことで、勝利点の高い石を獲得したり、対戦相手の砂紋(砂紋パネル)を強奪したり(徳の低そうな行動です…)することができます。ゲームの対象年齢は10歳以上。2〜4人用で、プレイ時間の目安は60分から90分ほどです。

これだけでは、ゲームがどういうふうに進んでいくのかわからないと思いますので、次に、進め方や遊び方をくわしく説明します。

ゲームの準備や進め方、遊び方も非常にユニークです

準備
ボードゲーム「枯山水」で使うのは、中央に配置される寺院ボート(ゲームが進められる共用ボード)、庭園ボード、禅僧駒、円相駒、砂紋タイル(80枚)、石(5種類計25個、プレイヤーの人数によって使用する数は異なる)、名庭園カード、作庭家カードなどです。ボードゲームとしては、それほどシンプルなものではなく、比較的使用するものは多いと思います。

ゲームを始める際には、中央に共用ボードとなる寺院ボードを置いた後、各プレイヤーに1枚ずつ、3×5ますの庭園ボードが配布します。ゲームは、各プレイヤーが、この庭園ボード上で庭園を造っていくことで進められます。続いて、中央に配置した寺院ボードのタイル置き場に、計80枚すべての砂紋タイルを裏にした状態でよく混ぜて、いくつかの山にして置きます。あわせて、プレイヤーの数に応じて、決められた数の石を寺院ボード上の石置き場に置きます。砂紋タイルは、その名のとおり、砂紋を表現したタイルで、いろいろなパターンのものが用意されています。石も同様に、勝利点の高いものや低いものなど5種類が用意されています。プレイヤーは、ゲームを進めながら、最終的に15枚の砂紋パネルと、いくつかの石を庭園ボード上に配置することで、枯山水庭園を造っていくのです。

あと、ゲームをスタートする前に、各プレイヤーに、名庭園カードと作庭家カードを1枚ずつ配ります。これらのスペシャルカードは、カードを配る際に他のプレイヤーに内容を見せないようにするのと、余ったカードは中身が見えないようにしておきます。

これで、ゲームをプレイする準備は完了です。

準備をしているところ。手前に置かれているのが筆者の庭園ボード

準備をしているところ。手前に置かれているのが筆者の庭園ボード

左が名庭園カードで、右が作庭家カード。名庭園カードには庭園の名称、石の置き方などが記されています。作庭家カードには、作庭家の名前、カードの持つ効力が書かれています

進め方
ゲームは、最初の手番のプレイヤーから時計回りに進みます。プレイヤーは、自分の手番が来たら2つのことを行います

最初に行うのは、寺院ボードにある砂紋カードの山から1枚引いて、そのカードを全員に見せた後に、「配置」「譲渡」「廃棄」「保管」という4つの行動の中から1つを宣言・選択することです。

「配置」とは、庭園ボードに砂紋タイルを配置すること。配置できる場所は、すでに庭園ボードに置かれているタイルに隣接する部分。最初の1枚目は、庭園ボードの左上の角か、左下の角に置く必要があります。また、1枚目のタイルを置いたら、その上に、自分の禅僧駒を置きます。禅僧駒は、タイル上を移動させることが可能で、「石の配置」に影響を与える駒です。庭園に石を置く際に、禅僧駒の位置によって、石を設置可能な場所が決まるようになっているのです。

「譲渡」とは、引いた砂紋タイルを自分の庭園ボードに配置せずに、他プレイヤーに譲り渡すことです。タイルの希望者が複数いた場合は、手番である自分が譲渡先を決定できます。譲渡に成功すると、徳を2ポイント手に入れられます。また、譲渡を受けたプレイヤーは、受け取ったタイルを自分の庭園に即座に配置する必要があります。

「廃棄」とは、引いた砂紋タイルを配置せず、譲渡せず、保管もしないことです。徳ポイントを1点失います。

「保管」とは、引いた砂紋タイルを配置せずに、庭園ボードの右下にある、仮置き場に残しておくことです。仮置き場には1枚だけ保管が可能で、すでにタイルがある場合には、保管を選択できません。また、保管しておいたタイルは、後の手番になったときに、庭園ボードに配置できます。保管していたタイルを配置してから、新しいタイルを引いて続けて配置したり、保管することができます。ただし、保管したタイルの廃棄と譲渡は不可です。また、譲渡されたタイルを置く際に、保管しておいたタイルを続けて置くこともできません。つまり、保管したタイルは、ずっと保管しておくか、後の手番で庭園ボード上に配置する必要があります。

このほか、「強奪」という行動もあります。「強奪」は、手番のプレイヤーが、新しい砂紋タイルもしくは仮置き場のタイルの配置を宣言した際に、他のプレイヤーがそのタイルを奪うことです。そして、手番のプレイヤーは、原則的に「強奪」を拒否できません。なお、譲渡したタイルを奪ったり、誰かが強奪したタイルに対してさらに強奪することはできません。複数のプレイヤーが強奪を宣言した場合、その時点で庭園上にあるタイルの枚数がもっとも少ないプレイヤーがそのタイルを得ます。そして、タイルを強奪したプレイヤーは、徳を2ポイント失います。

砂紋カードのひとつ。苔のないもの、渦のあるものなど、さまざまな紋様が描かれています

砂紋カードのひとつ。苔のないもの、渦のあるものなど、さまざまな紋様が描かれています

続いて、手番のプレイヤーは、「座禅」「禅僧駒の移動」「石の獲得と設置」「作庭家カードの使用」のどれかひとつの行動を選択します。

「座禅」とは、寺院ボード上の徳ポイントトラックにある自分の円相駒を動かして、徳ポイントを増やす行為です。手番がきたら、1マス進めます。徳の上限は6点で、それ以上は増えません。余分に得た徳は失われるシステムです。

「禅僧駒の移動」とは、庭園ボード上にある禅僧駒を上下左右のどちらかに1マス進めることです。タイルのあるところにしか動かせません。

「石の獲得と設置」とは、貯めた徳ポイントを使って石を獲得し、その石を砂紋タイル上に置くことです。石は5種類用意されていて、プレイヤーの人数によって使う数が異なっています。獲得できるのは、徳ポイントが1以上で「横石」、2以上で「立石(小)」、3以上で「臥石」、4以上で「立石(大)」、5以上で「舟石」と決められているほか、どの石を選択しても徳ポイントは0になります。また、石を設置できるのは、禅僧駒が置かれているタイルか、その縦列にあるタイルのみ。禅僧駒がいるタイルに石を置いた場合、禅僧駒を1マス動かすことができます。なお、徳が6ポイントある場合は、任意の石を、禅僧駒の場所に関わらず任意のタイル上に設置できます。また、「舟石」は、プレイヤー人数よりも1つ少ない数しか用意されないため、1プレイヤーにつき1つしか置けません。

「作庭家カードの使用」とは、ゲーム開始時に配られた1枚の「作庭家カード」を公開して、記載された効果を得ることです。カードの使用はゲーム中にひとり1回までです。

ゲームは、これらの行動を時計回りで順番に行い、進められます。いずれかのプレイヤーが、庭園ボードに15枚の砂紋タイルを配置して庭園が完成すると、その他のプレイヤーたちは、タイルの「廃棄」と「譲渡」ができなくなります。なお、15枚のタイルを配置し終えたプレイヤーたちは、「座禅」「禅僧駒の移動」「石の獲得と設置」「作庭家カードの使用」は行えます。すべてのプレイヤーの庭園に15枚のタイルが配置されたら、その手番の完了とともにゲームが終了となります。

中央の寺院ボードには、徳ポイントトラックが用意されています。ここで、各プレイヤーが持っている徳ポイントを確認することができます。徳ポイントは最大で6点持つことが可能。オレンジの円相駒のある場所は、徳ポイントがゼロです。青は、徳ポイントを2点持っていることになります

石は、中央の寺院ボード上の石置き場に置かれます。種類によって、獲得で必要になる徳ポイントに差があります

石は、手塗りで仕上げられており、本物の石のような風情があります。間近で見ると、本物の石のように彩色されていることがわかりました(本物の石ほどは重くないです)

庭園ボードに砂紋タイルを敷いているところ。庭園部分は少しくぼんでいるので、タイルをぴったりとはめ込むことができます。この写真では、タイルの上に「舟石」が置かれています。その隣りのオレンジの駒は、禅僧駒です

勝利点の数え方
ゲームが終了したら、それぞれのプレイヤーの庭園の得点を計算して、得点のいちばん高かったプレイヤーが勝ちとなります。

砂紋タイルは、隣り合うタイル同士が連続した模様になると高い得点が得られます。写真では、隣り合うタイル同士が連続した模様になっており、さらに円になっている渦などの紋様もあって美しい庭園となっています

勝利点になる要素はさまざまですが、そのほとんどは「庭園の芸術性」によって評価されます。美しく洗練された庭園は評価が高く、過剰な要素や不均衡さはマイナスの評価になってしまうとのこと。足し算だけが美しさではないのですね。得点を計算する場合は、寺院ボードの外枠にある、勝利点トラックを使います。なお、同梱物の中に、手番の選択肢や、勝利点獲得の条件、タイルの構成が記載された早見表が用意されていますので、プレイヤーはそれを見ながらゲームを進めることができます。

得点・減点となる要素は以下の9つです。

1.砂の基礎点
苔が入っていない「砂タイル」のみで構成される最大の長方形1つ分のタイル枚数。タイル1枚が1点となります。

2.苔の基礎点
「苔タイル」1枚につき、2点が加点されます。

3.対称性ボーナス
庭園のいずれかの横列5枚が左右対称になっている場合、1列につき5点を獲得します。

4.渦ボーナス
砂紋タイルによって真円を完成させた場合、円を構成するタイル枚数の2倍の得点を獲得。半円のみ完成させた場合は、半円を構成するタイル枚数分の得点が加点されます。

5.砂紋の評価
隣り合うタイル同士の紋様が連続しない場合、その境界1か所につき2点の減点となります。15枚すべてのタイルがつながっていて乱れがない場合、ボーナスとして7点を獲得します

6.石の基礎点
庭園に置かれている石の1種類につき2点を獲得します。

7.石組の評価
庭園に配置された石の組み合わせによってボーナス点がもらえます。
a. 桂馬置き 2×3(3×2)のタイルの対角に石がある場合に5点を獲得できます。この区画に他の石が置かれている場合は適用されません。
b. 斜め置き 3×3のタイルのひとつの対角線上に3つの石が置かれている場合に7点を獲得します。この区画に他の石が置かれている場合は適用されません。
c. 蓬莱山 庭園上段の横列にある苔タイル2枚に立石(大)2つが隣接して置かれている場合、10点を獲得します。
d. 三尊石 庭園上段の横列にある連続した苔タイル3枚に立石(小)、立石(大)、立石(小)の順で石が並んでいる場合、15点を獲得します。
e. 臥石 中央の縦列に臥石がおいてある場合、1つにつき3点を獲得できます。
f. 舟石 下段の横列に舟石を置いている場合は3点を獲得します。

8.名庭園
ゲーム開始時に配られた「名庭園カード」に示されている通りに石を置いた場合に、カードに書かれた勝利点を獲得できます。

9.徳
最終的に持っている自分の徳1点につき、1勝利点を獲得できます

次に、上記をふまえて、実際にプレイして作られた庭園の勝利点を見てみましょう。

たとえば、下の庭園の場合……

「砂の基礎点」10点(2×5)
「苔の基礎点」5点
「対象性ボーナス」0点
「渦ボーナス」6点(4枚の真円1つにより4点、1枚の半円が2つなので2点)
「砂紋の評価」-1点
「石の基礎点」3点(立石(小)、立石(大)、舟石)
「石組の評価」23点(桂馬置き5点、三尊石15点、舟石3点)
となり、名庭園分と徳を除いた勝利点は46点となります。

続いて、筆者が作った庭園は……

「砂の基礎点」5点(中段1×5)
「苔の基礎点」7点
「対象性ボーナス」0点
「渦ボーナス」3点(1枚の半円が1つ、2枚の半円が1つ)
「砂紋の評価」-6点、
「石の基礎点」8点(4種類×2)
「石組みの評価」23点(桂馬置き5点、三尊石15点、舟石3点)
となり、合計で勝利点は40 点でした。

まとめ

ボードゲーム「枯山水」は、砂紋タイルの並べ方や、タイルの取捨選択、目指す石庭の姿を臨機応変に考えていく力が必要になるゲームだと思いました。他のプレイヤーを出し抜こうとか、意地悪してやろうとかという大きな駆け引きはありません。それよりも、いかにして自分の庭を美しい(得点の高い)石庭に完成させるか、その最適解を見つけることに集中するのが楽しいゲームだと思います。美しさやわび・さびの数値化により勝敗が決められていて、得点になる砂紋タイルや石の配置の条件が多くて、それを意識して庭園を造るには慣れが必要だなと感じました。ただ、勝利点の高いほうが、人間の目で見ても美しいと思える庭になるので、よく考えられていると思います。上に掲載した他のプレイヤーが造った46点の庭と、筆者の40点の庭を比べていただければ、どちらの庭のほうが美しいのかはっきりわかると思います。

なお、このボードゲームは、完全手作りとのことで、現状では1月に150個程度の出荷数となっています。2015年4月9日時点では、手に入れるのが難しい状況になっていますが、販売元であるニューゲームオーダーの公式Twitterアカウントによると、「安定供給を目指します」と書かれています。筆者も手に入れたいと思っていますので、がんばってください!

最後に、実際にプレイしてみてお伝えしておきたいのが“徳”についてです。プレイ中のプレイヤー同士での会話で、自分や相手の行動に対して、徳というワードを使って表現してしまうのがとても面白かったです。「徳が足りないねー」「徳の低い行動ですいません」といった感じです。こんなユニークなボードゲームはほかにないのではないでしょうか。定価は8,000円と、手作りである分、ちょっと高めではありますが、非常に面白いボードゲームですよ。

堤 智代(編集部)

堤 智代(編集部)

ホビーやおもちゃを中心にレビュー記事を担当しています。ラジコンやプラモデル、フィギュアを取り上げることが多いですが、それら以外でも楽しそうな製品を紹介していきたいと思います!

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