コロナ禍で自宅にいる時間が増えて、家で仕事ができるのは気楽な半面、家に閉じこもっていると、精神面で疲れてしまいがち……。外に出ないことで、めっきり自然を目にすることがなくなったのもストレスのひとつかもしれません。そこで、筆者が始めた、とある趣味がとても癒しになっているので、ご紹介させてください。
「苔テラリウム」というものです
「苔テラリウム」とは、苔を使って作る小瓶サイズのテラリウムのこと。テラリウムは、「地球」の意味をもつ「terra(テラ)」と、「場所」を意味する「-arium(アリウム)」が合体した言葉で、ガラスの容器などで陸上の生き物を飼育するものです。よく耳にする「アクアリウム」はその水中バージョンですね。「水」を意味する「aqua(アクア)」と「-arium(アリウム)」が合体した言葉です。そんなテラリウムの中でも、特に苔をメインにしたものを「苔テラリウム」と呼ぶようです。
この「苔テラリウム」のどんなところがいいかというと、小さなガラス容器の中に森をそのまま連れてきたような“自然”を感じることができて、非常に癒やされるんですよ。苔ってなんだかかわいいんですよね。さらにお手入れや育て方も簡単で、場所をとらないのもポイントです。
「苔テラリウム」はもちろん完成品も販売されていますが、自分で作り上げられるキットも存在します。自分で作るとより愛着がわきそうですよね。なので筆者も、苔の専門ショップ「コケリウム」が販売している初心者向け手作りキットを買ってみました。
購入したのは「コケリウムキット 森の洞窟 ミニ」3,980円(税込)。ほかにもいろいろなキットがあるようです
セット内容は以下の通り。
・ガラス容器 ボールS×1
・プレミアムルートウッド 4Sサイズ×2
・山石SS×3
・山石 崩れレイアウト用 少量
・専用ソイル(土) ミニ×1
・シノブ×1
・ホソバオキナゴケ×1
・作り方説明書×1
このほかに用意するものは、霧吹きやピンセット。いずれも100円ショップで買えるもので大丈夫でした。
付属の苔はホソバオキナゴケという苔です。小ぶりに見えて結構たくさん入っています。サイズのイメージがつくよう、単3形乾電池と並べています
近くで観察してみると、どこかで見たことがあるような気がします。自然の香りがしていいですね
ホソバオキナゴケ(別名「山ゴケ」)は、盆栽などの装飾にも使われる一般的な苔。背丈が高くならず、苔テラリウムのベースや全景にも使えるので初心者には最適なんだとか。ゆっくりと育つため、のんびり苔テラリウムを楽しむのにも向いているそうです。あまりぬれた状態を好まないので、水のあげすぎには注意とのこと。
苔のほかに、「シノブ」と呼ばれるシダのような葉を持つ植物も付属
大きめの山石が3つと、流木のような木が2本。ほかに小さな石が付属しています
ガラス容器は口の広いボールタイプ。手のひらサイズで、口の直径は約10cmです。この中にレイアウトしていくので、ピンセットは必須だと思います
ではさっそく作っていきましょう! と言っても難しいことは特にありません。まずは容器に土を流し込んで平らにし、霧吹きで軽く水を吹いてぬらしておきます。あとは石や木をお好みで配置し、シノブ、ホソバオキナゴケの順番で配置していくだけです。
まずは容器に土を半分ほど入れて、平らにならします
霧吹きで軽く水をかけておきます。水をあげると土はツヤツヤに!
次に大きめの石3つを配置。このキットのコンセプトは「森の洞窟」ということで、説明書を参考に、洞窟の入り口のような配置にしてみます
残った土を石の背側に流し込みます。小高い丘みたいなイメージですね
そして残った小石と木を配置するのですが、これ、全部入れてもいいものか……?
大きな石と木を配置するまではよかったのですが、小石を全部入れようとすると雑然としてしまいました……。なので、小石はすべて使わずに、ちょうどいい量を土に埋めるように配置してみることにしました。ではいよいよ、ここにシノブとホソバオキナゴケを配置していきますよ。
シノブは付属の土をきれいに洗って落とし、いくつかの株に分けて土に差し込むように配置していきます
続いてホソバオキナゴケを配置。ピンセットでつまんで、苔同士が重ならないように敷き詰めていきます
最後に全体に霧吹きで水をかけて、完成です
ホソバオキナゴケの低さとシノブの高さで、高低差のあるレイアウトになりました。なかなか見本のようにはいかず、進めていくうちに洞窟感はなくなってしまいましたが、小さな自然という感じで気に入っています。
ガシャポンなどのミニフィギュアを配置しても楽しいですよ
自分なりの苔テラリウムを作り上げるのはとても楽しかったです。土と苔の香りがなんとも心地よく、霧吹きで水をかけるとツヤツヤと輝き、雨上がりのような香りも感じられてとても癒やされました。
さて、完成後に長く楽しむために欠かせないのがお手入れです。冒頭で述べたようにとても簡単なのでご安心を。容器や苔の種類、そして設置場所の環境にもよりますが、筆者宅の場合は1週間に一度くらい霧吹きで水をかけてあげればよさそうです。
水やりは1週間に一度程度。霧吹きで軽くかけてあげます。その際に容器の表面にも少しかけておくといいみたいです
置き場所は、直射日光が当たるところはNG。1日のうち、数時間程度カーテン越しに日光を当てるか、LEDの光を数時間当ててあげればOKです。これはとっても楽ちん。
直射日光が当たらないようにカーテン越しに日光を与えてあげましょう。我が家ではキャットタワーの上がちょうどよかったです
日光のほか、100均などのLEDライトで光を与える程度でもOKです。筆者愛用のガンプラ作成ブースのLEDライトが高さ的にもピッタリでした
さて、製作から10日たちました。順調に苔が育っているかと思ったのですが、ちょっと問題が。苔に白い部分が出てきて、木材にはカビが生えてしまいました……。
10日後の苔テラリウムです。苔表面にやや白いものが出てしまいました
日照は問題ないと思ったのですが、どうやら水のあげすぎみたいです。朝、自分が水を吹いていたのですが、実は夕方に妻がもう一度吹いていたらしく、それが原因かなと思っています。その後、水やりを抑えるようにすると白い苔が増えることはなくなりました。ただ、調べてみると木材はカビが生えやすいそうなので、苔のためを思うと使わないのも手かもしれません。やはり生き物ですからケアはしっかりしていきたいですね。
また、あとで気がついたのですが、苔がしっかり土に付着していないのもダメみたいです。ピンセットなどでしっかり押さえつけましょう
手のひらサイズで卓上に飾っておけるので、仕事の合間に眺めたり、自然の香りを楽しんだりしながら心が落ち着いていくのを感じました。苔って普段の生活では見逃しがちですが、こうやってじっくり見ると、当たり前ですが生きているのだなと実感し、その生命力と美しさにも感動します。
見る角度によって苔の表情が変わるのも楽しいです
家に閉じこもりがちなこんなときだからこそ、心に余裕を持って生活をしていきたいですよね。今回筆者が紹介したキット以外にも、ガラス容器や苔の種類が違うものなどがたくさんあります。あなただけの箱庭を作り上げて、ぜひ一緒に「苔テラリウム」を楽しみましょう。