本や書類を眺めていて、何となく「文章が頭に入ってこないなー」と感じること、ないでしょうか。文字の流れが追いづらかったり、自分がどこを読んでいるのか把握できなくなったり。一般的には、この状態を「目が滑っている」などと言います。
原因としてありがちなのが、睡眠不足や疲労による脳の処理能力の一時的なダウン。要するに、視界に入った文字列を意味のある文章として脳内で処理するのが間に合わず、オーバーフローしている状態なんです。
とは言え、「急いで書類をチェックして戻さないと間に合わない」なんて場合もあるはず。そういうときに役立つのが、リーディングトラッカーと呼ばれるツールです。
リーディングトラッカーとは、元々は視覚障がいやディスクレシア(読字障がい)のある人のために作られた読書補助具。ですが、単なる睡眠不足や疲れによる「目の滑り」対策としても有効なため、実は密かに愛用者の多いツールだったりするんです。
クツワから2023年3月に発売された「モジサシ定規」は、そのリーディングトラッカーの機能を搭載した定規です。
ごく普通にプラ定規に見えて、かなり便利な機能を秘めた「モジサシ定規」(クツワ)。ラインアップは、16cmモデル(写真上)と18cmモデル(写真下)を展開しています
本体上下には、「長さを測る用のゼロスタート目盛り」と「線を引く用の定規目盛り」が振り分けられており、普通にプラ定規としても使いやすいです。
ただ、やはりメインの使いどころは、文章を読みやすくすることでしょう。
2種類の目盛り付きで、ノート筆記用としても使いやすいです
冒頭でも、読書中に目が滑る要因のひとつに、脳のオーバーフローがある、と書きました。たとえば、書籍などで1ページに文字が何行も連なっていると、どうしてもそのすべてが一気に視界に入ってしまいがち。そうなると、情報の入力過多となって、パンクしちゃうんです。
逆に言えば、脳の処理が追いつく程度に少しずつ文字列を読むようにすれば、目の滑りは軽減できるはず。
そこで、「モジサシ定規」の中央にある窓を、読みたい文章の上に載せてやると、その行だけが浮き出して、その前後の行は隠された状態にできます。これなら、読めるのは常に1行だけなので、脳の負担はグッと軽くなり、目が滑ることもなくなるというわけ。
視界に入る文字の量を制限することで目の滑りを防ぎ、文章が頭に入りやすくなります
「それだけで? まさか」と思われるかもしれませんが、これが本当に効果的! 文章の進みにしたがって「モジサシ定規」をスライドさせていけば、今まで読みづらかったものがスルスルと読めるようになるはずです。
「モジサシ定規」のもうひとつ便利な使い方が、表組みのチェックです。横方向に伸びた表をチェックしていると、いつの間にか視線が別の行にズレていたり、うっかり1行読み飛ばしていたり、なんてことが起こりがち。
こういった場合も、読み進めたい行に「モジサシ定規」を置いてやることで、Excelなど表計算ソフトではおなじみの「行のハイライト表示」に似た効果が得られます。
行ごとにハイライトすることで、表組みがグッと読み取りやすくなります
「モジサシ定規」を置くと、今自分がどこを読んでいるかがハッキリとわかるため、ズレや読み飛ばしは起き得ません。ミスが減るのに加えて、確認スピードもアップと、使うだけで作業効率が大幅に上がること間違いなし!
ちなみに、中央の表示窓は、透明なタイプと、クリアカラーが採用されているタイプがあります。透明な窓は、見え方がナチュラルなのがメリット。
これに対して、クリアカラーの窓は、文字列に蛍光マーカーでラインを引いたように、視線を集める効果があるのが特徴です。どちらを選ぶかはお好み次第ですが、効果をより強く感じたいのであれば、クリアカラーの窓のほうがよいかも。
透明な窓(写真上。本体カラー「ネイビー」)と、クリアカラーの窓(写真下。本体カラー「ミント」)の見え方の比較。窓と本体カラーの組み合わせは、16cmモデルと18cmモデルでそれぞれ異なります。 ※写真はいずれも16cmモデル
薄い定規ということで、ペンケースに入れたり手帳に挟んだりと、携帯しやすいのも大きなポイント。
ちょっと集中力が切れてきて、文章が追いづらいなーと思ったら、すぐに取り出して使ってみてください。無理して読み進めたって頭に入ってこないですし、そういうときは、手早く道具に頼るのが正解だと思います。
最新機能系から雑貨系おもちゃ文具まで、何でも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は大手文房具店の企画広報として企業ノベルティの提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。