文具や紙製品などが一堂に出展する「文具・紙製品展 ISOT(イソット)」(以下、ISOT)が、2016年7月6日〜8日で開催中。その初日には、機能面やデザイン面にすぐれた文具に贈られる「日本文具大賞」の表彰式が行われました。機能部門とデザイン部門でノミネートされた計10製品の中から、各部門のグランプリが発表されたのです。さっそく、日本文具大賞の受賞製品と筆者が展示会で見つけた注目のアイテムをご覧ください!
機能性にすぐれる文具としてグランプリに輝いたシステム手帳は、1枚革で作られているのがポイント。一般的に革のシステム手帳は内側のリングを固定するパーツを隠すために2枚の革を重ねていることが多く、重さや厚みがあります。しかし、knoxbrain LUFTはリングの装着に独自の工夫を凝らすことで1枚革を実現。革製品は使えば使うほど味が出てくるので、大人の手帳として持ちたい一冊です。
115(幅)×180(高さ)×15(奥行)mmのバイブルサイズ(左)と、110(幅)×180(高さ)×15(奥行)mmのナローサイズ(右)を用意。内側のリングを背面にあるバックプレートで固定しています。ステッチもないシンプルな革に、バックプレートがいいアクセントになっていますね
長財布のようにポケットにも入れられる薄さと軽さが魅力
皮革のシステム手帳は構成の都合上、180°に開くことができませんでした。しかし、knoxbrain LUFTはその問題もクリア!
デザイン面で最優秀賞を獲得したのは、原稿用紙。でも、ただの原稿用紙ではありません。外枠に飾りが施され、罫線の色もカラフル! 近年は万年筆のインクもカラーバリエーション豊かであることから、原稿用紙も色をセレクトできるようにしたのだそう。パソコンやスマートフォンの普及により、めっきり書くことが減ってしまいましたが、こんな原稿用紙なら自筆で書いてみたくなりそうですね。
5行毎、5列毎に飾り枠を上手に駆使した目印が付いています。これは、文字数や行数をカウントしやすくするための工夫。紙質もよく、非常に書きやすかったです
賞を獲得したのは碧色が美しい新色の「碧翡翠」ですが、ほかにも「黒雷公」「波抹茶」「桃雲流」「蔓葡萄」「港煉瓦」がラインアップ。原稿用紙としてだけでなく、ブックカバーや包装などに利用されることもあるのだそう
残念ながらグランプリにはなりませんでしたが、数あるエントリー製品の中から選ばれた優秀賞の製品も見逃せません。残る8製品の中から、筆者がこれは押さえておきたい! と思った5製品をピックアップしてみました。
まずは、LEDで文字を写しだすハンコ「プロジェクタースタンプ」(天野製作所)を見てください! ハンコを押す時、「文字の向きはあっているかな?」と印面を確認する手間が軽減されます。ハンコをグリップすると通電するようになっており、自動で投影されるのでいちいち電源をON/OFFする手間もなし。
印面サイズ直径12mmの朱肉を使うタイプのハンコです。23A E 12Vの電池が必要
印影が投影されるため、向きを間違えて捺印することがなくなりそう!
続いて紹介する「筆タッチ」(馬印)は、ホワイトボードに筆を使って書けるという書道セットです。一般的なホワイトボードに対応しているので、案内書きに利用するのもよさそうですね。
インクとトレイ、そして筆がワンセットになっています
液だれしにくいインクが採用されているので、垂直なホワイトボードでも問題なし! トメ、ハネ、ハライもしっかりできます
3つ目は、トランスフォームするホッチキス「カラーギミック」(マックス)です。針を押しだすパーツも見当たらない形状からホッチキスに瞬時に切り替え可能。
サイズは30(幅)×20(高さ)×67(奥行)mmで、重量は28g(針50本装着時)とコンパクトですが、約10枚までの紙をとじることができます
本体を開いて、上部のボタンをスライドさせればホッチキスに変身!
すごくシンプルな発想だけれど、とても便利だと感じたのが「スタンドペンケース」(LIHIT LAB.)です。カバンに入れて持ち歩くペンケースですが、自立可能。
シリコン素材なので、触り心地も非常にいい!
受賞したペンケースよりもサイズの大きい「オーバルタイプ」も、新たにラインアップされました。フタの部分に消しゴムを装備できる仕掛けがあるのはうれしいですね。また、このサイズ感ならコスメポーチとしても利用できそう
もう1つ便利だと思ったのが、定規とボールペンが合体した「Pen in Ruler」(プリコ)です。それほど定規を使う機会はない人も、ペンと2in1なPen in Rulerを持ち歩いていれば“いざ”という時にも役立つでしょう。
ちょっと変わったデザインの定規のように見えますが……
ペンが収納されています。アルミニウム素材でできているので、非常に軽い!
ここからは、筆者が会場で見つけた気になるグッズを紹介します。
子ども向けの文具がメインに並ぶソニックブースでは、卓上の電動クリーナーや牛乳パックも軽い力で切れるハサミなど、大人にも役立つものを発見しました。
乾電池で動く「スージー」はゴミを吸い込む卓上掃除機。手前にある2製品のカラーが追加されました
手のひらに収まるほどのサイズ感なので、正直、たいした吸引力はないだろうと思っていたのですが、下の動画を見てください! スルスルとゴミが吸い込まれました。
電動鉛筆削り「フリーキー」は、単4型乾電池で動くコードレス仕様。コードがないからデスクがスッキリ! 上から鉛筆を差すスタイルが、意外に使いやすいです
華やかさはないけれど、すごく役立つと感じたのが「リビガク テーブルマット」です。消しゴムのカスが出ても、受け皿があるので掃除がラク!
牛乳パックも刃先でサクサク切れることで注目を集めたハサミ「メガサク」にニューモデル「メガサク3Dエアー」が誕生(9月発売予定)。通常、ハサミは先端になるほど切る力が弱くなりますが、メガサクは刃先にも力が伝わりやすいハンドル構造になっています。もちろん、刃も滑りにくい独自の比率になっているのだそう
メガサク3Dエアーは、刃の内側が湾曲しているのがポイント。面で切らず、点で切るような仕様になるため、粘着テープの糊などが付着しにくくなります
ハンコで有名なシヤチハタブースには、アクセサリーのようなデザインのハンコから収納がおもしろいペンまで揃っており、見ているだけでワクワク! さらに、オリジナルスタンプが作れるマシン「osmo(オスモ)」も体験してきました。
かわいい柄が目を引くシャチハタと朱肉を使うタイプのハンコがずらり。持っているだけで自慢できそうですね
発売された時から気になっていた「ケスペタ」もありました。ケスペタは、郵便物の宛名などを黒く塗って消すためのツールです
消したい部分をケスペタでなぞれば、文字が見えないレベルで塗りつぶされます
ケスペタから出る黒いモノはインクではなく糊なので、二つ折りにして廃棄すれば個人情報をしっかり隠すことができます。糊でくっついているので、たとえ剥がされても右のハガキのようになり、文字は露呈しません
デコボコとしたペン「アートライン ブロックス」もおもしろい!
ペンをドッキングさせて、収納可能。写真では6本をくっつけていますが、2本でも問題なし。持ち運びにも便利ですね
シヤチハタブースの最後に紹介するのは、オリジナルスタンプが作れる「osmo」。osmoはテーマパークなどの施設に設置されるマシンですが、スタンプホルダーを購入すればその場で印面に加工が施されます。印面サイズの異なるスタンプホルダーが3種類用意されており、価格は500〜800円(税別)と手ごろ
スタンプを作る手順は、最初にosmoの画面で印面のデザインを設定することから始まります。用意されている素材を使ってもよし、タッチペンで書いてもOK。もちろん、スマートフォンにある写真を利用することも可能
デザインが完成したら、スタンプホルダーの印面ユニットをosmoにセット。約30秒〜1分で加工が終了します。早いですね!
筆者は写真を利用したスタンプを作りました。アプリをインストールしなくても、公式サイトに画像をアップして発行された番号をosmoに入力するだけというところもイイ! 写真と文字を組み合わせたスタンプは、子どもを持つ方にプレゼントするとよろこばれるのではないでしょうか
「ラップにかけるペン」はその名のとおり、ラップに文字やイラストを書けるペン。一般的な油性ペンでも書けますが、電子レンジで温めるとインクが溶けて食べ物につく可能性もあるのです。なので、「ラップにかけるペン」は水性。水性インクなのに弾くことなく、書けちゃうのがスゴイ! もちろん、レンジ加熱や冷凍にも対応します。
レンジで温めもできるから、加熱時間の指示を書いてあげるのもいいですね
具がわからなくなるおにぎりやサンドイッチにコメントが書かれていたら、すごく助かります!
デジタル文具を精力的に展開しているキングジムでは、撮って翻訳する「イミシル」を体験しました。カメラで単語を撮影すると、その単語の意味を知ることができるのです。
デジタルカメラのようになってるので、知りたい単語を写してシャッターを切ります
撮影した単語が翻訳されて表示。英語、韓国語、中国語(簡体字/繁体字)を日本語に翻訳できるほか、日本語を写すと国語辞典のように使うこともできます
文具ではありませんが、ボンドなどの製造で有名なコニシのブースに裁縫に役立つ「ボンド裁ほう上手」が展示されていました。まさに生地をくっつけるための接着剤で、針や糸を使わずに裁縫ができます。
くっつけたい布に「ボンド裁ほう上手」を塗ります
接着面をあわせたあと、アイロン(ドライ)で約30秒プレス
くっついたものを男性に引っぱってもらいましたが、2つの布は剥がれませんでした
「ボンド裁ほう上手」で作ったかばんに2Lのペットボトル6本入れて持ち上げても、問題なしという丈夫さ! ちなみに、洗濯機で洗っても剥がれないそう
アレンジ次第で、クッションや洋服も作れます
容量違いで3種類ラインアップされており、大容量(120g)タイプではパンツの裾上げが約20本分できるそう。チューブをもう少しかわいいデザインにしたら、若い層にもっと売れそうな気がします……