「話のネタになる最新ITニュースまとめ」は、主に海外のIT業界で先週話題になったニュースを紹介する連載です。知っておいて損はない最新情報から、話のネタになりそうな事柄まで、さまざまなニュースをお届けしていきます。
先週IT業界を駆け巡ったのは、世界最大のSNS「Facebook」から5000万人分の個人情報が不正利用されていたという一件。個人情報は、トランプ大統領が当選した2016年アメリカにおいてトランプ陣営の広告戦略に利用された疑いが強く、マーク・ザッカーバーグ氏が大手新聞各紙に謝罪広告を掲載する事態にまで発展しました。
サービス開始以来最大の情報流出事件を起こしたFacebook
ことの発端は、ケンブリッジ大学のアレクサンドル・コーガン博士が、Facebook上でクイズ形式のアプリを2013年に公開したことにあります。アプリを利用すると、ユーザー本人と友人のデータを収集する仕組みになっており、コーガン博士はこのアプリを通して5000万分の個人情報を収集しました。アプリの使用許諾に、利用条件として個人情報を収集するむねが記載されており、データの収集自体に違法性はありませんでした。
その後、コーガン博士は、アプリで収集した個人情報をデータ解析企業のケンブリッジ・アンリティクスに不正に売却。このデータをもとに、ケンブリッジ・アナリティクスはトランプ氏の選挙対策本部から依頼された投票者の行動に影響をもたらす広告ツールを開発したと報じられています。
Facebookは、コーガン氏がデータをケンブリッジ・アナリティクスに売り渡したのは同社の規則に違反するとして、2015年にコーガン氏のアプリを削除し、コーガン氏とケンブリッジ・アナリティクスに対してデータの削除を依頼。しかし、実際には削除されず、2016年のアメリカ大統領選挙で広告ツールの開発に利用されたとのことです。
この問題を受けて、Facebookのマーク・ザッカーバーグ氏は公式声明を公開。今回のようなレベルの個人情報収集は、2014年に個人情報取り扱いのルールを変更して以来、できないようになっており、これ以前に収集されたデータについては再調査を行い、調査に応じない企業はFacebookから締め出すと宣言。また、アプリが収集できる個人情報にさらなる制限をかけるなどのシステム変更も実施すると言います。また、コーガン氏がデータを売却したこと、ケンブリッジ・アナリティクスがデータを削除していたと嘘の報告をしたことについて、明確な背徳行為であると批判しました。
ザッカーバーグ氏は公式声明を公開
この声明には、問題の原因や今後の改善策について述べられていたものの、ユーザーに対する謝罪の言葉がありませんでしたが、25日のアメリカおよびイギリスにおける各紙新聞の朝刊に、ザッカーバーグ氏による全面謝罪広告が掲載。同氏は、コーガン氏のデータ売却について、当時Facebookで対策できなかったことを謝罪しました。
公式の謝罪後も騒動は収まらず、Facebookのアカウント削除運動がインターネットで発生。アカウント削除を呼びかけるハッシュタグ「#deletefacebook」がTwitterを中心に各種SNSで広がっており、テスラのイーロン・マスク氏がテスラとSpaceXの公式ページをFacebookから削除する事態にまで発展しました。なお、26日現在、同ページはFacebookから削除されたままになっています。
ソース:Facebook
アメリカ、アリゾナ州テンピ市で試験走行中だったUberの自動運転車が、車道を横断中だった49歳の女性を死亡させる事件が起こりました。事故発生後、警察当局が事故時の車載カメラの映像を公開し、自動運転車の課題が浮き彫りになっています。
Uberの自動運転車が事故を起こしたのは、3月18日22時ごろのこと。現場は、4車線が走る広くて見通しのいい交差点。死亡した女性は、横断歩道ではない場所を横断中に、自動運転モードで走行中の自動運転車と衝突しました。自動運転車には、Uberのオペレーターが助手席に乗車していましたが、事故を防ぐことはできませんでした。テンピ警察の発表では、自動運転車が減速せずに衝突していたことがわかっています。
事故当時はさまざまな憶測が飛び交ったのですが、地元テンピ警察が事故当時の車載映像を公開。動画からは、自動車の前方に横断中の女性が暗闇から突如として現れたことのほかに、オペレーターが事故直前に目線を前方からそらしていたことや、車載センサーによる物体接近の警報などが鳴らなかったことなども判明し、多方面で議論を呼ぶことになっています。
テンピ警察は車載映像をTwitterで公開
テスト走行中だった自動運転車は、レーダーを使ったセンサーシステム「LiDAR」を搭載しており、暗闇でも周囲にある障害物を認識できるようになっていました。そのため、ブレーキ痕がなかったことや、衝突直前に警報が発せられなかったことから、事故当時にセンサーが正常に作動していなかった可能性が指摘されています。
また、オペレーターの責任問題についても議論が交わされています。オペレーターには、Uberの定める試験と研修を受ける義務があるものの、そもそも試験と研修がテスト走行をするにあたって十分だったかどうか、疑問の目が向けられています。
事故時に前方不注意だったオペレーターが、もし前方を確認していたとしても事故を防げなかった可能性があるという指摘も出ています。これがテスト走行ではなかった場合、訓練されていない人間が、何もしていない状況で突然運転に切り替えて、障害物を避けるようなとっさの行動を本当に取れるのか、ということも問題にあがっているというわけです。
自動運転車に大きな課題を生むことになったUberの死亡事故。事故のさらなる詳細に、大きな注目が集まっています。
ソース:Twitter
アメリカ、フロリダ州パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で、元生徒による銃乱射事件が2月14日に発生。17人の尊い命が奪われ、40人以上が病院に搬送されました。この事件以降、銃規制を訴える運動がアメリカ国内で活発になっているのですが、このさなかに、GoogleがYouTubeにおけるポリシーを変更し、銃に関連する動画や広告に対する強化を強める姿勢を明らかにしました。
YouTubeは銃規制強化の方向へ
YouTubeは、銃や銃関連のグッズを販売するサービスの宣伝やリンクを掲載する動画の投稿禁止をポリシーに新しく追加。さらに、銃を組み立てたり作ったりする、いわゆるハウツー動画の投稿も禁止されることになりました。今回のポリシー変更は4月から正式に適用されますが。すでに、銃関連の動画を投稿していたチャンネルのアカウント凍結が始まっているとのことです。
銃関連の動画が大量にYouTubeで公開されていたことは、以前から銃の規制を訴える人たちから批判を集めていましたが、アメリカ国内で銃規制の声が高まったことを受けて、ついにYouTubeも禁止の方向に舵を切ることになったようです。
24日には、ワシントンで銃規制のデモ「私たちの命のための行進」が開催され、高校生を含め約80万人が参加。銃規制の動きはアメリカ国内だけでなく、国外にも広がり、大きな社会問題へと発展。YouTubeのように銃関連のコンテンツを締め出す動きは今後も活発化していくのかもしれません。
ソース:YouTube