新製品レポート
ドコモとソフトバンクのSIMで使えるプロ向け防水タフネススマホ

京セラの「DURA FORCE PRO」を10日間使ってみた

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アウトドアフィールドに適したタフネススマートフォンは、国内では昔からauが力を入れている分野だ。そんな中で2018年3月16日に登場した京セラの「DURA FORCE PRO」は、NTTドコモとソフトバンクのSIMカードに対応した、タフネス仕様のSIMフリースマホだ。基本的には、アウトドア向けというより現場作業向けのプロ向けスマホだが、本機を10日ほど使い、その実力を検証してみた。

力強いデザインと、随所に現れるプロフェッショナルの道具らしさが特徴のボディ

力強いデザインと、随所に現れるプロフェッショナルの道具らしさが特徴のボディ

画面サイズ(解像度):約5.0インチ(1080×1920)
サイズ(幅×高さ×厚さ):約73.4×148.4×12.9mm
重量:約230g
CPU:Snapdragon 617 MSM8952(1.5GHz×4+1.2GHz×4)
RAM容量:2GB
ストレージ容量:32GB
増設用メモリーカードスロット:microSDXC(最大256GB)
OS:Android 7.1.2
SIMカードスロット:nanoSIM×1
LTE対応バンド: :B1/2/3/4/5/7/8/12/19/20/29
キャリアアグリゲーション:非対応
Wi-Fi:IEEE802.11b/g/n/ac
NFC:搭載
FeliCa:非搭載
指紋認証センサー:搭載
メインカメラ:約1,300万画素×1(標準)、約200万画素×1(広角)
フロントカメラ:約500万画素
バッテリー容量:3,240mAh
USBポート:microUSB(QuickCharge 2.0対応)

デザインや内蔵アプリなどに現れる、プロ向けらしい質実剛健さ

京セラは、タフネススマートフォンでは、アメリカ市場でも一定の地位を確立している。今回取り上げる「DURA FORCE PRO(デュラ・フォース・プロ)」は元々、AT&T、Sprint、Verizon Wireless、T-MOBILEの4社から発売されており、アメリカにおける京セラ製タフネススマートフォンのラインアップでは最上位に位置づけられる製品だ。

そんなDURA FORCE PROのボディは、高い環境耐久性能を備える。具体的には、IPX5/8等級の防水、IP6X等級の防塵に加えて、米国国防総省の調達基準「MIL-STD-810G」の16項目(風雨/浸漬/粉塵/落下/衝撃/振動/太陽光照射/湿度/高温動作/高温保管/低温動作/低温保管/温度衝撃/低圧/塩水噴霧/氷・低温雨)をクリアしている。サイズは、約73.4(幅)×148.4(高さ)×12.9(厚さ)mm、重量約230gと、5インチクラスの画面を備えるスマートフォンとしてはやや大きめで、重量についてはかなり重い部類に入る。

液晶ディスプレイは、グローブをしながらでもタッチ操作が可能。検証中グローブモードを常時オンにしていたが、そのまま素手で操作しても問題はなかった

約5.0インチの液晶ディスプレイはフルHD(1080×1920)表示に対応。今となっては標準的なスペックだが、細かな文字もにじまずくっきりと表示できる

SIMカードとmicroSDメモリーカードを装着した状態で測定した重量は、232gだった

SIMカードとmicroSDメモリーカードを装着した状態で測定した重量は、232gだった

力強いボディデザインは、ドイツのハノーバー工業デザイン協会が主催する工業デザイン賞「iF DESIGN AWARD」のプロダクト部門を受賞している

左側面に見える赤いボタン「ダイレクトボタン」には、後述するトランシーバー機能などを割り当てることができる

ストラップホールも備わり、水没対策用のフロートや落花防止のストラップを装着できる

ストラップホールも備わり、水没対策用のフロートや落花防止のストラップを装着できる

前面に備わる2個のマイクは100dB以上の大音量に対応しており、騒音のもとでも音声をしっかり拾い上げる

前面に備わる2個のマイクは100dB以上の大音量に対応しており、騒音のもとでも音声をしっかり拾い上げる

DURA FORCE PROの環境耐久性能を、2017年初夏にauより発売された京セラのタフネススマホ「TORQUE G03」と比較すると、「雨滴/耐海水/耐氷結/塩水耐久/耐加重」といった項目で、いくつか対応していないものがある。特に、海水・塩水には対応していないので、本機はマリンスポーツには適さない。また、耐衝撃性能もTORQUE G03では高さ1.8mからの落下衝撃対応なのに対し、DURA FORCE PROでは高さ1.22mからの落下衝撃対応となっている。

ソフトウェアの面では、TORQUE G03との違いがさらに際立つ。TORQUE G03には、海や山などのアウトドアフィールドに適したアプリやウィジェットが豊富にインストールされていたが、DURA FORCE PROにはまったくない。「Twitter」「Instagram」「Facebook」「LINE」などのSNSアプリも見当たらず、エンターテインメント要素はGoogle公式の「Google Playムービー&TV」くらいしかない。いたってシンプルなのだ。

プリインストールアプリはGoogle公式アプリがメインで、かなり少ない。初期状態では32GBのストレージには20GB以上の空き容量があった

このほか、製品のFAQページで、アプリのメンテナンスや検証を理由に「メジャーバージョンアップの予定がない」ことが明言されている。コンシューマー機では最新OSの搭載が製品のひとつと魅力だが、プロの道具では何より安定性が重視されるということの表れだろう。これらの面からも、DURA FORCE PROは、一般的なスマートフォンとは一線を画した、プロの道具として特化していることがわかる。

NTTドコモに加えて、ソフトバンク系SIMカードに対応

続いて、ネットワーク回りの機能を見てみよう。LTEの対応バンドは、B1/2/3/4/5/7/8/12/19/20/29となっており、NTTドコモのプラチナバンド「B19」や、ソフトバンクのプラチナバンド「B8」に対応している。また、3Gネットワークでは、NTTドコモやソフトバンクで使用しているW-CDMA(B1/2/4/5/6/8/19)に対応しており、auの使うCDMA2000には対応していない。また、高音質な音声通話を実現するVoLTEには対応しているが、複数の電波を束ねることで、通信の安定性と速度を高めるキャリアアグリゲーションには非対応だ。なお、SIMカードスロットも1基のみで、DSDS(デュアルSIM・デュアルスタンバイ)には対応していない。

ユニークな機能として、作業現場など従業員間の手軽な連絡用として、複数の有料IPトランシーバーアプリに対応している点がある。今回の検証機には、NECネッツエスアイの「スカイトランシーバー」が組み込まれていたが、このほかにもシアンス・アール「Aldio」、城山「スマトーク」(5月登場予定)にも対応する。これらのアプリは、モバイルネットワークやWi-Fiを使うので、従来の業務用のトランシーバーで必要だった電波免許の申請も不要。トランシーバー代わりに使えるというのは、なかなか便利だ。

「スカイトランシーバー」は、登録したグループユーザー間で音声、位置情報を共有可能だ。また、側面のダイレクトボタンがこのスカイトランシーバーに割り当てれば、ボタンを押すだけで利用できる

「スカイトランシーバー」に備わるテキストチャット機能も備わる

「スカイトランシーバー」に備わるテキストチャット機能も備わる

処理性能はミドルクラス級だが、メモリーが少なめなのが欠点

次は、基本スペックを見てみよう。搭載されるCPUは「Snapdragon 617 MSM8952(1.5GHz×4+1.2GHz×2)」。ミドルレンジ向けのCPUで、2GBのRAMと32GBのストレージを組み合わせる。OSは、Android 7.1.2だ。ただ、本機は市場想定価格が8万円近くと高価な割に、メモリーが2GBと少ない点に物足りなさを感じる。

なお、microSDXCメモリーカードスロットは256GBまで対応するが、「Adoptable Storage」対応なのがややユニークだ。これは、挿入したmicroSDメモリーカードを内蔵ストレージと仮想的に一体化させられるというもの。

ベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」を使って処理性能を調べたところ、総合スコアは61,024(内訳、CPU:29,237、GPU:9,406、UX:17,170、MEM:5,211)、となった。ミドルレンジCPUとハイエンドCPUの大きな差は、描画性能にあるが、本機の描画スコア「GPU」は、4桁台にとどまり、ゲームなどの3D描画では能力が少し不足する。

SDメモリーカードを内蔵ストレージとして利用する「Adoptable Storage」に対応している

SDメモリーカードを内蔵ストレージとして利用する「Adoptable Storage」に対応している

最新世代CPUを搭載する製品と比べると、描画スコアの「GPU」が4桁台にとどまる

最新世代CPUを搭載する製品と比べると、描画スコアの「GPU」が4桁台にとどまる

本機のCPUは2015年に発表されたもので、世代的に古い上に、RAMが2GBしか搭載されていないこともあり、タスクの切り替えや大型アプリの起動の際に、スムーズさに欠けることがあった。ただ、アプリを起動してからの動作はミドルレンジ機相応のなめらかさが確保されている。

内蔵されるバッテリーは容量3,240mAh。連続通話時間は約1,030分、連続待ち受け時間は約690時間となっている。今回の検証は10日間行ったが、充電は大体24時間に1回、寝ている間にフル充電して、丸1日使うというペースだった。なお、「QuickCharge 2.0」対応の急速充電を使えば、最短140分でフル充電が可能。筆者の利用パターンでは、モバイルバッテリーは必要なかった。

10日間の検証で行った充電は9回。朝フル充電にして、寝る頃に残量が20%を切るというパターン。驚くほどのスタミナではないが、途中で電池が切れを心配するということはなかった

流行のダブルレンズカメラは、標準と広角を切り替えに対応

本機は、約1300万画素の標準画角カメラと、約200万画素の広角レンズカメラを備えたダブルレンズ構成のメインカメラと、約500万画素のフロントカメラを備えている。カメラの機能自体は、「TORQUE G03」と類似しており、フルHDまでの動画撮影やHDR撮影に対応している。カメラアプリはシンプルで、TORQUE G03やT-MOBILE版のDURA FORECE PROにあったGPSや加速度センサーが感知した情報を動画にオーバーレイ表示させる機能も省略されている。また、フロントカメラには美肌機能もない。そのいっぽう、マニュアル撮影機能は、測光、ISO(100〜800の範囲)、ホワイトバランス、コントラスト(+2〜-2の範囲)、明るさ(EV+2〜-2の範囲)の5項目を細かく調節できる。プロの道具らしい実用本位というコンセプトは、このカメラ機能にも貫かれている。

ダブルレンズ構成のメインカメラは、標準画角と広角を切り替えて使う

ダブルレンズ構成のメインカメラは、標準画角と広角を切り替えて使う

側面に備わるシャッターボタンを使えば、水中撮影も行える

側面に備わるシャッターボタンを使えば、水中撮影も行える

標準レンズでの撮影。ゆがみが目立たず、解像感もしっかり出ている

標準レンズでの撮影。ゆがみが目立たず、解像感もしっかり出ている

上と同じ構図を、広角レンズで撮影した。135°という広角撮影に対応しているが、ゆがみはかなり大きく現れる

「石貨」を少し離れた場所から標準レンズで撮影。石表面の質感も再現できている

「石貨」を少し離れた場所から標準レンズで撮影。石表面の質感も再現できている

上と同じ場所で、広角レンズに切り替えて撮影。固定焦点レンズかつ約200万画素という画素数の低さもあって、細部の表現は苦手

逆光で、日比谷公園の小音楽堂の屋根を標準レンズで撮影。HDR機能が効いており、屋根の裏側の暗部がつぶれずに表現できている

上と同じ構図を広角レンズ側で撮影。広角レンズにはHDR機能がないので、影の部分がかなり暗く、いっぽう空は飽和気味だ

本機のダブルレンズカメラは、広角レンズが全体の様子を把握することに特化しつつ、HDR機能を備えるメインカメラで細部を記録するという使い方に適している。なお、今回は作例を掲載しなかったが、夜景は標準・広角ともにあまり得意ではないようで、あくまでも明るい屋外で使うことを前提としたカメラであると言っていい。

TORQUE G03と似ているが、狙いは異なる

以上見てきたように、本機は現場作業や工場などを想定したものであり、タフネスという点では共通しているものの、auのTORQUE G03とは狙いの異なる製品で、こうした現場用スマートフォントしてみればかなり満足度は高いだろう。いっぽう、ドコモやソフトバンクのSIMカードで使える本格タフネスモデルとして個人が使う場合、そうした本機の特性を踏まえてから購入したほうがよいだろう。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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