レビュー

どっちを選ぶ? ファーウェイのタブレット「MediaPad M5/M5 Pro」レビュー

マイクロソフトの「Surface Pro」やレノボの「ideapad」といった2in1タイプを除き、キーボードを持たない正当なタブレット端末は、数年前と比べると市場が縮小傾向にあり、徐々に新製品も少なくなってきている。

2018年1月以降は、富士通や京セラ、レノボといった主要メーカーがタブレットを発売したが、特に話題になることもなく、タブレットユーザーとしてはさみしい限りだ。そんな中、ファーウェイが8.4型「MediaPad M5」と10.8型「MediaPad M5 Pro」を発売し、価格.comの人気ランキングで、アップル「iPad」やマイクロソフト「Surface Pro」に混じって健闘している。価格は、それぞれ36,694円、53,258円(税込。2018年6月6日時点での価格.com最安価格)。今回は「MediaPad M5」と「MediaPad M5 Pro」の2機種をまとめてレビューし、その実用性や使い勝手に迫ってみた。

携帯性にすぐれる「MediaPad M5」と大画面の「MediaPad M5 Pro」

「MediaPad M5」と「MediaPad M5 Pro」は、両機種ともにWQXGA(2560×1080)のIPS液晶を備え、高画質な映像を楽しめる。大きな違いは画面サイズで、「MediaPad M5」は8.4型、「MediaPad M5 Pro」は10.8型となっており、それぞれ向いている用途が異なっている。

「MediaPad M5」(左)と「MediaPad M5 Pro」(右)。「MediaPad M5」は左右のベゼルが狭くなっており、スタイリッシュだ

WQXGAの液晶は高画質で、映像や写真の視聴体験はタブレットでも高いレベルにある

WQXGAの液晶は高画質で、映像や写真の視聴体験はタブレットでも高いレベルにある

両機種はディスプレイに2.5D曲面ガラスを採用し、角が丸みを帯びたなめらかなラウンド加工が施されている。どちらも高級感があるデザインだ

8.4型「MediaPad M5」は、片手でも持てるサイズに収まっており、重量も320gと、携帯性にすぐれる。自宅や外出先はもちろんのこと、電車や飛行機など移動中にも手軽に使えるのが特徴だ。コンパクトなため、縦向きでも横向きでも手持ちをキープでき、さまざまなシチュエーションで活躍してくれる。

「MediaPad M5」の本体サイズは124.8(幅)×212.6(高さ)×7.3(厚さ)mmで、重量は320g。小さいカバンにも入りやすく持ち運ぶのに便利。カバンから取り出すのもわずらわしくないサイズで、電車の中などでも使いやすい

充電は底面のUSB Type-Cポートで行う。イヤホンジャックは搭載されていないが、変換用のUSB Type-C to 3.5 mm ヘッドホンジャックアダプターが付属する

「MediaPad M5 Pro」は、10.8型というサイズのため、両手持ち、もしくは机やスタンドにセットして使用するのが基本スタイルになる。大画面なので、動画を閲覧するのに適しており、2つのアプリを同時に表示するマルチウィンドウも快適だ。

「MediaPad M5 Pro」の本体サイズは258.7(幅)×171.8(高さ)×7.3(厚さ)mmで、重量は500g。さすがに片手で持つのは厳しく、両手持ちが基本スタイルになる

「MediaPad M5 Pro」も「MediaPad M5」と同じくUSB Type-Cポートで充電を行う。USB Type-Cポートは、右側面下部(横向き)に搭載されている。イヤホンジャックは非搭載で、変換用のUSB Type-C to 3.5 mm ヘッドホンジャックアダプターが付属する

双方の機種でWebブラウジングや動画視聴、電子書籍の閲覧などを試したところ、Webブラウジングでは、「MediaPad M5」はモバイル版、「MediaPad M5 Pro」はPC版のサイトが表示されたため、一度に表示できる情報量はまったく異なる。使った印象としては、「MediaPad M5」が大きなスマホ、「MediaPad M5 Pro」は小さなPCのような感じだ。

Webサイトの表示は「MediaPad M5」がスマホ版、「MediaPad M5 Pro」がPC版。もちろん、「MediaPad M5」でPC版のサイトを表示することもできる

動画視聴に関しては、どちらもきれいな画質だが、さすがに8.4型と10.8型だと画面サイズの大きい「MediaPad M5 Pro」のほうが迫力ある映像を楽しめる。しかし、サイズがコンパクトな分、「MediaPad M5」は外出先や移動時でも手軽に見られるという利点がある。

外出先でも手軽に動画を楽しむなら「MediaPad M5」、外出先だけでなく自宅でも動画を見るなら「MediaPad M5 Pro」のほうがリッチな視聴体験を得られるだろう

電子書籍の見やすさは、マンガや本のサイズにより近い「MediaPad M5」がちょうどいい。「MediaPad M5 Pro」は画面が大きい分、縦向きだとちょっと大げさな感じがするし、重心のバランスがとりにくく持ちづらい。横向きであれば表示サイズはちょうどいいが、手でずっと持っているのは疲れる。電子書籍リーダーの用途をメインで考えている場合は、「MediaPad M5」で十分だろう。

「MediaPad M5」は片手持ちで電子書籍もサクサク読める

「MediaPad M5」は片手持ちで電子書籍もサクサク読める

「MediaPad M5 Pro」で電子書籍を読む場合は、横向き両手持ちが基本スタイルになる。でも、やっぱり手で持ち続けるのは重たかった

2つのアプリを同時に使用するマルチウィンドウだと、当然のことながら10.8型「MediaPad M5 Pro」のほうが見やすく、操作性も高い

両機種共通の機能として、オーディオメーカーのHarman Kardonがチューニングを行ったサウンド機能がある。「MediaPad M5」はスピーカーを2基、「MediaPad M5 Pro」はスピーカーを4基搭載。また、両機種はハイレゾ音源の再生にも対応している。「MediaPad M5」でも十分高品質だが、イヤホンやヘッドホンなしで楽しむなら「MediaPad M5 Pro」のほうが迫力あるサウンドを楽しめる。

なお、「MediaPad M5 Pro」はペン入力に対応しており、専用のスタイラスペン「M-Pen」が付属する。4096段階の筆圧、傾き検知に対応しており、プリインストールされている「Nebo for Huawei」や「Autodesk Sketchbook」など筆圧対応のアプリを使えば、メモや議事録、子どものお絵かきなど、幅広いシーンで利用できる。

「M-Pen」の性能は標準的で、他社製のスタイラスペンと比べて何かが秀でているわけではないが、メモからイラストまでそつなくこなす。ペン入力を想定している人は「MediaPad M5 Pro」の1択になるだろう。

「MediaPad M5 Pro」に付属する「M-Pen」。ボディにはスクリーンショットを撮影するボタン(左)と消しゴムボタン(右)を搭載する

クリップをスライドすると充電用のUSB Type-Cポートが出てくる

クリップをスライドすると充電用のUSB Type-Cポートが出てくる

遅延や書き心地はスタイラスペンとして標準レベル。スクリーンショットと消しゴムボタンの押し心地が軽いため、握っているときに誤って押してしまうことがあった

基本スペックに大きな違いはなし。「MediaPad M5」のみWi-Fi版とLTE版の2モデル展開

「MediaPad M5」と「MediaPad M5 Pro」の基本スペックは、オクタコアCPU「Kirin 960(2.4GHz×4+1.8GHz×4)」を搭載し、メモリーは4GBと共通。異なるのはストレージ容量とバッテリー容量で、「MediaPad M5」は32GB、5100mAh、「MediaPad M5 Pro」は64GB、7500mAhとなっている。なお、外部ストレージは両機種ともに最大256GBのmicroSDカードに対応する。

ベンチマークソフトの「AnTuTu Benchmark」で両機種をテストしたところ、結果は「MediaPad M5」が174248で、「MediaPad M5 Pro」が178971というスコアで、大きな性能差はなかった。実際の使用感としては、アプリの起動やマルチタスクなど、一般的な作業はストレスなくこなせる印象だ。

ゲームプレイに関して、両機種で人気ゲーム「PUBG」をプレイしたところ、現時点で最高画質の「HDR」は選択できず、「HD」以下のみ選択可能だった。「HD」では、時折処理にもたつくところがあったものの、おおむね快適。ほかの3Dゲームでも最高画質でプレイするのは難しいが、画質を落とせば十分プレイできるだろう。

ベンチマークのスコアに大きな差はなし(左:「MediaPad M5」 右:「MediaPad M5 Pro」)

ベンチマークのスコアに大きな差はなし(左:「MediaPad M5」 右:「MediaPad M5 Pro」)

また、両機種共通の要素として、電子コンパス、ジャイロ、加速度、照度センサーを備えており、指紋認証に対応する。防水/防塵は非対応。なお、「MediaPad M5」のみWi-Fi版とLTE版の2モデルが展開されている。

手軽にエンタメを楽しむなら「MediaPad M5」。プライベートから仕事までカバーするなら「MediaPad M5 Pro」

「MediaPad M5」は、コンパクトな8.4型サイズのため高い機動力を誇り、持ち歩くにはちょうどいいし、片手持ちで操作できるのが非常に快適。いっぽう、「MediaPad M5 Pro」は、見やすい10.8型の大画面により、動画視聴などで威力を発揮する。また、ペン入力に対応しているのも大きな特徴だろう。スマートフォンの画面サイズに満足できず、使いやすいタブレットを探している人は、一度この機種を検討してみてはいかがだろうか。

水川悠士(編集部)

水川悠士(編集部)

最新ガジェットとゲームに目がない雑食系ライター。最近メタボ気味になってきたので健康管理グッズにも興味あり。休日はゲームをしたり映画を見たりしています。

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