まずはCPUの性能を図るベンチマークから実施。CPUの個別のパフォーマンスを図るためにSiSoftware「Sandra Titanium」、MAXON「Cinebench R20」、「POV-ray v3.7」を、プラットフォーム全体のパフォーマンスを図るために、Futuremarkの統合ベンチマーク「PCMark 10」をそれぞれ実行した。結果は以下の通りだ。
グラフ1:Sandra Titanium SP4 Processor Arithmetic
グラフ2:Sandra Titanium SP4 Processor Multi-Media
グラフ3:Sandra Titanium SP4 Cryptography
グラフ4:Sandra Titanium SP4 Cache Bandwidth
グラフ5:Cinebench R20
グラフ6:POV-ray v3.7
グラフ7:PCMark 10
Sandra Titaniumの各種ベンチマーク結果からも、「Zen 2」マイクロアーキテクシャーの素性のよさがかなりわかる。同社が単純に微細化による高クロック化だけでなく、IPCの引き上げも狙ってマイクロアーキテクチャーを設計したというのもうなずける。CPUコアをまたいだ処理のボトルネックも解消され、複数のコアを使うマルチメディア系処理もかなり伸びているし、暗号化処理についても、AVXのパフォーマンスがかなり引き上げられており、前世代とは比較にならないほど高性能化されているのがわかる。
CPUレンダリング系ベンチマークのCinebench R20とPOV-ray v3.7、統合ベンチマークのPC Mark10もSandra Titaniumの傾向とほぼ同様で、クロックアップ分とマイクロアーキテクチャーの更新で、全体的にパフォーマンスが伸びている。この結果を見る限り、「Zen 2」の出来はかなりよさそうだ。
今回の第3世代のデスクトップ向けRyzen CPUは、X570チップセットと組み合わせることで、PCI Express 4.0に対応した点も大きな特徴となっている。つい先日、Futuremarkの「3DMark」に、グラフィックボードで使用するPCI Expressの帯域幅を計測できる専用ベンチマーク「3DMark PCI Express feature test(V1.0)」が実装されたので、試しに実行してみた。また、今回のレビュワーズキットには、PCI Express 4.0に対応したM.2 SSDも付属していたので、ストレージ系ベンチマークの「CrystalDiskMark」も合わせて実行してみた。結果は以下の通り。
グラフ8:3DMark PCI Express feature test(V1.0)
グラフ9:CrystalDiskMark(左がRyzen 9 3900X環境、右がRyzen 7 2700X環境)
今回のベンチマークは、CPUとGPU以外はまったく同じマシン構成でテストしている。結果は一目瞭然で、PCI Express 4.0の恩恵はがっつりある。GPUについては、“Navi”世代のみという制限こそあるものの、帯域幅にそれほど余裕のないGPUでこれだけの差が出るのだから、活用しない手はないだろう。
SSDについても、PCI Express 4.0サポートのCPUと組み合わせることで、ここまではっきりと差が出るのには驚いた。ストレージ周りがボトルネックになるような4K/8K映像のリアルタイム編集といった用途でかなり威力を発揮してくれることだろう。
なお、PCI Express 4.0対応のSSDを使う際に1点だけ注意してほしいことがある。それは発熱だ。今回使用したCorsair「MP600」も、かなり冷えそうなヒートスプレッダが装備されていたが、さすがにこの転送速度をパッシブで冷やすのには限界があるようで、ベンチマークの実施にかかわらず、常に触れないほどの発熱となっていた。もしPCI Express 4.0対応のSSDを導入するのなら、冷却周りにも十分注意したほうがよさそうだ。