レビュー
ケータイの持ちやすさとハイエンドスマホの性能を両立

コンパクトに折りたためるスマホ、サムスン「Galaxy Z Flip SCV47」1週間使用レポート

auから、2020年2月28日にフォルダブルスマートフォン「Galaxy Z Flip SCV47」(サムスン製)が発売された。本体価格が18万円近い高価なモデルだが、初期出荷分は完売しており、注目度の高さがうかがえる。その検証機を1週間ほど使って見た印象をレポートする。

手のひらサイズに折りたためる縦折りのフォルダブルスマホ

サムスンは、2020年2月11日に米国・サンフランシスコで実施した新製品発表会「Galaxy Unpacked 2020」において、主力モデル「Galaxy S20」シリーズとともに、本機「Galaxy Z Flip」を発表した。その直後、日本時間2月12日に、auが国内独占取り扱いを発表し、「SCV47」として2月28日より発売した。

「Galaxy Z Flip」は、2019年10月25日に発売された「Galaxy Fold」に続く、サムスンのフォルダブル(折りたためる)スマートフォンだ。注目のディスプレイは、2,636×1,080のフルHD+表示に対応する約6.7インチの有機ELで、中央部分が縦折りされる。折りたたみケータイのようなクラムシェル型ボディは、オープン時のサイズが約74(幅)×167(高さ)×6.9(厚さ) mmで、クローズ時は約74(幅)×87(高さ)×15.5(厚さ) mm、重量は約183gとなる。なお、防水、防塵、耐衝撃などにはいずれも非対応で、ヘッドホン端子、FeliCaポートやフルセグ・ワンセグチューナーは非搭載となる。なお、指紋認証センサーは電源ボタンと一体で右側面に配置されている。

本機のインターフェイスを見ると、ヘッドホン端子が非搭載なうえに、USB Type-Cポートからヘッドホン端子への変換アダプターが同梱されていない。そのため、有線のヘッドホン端子を使う場合、サムスン純正の「USB-C Headset Jack Adapter」などの変換アダプターを別途購入する必要がある。

ディスプレイは約6.7インチというかなりの大画面だ

ディスプレイは約6.7インチというかなりの大画面だ

左が本機、右が約5.8インチのディスプレイを備えた「Galaxy S9」。ディスプレイサイズを比較すると、横幅はほぼ同じだが長さはだいぶ違う

ボディ下面にUSB Type-Cポートを搭載する

ボディ下面にUSB Type-Cポートを搭載する

指紋センサーと一体の電源ボタンを右側面に搭載する

指紋センサーと一体の電源ボタンを右側面に搭載する

ディスプレイの周囲は盛り上がったフレームでおおわれている

ディスプレイの周囲は盛り上がったフレームでおおわれている

同梱品は、専用の樹脂カバーやUSBケーブルおよびUSB→USB Type-C 変換アダプタ−、USB Type-C接続のイヤホンなど。USB Type-C→ヘッドホン端子の変換アダプターは含まれない

折りたたまれた状態のボディは正方形に近く、スマートフォンらしくない。折りたたみ部のヒンジはかなりしっかりしており、角度を自在に調整したまま保持もできる。そのため、テーブルに置いた状態で縦にも横にも自立可能だ。ディスプレイの表面は折り曲げられる特殊なガラスでおおわれており、樹脂製の保護パネルが使われていたGalaxy Foldよりも、操作時の感触に違和感が少ないうえ、発色や明るさといった画質、応答速度などの面でデメリットも感じにくい。筆者の私用する「Galaxy S9」と比べても、大きな違和感は感じられなかった。スペック値を見ると画面サイズに対して解像度が不足しているようだが、肉眼では顕著な違いは感じることは難しく、VRゴーグルのモニターとして使う場合なら違いがわかるかもしれない、というレベルだ。なお、目立ちにくくなってはいるが、折り目はまだ目立つ。

ヒンジは角度を自在に調整して固定できる

ヒンジは角度を自在に調整して固定できる

テーブルの上に置いて自立させることができる。自撮りのほか動画の視聴でも便利だ

テーブルの上に置いて自立させることができる。自撮りのほか動画の視聴でも便利だ

このように少しだけ折り曲げれば横向きに自立も可能だ。寝そべりながらスマホに触れずに動画などを閲覧できる

ディスプレイの保護カバーを折り曲げられる特殊なガラス製に変更したことで、折り目は目立ちにくくなったと言うが、まだハッキリ認識できる

15%処理性能を高めたクロックアップ版「Snapdragon 855+」搭載。5Gには非対応

基本性能だが、SoCは「Snapdragon 855+」に8GBのRAMと256GBのストレージを組み合わせる。OSはAndroid 10。このSoCは、「Galaxy S10」や「Galaxy Note10+」、「Galaxy Fold」などに採用されている「Snapdragon 855」の動作クロックを向上させたもので、処理性能とグラフィック性能が15%ほど向上しているという。実際の処理性能を定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(バージョン8.2.4)」を使って計測した結果、総合スコアは468,084(内訳CPU:135,756、GPU:177,745、MEM:81,402。UX:73,181)となった。このスコアを、「Galaxy Fold」のスコア405,619(内訳:CPU:134,709、GPU:132,457、UX:56,323、RAM:82,130)と比較すると、確かに15%ほどスコアはよくなっていた。サブスコアを比較すると、GPUのスコア向上が大きく、高い処理性能が要求されるゲームでは威力を発揮するだろう。

体感速度だが、SoCの性能が高いうえにメモリーの容量が8GBと多いため、タスクの切り替えはとてもスムーズだ。microSDカードスロットが非搭載だが、ストレージの容量が256GBも確保されているので、大きな問題にはならなそうだ。いっぽう、クロックアップの影響か、負荷のかかる状況が続くと、ボディの発熱がやや気になった。また、対応するモバイルネットワークは、従来通りのLTEとWiMAX2 +にとどまっている。この3月から開始されるauの5Gサービスには対応していない点には注意したい。

左が本機、右がGalaxy Foldのベンチマークテストの結果。特にGPUとUXのスコアが大きく伸びた。動作クロックの向上がGPUにおいて顕著に表れている

キャリアモデルなので当然だが、SIMスロットは1基。増設用のmicroSDメモリーカードスロットは非搭載

キャリアモデルなので当然だが、SIMスロットは1基。増設用のmicroSDメモリーカードスロットは非搭載

超広角カメラと広角カメラを組み合わせたデュアルカメラを搭載。キレイな写真を手軽に撮れる

本機のメインカメラは、いずれも約1,200万画素のイメージセンサーを備えた広角カメラ(26mm)と超広角カメラ(13mm)というデュアルカメラ仕様で、光学2倍のズーム撮影が行える。広角カメラはデュアルピクセルイメージセンサーと光学手ぶれ補正を備えているが、「Galaxy Note 10+」や「Galaxy Fold」には搭載されている絞りを切り替える「デュアルアパチャー」は搭載されておらず、価格帯としては比較的シンプルなカメラと言える。

メインカメラは、超広角カメラと、広角カメラのデュアルカメラ。2倍の光学ズームに対応する

メインカメラは、超広角カメラと、広角カメラのデュアルカメラ。2倍の光学ズームに対応する

フロントカメラはディスプレイに設けられたパンチホールに約1000万画素のイメージセンサーを搭載。レンズは焦点距離31mmだ

以下に、本機のメインカメラを使って撮影した静止画の作例を掲載する。いずれも初期設定のまま、カメラ任せのAIオートモードで撮影を行っている。

広角カメラで撮影

晴天下の日本庭園。等倍にすると周辺が少し粗くなるが、中央部は解像感も十分。空の階調もキレイだ

晴天下の日本庭園。等倍にすると周辺が少し粗くなるが、中央部は解像感も十分。空の階調もキレイだ

超広角カメラで撮影

上と同じ構図を超広角カメラで撮影。構図がひと回り広がっている。周辺部の流れは目立ってくるが、許容範囲内。カメラを切り替えたことによる色調の変化もほとんど感じられない

広角カメラで撮影

LEDのスポットライトが使われた、かなり暗めの店内で撮影。構図中央やや奥のミツバに焦点を当てている。かなり鮮明なうえに、ピントの合った部分はディテールがよく残っている

広角カメラで撮影

丸の内の重要文化財「旧中央郵便局」。肉眼よりもはるかにキレイで、曇天の陰影もとてもよく残っている

丸の内の重要文化財「旧中央郵便局」。肉眼よりもはるかにキレイで、曇天の陰影もとてもよく残っている

超広角カメラで撮影

光学的には広角カメラよりも超広角カメラのほうが不利ではあるが、こちらも肉眼以上の超現実的な写真が撮れた

広角カメラで撮影

夜の花壇を撮影。肉眼ではかなり暗いのだが、曇りの日中程度の明るさが確保されている。ノイズも少なく、手持ちにもかかわらず手ブレも目立たない

超広角カメラで撮影

同じ構図を超広角カメラに切り替えて撮影した。全般的に粗くなるのは仕方ないが、光量は十分で、こちらもかなり鮮明だ

本機のメインカメラは、Galaxy SシリーズやGalaxy Noteシリーズよりもシンプルなデュアルカメラだが、いずれも見栄えのよい写真を手軽に撮れる扱いやすいカメラだ。特に夜景撮影には強く、肉眼以上に鮮明で、手ブレもほとんど見られず、歩留まりは非常によい。

バッテリー持ちはまずまず。フル充電で2日弱は持続する

本機は容量3,300mAhのバッテリーを内蔵する。連続通話時間は2,110分、連続待受時間は約390時間(4G LTEエリア/WiMAX 2+エリア)、電池持ち時間は約110時間となっている。この値は、同じバッテリー容量の「Galaxy S10 SCV41」よりも全般的に良好なものである。今回の検証は7日間行ったが、その間に行った充電は3回だった。1日の利用時間は短い日で30分程度、長い日で4時間程度、充電頻度の高いときでも30時間程度、待ち受け主体であれば50時間以上はバッテリーが持続していた。おおむね2日に1回程度の充電サイクルなので、大画面のハイエンドモデルとしては良好な部類と言える。なお、充電だが、本機は最大出力27Wのau純正「TypeC 共通 ACアダプタ 02」を使った場合であれば約110分でフル充電が可能だ。ちなみにワイヤレス充電には対応していない。

高性能+ケータイ並みの機動性。「かえトクプログラム」なら12万円程度で入手可能

本機より前に発売された「Galaxy Fold」は、税込で24万円と飛び抜けて高価なうえに、端末購入補助の適用対象外なので、端末料金の全額をユーザーが負担しなければならなかった。いっぽう本機は、端末の価格が179,360円(オンライン直販における税込価格)と約6万円安く、新たに始まったauの残価設定型の端末購入補助「かえトクプログラム」の対象に含まれる。これを使い、端末を2年後に下取りに出せば、ユーザーの負担額は119,600円(税込)まで抑えられる。これは「Galaxy Fold」のおおむね半額で手に入れられると言うことだ。

折りたたみボディのため防水防塵対応が難しく、FeliCaポートやヘッドホン端子も搭載していない。この3月に開始される5Gには非対応などハイエンドモデルとしてはやや不満な部分もあるが、ケータイのようにコンパクトに折りたたむことのできる機動性の高さと、最新スマートフォンならではの処理性能やカメラといったハードウェア性能を両立しているのは魅力的だ。ガジェット好きなら一考の価値は十分にある。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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