レビュー

VBIOSアップデートの効果は? AMDのミドルレンジGPU「Radeon RX 5600 XT」を試す

3DMark

まずは定番のベンチマークプログラム「3DMark」から。今回は「Time Spy Extream」「Time Spy」「Fire Strike Ultra」「Fire Strike Extreme」「Fire Strike」「SKY DIVER」の計6種類のプリセットでテストを行った。

グラフ1:3DMark Time Spy Extream

グラフ1:3DMark Time Spy Extream

グラフ2:3DMark Time Spy

グラフ2:3DMark Time Spy

グラフ3:3DMark Fire Strike Ultra

グラフ3:3DMark Fire Strike Ultra

グラフ4:3DMark Fire Strike Extreme

グラフ4:3DMark Fire Strike Extreme

グラフ5:3DMark Fire Strike

グラフ5:3DMark Fire Strike

グラフ6:3DMark SKY DIVER

グラフ6:3DMark SKY DIVER

グラフィック性能を示すGtaphics scoreの項目は、Radeon RX 5600 XTのメモリークロックを14Gbpsにした場合、「Fire Strike」を除くプリセットではAMDが公表している「3DMark Fire Strike」の10%向上までは届かなかったが、7〜9%ほどスコア向上が確認できた。10%のパフォーマンス向上に届かなかったのは、今回テストしたプリセットのうち、「Fire Strike」「SKY DIVER」以外はフルHD解像度を超えていること、ベンチマークなので実使用に比べて全般的に負荷が高いことなどからだろう。とはいえ、VBIOSの適応だけでこれだけしっかりとパフォーマンス向上がみられるのも確かだ。

なお、今回は比較用としてRadeon RX 5700 XTとRadeon RX 5500 XTを用意したが、Radeon RX 5700 XTの性能は別格といえるものだった。Radeon RX 5500 XTは、価格差を考えると仕方ないとは思うが、Radeon RX 5600 XTが14Gbps設定でさらにパフォーマンスがアップしたこともあり、やや力不足を感じてしまった。

ゲームタイトルベンチマーク

ここからは、実際のゲームベンチマーク結果をお届けしよう。今回はできるだけ幅広いジャンルをカバーすべく、「ファイナルファンタジーXIV 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」「Far Cry 5」「Tom Clancy`s Rainbow Six Siege」「PlayerUnknown's Battlegrounds」「Forza Horizon 4」「Shadow of the Tomb Raider」「MONSTER HUNTER WORLD: ICEBORNE」「The Division 2」の全9タイトルでテストを行った。なお、ベンチマークモードが用意されていない「PlayerUnknown's Battlegrounds」と「MONSTER HUNTER WORLD: ICEBORNE」は、実際のゲームプレイ時の平均フレームレートをOCATで計測。「PlayerUnknown's Battlegrounds」はトレーニングモードの1分間の平均フレームレートを3回計測した平均値、「MONSTER HUNTER WORLD: ICEBORNE」は、古代樹の森を3分間一定のルートで探索したときの平均フレームレートを3回計測した平均値を採用している。

ファイナルファンタジーXIV 漆黒のヴィランズ ベンチマーク

グラフ7:ファイナルファンタジーXIV 漆黒のヴィランズ ベンチマーク(平均fps、最高品質設定)

グラフ7:ファイナルファンタジーXIV 漆黒のヴィランズ ベンチマーク(平均fps、最高品質設定)

MMORPG「ファイナルファンタジーXIV 漆黒のヴィランズ」のベンチマークテストの結果。今回は最高品質設定で3つのディスプレイ解像度でテストを行ったが、フルHD解像度では、Radeon RX 5500 XT、Radeon RX 5600 XT、Radeon RX 5700 XTともに余裕で60fpsをクリアしている。Radeon RX 5600 XTは、12Gbps設定でも14Gbps設定でもWQHD解像度が平均60fpsを超えているが、負荷の高いシーンでのフレームレートの落ち込みまで考えると、12Gbps設定だと多少荷が重そうなので、14Gbps設定くらい余裕があるとありがたい。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIO

グラフ8:FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIO(スコア、高品質設定)

グラフ8:FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIO(スコア、高品質設定)

「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」は美麗なグラフィックからも想像できる通り、元々負荷が高いタイトルで、高品質設定にするとRadeon RX 5700 XTでさえフルHD解像度でプレイ目安が「快適」止まりだ。Radeon RX 5600 XTも、12Gbps設定だとプレイ目安が「やや快適」になるのだが、14Gbps設定では上位モデルのRadeon RX 5700 XTと同じ「快適」になった。WQHD解像度でも、14Gbps設定が「やや快適」、12Gbpsが「普通」と、14Gbps設定がワンランク上の強さを示す。VBIOS切り替えの効果がいかんなく発揮されているといっていいだろう。

Far Cry 5

グラフ9:Far Cry 5(平均fps、画質最高設定)

グラフ9:Far Cry 5(平均fps、画質最高設定)

Far Cry 5はAMD Radeonに最適化されたタイトルということもあり、画質最高設定のままで、フルHD解像度では全モデル、WQHD解像度ではRadeon RX 5500 XT以外60fpsオーバーを達成した。さすがにRadeon RX 5600 XTは、WQHD解像度だとフルHD解像度に比べてフレームレートがだいぶ下がっている。14Gbps設定と12Gbps設定でのfpsは数フレームの差だが、フレームレートの落ち込みを最小限にしたいなら14Gbps設定のほうが安全そうだ。

Tom Clancy`s Rainbow Six Siege

グラフ10:Tom Clancy`s Rainbow Six Siege(平均fps、DirectX 11 API、総合品質最高設定)

グラフ10:Tom Clancy`s Rainbow Six Siege(平均fps、DirectX 11 API、総合品質最高設定)

グラフ11:Tom Clancy`s Rainbow Six Siege(平均fps、Valcan API、総合品質最高設定)

グラフ11:Tom Clancy`s Rainbow Six Siege(平均fps、Valcan API、総合品質最高設定)

Tom Clancy`s Rainbow Six Siegeは、DirectX API(DX11相当)とValcan APIを起動時に選択できるので、今回は両方の設定で計測してみたが、さすがにオーバーヘットの少なさを売りにしているだけあり、すべてのテストでValcan APIのほうが好結果を残した。Valcan APIだとRadeon RX 5500 XTでも4K解像度で60fpsを超えるなど、比較的fpsが出やすいタイトルなので、オーバーヘッドの少ないValcan APIでフルHD解像度なら、Radeon RX 5600 XTを使えば240Hzモニターでの安定プレイも狙えそうだ。

PlayerUnknown's Battlegrounds(PUBG)

グラフ12:PlayerUnknown's Battlegrounds(平均fps、全体的なグラフィックの品質ウルトラ設定)

グラフ12:PlayerUnknown's Battlegrounds(平均fps、全体的なグラフィックの品質ウルトラ設定)

PUBGのテストは、全体的なグラフィックの品質をウルトラに固定したまま、3種類の解像度でテストした。実際のトレーニングモード中のfpsを計測したものなので、かなり実プレイに近い環境ではあるが、Radeon RX 5600 XTだとフルHD解像度でも120fpsを若干割り込んでしまった。12Gbps設定も14Gbps設定も画質品質を少しでも落とせば120fps安定して出せそうだ。

Forza Horizon 4

グラフ13:Forza Horizon 4(平均fps、プリセットウルトラ設定)

グラフ13:Forza Horizon 4(平均fps、プリセットウルトラ設定)

Forza Horizon 4はRadeon RX 5600 XTのメモリークロックの違いが如実に現れ、フルHD解像度では12Gbpsと14Gbpsで30fps以上も差が出た。最初バグかなと思い、再起動するなどして何度もベンチマークを再実行してみたのだが、傾向は変わらず。WQHD解像度でも同様の傾向がみられたので、おそらくGPUクロック・メモリークロックの差が結果に与えるインパクトが大きいタイトルだと思われる。

Shadow of the Tomb Raider

グラフ14:Shadow of the Tomb Raider(平均fps、DirectX 12 API、プリセット最高設定)

グラフ14:Shadow of the Tomb Raider(平均fps、DirectX 12 API、プリセット最高設定)

Shadow of the Tomb Raiderは、DirectX 12 APIを選択してテストを実施。他のタイトル同様に、Radeon RX 5700 XTが別格の強さを示すいっぽう、Radeon RX 5600 XTは14Gbps設定が12Gbps設定よりも高いfpsを確保できてはいるが、これまでみてきたタイトルに比べると差がだいぶ小さくなっているのが印象的だ。

MONSTER HUNTER WORLD: ICEBORNE

グラフ15:MONSTER HUNTER WORLD: ICEBORNE(平均fps、DirextX 12 API、グラフィック設定最高)

グラフ15:MONSTER HUNTER WORLD: ICEBORNE(平均fps、DirextX 12 API、グラフィック設定最高)

MONSTER HUNTER WORLD: ICEBORNEは、グラフィック設定を最高に合わせてテストを実施。インターフェイスが192-bitがゆえの限界なのか、Shadow of the Tomb Raider同様に、メモリークロック14Gbps設定と12Gbps設定の間の差があまり大きくなく、明確な違いは判らなかった。今回はできるだけ同じ条件で計測するために、一定のコースを周回し、大型モンスターとは直接バトルしていない状況なので、ヌルヌル動くfps重視にするのであれば、Radeon RX 5600 XTでもグラフィック設定を一段下げたほうがよさそうだ。

The Division 2

グラフ16:The Division 2(平均fps、DX12 Renderer有効、グラフィック品質ウルトラ設定)

グラフ16:The Division 2(平均fps、DX12 Renderer有効、グラフィック品質ウルトラ設定)

ゲームベンチマーク最後のタイトルはThe Division 2。こちらはRadeon RX 5600 XT の14Gbps設定と12Gbps設定で若干の差がみられた。さすがにRadeon RX 5500 XTだと60fpsを維持できなかったが、Radeon RX 5600 XTならフルHD解像度・ウルトラ設定でも60fpsを安定して維持できそうだ。WQHD解像度では、Radeon RX 5600 XTでもさすがに60fpsを下回るが、Radeon 14Gbps設定なら、グラフィック品質をいくつか落とせば快適にプレイできそうではある。

消費電力

最後にシステム全体の消費電力から、各GPUの消費電力をみてみた。計測に使用したのは、ラトックシステムの「Bluetoothワットチェッカー REX-BTWATTCH1」。今回はアイドル時(起動後5分後)と、3DMark Time SpyプリセットのGraphics test1とGraphics test2実行中の最大消費電力を値として採用している。

グラフ17:消費電力

グラフ17:消費電力

Radeon RX 5600 XTの14Gbps設定時は、12Gbps設定時に比べておおよそ10%ほど消費電力がアップしていることが確認できる。Radeon RX 5700 XTは、各種ベンチマークの結果同様、消費電力もかなりすごいことになっていた。Radeon RX 5500 XTは、ベンチマーク結果を考えると若干高めの印象だ。こうして横ならびでみてみると、やはりRadeon RX 5600 XTのワット当たりのパフォーマンスが光る。14Gbps設定時の消費電力向上も思ったほど高くなく、14Gbps設定を常時使用しても問題なさそうだ。

まとめ

ここまで各種ベンチマーク結果から、Radeon RX 5600 XTのVBIOSアップデートの効果を探ってみたが、確かにAMDの“究極の1080p GAMING”といううたい文句は間違っていない。元々のスペックのRadeon RX 5600 XTでもそれなりの性能を備えていたが、VBIOSを適応することで消費電力がアップする代わりに、それに比例してしっかりとパフォーマンスアップを果たしており、より高いクオリティ設定やフレームレートが狙えるようになったのは大きなメリットといえるだろう。消費電力も10%程度アップしているが、8pinコネクター1本で供給できる範囲を大きく超えるわけではないので、もしRadeon RX 5600 XTを持っているのであれば、VBIOSのアップデートは積極的に導入してもよさそうだ。さすがに上位モデルのRadeon RX 5700 XTとの壁はまだ感じるが、“1080p GAMINGもできる”Radeon RX 5500 XTとの格の違いはしっかりとみえるようになったのはよかったと思う。

AMDはRadeon RX 5600 XTを“究極の1080p GAMING”をアピールしている

AMDはRadeon RX 5600 XTを“究極の1080p GAMING”をアピールしている

現在、Radeon RX 5600 XTを搭載するカードの価格は3〜3.5万円程度なので、AMDが競合とするGeForce RTX 2060よりは数千円程度安価で購入できる。もちろん、競合のGeForce RTX 2060はレイトレーシングに対応しているのを考えないといけないが、当面フルHDのゲーミング環境で使い、レイトレーシングも不要というのであれば、Radeon RX 5600 XTは悪い選択肢ではない。VBIOSアップデートについては、後だしじゃんけんでもっといい性能に見せたほうがマーケティング的にいいと判断したのか、はたまたソフトウェアの開発が間に合わなかったのかは今となっては定かではないが、個人的には最初からこのパフォーマンスが出ることをアピールしていたら、競合に対してもう少しうまく立ち回れたのではないかと思うが、兎にも角にも、競合メーカー含めてフルHDゲーミングをターゲットにしたアッパーミドルクラスの選択肢が増えたことは歓迎したい。

遠山俊介(編集部)

遠山俊介(編集部)

PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。最近はもっぱらカスタムIEMに散財してます。

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